乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

48; 『世界の詩 34 草野心平詩集』 彌生書房 昭和41年(1966年)

2011-04-05 | 読書全般(古典など以外の一般書)


2011年読書記録



48; 『世界の詩 34 草野心平詩集』 

                            


 草野心平 (著)

 津曲篤子(発行者)

 上野基之丞 (印刷)

 彌生書房

 昭和41年(1966年)7月25日第1版

 154ページ 300円




 先日はこのブログでも次の詩を書き写した。








     春   草野心平




     天下は実に春で。

     雲はのぼせてぼうっとしてるし。

     利根川べりのアカシヤの林や桃畑の中をあるき。

     おつけのおかずになづなをつみ土筆をつみ。

     なんとも美しいバラの新芽をつみ。

     樹木や草からは新しい精神が。

     それらがやはらかにぬくまつて燃え。

     五六羽小鳥たちはまぶしくうるむ空をかすめて。

     流れてゆくその方向遥かに。

     雪の浅間の噴煙が枝々の十文字交叉をとほして……。

     虫けらたちも天に駆けあがりたいこの天気に。

     ああ。実際。

     土筆の頭の繁殖作用や。

     せきこんで水を吸ひ上げる樹木の内部の活動や風のそよぎや。

     よろこびのものうい音楽はみち。

     なづなをつんでるおれとおまへよ。

     尾長猿のように木をとびまはり夜叉になりこの豊満をなきたくなり……。

       

                世界の詩36  草野心平詩集  
                田村隆一編 弥生書房 39、40ページ より











 しかし、草野心平の詩はブログで書き写してもよいものかと、悩んだ。

 例えば「わが抒情詩」の 中の【あああああ。】

 あああああ。



 
 
 
 
 
  。



であって


 あああああ。


では表現内容が変わる。


 草野心平の詩ではこういった前衛的な言葉や空間使いや強調のための太文字が多く、ブログの横書きんの写しでは無理が生じると感じた。




 そうして今回草野心平の詩を読んでどのように感じたか…。

 ここでは省略したい。

 ただいえることは「旋餓鬼」などを読んで、今現在のわたくしにとっては 地元民の生活に密着した民話や民謡の方がこころになじむのかもしれないと思った。



 おしまい




 


 見て下さいまして、ありがとうございました。

 今回も題名記録のみにて失礼申し上げます。








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47; 『萩原朔太郎詩集』 河上徹太郎編  新潮文庫 昭和25年発行 平成16年73刷改版

2011-04-05 | 読書全般(古典など以外の一般書)


2011年度




47; 『萩原朔太郎詩集』





 河上徹太郎編

 新潮文庫

 昭和25年発行

 平成16年 73刷改版

 258ページ 483円+税






 先日から楽しんでいた『萩原朔太郎詩集』

 萩原朔太郎はやはり好きだ

 十代の頃から好きだったが、

 今読んでも好きなのは嬉しい

 巣箱のひとつを思いだし、安堵感を感じる









    陽春   萩原朔太郎






    ああ、春は遠くからけぶつて来る、

    ぽつくりふくらんだ柳の芽のしたに、

    やさしいくちびるをさしよせ、

    をとめのくちづけを吸ひこみたさに、

    春は遠くからごむ輪のくるまにのつて来る。

    ぼんやりした景色のなかで、

    白いくるまやさんの足はいそげども、

    ゆくゆく車輪がさかさにまわり、

    しだいに梶棒が地面をはなれ出し、

    おまけにお客さまの腰がへんにふらふらとして、

    これではとてもあぶなさうなと、

    とんでもない時に春がまつしろの欠伸(あくび)をする。




 




   およぐひと  萩原朔太郎 (昨日の日に「月に吠える」)


 
   およぐひとのからだはななめにのびる、 
   二本の手はながくそろへてひきのばされる、            
   およぐひとの心臓(こころ)はくらげのやうにすきとほる、            
   およぐひとの瞳(め)はつりがねのひびきをききつつ、                      
   およぐひとのたましひは水のうへの月をみる









   遺伝  萩原朔太郎 


   人家は地面にへたばつて
   おほきな蜘蛛のやうに眠つてゐる。
   さびしいまつ暗な自然の中で
   動物は恐れにふるへ
   なにかの夢魔におびやかされ
   かなしく青ざめて吠えてゐます。
     のをあある とをあある やわあ

   もろこしの葉は風に吹かれて
   さわさわと闇に鳴つてる。
   お聴き! しづかにして
   道路の向うで吠えてゐる
   あれは犬の遠吠だよ。
     のをあある とをあある やわあ

  「犬は病んでゐるの? お母あさん。」
  「いいえ子供
   犬は飢ゑてゐるのです。」

   遠くの空の微光の方から
   ふるへる物象のかげの方から
   犬はかれらの敵を眺めた
   遺伝の 本能の ふるいふるい記憶のはてに
   あはれな先祖のすがたをかんじた。

   犬のこころは恐れに青ざめ
   夜陰の道路にながく吠える。
     のをあある とをあある のをあある やわああ

  「犬は病んでゐるの? お母あさん。」
  「いいえ子供
   犬は飢ゑてゐるのですよ。」





 上の三編は先日このブログで記録したものです。






 

 見て下さいましてありがとうございました。

 今回も記録のみにて失礼申し上げます。










コメント (2)
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「雪柳」と「ユキヤナギ」      4月4日のさくら(奈良 A公園4景)

2011-04-05 | お出かけ




       雪柳と さくら
       






 四月四日 朝九時

 天気がいいので散歩する。

 四月初っぱなに歩いたA公園だが、さくらの花も増えて幾分華やか

 空は真っ青で、春らしからぬ色彩。

 花に釣られて歩くと、さくら以外にも満開の植物

 見上げると新緑も増え、こころは晴れやか。

 春爛漫

 こころははずむが、まだまだコートが手放せない。

 春らしく薄手の上着を羽織ったものの、中には厚手のセーターを着込む。

 

 さくらはまだ三分咲きと言ったところだが、今はレンギョウやモクレンが咲き誇る。

「雪柳」もそのひとつ。こぼれるように咲き乱れ、鴨川のそれを思いだす。

 鴨川をどりの衣装合わせも済む頃

 そろそろ等間隔のカップルも増え始める頃だろう…

 

 ユキヤナギは雪柳と漢字で書く方が美しい感じがする。

 漢字で書く「雪柳」には真白なようすを思い浮かべるが、「ユキヤナギ」と書くとカタカナ五文字に各色彩を感じるのはなぜ…

「雪柳」は全体或は一枝固まりの花をみることができるが、「ユキヤナギ」はひとつひとつの花として読んでしまうから不思議。

 だが近づいて愛情深気に見ると、「ユキヤナギ」の花ひとつひとつに表情があり、案外かわいげ。 

「雪柳」の固まりは美人、一本では美しく気品があり、「ユキヤナギ」の花ひとつひとつはチャーミングといったところか

 不思議な植物…






 

 写真は四月四日の さくらと雪柳

























 最後までおつきあい下さいましてありがとうございました。

 とても嬉しいです。






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