真珠の耳飾の少女
楽しめど ★★★★★
フェルメールがテレピンを混ぜるシーンは、こちらまで油の香りが漂ってくる、そんな映画でした。
監督 ピーター・ウェーバー
キャスト スカーレット・ヨハンソン
コリン・フォース
キリアン・マーフィー 他
原作 トレイシー・シュヴァリエ
収録時間 本編100分
1665年、オランダのデルフト。
タイル職人の父が失明したため、家計を支えるために17歳のグリートは、画家ヨハネス・フェルメールの家へ奉公する。
「フェルメール家はカトリックだから、祈りの時は耳をつぶっておきなさい。」
という言葉は印象的。
この言葉は後に、耳という共通の言葉において、グリートの人生を一途ける重要な言葉の折り返しとなる。
フェルメール家は、気位の高い妻のカタリーナと彼女の実母で家計をみるマーリア。また、6人の子供たちという大家族に加えて、使用人も多くいる。
フェルメールが1枚の絵を完成させるのに長い月日(3カ月以上)も費やす。
家計は赤字続きの逼迫した状態で、夫婦間の口論も絶えない。
夫を非難するカタリーナやフェルメールの制作意欲を逆なでする子供たちの足音が、昼夜を問わず響き渡る。
グリートの心は疲れ、いつしかフェルメールのアトリエの掃除、そして彼の絵が心の憩いの場と感じる自分に気づく。
完成間近い絵の色感ト光の美しさに強くひきつけられる彼女。
それに気づくフェルメール。
そんなある日、カタリーナの出産祝いと制作完成祝いを金、パトロンのファン・ライフェンを招いて盛大な晩餐会が催された。
マーリアとカタリーナは、その場でファン・ライフェンの注文を取ろうと必死だった。
一方フェルメールは、
「次に何を描くか決めていない」
と言って妻と義母を大きく失望させる。
それから暫くしてフェルメールは新作を描き始める。
彼にはこのとき彼の思惑を持っていたのだ。
グリート。
彼女がアトリエの窓を掃除したことによって生まれた制作意欲。
微妙な光の変化による色彩美と陰影。
加えて少女の純粋さと飾り物ではない生きた人間美。
窓を拭くグリートの姿に感化されてカメラ・オブスクラを使ってのデッサン。
グリートは、
「光がイメージを作り出す」
というフェルメールの言葉に、深い感銘を受ける。
彼はグリートが優れた色彩感覚の持ち主であることに気づいく。
才能と彼の感情の微妙な純粋な動きによって、アトリエのロフトで絵の具を調合する仕事を手伝わせる。
すり鉢で骨灰を磨りつぶすグリートの手に添えられたフェルメールの暖かなの感触。
男性を意識してしまうグリート。
すんなりと美しく精神的なエロスが表現される。
素晴らしい。
彼女はピーター(キリアン・マーフィー/肉屋)と親しくしていたが、彼に対する気持とは異なる崇拝と畏れが入り交じった感情を、グリートはフェルメールに抱くようになる。
冬。
グリートはアトリエのロフトで寝起きをし、家事労働の合間のわずかな自由時間を、絵の具の調合に費やす。
彼女トフェルメールは互いに重要な位置関係に陥る。
その親密さは例外なくフェルメールの家族に波紋を呼び起こす。
フェルメールの娘コルネーリアは、露骨に彼女に嫉妬し、じゃまをする。
フェルメールは娘の悪戯を表示。
カタリーナもまた、グリートに嫉妬し、ののしる。
フェルメールの創作意欲に対するグリートの影響力を見抜いていた袱紗綱心境の母マーリア。
一家を支えるために、彼の心の変化を容認せざるをえない。
娘を思うと、つらい立場だ。
マーリアが、絵の注文を取るために大金持ちのパトロンであるファン・ライフェンを屋敷に招く。
フェルメールの心に気づいたファン・ライフェンは、グリートをモデルに加えた集団肖像画を描くように言いつける。
グリートをモデルの件はすぐに町の噂になった。
前例としてフェルメールは雇ったばかりの使用人をモデルにした絵頼んだことがある。
その際、絵が完成するまでに身ごもらせたという実例があったからだ。
グリートは不安に陥る。
フェルメールはそんな彼女に、
「注文された集団肖像画とは別に、君を描く」
と伝える。
安堵するグリート。
彼女の心は一層彼に惹かれる。
デッサンは、母以外の家族には秘密で行われた。
フェルメールに頭巾を外せと言われ、青いターバンを巻く。
フェルメールは、カタリーナの真珠の耳飾り(ピアス)をグリートに着けさせる。
拒むグリート。
しかしフェルメールから描きかけのデッサンを見せられた彼女は、自分自身の内面までが写し取られたその絵の出来映えに見入る。
グリートの美に対する心が、そして、画家を愛する女としての心が、彼女にこう告げていた。
絵の中の少女には、真珠の耳飾りが必要だと。
ここで私は宗教の違いをうすうす感じる。
たぶんカトリック以外の彼女の宗教(プロテスタント)は自分の身に傷を付けてはいけないのではないか、
と。
ピアスというのは自分の指針にもかかわる重要な裏切りなのかもしれない。
だとすれば
フェルメールはカトリック、一方彼女はプロテスタントであり、宗教上対立関係にある。
けしてカトリックの彼の言いなりにはなってはいけないし、こう考えると「祈りの時は耳をつぶっておきなさい。」
の言葉は一層生きてくるのだ・・・
しかしながら私はキリスト教の微妙な違いを知らない。
ただいえることは宗教は諸外国においては日本で考えるよりも重要視されていることが多いということは確かである。
彼女は宗教と禁断の域を飛び越え、精神的にフェルメールと深い関係を持つ。
そして実際には直後、肉屋のピーターと肉体的な禁断の域を超える。
ここの心の揺れ動きはおもむきがある。
彼女は真珠の耳飾をつける。
そして彼の妻にもそのことが知られる。
嫉妬に狂う妻。
少女はフェルメールの家を追われることとなる。
彼女はフェルメールを見る。
救いのまなざしはない。
彼女は彼への思いを断ち切り、寂しく家を出る。
先輩の老使用人の女が追いかけてきた。
彼女は一通の手紙を手渡される。
封印は、フェルメールの『青』(群青)の油絵の具。
中には・・・・
真珠の耳飾りが入れられていた・・・
フェルメールについて
以前大阪市立美術館に来たので観たことがある。
美しい絵であったが、裏にはこんなドラマが潜んでいたとは。
もう一度観たいな、フェルメール!!
映画の中のフェルメール
細部にわたり色彩と光にk気を使った映画で絵の好きな私は満足でした。
そんなに重要場面でない場合、例えばピーターの目の色とバックの色まで緑で合わせるという徹底振りで、色感は素晴らしい。
見事な出来で、感動したがために鳥肌がたつという美的センスのある映画の一つでした。
楽しめど ★★★★★
フェルメールがテレピンを混ぜるシーンは、こちらまで油の香りが漂ってくる、そんな映画でした。
監督 ピーター・ウェーバー
キャスト スカーレット・ヨハンソン
コリン・フォース
キリアン・マーフィー 他
原作 トレイシー・シュヴァリエ
収録時間 本編100分
1665年、オランダのデルフト。
タイル職人の父が失明したため、家計を支えるために17歳のグリートは、画家ヨハネス・フェルメールの家へ奉公する。
「フェルメール家はカトリックだから、祈りの時は耳をつぶっておきなさい。」
という言葉は印象的。
この言葉は後に、耳という共通の言葉において、グリートの人生を一途ける重要な言葉の折り返しとなる。
フェルメール家は、気位の高い妻のカタリーナと彼女の実母で家計をみるマーリア。また、6人の子供たちという大家族に加えて、使用人も多くいる。
フェルメールが1枚の絵を完成させるのに長い月日(3カ月以上)も費やす。
家計は赤字続きの逼迫した状態で、夫婦間の口論も絶えない。
夫を非難するカタリーナやフェルメールの制作意欲を逆なでする子供たちの足音が、昼夜を問わず響き渡る。
グリートの心は疲れ、いつしかフェルメールのアトリエの掃除、そして彼の絵が心の憩いの場と感じる自分に気づく。
完成間近い絵の色感ト光の美しさに強くひきつけられる彼女。
それに気づくフェルメール。
そんなある日、カタリーナの出産祝いと制作完成祝いを金、パトロンのファン・ライフェンを招いて盛大な晩餐会が催された。
マーリアとカタリーナは、その場でファン・ライフェンの注文を取ろうと必死だった。
一方フェルメールは、
「次に何を描くか決めていない」
と言って妻と義母を大きく失望させる。
それから暫くしてフェルメールは新作を描き始める。
彼にはこのとき彼の思惑を持っていたのだ。
グリート。
彼女がアトリエの窓を掃除したことによって生まれた制作意欲。
微妙な光の変化による色彩美と陰影。
加えて少女の純粋さと飾り物ではない生きた人間美。
窓を拭くグリートの姿に感化されてカメラ・オブスクラを使ってのデッサン。
グリートは、
「光がイメージを作り出す」
というフェルメールの言葉に、深い感銘を受ける。
彼はグリートが優れた色彩感覚の持ち主であることに気づいく。
才能と彼の感情の微妙な純粋な動きによって、アトリエのロフトで絵の具を調合する仕事を手伝わせる。
すり鉢で骨灰を磨りつぶすグリートの手に添えられたフェルメールの暖かなの感触。
男性を意識してしまうグリート。
すんなりと美しく精神的なエロスが表現される。
素晴らしい。
彼女はピーター(キリアン・マーフィー/肉屋)と親しくしていたが、彼に対する気持とは異なる崇拝と畏れが入り交じった感情を、グリートはフェルメールに抱くようになる。
冬。
グリートはアトリエのロフトで寝起きをし、家事労働の合間のわずかな自由時間を、絵の具の調合に費やす。
彼女トフェルメールは互いに重要な位置関係に陥る。
その親密さは例外なくフェルメールの家族に波紋を呼び起こす。
フェルメールの娘コルネーリアは、露骨に彼女に嫉妬し、じゃまをする。
フェルメールは娘の悪戯を表示。
カタリーナもまた、グリートに嫉妬し、ののしる。
フェルメールの創作意欲に対するグリートの影響力を見抜いていた袱紗綱心境の母マーリア。
一家を支えるために、彼の心の変化を容認せざるをえない。
娘を思うと、つらい立場だ。
マーリアが、絵の注文を取るために大金持ちのパトロンであるファン・ライフェンを屋敷に招く。
フェルメールの心に気づいたファン・ライフェンは、グリートをモデルに加えた集団肖像画を描くように言いつける。
グリートをモデルの件はすぐに町の噂になった。
前例としてフェルメールは雇ったばかりの使用人をモデルにした絵頼んだことがある。
その際、絵が完成するまでに身ごもらせたという実例があったからだ。
グリートは不安に陥る。
フェルメールはそんな彼女に、
「注文された集団肖像画とは別に、君を描く」
と伝える。
安堵するグリート。
彼女の心は一層彼に惹かれる。
デッサンは、母以外の家族には秘密で行われた。
フェルメールに頭巾を外せと言われ、青いターバンを巻く。
フェルメールは、カタリーナの真珠の耳飾り(ピアス)をグリートに着けさせる。
拒むグリート。
しかしフェルメールから描きかけのデッサンを見せられた彼女は、自分自身の内面までが写し取られたその絵の出来映えに見入る。
グリートの美に対する心が、そして、画家を愛する女としての心が、彼女にこう告げていた。
絵の中の少女には、真珠の耳飾りが必要だと。
ここで私は宗教の違いをうすうす感じる。
たぶんカトリック以外の彼女の宗教(プロテスタント)は自分の身に傷を付けてはいけないのではないか、
と。
ピアスというのは自分の指針にもかかわる重要な裏切りなのかもしれない。
だとすれば
フェルメールはカトリック、一方彼女はプロテスタントであり、宗教上対立関係にある。
けしてカトリックの彼の言いなりにはなってはいけないし、こう考えると「祈りの時は耳をつぶっておきなさい。」
の言葉は一層生きてくるのだ・・・
しかしながら私はキリスト教の微妙な違いを知らない。
ただいえることは宗教は諸外国においては日本で考えるよりも重要視されていることが多いということは確かである。
彼女は宗教と禁断の域を飛び越え、精神的にフェルメールと深い関係を持つ。
そして実際には直後、肉屋のピーターと肉体的な禁断の域を超える。
ここの心の揺れ動きはおもむきがある。
彼女は真珠の耳飾をつける。
そして彼の妻にもそのことが知られる。
嫉妬に狂う妻。
少女はフェルメールの家を追われることとなる。
彼女はフェルメールを見る。
救いのまなざしはない。
彼女は彼への思いを断ち切り、寂しく家を出る。
先輩の老使用人の女が追いかけてきた。
彼女は一通の手紙を手渡される。
封印は、フェルメールの『青』(群青)の油絵の具。
中には・・・・
真珠の耳飾りが入れられていた・・・
フェルメールについて
以前大阪市立美術館に来たので観たことがある。
美しい絵であったが、裏にはこんなドラマが潜んでいたとは。
もう一度観たいな、フェルメール!!
映画の中のフェルメール
細部にわたり色彩と光にk気を使った映画で絵の好きな私は満足でした。
そんなに重要場面でない場合、例えばピーターの目の色とバックの色まで緑で合わせるという徹底振りで、色感は素晴らしい。
見事な出来で、感動したがために鳥肌がたつという美的センスのある映画の一つでした。