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イマを見つめて
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ALWAYS~続・三丁目の夕日

2008年05月30日 23時14分00秒 | 音楽・芸能
ようやく『ALWAYS~続・三丁目の夕日』のDVDをレンタルして観ることができた。
この先はネタバレのオンパレードですから「これから楽しみに観る予定」という方は読むのをお控えください。

いきなり『ゴジラ』から始まって「どうなることやら?」とハラハラさせるオープニング。茶川のパクリ構想とネタばらしで爆笑。『ALWAYS~三丁目の夕日』でも「この作品は寅さんシリーズの笑いを取り入れている」と書いたが、これも「冒頭の夢」みたい(笑)。なんてったって<ミツオ>の吉岡秀隆ですから。前作では上野駅に到着するC62に鉄キチの血が騒いだが、今回は181系こだまときた。ツボを心得てますねえ。羽田空港に出て来る飛行機も航空マニアをくすぐってるんだろうね。
吉岡・堤をはじめ、登場する役者がみんな良い味を出していると書いたが、今回は更にうまい役者が加わった。親戚の娘・鈴木美加役を演じる小池彩夢(こいけあやめ)。かつて「子役は大成しない?」で「今バツグンにウマいのは福田麻由子」と書いたが、どうしてどうして、彼女も劣らず上手い役者だと感心した。
実家が事業に失敗して没落した成城のご令嬢――って設定からして「ネラってるベタな感じ」だが、最初は「このスキヤキ、牛肉じゃないの」、「この家、油くさい」と庶民の食事や家屋にブーたれといて、最後は「大きくなったらお嫁さんになってあげる」って……。典型的ツンデレですなあ(笑)。そういう「大人目線で見た少女」を演じるって「本当の少女」には逆に難しいと思うんだけど、ひとつひとつのシーンで監督の「シーンに込めた狙い」をキチンと理解して演技している。
たとえば「知らない人間と風呂に入るのは絶対にイヤ」と銭湯行きを頑なに拒むシーン。一平に「汗くさい」と言われると、サッと先頭に立って銭湯に向かう。この切り替えの速さが「思春期の少女の心の機微」を表現するポイントと思うのだが、ベストタイミングで態度を一変させる。お見事だ。
また日本橋で薬師丸に気を遣って一平を誘うシーン。この年頃は女子のほうが男子よりもずっと精神年齢が高いもんだが、それをとてもうまく演じた印象。
他にも働いている子供達を見て(自分はお嬢様育ちだから働いたことがないのを恥じて)薬師丸のお手伝いをするシーンとか、ワンピースを縫ってもらって喜ぶシーンとか、全てうまい。薬師丸に「母親」を見る少女の心情がしっかりと伝わってくる。
そして「小憎らしいガキ」から「可愛い少女」へと変貌して行くさまが完璧に描かれている。ツボにハマってしまった連中はかなり多そう(笑)。

それにしても前作でも感じたが、ディテールの細かさ・当時の雰囲気の再現が非常に緻密に作られた映画だと感心する。これでヒットしないわけがない――という感じ。
本当に昭和って懐かしいよなあ……(浸りきってます)。


やさしい日本人

2008年05月30日 07時37分59秒 | 政治
中国・四川大地震の救援物資輸送に自衛隊の輸送機を使う計画が、一転して民間チャーター機を利用することに変更された。

一見すると、また日本の弱腰外交、救援してもらうにも関わらず我儘で強気な中国政府――と映るが、筆者の見方はちょっと違う。
福田康夫という政治家、首相としては不適格だと思っているが、外交は結構うまい。外務大臣としては有能と感じる。
今回の自衛隊機派遣が明らかになると、インターネットを中心に議論が沸騰したという。「救援だろうと日本軍を再び領土に入れるな!」という反対論が数多かったが、中には「前回は侵略に来たが、今回は救援に来てくれるのだから歓迎するべき」という賛成論も出たという。
自衛隊機を派遣するといえば、中国国内でこうした議論が起きるのは事前に予想できることだ。弱腰外交で中国に気を遣うならば、最初から自衛隊機使用などと言わずに民間機を利用するべき。にも関わらず「自衛隊機で輸送」と最初に発表するところが福田のしたたかな外交戦術と見る。そして中国国内から反対論が上がると、それに配慮した格好で民間機に変える。いかにも日本が中国に遠慮したイメージを与える。
「今回は受け入れるべき」と主張していた賛成派の中国人には「救援に来てくれるのに、さらに中国に配慮してくれる日本」が好印象に映ったことだろう。
そもそも反日感情が強いのは中国でも南部のほう。サッカーのアジアカップで重慶での凄まじい反日行為は記憶に生々しい。第二次世界大戦でも激戦地となったのは、そっちの地方だからね。うまい具合にといえば被災民には悪いが、今回、こちらの地方に「やさしい日本人」のイメージを強く植え付けられれば、今後の日中外交にとって大きなプラスになる。
政治家というのは、どんな非常時でもそういう計算を働かせなければならない。もしもキムタクが総理として失敗すれば「根は良い人」だろうし、成功したら「腹黒な人間」ということになろう(笑)。
ともかく「自衛隊機から民間機への変更」は、右翼思想を持った日本人にすれば「情け無い弱腰」と映るかもしれないが、国内では四面楚歌の福田康夫も、なかなかどうして外交ではやり手だと評価する。