0265_神々の戦い(034)裕也の冒険-時の魔法人の門⑬-
--時の魔法人の部屋--
5人は、古びた書斎(しょさい)に現れた。
木製の本棚が並び、茶色で統一されている。
天井からは、豪華なシャンデリアが吊り下がっている。
蝋燭(ろうそく)の日が灯っている。
その灯りだけで、日の光は入ってこない。
本棚の前に大きな机がある。
そして、豪華な椅子。
茶色のマントを羽織った魔法使いらしき風貌の男性が座っている。
若くもなくいが、皴(しわ)もなく年寄りでもない。
右手に本を持っている。
「よく試練を乗り越えられた。
私は、時の魔法人です。
もう、何万年と
この部屋で時を過ごしている。
この部屋は、時間の概念ない。
今でもあり、未来でもあり、過去でもある。」部屋の主は名乗った。
「私たちは、急いで戻らなければなりません。」
裕也は、早く帰らなければならないことを話した。
魔法人は、それでも落ち着いて尋ねた。
「リーダは、誰ですか?」
みんなの目は、裕也(未来人)を見た。
裕也は、促(うなが)されて答えた。
「私です。」
魔法人は、本を置き、椅子から立ち上がり近づいて、
裕也にネックレスを見せた。
金属の鎖で緑の宝石が下がっている。
「それは、契約のネックレスです。
あなたがたは、今日、学んだことを
受け継がなければならない。
それは、王の約束の印です。」
そして、魔法人は裕也の首にネックレスをかけた。
冷たい怪しい妖気が伝わる。
ネックレスは、徐々に縮(ちぢ)んでゆく。
息がしにくくなる。
裕也は焦(あせ)る。
(何を誓えば良いのか?
契約とは何だ?
王の約束?
もう息が出来ない。)
(王としてやらねばいけないことは何だ。)
問いかける。
(民を守ることです。)
(それが、大事なものを失ってもか?)
問いかける。
(はい。)
(では、誓うが良い。)
「私は、魔族の王。
一生、民を守ることを誓います。」
裕也は、そこまで言って考えた。
大切なものは無くしたくない。
「大切なもののために。
大切なものを守るために。
それが闇の者でも。」
「プツッン」
ネックレスは、切れた。そして、繋がる。
裕也の首には、もとのネックレスが下がっていた。
もう、縮まない。
「合格です。」
魔法人は、納得した。確かに彼が王に相応(ふさわ)しい。
魔法人は、5人に、彼らの頭に巻く革のベルトを渡した。
それには、彼らが貰った宝石をはめれる穴が開いていた。
そして、左右の両手にはめる腕輪も渡した。
彼らは、そのベルトを頭に巻き宝石をはめ、
腕輪をした。
「力は、手に宿る。
ハレンガブハンヂァ。」
彼らの手に力が漲(みなぎ)った。
そして、剣と盾が現れた。
では、元の地に戻るが良い。
5人は、白い光に包まれ消えた。
つづく。 次回(闇と光の戦い①)