映画 『歌行燈』
★★★★★ ★★★★☆
1943年 93分 日本 東宝
原作 泉鏡花 『歌行燈』
監督 成瀬巳喜男
キャスト
花柳章太郎(男優) 恩地喜多八
山田五十鈴(女優) お袖
大矢市次郎(男優) 恩地源三郎
伊志井寛(男優) 辺見雪叟
村田正雄(男優) 宋山
柳永二郎(男優) 次郎蔵 三味線をひき門付をしていた役者はこの人か?演技がものすごくうまかった。
清川玉枝(女優) 春木屋のお兼
泉鏡花 の『歌行燈』がテレビで放映されると言うことで、日曜日の朝,早々と床を離れる。
時間があるので前に流された映画『ぼんち』を見たが、故中村鴈治郎丈が出演され、嬉しさはひとしお。
『ぼんち』を見る前に『歌行燈』はブルーレイに録画予約。
これでよし。
先ほど【泉鏡花 の『歌行燈』がテレビで放映されると言うことで、日曜日の朝,早々と床を離れる。】と書いたが,実はわたくし、歌舞伎の演目の中ではどちらかというと鏡花ものは多少苦手気味かも知れない。
多分これは以前にも書いたかも知れない。
だが歌舞伎と映画では違うのかも知れないという好奇心に押され,ここ一週間というもの、この映画を楽しみにしていた次第なのである。
『歌行燈』は日曜夜に家族とともに観た。
二人とも,静かに食い入るようにテレビ画面を見つめる。
能楽に携わる方の生き様が展開される『歌行燈』は、とても面白かったのだ。
能。
能を観たい。
無性に能を聴きたい・・・。
ここのところこの思いが強く,悶々とした感があった矢先の映画『歌行燈』である。
面白くない訳が無い。
ところでこの映画もわたくしにとっては初めて見る顔もあり、知らない役者が多い。
お袖は田中絹恵だとばかり思っていたが,映画が終わって字幕を見ていると山田五十鈴。
二十代の山田五十鈴は想像以上に美しかった。
お袖(山田五十鈴)の舞った曲は『海士』の「玉之段」
確か鼓ヶ原(?)で恩地喜多八に稽古を付けてもらう。
霧が立ちこめた早朝、まわりの松を能舞台に見立てての能稽古は神秘的で素敵。
この場面は好きなシーンの一つ。
主役の恩地喜多八では無い役者で味線をひき門付をしていた役者の演技が感心するほどにうまかった。
恩地喜多八に因縁を付け、歌わす。
恩地喜多八の歌を聴き、酒を飲みながら、恩地喜多八に対しての心の変化を自然体で表現しておられ,心地が良かった。
彼は柳永二郎という役者だろうか?
わたくしにはわからない。
いつもながら、頼りない話である。
ここで心を引いたのは能楽のあり方。
やじろべいさん、ねじろべいさんと言い合い歩む、能楽師の恩地源三郎と鼓の辺見雪叟。
そして一方では、人の道に外れた息子を勘当するという能楽師の厳しさ。
伝統芸能の根本と能楽に生きる精神的にも厳格な家系の厳しさの両方を垣間見たような気がした。