西向きのバルコニーから

私立カームラ博物館付属芸能芸術家研究所の日誌

ドアノブを回す男

2008年01月17日 15時38分00秒 | Weblog
 カチャカチャ!

 いきなり部屋の玄関のドアノブを回す音がしたのは、昨日の午後5時頃だった。
 
「今、ドアノブ回す音したよな」

 私の問いかけに頷いた妻は、怪訝な表情でまた玄関の方に目をやった。

「……、あ、隣の部屋のも回してる音がする」

 誰かが、一軒一軒、ドアノブを回して歩いているようだった。

 しばらく声を潜めて耳を澄ましていると、戻ってくる人の足音が……、そして磨りガラスの向こうを人影が通り過ぎ、外階段を降りていく音が……。

 私は慌てて裏のベランダへ出て首を伸ばし、階段方向を見てみた。

 階段から降りてきたのは、60歳ぐらいの男性。身長はやや高め。上下黒のウインドブレーカーに、黒い野球帽を被り、白いエナメルのスポーツバッグを肩から提げていた。

 男性は建物から離れると、曲がり角まで歩いた後、同じような服装をした女性と落ち合い、二人して辺りの家を指差しながら、西の方向へと去っていった。

 すぐに改めて玄関のドアを開けてみると、郵便受けに知事選の選挙公報が入っていた……。


 なんだこりゃ!? どういうこっちゃ!?

 選挙管理委員会か町内会の役員か知らないが、チャイムも押さずノックもせず、いきなりドアを開けようとした奴がいたのだ。いったい何の権利があって、そんな訪問の仕方をするのだろうか? 幸い鍵をかけていたのでドアは開かなかったが、もしドアが開いていたら、どうするつもりだったのだろうか? 理解に苦しむところである。

 まったく、気色悪い! 腹が立つ!!


 当然ながら、早速、選挙管理委員会に通報をした。