不思議なハートの力00098リレーション⑥
--リレーション⑥-剣道大会③--
次の月曜日に朋子は、一番先に学校に行った。
最初に来る生徒に声をかける。
「剣道に興味ないですか?」(何かの勧誘か?)
朋子は、勇気を出した。
「興味ないけど。
田内さん。どうかしたの?」
男子生徒は言った。
「神海君が剣道大会に出るの。
だから、みんなで応援しようよ」
朋子は、必死である。
「どこでやるの?」
男子生徒は、少し興味を出し聞いてみた。
「どこか、分からないけど。
近く」
(ああ!場所聞いてない。
どうしよう)
朋子は、焦(あせ)った。
「パス」
「なんでよ」
「めんどくさいもん」
男子生徒は、興味が失(う)せた。
「なんで。
ねぇ。
なんでよ」
真菜美は、見かねて朋子に助言する。
(興味がないかもしれませんが、真菜美は、まだ、鉢の花に水をあげている。
3人で持ち回りしていた)
「トモちゃん。周りが見えてないよ。
まず、雅美に相談でしょ。
こんな時こそクラス委員でしょ」
そこに、雅美が登校してきた。
「雅美様。お願いが…有ります」
朋子は、思い切り下手に出てみた。
「朋子さん。ご用は何で御座いますの?」
雅美は、朋子に合わせて高ぴしゃのママの真似をした。
「神海君が今度剣道大会に出るの。
絶対、優勝するから、
クラスのみんなで応援しようよ。
前回は、準優勝なの。
今回は、絶対に勝たせてあげたい。
ねぇ。お願い。
みんなで応援に行こうよ。
お願いします。
クラス委員様。
クラスの団結の力を示す時です。
どうか、哀れな女子に、
お情けを
お願いします」
朋子は、縋(すがり)りつく。
「仕方ない。
今日、クラス会するわよ。
みんなで話し合って決めましょう」
そう言うと雅美は、後ろの黒板に
『今日、放課後クラス会します。
議題は、剣道大会の応援です。
申請者:田内朋子
クラス全員残ってください』
と書いた。
「朋子、先生にも話に行くよ。
付いてきて」
雅美には、仮を返す大きなチャンスである。
(ところで、トモ。
神海君が好きなの?)
雅美は、耳元に口を近づけ小声で尋(たず)ねた。
「げぇ!」( ゚Д゚)
「ねぇ」
「う うん」
朋子は、観念した。
つづく。 次回(リレーション⑦-剣道大会④-)
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