不思議なハートの力00082-大阪大会決勝、陸運戦(剣道大会は、どうなるの?)-
--大阪大会決勝、陸運戦(剣道大会は、どうなるの?)(001)--
斎藤と上脇は、目を覚ました。
しかし、2人とも体が思うように動かない。
タイムアウトの引き分けに終わった。
神海と日鶴だけが、ことの次第(しだい)、何が起きたかを認識(にんしき)していた。
イクタスの姿は消えた。
でも、神海には、大して気には成らなかった。
自分の実力通り、それ下でもそれ以上にでもない。
神がいようがいよまいが関係ない。
日頃(ひごろ)の鍛錬(たんれん)以外に信じるものは無い。
一方、日鶴(ひづる)は、
(真菜美さん。ごめん。
アクテイスさん。ごめんなさい)
自身の浅(あさ)はかさを恥(は)じた。
戦意(せんい)に欠けていると言わなければならない。
次は、中堅(ちゅうけん)戦で、
海来(うみらい)と山本(やまもと)の戦いである。
試合会場には、異様な空気が流れていた。
神海は、敏感(びんかん)に察(さ)して、
「練習通りの力を出そう。
そうすれば、勝機(しょうき)はある」
手を「バシッ」と叩(たた)いた。
皆(みんな)は、神海(しんかい)の気を受け取った。
海来は、女性である。
しかし、小学生では、女性の方が体格がある。
気合十分である
礼をして、中堅戦が始まる。
海来は、機敏(きびん)に積極的に攻(せ)めた。
相手の山本は、まだ、意識(いしき)が抜けていた。
真菜美は、見かねていた。
しかし、どうすることもできない。
同じ学校の神海君を応援しなければならない。
だが、同士と言おうか、闇の仲間である日鶴の道場を応援したい気持もある。
(山本さん。意識をしっかり持って、
日鶴さん。気合を入れなおさないと危(あぶ)ない。
このままじゃ。試合に負ける)
真菜美は、気が気ではなかった。
その不安は的中した。
ふわふわした意識の中で山本は、必死に戦っていた。
気合を入れないといけない。
当人(とうにん)にも分かっている。
力を振り絞り面を打ちに行った。
山本は、ありったけの声をあげた。
「めぇー------ん」
やっと、目が覚めた。
陸運道場の全員が、目を覚ました。
(試合中だ。
そうだ。
意識をしっかり持たなくてはいけない)
陸運のメンバーみんながそう思った。
だが、面を打ったところには、相手の海来の姿わなかった。
「めー--ん」
「ばしぃー-っ」
山本の頭上に激痛(げきつう)が走る。
海来は、山本の横側に居たのである。
「一本!!!」
赤旗が三本上がった。
浪速(神海の道場)の海来が勝利した。
これで、浪速と陸運は、五分になった。
日鶴は、みんなに気を注入(ちゅうにゅう)した。
(負けるわけにはいかない。
あんなに勝ちたかったのだから。
相手とは五分五分。
こちらも神の助けは無いが、
相手にも神の助けは無い。
生身と生身。
引け目を感じる必要はないわ)
「みんな。相手も生身、
気をしっかりして、
私が勝って見せるから、
荒川。ファイトよ」
次は、副将(ふくしょう)戦である。
浪速(神海の道場)は、浪打(なみうち)。
相手、陸運は、荒川(あらかわ)である。
つづく。 次回(剣道大会は、どうなるの?②)
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