(写真はテヘランのトゥチャール山です。 イラン20091230)
記録のみ
映画『マークスの山』<R-15>
お気に入り度 ★★★★★ ★★☆☆☆
1995年 日本(松竹株式会社) 141分
監督 崔洋一
原作 高村薫
キャスト
中井貴一
萩原聖人
名取裕子
小林稔侍
遠藤憲一 他
前半、こんな役になぜ名取裕子さんがと疑問に感じていたが、後半で納得。
彼女のような美しくて厚みのある人でないと作品にならない。
多分原作はもう少し医学的心理学的に鋭いのではないかと思うが、映画では余りわからない。
ジレンマに陥り、二度読んだ木々高太郎氏の『網膜脈視症』をまた読みたくなる。
中井貴一に惹かれてみた映画だが、刑事と男(萩原聖人)のどちらかに焦点が絞りきれない感が強い。
とにかく小林稔侍の暴力が怖い。
学生時代の過剰な興奮の行動を伴った思いでと現実とが重なる。
萩原聖人もまたしかり。
現実と空想との狭間でもがき行動する。
だが、萩原聖人は気の毒だった。
ジャック・ニコルソンのような臭いのする若手の役者を使わねば無理があるかもと感じた。
この映画の利点は男前は多く出演するところ。(笑み)
遠藤憲一などが出てきたのは儲け物だった。
萩原聖人の雪山山頂遭難。
刑事たちに囲まれ、死んだはずの彼の左目からは涙ながれる。
流れた涙は頬半ばで凍てつく。
この涙には内容的に心うたれた。
彼の涙は記憶喪失していた雪中自家用車内で心中した父母を思い出したのか、二人に会えたからかは定かではない。
わたくしはこの清い涙がこの映画の臍のように感じた。