2010年度 15
『竹取物語・伊勢物語』(岩波書店)から 「竹取物語」
『万葉集4 巻第15~巻第20』(小学館)から 「万葉集 巻第16 3791」
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『竹取物語・伊勢物語』(岩波書店)から 「竹取物語」
新日本古典文学大系17
岩波書店
1997年1月28日 第1版
P.3~78
P.197~234
P.345~358 解説 堀内秀晃
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『万葉集4 巻第15~巻第20』(小学館)から 「万葉集 巻第16 3791」
日本古典文学全集 9
小学館
巻第16 3791 P.92~
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『竹取物語・伊勢物語』(岩波書店)から「竹取物語」を楽しむ。
実は『竹取物語・伊勢物語』は『伊勢物語』と『假名草子集 』の「仁勢物語」を見比べながら読むのが目的だった。
だが、昨日何気なく「竹取物語」を開き、翁の魅力に取り付かれてしまった。
翁は50歳とも80歳とも言われている。
「たけとり」の翁は「たかとり」とも呼ばれ、田中大秀が著した文政13年版 付録「竹取翁物語解(全6巻)」(巻首)によると、『仙覚万葉抄』には「多計登理」(タカトリ)と出てくるらしい。
そこで思い浮かべるのが歌舞伎で好きな演目の『壺阪寺』のある奈良の高取町。
ここは製薬会社が多いが、この物語の不死(フシ→フジ)の薬には関係がないのだろうかと、一人馬鹿げたことで悩んでいる。
「竹取物語」は『源氏物語』において、「かぐや姫の物語」「竹取の翁」といった二様の名称を持つ。
上の関係は漫画『天才バカボン』の「天才バカボン」と「バカボンのパパ」に似ている。(・・・って,ちょっと違う気がする) 天才赤塚不二夫はこれでいいのだ!
・・・・・話を戻そう。
「竹取翁物語解」にも堀内秀晃氏の解説にもあるが、「竹取の翁」には二つの物があるという。
ひとつは普通の「竹取の翁」
もうひとつは『万葉集4 巻第15~巻第20』(小学館)にもある 「万葉集 巻第16 3791」
【昔老翁(おきな)ありき。号(な)を竹取の翁と曰ひき】から始まるこちらはおいたる人間の心情をうまく表し、9人の乙女を戒め、皆が翁に寄り添おうと1首ずつ読むのは感心すると同時にほくそ笑んでしまう。
皆が
【・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・ 我も寄りなむ】
と読む中、
【春の野の 下草なびき 我も寄り にほいよりなむ 友のまにまに】
と、嫌々ながら友に従う姿が何ともはやおかしすぎる。『空気読みたくないけど 、やっぱり読みました』的な彼女に、内心、
『あなたまでもか。』
とややもすると突っ込みたくなる始末。
竹取の翁は老いてもモテたのである。(爆)
この場合、竹取の翁は名称として使われ、竹をとる人とは限らないのが特徴。
かぐや姫においては民俗学関係の本に「白鳥伝説」と類似と書かれた物が多いが、この本の解説でもそういった点についても触れられていた。
またパターンにくくられて解説されていたが、もう少し詳しく読みたいと感じた。
「竹取物語」で興味深いのは工芸技術が発達していたということ。
無理難題を造ってごまかす技術に感心する。日本人は器用だ。
『竹の民俗誌』によると竹取の翁は農地を持てない貧しい人が竹をとり、竹細工の技術を身につけて売り歩いたという。
それは茶筅であったり蓑つくり或は籠直しなどであったという。
いくら働いても苦しい生活から抜け出すことの出来ない翁。沖浦和光先生は貧しさの中から希望としてのかぐや姫が 竹の中にも翁の心の中にも生まれたのだと説明されていたことを思い出す。