乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

『春日若宮御祭礼 後宴之式能』  『采女』『鵺』狂言『口真似』  2024年12月18日

2024-12-18 | 能楽・狂言

   『春日若宮御祭礼 後宴之式能』  『采女』『鵺』狂言『口真似』  2024年12月18日

 

『春日若宮御祭礼 後宴之式能』に行く。

 今年の演目は、『采女』と『鵺』

 両曲共に何度となく楽しんだことがあるが、『鵺』の後シテの赤頭はいつもながらに恰好が良い。

 歌舞伎の荒事のようで、見ていてドキドキする。

 

 春日大社で見る『采女』も、猿沢の池からほど近く、感情が伝わってくる。

 今回の『采女』は抑え気味だったせいか(?)、采女の心情が伝わってくるようで、感情移入をしながら見ていた。

 百番集を見れば、ずいぶん前の書き込みをしており、当時の私の心情を思うメモ書きに、今回の『采女』を重ね合わせて味わっていた。

 いずれ、今一度、『采女』と『鵺』もしっかりと抑えておきたい。

 書物で、天野先生が開設されていればいいのだが、、、

 

 こつぃの相撲は時間が長かったせいか、能楽が始まっても相撲を催されていらっしゃる敷地から、歓声が聞こえていた。

 写真は能楽の席を確保し、用の為春日大社を歩いていた時のもの。

 相撲は見なかったが一枚だけ、写真撮影をさせていただいたもの。

 

 

★能 采女 櫻間右陣 福王和幸 中村宜成 喜多雅人 島田洋海  笛 左鴻泰弘 小鼓 荒木建作 大鼓 井林久登

  ★狂言 口真似 茂山千五郎 茂山逸平 網谷正美

★能 鵺 金春穂高 福王知登 山下守之  笛 左鴻泰弘 小鼓 荒木建作 大鼓 井林久登 太鼓 前川光範

 

 

14時 

春日大社御旅所 

雨天の場合は春日大社内  

 写真は春日大社御旅所

 ここで毎年12月18日に『春日若宮御祭礼 後宴之式能』が行われる。

 

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東大寺慶讃能 2024..10.15     能「源氏供養」 仕舞「須磨源氏」「葵上」「屋島」

2024-10-17 | 能楽・狂言

 

 東大寺慶讃能 2024。.10.15     能「源氏供養」 仕舞「須磨源氏」「葵上」「屋島」

 

 ずいぶん昔から楽しんでいる、大仏秋の祭りの日に、東大寺慶讃能を楽しむ。

 この秋は、大変珍しく、お練りや舞楽がなかった。

 理由を問うと、東大寺の方でさえ、舞楽がなかったことをご存じなかった。

 

 毎年、能楽は午後の三時からが定例となっているが、今年は舞楽がなく一時半からで、危うく、能楽を見逃すところであった。

 

 能楽は「源氏供養」

 何度も聴いているが、今回も写真は撮らず見ることと味わうことに集中していたので、大変感動した。

 

 今年は大河ドラマのせいか、源氏関係の曲が多かった。

 演目の多くが源氏物語の関係で、これも時代の流れかとほくそえんだ。

 

 そういえば、初めて見ようと決心した大河ドラマを少ししか見ていない、、、

 初めて録画し、見ようと意気込んではいたものの、見鑑賞が三十本以上たまっている。

 肩の荷が重い、、、

 

 

以下は頂いたパンフレットより

仕舞「須磨源氏」

『源氏物語』の須磨・明石の巻の物語である。

 日向国の神官藤原興範は伊勢神宮へと参詣に旅立つた。

 途中、光源氏が住んでいたと言う摂津ノ 国須磨の浦に立ちよった時、若木の桜を眺める老人に出会った。

 

 老人は光源氏の住居にあった桜であると説明しながら光源氏の生涯について語 り始めた。語り終わると、

「私は光源氏である」

と言い終え消えて行った。

 旅寝をしているとどこからともなく管弦の音が鳴り響き興範の前に光源氏の霊がありし世の気高い姿で現れた。

 光源氏の霊は

「兜率天に住んでい る、今夜は月下に袖を翻して青海波の舞楽を舞う。」

と言い華やかだった昔を懐かしみながら舞い続ける、光源氏の霊は夜明けとともに静かに消 えて行った。

 

 

仕舞「葵上」

 左大臣の息女、光源氏の正妻である葵上は執拗な物の怪に悩まされ病の床に伏していた。

 照日の巫女に物の怪の正体を占わせると、破れ車に 乗った六条御息所の生霊が現れ

「あら恥かしやと今とても、忍び車のわが姿」

と恨み事を言った。

 

 六条御息所は桐壺帝の弟の妃であり皇太子紀と して栄耀栄華を誇った。

 夫に先立たれ光源氏と恋仲になった。

 

 昔、葵祭りの行列に出る光源氏を見物に行こうと質素な牛車で出かけた六条御息所 だったが地位と権力に物を言わせた葵上一行に車を打ち壊され無理やりその場を立ち退かされた。

 その屈辱感は耐えがたく、魂は体を抜け出し 葵 上 に 取り 憑 くように なった 、と 話 す。

 

 病臥の葵上を激しく打ち据え、葵祭で打ち壊された車に乗せ、この世から連れ去ろうとする。

 

 叡山横川の小聖が祈祷を始めると、怨みの余り鬼の姿へと変じた御息所の怨霊が再び現れ、その怨念は行者の法力と激しく争ったが、心を和ら げ成仏の身となって立ち去ってゆく。

 

 

一調「屋島」

 西国修行の旅に出た僧たちが讃岐国の屋島を訪れた。僧たちは漁翁の宿で一夜を明かすこととなった。

 漁翁は僧たちに屋島の合戦を語り始め た。物語が終わった時に、私は源義経の亡魂だと漁翁が明かし「よし常の憂き世」と言い残して消えた。

 

 僧は、夢で再び義経に会おうと戦場になっ た場所で苔を筵に眠りについた。

 やがて、甲冑姿で現れた義経の亡霊が現れた。

 源平合戦の最中に落とした弓を危険覚悟に取り返した修羅道のことを語り続けながら夜が明けて 行き僧は夢から目覚めた。

 

 

能「源氏供養」

 安居院の法印が石山寺へ参詣しようとすると女に呼び止められた。

「源氏物語」を石山寺でかいたが、光源氏の供養をしなかったために成仏でき ないので、源氏と自分の供養をして欲しいと求めてきた。

 

「源氏の供養の時は自分も現れて、共に源氏を弔う」

と約束。

 

 法印は「源氏物語」を書いた方かと問うと、女は紫式部と我が身の知られたことを恥 じながら姿を消して行った。

 

 石山寺で弔う法印の前に、紫式部の霊が現れ「源氏物語」の巻名を織り込んだ現文に世の無常と阿弥の導きを願っ て舞を舞うと、これで光源氏の供養と併せて自らも成仏できると喜んで姿を消していった。

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興福寺薪御能 「歌占」「融」「東北」「鉄輪」 2024.05/17~18

2024-05-26 | 能楽・狂言

 

 興福寺薪御能 「歌占」「融」「東北」「鉄輪」 2024.05/17~18

 

 今年は興福寺の薪御能(二日間)を楽しませていただきました。

 コロナ、そして昨年のバタバタした状態で参加できなかった興福寺の薪御能ですが、今年は念願がかない、連夜楽しみました。

 演目は「歌占」「融」「東北」「鉄輪」

 四曲とも少なくとも数回以上は楽しんだことのある曲です。

 特に「融」「東北」は、二けたは見ていると思いますが、毎回感じ方が違うので、興味深いです。

 

 能楽を見たころは「鉄輪」のようなわかりやすくて動きの激しい曲が好きしたが、ここ二十年は落ち着いたじっくりと味わうことのできる曲も好きになりました。

 

 今回はどう訳かなじみの「融」に感情移入し、また、「東北」にも感動しました。

「東北」の軒端などといった美しい日本語には、うっとり致します。

 シテの詞の中に【貫之】という詞が出てきます。

 また間狂言の中にも【藤原朝臣】や【貫之】の名を出し、実際にわたくしの好きな業平さまや貫之さまの軒端に関する和歌を狂言師が話します。

 

 「歌占」「融」「東北」「鉄輪」の中で【貫之】の名が二回、【藤原朝臣】の名が一回、和歌がそれぞれ一回織り込まれ、至福のひと時を過ごすことができました。

 そして改めて感じるのでした。

 薪の火に揺らぐ能楽は美しい。

 そして興福寺の薪御能の意義を。

 能楽を多少なりとも好きな私にとっては、素晴らしい二日間を過ごすことができました。

 

2024.5/17

2024.5/17

2024.5/18 昼

2024.5/18 昼

2024.5/18

2024.5/18

2024.5/18

 

 

17日(金)薪御能 17:30~興福寺南大門跡 

 「歌占」観世喜正(観世) 

 「融」金剛永謹(金剛)

18日(土)薪御能 17:30~興福寺南大門後 

 「東北」金春安明 

 「鉄輪」辰巳満次郎(宝生)

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ブラボー! 後宴之式能 「頼政」「黒塚」   国指定重要無形民俗文化財 春日若宮御祭礼式能楽 おんまつり 2022年12月

2023-01-11 | 能楽・狂言

 

 

国指定重要無形民俗文化財

 春日若宮御祭礼式能楽

 後宴之式能

 

 頼政

  太刀奪

 黒塚(観世流では、安達ヶ原)

 

 

 

 2022年12月 おんまつり 後宴能

 若宮さまに失礼があってはいけないため、本年度から撮影は禁止でした。

 指定者以外の多くの観客が写真を写し、動画をとり、録音さえされていらっしゃる常連がいる中、私はプライドが許さず、当たり前のことですがカメラはカバンの中にしまい込み、じっくりと能楽にのめり込んで楽しむことができ、

 本来であればこういった能楽の楽しみ方が良い方法の一つかもとも思えました。

 但し、京都の偉大な画家で有る須田国太郎氏が能楽をお描きになられていたのは、画家としての信念と気迫を感じ取ることができます。

 私のように安直に記念撮影ごときを撮ってはいけないのではと、これまでの行いを反省し、今回のおんまつりに挑んだ次第でございます。

 

 これ迄「頼政」や「黒塚」は何度と無く楽しんだ演目ではございますが、能楽本来の持つ深さに少し触れられたような気が致しました。

 これは、コロナでしばらくの間能楽さえも見ることができなかったジレンマと、その感書物で楽しんでいたために少しだけではございますがこれまでよりも能楽に対する理解力が乱鳥なりに深まったのかもと、阿呆面でアホウの鳥はほくそ笑んでおりましたが、おそらく希望的観測でございまする。

 

   能楽が

    見たかった!!!

と言う思いが強く、のめり込んでしまいました。

 

 すると能楽は素晴らしすぎて、真剣な趣のみならず、心は高揚し、顔はデレデレ。歌舞伎と比較するにおは浅はかなのですが、歌舞伎の山場のように興奮し、鳥はとろけ、足はよろけ、千鳥よろしくのヘロヘロで、仁左衛門丈の防汚舞台で腰が抜け、しばらく立てずにいた時のような状態に陥りました。

 

「頼政」がこれほどまでに素晴らしい演目であったのか!

「黒塚」に糸巻きの部分が、こんなにも切なく感じられる場面であったのか、、、

 

 私は今回の能楽鑑賞で大きな宝を得たように感じます。

 それもこれも、春日大社様が撮影禁止にしてくださいまして、能楽飲みに取り組むことができたと言う幸運に恵まれ、それもこれも若宮様のおかげと感謝に感謝を重ね、関係者の皆様に御礼を申し上げたいと感じております。

 みなさま、貴重な体験をありがとうございました。

 素晴らしい能楽や狂言をありがとうございました。

 

 カメラの代わりに私がカメラとなり、「頼政」「黒塚」を一番良い高さから双眼鏡及び肉眼を用いて、一番良い状態で拝見させていただきました。

 上にも書きましたが、例えばですが「黒塚」に糸巻きの部分においては同じ頭の高さに合わせて見ておりますと、鬼婆の心の内のかすかなつぶやきが聞こえてくるようで、能楽とはこんなに素晴らしいものであったのかと今更ながら頭を叩きつけられたようなショックを感じ、能楽本来の表現の一つをしんみりと味わうことができました。

 

『観世流百番集』を持っておりましたが、当然のことながら観世流では『安達ヶ原』で載っております。

 言葉の言い回しもずいぶん変わって伝えられておます。

 流派によって歌いの言葉が違ったり省略したりといった、こういった演目は他にも多くございます。

 観世流の「安達ヶ原」が先で、後に「黒塚」ができたといったことが、天野先生のご本に書かれておりました。

 

 今回の「頼政」と「黒塚」は最高でした。

     ブラボー!

 

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奈良豆比古神社の翁舞 令和4年10月8日 Okina-mai at Naraduhiko Shrine in Nara city Japan

2022-10-10 | 能楽・狂言

 

 

奈良豆比古神社の翁舞 令和4年10月8日 Okina-mai at Naraduhiko Shrine in Nara city Japan

奈良豆比古神社YouTubeチャンネルは無効となっておりますが、

三角のボタン(▶︎)から奈良豆比古神社YouTubeチャンネルに飛んでいただきますと、

奈良豆比古神社YouTubeチャンネルの神事(1時間)を直接拝見させていただけます。

https://www.youtube.com/watch?v=VjagVtCLX_o

 

 

奈良豆比古神社

2022/10/8(土)20:00~

令和4年(2022年)の翁舞は一般公開

YouTube配信

 

 これは、神事として舞われる、室町時代から伝わる伝統芸能。

 古い形の『翁』『三番叟』は、所作や形や言葉やリズムに基づき、静粛に行われる。

 私にとっては初めての所作の『翁』『三番叟』、リズムは古い形の万歳にさえ似たもので、古代湖と笛の音の二拍子が心地良い。

『翁』や『三番叟』の意味合いを軸に、古い形のそれらの舞を見ることができ、感謝の念は大きい。

 

 翁、三人の舞を初めて見た。

 三人は日本をはじめ諸外国で注目されるが、ここでは三番叟に三人回すことなく、翁で三人と変化させておられるのかと、知らない私は勝手に解釈した。

 

 鈴の舞の前に、子供が三番叟に鈴を渡す。

 その折の問答は、言葉が古く、現在の私たちには少し聞き取りにくいところがあるが、いずれ文字起こしをしたいと考える。

 

『翁』舞では 「とぅとぅたらり たらりとぅ、、、、」から始まり、「鳴るは滝の水 鳴るは滝の水」(子供)

に移る。

 そして、「千秋楽ぅ〜 千秋楽ぅ〜 千秋楽ぅ〜 千秋楽ぅ〜、、、」

の形に終わるのは、今の『翁』とほぼ同じである。

 そかし本舞台では、ここからさらに発展性を見せる。

 

 秋のこの日に、YouTubeで、神様と同方向から翁を見ることができた。

 地鎮祭や田植えから始まり、子供の年齢(或いは大きさ)で、稲の成長をも示し、十月十五夜前日にこういった神事が行われる喜び。

 これじ私たちに、農耕民族であると知らしめ、或いは収穫の喜びを味わう良き祭りであると、私は感じる。

 

 素晴らしい。

 とにかく素晴らしい。

『翁』『三番叟』の意味合いを踏んで作られた室町より伝わるこの舞台が素晴らしい。

  舞

  リズム

  所作

  言葉

  伝承、継承

 これらが素晴らしいと感じ、日本人として、誇りに感じる。

 こういったYouTubeをタイムリーに上げていただきました関係者の皆様に感謝いたします。

 ありがとうございます。

 

 みなさま

 拙ブログにご来場いただきまして、ありがとうございます。

 感謝申し上げます^^

 

 

 

 2022/10/8(土)20:00~

「翁舞(おきなまい)」3人の翁が登場

 三番叟(さんばそう)と千歳(せんざい/少年の役)との問答に、能・狂言の発達以前の古い形が残り、平成12年(2000年)に国の重要無形民俗文化財に指定された。

 

 

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『高砂』 5  『世阿弥 神と修羅の恋』「能を読む2」から『高砂』    住吉明神(住吉の浦で後ジテ)が影向(ようごう)  大君守護 万民寿福 上の舞を舞い、太平の御代を寿ぐ。

2020-10-21 | 能楽・狂言

 

 『高砂』 5  『世阿弥 神と修羅の恋』「能を読む2」から『高砂』

 

 

『世阿弥』「能を読む2」『高砂』はまず次の様に書かれている。

 

 本曲のテーマは、和歌の隆盛が天下泰平のバロメーターだとする『古今和歌集』序以来の和歌性教観に立脚した当代賛美と見るのが正しいと思われる。

   (『世阿弥 神と修羅の恋』「能を読む2」『高砂』から引用)

 これは前回にも書き、『古今和歌集』を調べてみた。

 今回は、「能を読む2」『高砂』の興味深い箇所だけを記録したい。

 

 ストーリーの展開としては、『高砂』「ネットで調べる」でも書いたが、「能を読む2」『高砂』ではどの様になっているのか。

 

 九州肥後国の阿蘇大神宮の神主 友成(ワキ)と従者(ワキヅレ)

   舟で状況の途中、高砂の裏に立ち寄る。

 

 尉(じょう シテ)と姥(ツレ)

   現れる。

 友成(ワキ)と住吉の松

  「何故、相生の松と呼ばれるのか?」

 尉(じょう シテ)

  「高砂とは、『万葉集』の時代、住吉とは、延喜帝(醍醐天皇)の時代、松は永遠に終わることの無い御代(みだい)の例え。それゆえ松が多く詠まれている」

 友成(ワキ)

  翁嫗(尉(じょう シテ)と姥(ツレ))の二人の素性を正す。

 尉(じょう シテ)と姥(ツレ)

  「高砂と住吉の精」

 尉(じょう シテ)

   上洛する友成一行に

  「住吉の裏で待つ様」

   言い、退場。

 

 友成一行

   あらためて、「相生の松」の謂れをたづね、住吉の浦に向かう。

 住吉明神(住吉の浦で後ジテ)が影向(ようごう)

     大君守護

     万民寿福

   上の舞を舞い、太平の御代を寿ぐ。

   

 友成一行は、上洛の途に着く。    

 

 

 謡曲『高砂』は、友成一行が住吉で住吉明神と会う。住吉明神(住吉の浦で後ジテ)が影向(ようごう)し、大君守護と万民寿福を祝い、舞い踊り太平の御代を寿ぐと云っためでたい謡曲なのである。

 能楽研究者のAF氏がおっしゃっていた様に、結婚式でうたわれる様になったのは近年で、一般の人々が思われている様に、「結婚して二人仲良く年老いるまで」と云った内容では無いとおっしゃっていたし、また、能楽を京都観世会館で十代前半(中学生)から楽しんでいる人間ならば、謡曲『高砂』位は周知の次第である。

 ところが、生半可に能楽師から短時間で「結婚して二人仲良く年老いるまでと云った内容では無い」「ただただ舟を漕ぎ様に」などと習うと、これがいけない。

 受け手が、能楽師の教えである謡の節「ただただ漕ぐ」を誤解し誤認してしまう半可通が、謡曲『高砂』を誤認したまま、知ったかぶりをする。

 

 住吉明神(住吉の浦で後ジテ)が影向(ようごう)

     大君守護

     万民寿福

   上の舞を舞い、太平の御代を寿ぐ。

と云った『高砂』の根本的内容までをも否定してしまい、「結婚して二人仲良く年老いるまでと云った内容では無い」と云った部分だけがクローズアップされ、寿ぐ祝い曲たることを否定し、他人を貶めようとする。

 私とて、誰も結婚式などで考えられているそんな内容だとは云ってはいない。ただ、根本は、祝い歌だと云うことは確かで、間違ったこと言ってない!

 能楽や謡や囃子などを習うならば、もう少し謙虚に、曲の本質を学びなさいと言いたい。

 そう言うのを、「論語読みの論語知らず」と云う。

 

 私自身も世の中で知らない事は数多いが、半可通の考えで人を小馬鹿にはしない。

 人の言葉を鵜呑みにせず、自分で確かめて自分で考えていきたいと考える。

 

  以上  

 乱鳥、複数回に渡る良い能楽研究者の教えを承る機会があった事は、喜ばしい!!!!

 

謡曲『高砂』 1  観世流謡曲百番集、岩波 日本古典文学大系 より

謡曲『高砂』 2  『高砂』をネット検索すれば、どういう結果が生まれるかを、『観世流百番集』を添えて確かめる試み。

謡曲『高砂』 3  『伊勢物語』百十七段と高砂の関わり

『高砂』 4  『古今和歌集』仮名序と『高砂』との関わり

『高砂』 5  『世阿弥 神と修羅の恋』「能を読む2」から『高砂』    住吉明神(住吉の浦で後ジテ)が影向(ようごう)  大君守護 万民寿福 上の舞を舞い、太平の御代を寿ぐ。

 

  

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謡曲『田村』  元雅と禅竹 能を読む3 『伊勢物語』77「田村の帝」→ 『仁勢物語』77 能楽『田村』を踏まえて

2020-10-14 | 能楽・狂言

 写真は、興福寺(薪能)

 

 

謡曲『田村』  元雅と禅竹 能を読む3

『伊勢物語』77「田村の帝」→ 『仁勢物語』77 能楽『田村』を踏まえて

 

 

謡曲『田村』

 作者不明

 金春禅竹の『五音三曲集』(1460)に取り上げられている。

 禅竹は某先生(国文学 能楽)の講座で特集を組まれていたので、親しみを感じる。

 講座でも、『田村』は取り上げられたように記憶している。

 

 『五音三曲集』解説 https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/953829/50?tocOpened=1(国会デジタル図書館)

 

 シテ:坂上田村丸の鬼神退治を通して描く、広大な観音の慈悲、そして、御代の安泰。

 

 満開の桜の花を、観音の慈悲だと言い、褒める。

 坂上田村丸が施主となり建設した清水出たの由緒を語り、月下の花景色を絶賛。

 後ジテで、平城(へいぜい)天皇の宣旨を受け、勢州鈴鹿の鬼神を観音の慈悲によって退治したと言い、観音の仏力を絶賛する。

 

『田村』の素材

 前場 清水

 『今昔物語』『清水寺縁起』『元亨釈書』『源平盛衰記』

 『元亨釈書』(日本の歴史書)

 

 後場

 『幸若舞曲 未来記』『田村草子』

 

 『田村草子』

  御伽草子。

 〈とししげ〉将軍の子〈としすけ〉がますだが池の大蛇との間にもうけた利仁将軍は,陸奥国たか山の〈あくる王〉という鬼に妻を奪われたが,鞍馬の多聞天の守護をこうむって〈あくる王〉を滅ぼし,妻をとり返す。

  その折,陸奥国はつせの郡田むらの郷の賤(しず)の女との間にもうけた子が長じて田村大将軍俊宗となる。俊宗は17歳のとき,大和国奈良坂山で,かなつぶてをうつ〈りやうせん〉という化生のものを退治し,さらに2年後には,伊勢国鈴鹿山の〈大だけ丸〉という鬼神を滅ぼすべしとの宣旨をこうむり,鈴鹿御前という天女を妻とし,その助けによって〈大だけ丸〉を退治する。

 

霊験的な少年を前ジテにしている能

  『田村』『大江山』『猩々』『小鍛冶』『石橋』『舎利』など

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大神神社(三輪神社) 春の大神祭後宴能より 金剛流「神歌」金剛龍宗家 金剛永謹   2019年(平成31年)4月10日

2019-05-04 | 能楽・狂言


 大神神社(三輪神社) 春の大神祭後宴能より 金剛流「神歌」金剛龍宗家 金剛永謹   2019年(平成31年)4月10日


 
  金剛流「神歌」金剛龍宗家 金剛永謹




     『神歌』 (乱鳥の記録)

シテ  とうとうたらり たらりら
   たらりあがり ららりとう

地謡  ちりやたらり たらりら
   たらりあがり ららりとう

シテ  所千代までおはしませ

地謡  我等も千穐さむらはう

シテ  鶴と亀との齢にて

地謡  幸ひ心にまかせたり

シテ  とうとうたらり たらりら
    ちりやたらり たらりら
    たらりあがり ららりとう

ツレ  鳴るハ瀧乃水
   鳴るハ瀧の水 日ハ照るとも

地謡  絶えずとうたり ありうとうとうとう

ツレ 絶えずとうたり 常にとうたり

   千歳之舞

ツレ 君の千歳を経ん事も 天つ少女の羽衣よ
   鳴るハ瀧乃水 日ハ照るとも
  
地謡 絶えずとうたり ありうとうとうとう

   千歳之舞

シテ 總角や とんどや

地謡 尋ばかりや とんどや

シテ  坐して居たれども

地謡  參らう れんげりや とんどや

シテ  ちはやぶる 神乃ひこさの昔より
   久しかれとぞ祝ひ
   そよやりちや

シテ およそ千年乃鶴ハ
   萬歳樂と謳うたり
   また萬代の池乃龜ハ
   甲に三極を備へたり

   渚乃砂 さくさくとして 朝乃日の色を瓏じ
   瀧の水 玲々として 夜乃月あざやかに浮かんだり

   天下泰平 國土安穏
   今日乃御祈祷なり

   ありはらや なぞの 翁ども

地謡 あれハ なぞの翁ども
   そやいづくの翁とうとう

シテ  そよや

シテ 千穐萬歳の 喜び乃舞なれば
   一舞舞はう 萬歳樂

地謡  萬歳樂

シテ  萬歳樂

地謡  萬歳樂



 今回も記録のみにて失礼申し上げます。



 





 春の大神祭後宴能
 4月10日(水)午前12
 大神神社 斎庭 
      雨天により、大礼記念館
 演目
 金剛流「神歌」金剛龍宗家 金剛永謹
   
 大藏流狂言「福之神(ふくのかみ)」茂山千作
   
 金剛流仕舞「野守(のもり)」金剛龍謹

 金春流能「三輪(みわ)」櫻間右陣
  
 観世流仕舞「笠之段(かさのだん)」武富康之

 金春流仕舞「岩船(いわふね)」長谷猪一郎

 観世流半能「老松(おいまつ)紅梅殿之伝」大槻文藏


 御供まき (午後3時半ごろ)
 お茶席奉仕 石原社中
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あれ!懐かしき哉「第69回京都薪能」  「鞍馬天狗」火入れ式、「祇王」「正尊」テーマ「義経の生涯」平成30年6月2日

2018-06-16 | 能楽・狂言



   「第69回京都薪能」



 
 ファイル付きのカタログ
 子供曰く、ファイルはくれぐれも外で使わぬように。いちびりと思われるから、と。

 

 

 




「京都薪能」は,昭和25年に始まったそうです。(広報より)

 平安神宮の大極殿を背景に,篝(かがり)火(び)の焚かれる幻想的な雰囲気の中で,観世・金剛・大蔵の各流派の能や狂言をお楽しみいただける豪華な演出で,今では,初夏の京都を彩る年中行事として定着を、謳い文句にされています。


 学生時代、学校の帰りにバイクで気軽に訪れた京都薪能。

 二度きりだったが、雰囲気がよかったので、京都の大学生だった子供にも伝授。

 面白いことに、息子も学生時代に二度行ったのことだった。


 印象がいいまま長年を経過した私と子供は、今の夏、「京都薪能」を見るべく三条京阪で合流。


 タクシーで丸太町のタルトタタンの店に出向き、結構長く趣味ついて話し込んでいた。

 彼も私も、趣味には事欠かないので、お互い老後は安心だねと胸をなでおろした。

 あんれ、ま!私の場合、もう、老後に差し掛かっているという方が、正しいのであろうか?

 心はまだまだ学生プラスαなんだけど。(笑み)


 開場の頃合いを見て店を出る。

 懐かしの平安神宮の前には長蛇の列。

 日差しが暑く、かなり眩しい。

 おばちゃんの特権と勇んで日傘をさすと、子供が恥ずかしそうに俯いた。

 曲がりくねった列には色とりどりの傘が、まるで朝顔のようであった。


 かなり出遅れた感があり、案の定席は好きな場所が確保できなかった。

 中には荷物を置いて、頑なに退けない謡本を持ったご婦人もいらっしゃり、恥ずかしいことだと首をかしげる。


 私が学生の頃会場に入ると、もう少しお席が少なく、割合に自由に席を移動したり、立ったまま楽しむことができた。

 現在は席がびっちりと詰まっており、ウロウロしたり、立って見ると行った自由さはない。

 興福寺(奈良)の薪能は今でも割合に自由な部分が残されており、良い意味で素朴だ。

 入口の立て看板には
【写真撮影、録画、録音は、硬くお断りいたします(概要)】
と記されているが、能楽の上演中に主にスマホで頻繁に写真撮影しているモラルのない人々の多さに驚く。


 写真を撮ってもいい能の一部を紹介したい。

    大神神社(三輪神社 奈良)
    東大寺鏡池奉納の能(年二回、 聖武祭、大仏秋の祭 奈良)
    春日大社おん祭の奉納(奈良)
    天神祭の舟能(大阪 船渡御& 帝国ホテル)

 平安神宮や興福寺の薪能は、写真撮影は禁止されている。

 自覚して、責任ある行動を心掛けたいものだ。自分自身も他のことで人様に迷惑をかけているかもしれない。

 気をつけねばと感じた。


 会場を見ると、欧米アジアと様々な外国の方が多い。

 海外でも京都薪能は浸透しつつあるのだろうか。

 京都薪能は来年、70年を迎えるという。


 私たちは二日目(土曜日)を楽しんだ。

 この日の午前中から十五時前まで、深草にあるR大学で二講座を受けていた。

 その足で三条京阪にいそいそと向かい、子供と合流した、こんなわけだ。

 京都薪能のチケットは今回も子供がプレゼントしてくれた。すっきりしっかりとした、大人だ。


 前書きが長くなった。

 いよいよ能楽。

 二日目(6月2日(土曜日))の演目は、

    観世流能「鞍馬天狗(くらまてんぐ)」
    

  「火入式」

    金剛流能「祇王(ぎおう)」
    

    観世流能「正尊(しょうぞん)」
    



 馴染みの「鞍馬天狗」を終え「火入式」ともなると、あたりもくらやんできて、グッと気持ちは薪能気分。

 観世流のは、大変迫力があり、目を点にして楽しむことができる。

 高まる気分をほどほどに抑え、「火入式」が時始まると、カメラやスマホの人々が前にはだかり、視界を遮る。

 演技の最中も撮っておられるのだから仕方がないかと、諦める。


 ここでは狂言そのものはない。


「鞍馬天狗」、そして後に出てくる「正尊」もまたしかりだが、間狂言もそこそこに。

 大変短い間狂言に変更されていたように思う。

 その変わり、会場の皆がわかりやすいようにとの配慮からか、長いわかりやすい前狂言(とでもいうべきもの?)が加えられていた。

 この形式は、私は初めてかもしれない。

 能楽も時の流れとともに、工夫を重ねられているのか。

 天野文雄先生がおっしゃる、「能楽も演劇の一種です。」という言葉が、改めて思い出される。

 
 「鞍馬天狗」という迫力の演目の後の後の品良き「祇王(ぎおう)」

 後シテもカケリも一声もないように思ったが、何しろ楽しんでいるだけという能楽知らずの私のこと、間違っているかもしれない。


 続いて 「正尊」

「正尊」と書いて「しょうぞん」と濁音がつく。

 この曲は、私は初めてであった。

「正尊」は「安宅」(歌舞伎の「勧進帳」)を思い浮かべる場面があった。

 起請と勧進帳。歌舞伎でいう「暫」と「女暫」のようにうまく裏返されている。

 弁慶と正尊の関係も面白い。

 人数は多く、橋掛りに人や子供が立ち並ぶ。

 バッタバッタと倒し倒される。

 
 狂言の「起き上がり小法師」のように舞台を左右縦横斜めに、戦いながら転ぶ。

 倒された者は、真後ろに直立不動で

       ばたり!!

 と倒れる。

 舞台は大きな音を立て、観客はその度に、驚きの悲鳴と歓声をあげる。

 能楽では珍しい、客席歓声参加型の能楽であった。



 上にも書いたが、「正尊」は私は初めての演目だった。

 下調べもなく望んだ曲だが、非常に楽しむことができた。

 子供と一緒だったので、観世流百番集、続百番集を持参しなかったのが良い方向に向かい、好き放題に思いを巡らせて楽しむことができた。


「正尊」の内容が今ひとつ分からないので、「祇王」とともに、矜持途中に内容を把握せねばと感じている。

 目を瞑ると、三曲それぞれの場面場面が思い浮かぶ。

 奈良で見る能楽も良い。

 だが、子供の頃から慣れ親しんだ平安神宮での薪能は一味もふた味も違うもので、感無量であった。

  

 
 おなじみの「鞍馬天狗」


 今年のテーマは、義經の生涯

 義經といえば、静御前

「祇王(ぎおう)」は静御前と女が舞を舞う。

 私は舞を見ながら、今思い浮かべる?と自分に疑問を投げかけながらも、
「静か(静御前)に ただの無(忠信)」
というセリフを思い浮かべていた。

 
「祇王(ぎおう)」
 
 静御前ともう一人の女性が舞う。

 
 弁慶も出てきて、心が踊る。

 

     

1 第69回 京都薪能 ―悲劇の英雄 義経の生涯―

 (1)日時

   平成30年6月1日(金曜日),2日(土曜日)

    午後6時~午後8時45分頃  ※開場は午後5時

 (2)会場

   平安神宮(左京区岡崎西天王町)

   ※ 雨天時は,ロームシアター京都メインホール

 (3)番組

  ア 6月1日(金曜日)

    金剛流能「橋弁慶(はしべんけい)」

    観世流能「烏帽子折(えぼしおり)」

    観世流能「船弁慶(ふなべんけい)」

  イ 6月2日(土曜日)

    観世流能「鞍馬天狗(くらまてんぐ)」

    金剛流能「祇王(ぎおう)」

    観世流能「正尊(しょうぞん)」


   ※ 両日共,1曲目の上演後に「火入式」を行います。

   ※ 各曲の間に,狂言師が能の内容を分かりやすく紹介します。


     

 最後までお付き合いくださいまして、誠にありがとう存じます。

 心より御礼申し上げます。


     

 
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平成三十年 『春の大神祭後宴御宴能』より、神社にまつわる能楽「三輪」 (写真のみ五景)

2018-04-20 | 能楽・狂言


  平成三十年

    『春の大神祭後宴御宴能』「三輪」





 

 

 

 

 

 能(観世流)


  大槻 文雄

   三輪  森 常行      石井 安彦   前川 光長

                 大倉 源次郎  杉 信太朗

     間   茂山 茂


 

 

 

 

 


 『春の大神祭後宴御宴能』では毎年演じられるものとしては、素謡 とうとうたらり〜の「翁」に始まり、能楽では「三輪」、狂言では「福之神」があります。

 今年は太陽の照り返しはきつく、とても暑い眩しい逆光の中で、楽しませていただきました。

 写真は7枚写させて頂きましたうちの5枚です。ハレーションを起こしておりますため、少しトーンを下げさせて頂きました。

        

「三輪」は度々記録させていただいており、また皆様も馴染みの深い曲でしょうから、ここでは説明は省かせて頂きたいと思います。

    

 皆様、
 ご訪問くださいましてありがとうございます。心より感謝申し上げます。

 また、『春の大神祭後宴御宴能』関係者各位、会場でお話をさせて頂きました皆様に、御礼申し上げます。

 ありがとうございました。

       

 
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京都観世会館 定期能一月例会   2018年 1月 14日 (日)

2018-02-09 | 能楽・狂言


 京都観世会館 定期能一月例会 一回目  Kyoto Kanze Kaikan
 2018年 1月 14日 (日) 11:00開演(開場10:00)


 

 演目

  能「翁」
  観世清和

  能「弓八幡」
  大江信行

  狂言「鶏聟」
  野村万蔵

  能「東北」
  浦田保浩

  能「岩船」
  樹下千慧


 (注意) 能「翁」が始まりましたら、一階見所へのお出入りをご遠慮頂きます。

 


 一月中旬、京都観世会館に行く。

「翁」から始まり「弓八幡」と、正月らしく縁起が良い。

 これで新年の藪払いの兼ねて、能楽を楽しめたとほくそ笑む。


 当然のことながらは神事的要素が強いので、この演目が始まると、途中の会場で入りは禁止される。

 トルコのどこかしこで楽しんだセマー(旋回舞)を思い浮かべる。

 但し、「翁」は五穀豊穣子孫繁栄云々の意味合いも含まれているようだが、セマーは試練的意味合いが強いようだ。


   神事としてのセマー
   靴が脱げるほどに陶酔して回り続けるセマー
   セマーの間はお酒など飲食禁止なのは、日本の『翁』と同様 (天神祭帝国ホテル主催の『翁』など)


 

 見る場所も良かったせいか、翁は私たちに覆いかぶさるような感覚を覚える。

「翁」「弓八幡」「岩船」は見事にかっこいいと心底見入ってしまった。

 

 何度か楽しんだことのある「東北」は、今回はいつもにも増して、じっくりゆったりとしていた。

 演じ手により、色々な表現があるのだなと、わかったようなわからないようなことをふと感じた。

 

 某理由で歌舞伎座のチケットをなかなか取れずにいたが、一月になって目処がついたので松竹オンラインチケットで急遽夜の部を確かめた。

 しかしながら、白鴎襲名披露 夜の部は全て完売。

 慌てて複数のチケットショップや旅行会社などを調べてみたが、てケットは手に入らない。

 ヤフオクも頑張ってみたのだが、料金は数倍に跳ね上がったので、泣く泣く断念。

 能楽が好きで良かった、「翁」「弓八幡」「岩船」がかっこよくって良かったと、痛感した。

 


 みなさま、お付き合いくださいましてありがとうございます。

 心より感謝いたします。


 

 



 
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新春わかくさ能 能「山姥」(やまんば)波涛ノ舞

2018-02-07 | 能楽・狂言
   
 新春わかくさ能

 

     2018年1月8日(月・祝)
     午後2時開場 午後2時30分開演
      奈良春日野国際フォーラム 甍~I・RA・KA~ 能楽ホール

 

 

 



  第1部
  能楽入門講座と体験講座
  午後0時30分開場 午後1時~午後2時
  小学生(保護者同伴)~一般が対象

  第2部
  新春わかくさ能
  午後2時開場 午後2時30分~午後5時
  舞囃子「青丹吉」(あおによし)
  狂言「口真似」(くちまね)
  能「山姥」(やまんば)波涛ノ舞
  附祝言

      

      

狂言「口真似」(くちまね)…銘酒を一樽貰った主人、心安い人と飲みたいと思い、太郎冠者に「御酒を参るようで参らいで、又参らぬかと思えばフト参るような面白い人」を呼んでくるように言い付ける。お酒の上がとても面白い方を呼んできたと言う人を見て主人は驚いた。一杯呑めば一寸抜き、二杯呑めば二寸抜くような恐ろしく酒癖の悪い男、追い返せとは言ったものの、太郎冠者にとめられ仕方なく振る舞って帰すことにする。粗相があっては困ると、主人の言うようするよう口真似をするように言い付けて座敷に入る。言い付けられた通りにする太郎冠者、さて一番迷惑するのは…

能「山姥」(やまんば)波涛ノ舞…山姥の山廻りの曲舞を舞い京童が百万山姥と呼んだ遊女が従者を連れ善光寺へ参ろうと越後の上路の山路にさしかかる。と、まだ日も暮れぬ時間なのに急にあたりが暗くなり、女が現れて真の山姥と明かし、山姥の曲舞が聞きたくて日を暮れさせたと言い、夜更けになれば謡うようにと言い捨てて姿を消す。夜更けて遊女の謡う曲舞にあわせて真の山姥が鬼女の姿で現れ、山中の光景や自身の境涯を語り、四季折々の山めぐりの様を見せて舞い、やがて峰に翔り谷に響きていずかたへともなく去って行く。波涛ノ舞では太鼓の序ノ舞が舞われ、キリの部分では緩急の激しい迫力に満ちたものになる。
概要

      

      

 人生齢を重ねますと、色々なことが身に降りかかって参ります。

 今回も家族とともに新春若草能を楽しませていただきました。

 演目『山姥』ということもあり、私の人生と違った内容ではございました。

 しかしながら、山姥に自分の身を重ね合わせて見ておりますと、涙が自ずとあふれ出てしまいました。

 わたくしは能楽を初めて見たのは中学生の頃でございますが、能楽を拝見させている途中で涙が溢れ出たのは初めてのことでございました。

 素晴らしい体験をさせていただきましたことを、関係者各位に感謝申し上げます。

 ありがとうございました。


      

      

 みなさま、最後までお付き合いくださいまして、誠にありがとうございます。

 心より感謝申し上げます。
      乱鳥

    

 
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興福寺 南大門の儀 薪能 2015年 「羽衣」観世喜之「鵺」金剛永謹、「因幡堂」茂山良暢

2015-05-20 | 能楽・狂言


    興福寺 南大門の儀 薪能 2015年 5月16日


 今年も興福寺の南大門の儀と薪能を楽しんでまいりました。

 今年の興福寺の薪能は一日目は雨天のため会館で行われました。
 わたくしたち夫婦は二日目の興福寺旧境内登大路園地薪能を楽しまさせていただきました。

 まずは、南大門の儀
 絵巻物から飛び出したように、僧兵五人が登場。
 僧兵の一人は芝の詮議を行います。

 芝の詮議は半紙三枚を懐から取り出し、高下駄で踏みつけ、芝の濡れ具合を確かめます。
 これにより、芝能が行われるかどうかを確かめたと言われています。
 今は芝能ではなく、舞台上で演じられています。

 別の僧兵は懐から手紙を取り出し、声高らかに読み上げます。
 日本で一番古いとされている1200年の歴史を誇る薪能の様子の一部です。
 
 今年の曲は、「羽衣」と「鵺」(ぬえ)

「羽衣」は中学の頃、わたくしが初めてみた能です。
 面が美しく、夕刻という諸条件も重なって、衣が光を放っておりました。

 また、「鵺」の後半は赤頭、百日。毛槍が心をワクワクと高揚させます。
「鵺」の話は「鵜飼」(うとう)や「阿漕」(あこぎ)などとともに好きな能楽の一つです。
「鵺」「鵜飼」「阿漕」は生業(なりわい)の説明で、民俗学の本では度々引用されています。

 狂言の「因幡堂」
 こちらは半分は歌舞伎の「身替御前」
 しかしながら話の起承転結がしっかりとし、話の展開としては狂言の方が面白味があります。
 歌舞伎はその半分を膨らませ、役者の魅力によって魅せるのでしょう。
「千鳥」を観ると、歌舞伎は話としては単調だといわれる由縁を汲み取ることができます。


 

 

 

 興福寺のお能は、毎年写真撮影禁止です。
 写真は上の三枚のみです。お許しください。




 関係者の皆様、そして会場で楽しく会話をさせていただきました皆様方に感謝申し上げます。
 ありがとうございます。

 皆様
 最後まで拙ブログにお付き合いくださいまして、誠にありがとうございます。
 御礼申し上げます。
 



5月15日(金)

奈良薪御能 11:00~、17:30~ 興福寺/春日大社舞殿 興福寺旧境内登大路園地薪能・野外能

11:00~ 咒師走りの儀 「翁」金春穂高   
17:30~ 南大門の儀  能「巴」辰巳満次郎 狂言「千鳥」茂山童司  能「野守」金春安明

【料金】協賛券4000円、当日4500円

5月16日(土)

奈良薪御能 11:00~、17:30~ 興福寺/春日大社舞殿 興福寺旧境内登大路園地薪能・野外能

11:00~ 御社上りの儀  能「田村」金春欣三  
17:30~ 南大門の儀 能「羽衣」観世喜之 狂言「因幡堂」茂山良暢 能「鵺」金剛永謹

【料金】協賛券4000円、当日4500円







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東大寺聖武祭 2015年 慶讃能『弱法師(よろぼうし)』   東大寺鏡池  5月2日(6景)

2015-05-05 | 能楽・狂言



    東大寺聖武祭 2015年 慶讃能『弱法師(よろぼうし)』   東大寺鏡池  5月2日


 

 今年も夫と東大寺聖武祭に行ってまいりました。

 今年の慶讃能は『弱法師(よろぼうし)』

 一点の曇りもない眩しい青空のもと、鏡池を挟んで楽しませていただいた能楽は喜びもひとしおです。

 写真はここに載せる数枚プラスαしか撮っていません。

 能楽を観世流百番集を開きながら能楽を観聴きしていますと、ついついカメラがなおざりになってしまいました。申し訳ございません。

 今回の能楽と観世流百番集ではかなり言葉が違う場面があり、一部、見失う悲劇に陥りました。百番集には載ってない「四天王寺」などの言葉が何度か出て来ました。高安との関連性或いは説経節の背景を思い描きながら今回の『弱法師』を鑑賞いたしておりました。


 ここからは記録写真のみにて失礼申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 


 


 最後になりますが、関係者の皆様方、会場で楽しい時間を過ごさせていただきましたご鑑賞の皆様方に、心より御礼申し上げます。





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鏡池舞楽台 東大寺虚舎郡大仏慶讃能  観世流能『天鼓』 山中雅志 師  (20枚+1)

2014-10-25 | 能楽・狂言


 

        
        東大寺虚舎郡
        大仏慶讃能
        
        
        鏡池舞楽台 慶讃能(けいさんのう) 
       (鏡池・特設舞楽台聖武天皇しのぶ)


 
 演目

   ▽観世流仕舞「菊慈童」塩谷恵師 ほか
   ▽観世流仕舞「鉄輪」山下麻乃師 ほか
   ▽金春流仕舞「三井寺」今井節師 ほか
   ▽観世流能「天鼓」 山中雅志師 ほか


   東大寺の慮舎那大仏様に、日本の伝統芸能・能楽を奉納するための、「東大寺虚舎郡大仏慶讃能」
   この慶讃能は、虚舎那大仏の造顕を発願した聖武天皇のみこころをしのび、共に生きる書びを表現するもの
です。(奈良新聞)




 観世流能「天鼓」 山中雅志 師

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 素晴らしい能楽や仕舞でした。

『天鼓』の調べは今も蘇ってまいります。

 能楽の面白さに心魅かれています。

 謡は無理ですが、少しばかり覚えている言葉を口ずさんでしまう、今日この頃です。


 関係者の皆様、楽しい時間をありがとうございました。

 心より感謝申し上げます。



 





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