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つかこうへいさん死去

2010年07月13日 07時22分00秒 | 音楽・芸能
つかこうへいさん死去

つかこうへい、好きでしたね~。
筆者の周囲は、結構トガったやつらが多くて、唐十郎の赤テントとか、佐藤信の黒テントとかが好きで、「つかは甘い」なんて批判してましたが、筆者は少数派ながら好きでした。

紀伊国屋ホールで「鎌田行進曲」の初演を見てサイコーにおもしろかった。鎌田は映画がヒットして、そっちが有名になりましたが、あれは「戯曲」です。舞台で演じるために、そもそも創られた作品です。
「熱海殺人事件」の平田満と風間杜夫の長いかけあいも忘れられません。

その後、筆者の嗜好は夢の遊民社の野田秀樹へと移って行きますが、つかこうへいの作品が大きな影響を与えてくれた――いまふうに言いますと「インスパイヤされた作家」ってことになります。

すなわち、「どんな高尚な主義・主張も、相手が聞く耳を持たなければ伝わらない」
つかにしても、野田にしても、溢れるばかりのエンタティンメント性によって舞台に観客を引き付けたからメッセージが伝わったのだと思います。
メッセージ至上主義のアジ演劇が好きな友人たちには、それが甘く感じられたのかもしれませんが……。

つかこうへいと言うと、「戦争に行けなかったお父さんのために」とか「広島に原爆を落とす日」とか「初級革命講座・飛龍伝」なんて、反戦・左翼色の作品も多いのですが、好きですねえ。
主義ちがうだろ?――といわれそうですが、おもしろければ好き。
つかのこういう芝居って、正面から反戦とか革命とか言ってない。むしろ、そういう物を「おちょくり気味」に描いている。だから見る。

今の時代なら、こんな例と思います。
福島瑞穂を現代のジャンヌ・ダルクみたいなヒロインに仕立て上げた芝居なんか、誰も見たいと思わない。でも、時代錯誤の頓珍漢なオバチャンと描けば、おもしろおかしく笑ってみられる。そして見た人の中から、その頓珍漢な哀れさの中に共感が生まれることだってあるのです。
敵に塩を送るような物ですが、絶滅危惧種の左翼の皆様は、こういう表現技術を身に付けるべきでは?

つかから学んだことは、このブログにも活きてまして、とにかく第一は「読んでいただくこと」を考えて書いています。
どんなにご立派な意見を述べようとも、最初の一行で「読む気しねえ」と感じさせてしまったら、それでお仕舞と思います。
読んでいただけなければ、伝える初歩にも達しない――そういうことを学ばせていただいた劇作家だったと思います。

謹んでご冥福をお祈りします。
安らかにお眠りください。

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