乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

おうちで芝居;本朝廿四孝、弁天娘女男白浪、寿曽我対面、御摂勧進帳、鏡獅子、操三番叟

2011-09-02 | TVで 歌舞伎・能楽




    芝居;『本朝廿四孝~十種香・狐火<字幕・副音声解説付>』『弁天娘女男白浪』『寿曽我対面』『御摂勧進帳』『鏡獅子』『操三番叟』








『本朝廿四孝~十種香・狐火<字幕・副音声解説付>』『弁天娘女男白浪』『寿曽我対面』『御摂勧進帳』『鏡獅子』『操三番叟』を見たよ。

 満足満足^^

 本日も演目などの記録のみにて失礼申し上げます。








『本朝廿四孝~十種香・狐火<字幕・副音声解説付>』

出演:坂東玉三郎 尾上菊之助 尾上松緑 尾上右近 河原崎権十郎 市川團蔵 中村福助
2008年
81分
カラー
近松半二・三好松洛・竹田因幡らの合作で、明和3年(1766)に竹本座で初演された全五段の時代浄瑠璃。主人公である八重垣姫は、雪姫(「祇園祭礼信仰記」)、時姫(「鎌倉三代記」)とともに“三姫”の一つに数えられる女形の大役。玉三郎の八重垣姫、菊之助の武田勝頼、松緑の白須賀六郎、権十郎の原小文治、團蔵の長尾謙信、福助の腰元濡衣、尾上右近の人形遣い(狐火の場)という清新な配役でお届けする。<字幕・副音声解説付>(2008年/平成20年10月・歌舞伎座)



『弁天娘女男白浪』

出演:尾上菊五郎 中村吉右衛門 市川左團次 尾上菊之助 市川團蔵 中村東蔵 中村梅玉 松本幸四郎
2010年(全3話)
70分
カラー
出弁天小僧に菊五郎、南郷力丸に吉右衛門、日本駄右衛門に幸四郎、赤星十三郎に梅玉、忠信利平に左團次という歌舞伎座さよなら公演ならではの豪華配役。みどころは、楚々とした美しい娘が一瞬にして太々しい不良少年の正体を見顕すまでの運び。キセルを使いながらの「知らざァ言って聞かせやしょう」の名ゼリフが耳に心地良く響く。続く「勢揃い」の場では、揃いの小袖を着て居並んだ五人男のツラネが聴きどころ。初演の五代目菊五郎以降、代々受け継がれてきた音羽屋のお家芸「弁天小僧」を当代菊五郎がつとめた舞台から。 (2010年/平成22年3月・歌舞伎座)



『寿曽我対面』

出演:市川團十郎 尾上菊之助 市川海老蔵 坂東彌十郎 市川男女蔵 片岡市蔵 河原崎権十郎 市村萬次郎 澤村田之助
2006年(全3話)
53分
カラー
源頼朝の信任が厚い工藤祐経の館。祝宴に興じているところ、曽我十郎と五郎の兄弟が対面を願い出る。実はふたりの父河津三郎は十八年前に工藤の不意打ちにより落命。その仇を討とうと逸る五郎が工藤に詰め寄り、十郎はこれを押し止める。そこで工藤は兄弟へ盃を与え、後日の再会を約束するのだった。 美しく優雅な物腰の十郎と、血気盛んな五郎はそれぞれ典型的な和事と荒事の役柄。ほかにも座頭の立役の工藤、道化の朝比奈、立女方の大磯の虎、実事の鬼王など、歌舞伎の主要な役柄が勢揃いする様式美に満ちた華麗な一幕。團十郎の工藤祐経に、菊之助の曽我十郎、海老蔵の曽我五郎、田之助の大磯の虎ほかの出演で。 (2006年/平成18年10月・歌舞伎座)。



『御摂勧進帳』

出演:中村橋之助 中村錦之助 中村種太郎(現・歌昇) 坂東巳之助 中村国生 中村吉之助 澤村宗之助 大谷桂三 坂東彌十郎 中村歌六
2011年
59分
カラー
荒唐無稽、豪快でユニークな味わいの作品、通称「芋洗い勧進帳」。 舞台は安宅の関、兄頼朝に追われた義経主従が山伏に姿を変え、関所へやって来る。関守の富樫左衛門と斎藤次祐家が詮議をするところへ遅れて駆け付けた武蔵坊弁慶。弁慶はお馴染みの“勧進帳の読み上げ”や“義経打擲(ちょうちゃく)”で一行の疑いを晴らし通過を許される。なおも縄に掛けられる弁慶だが、義経たちが去ったのを見計らうと縄を切り、番卒達の首を天水桶に投げ込んで金剛杖で芋を洗うように掻き回すのだった。のちに作られた歌舞伎十八番の『勧進帳』とは異なり、荒唐無稽で大らかな趣向の『御摂勧進帳』を、橋之助の弁慶、錦之助の義経、彌十郎の斎藤次、歌六の富樫でご覧頂く。 (2011年/平成23年1月・新橋演舞場)



『鏡獅子』

出演:中村勘太郎 坂東彌十郎
2000年(全2話)
60分
カラー
江戸城大奥の鏡曳きの日。美しい女小姓の弥生が祭壇の手獅子を持って舞い始めると、不思議なことに、獅子頭に獅子の精が乗り移った様子。飛び交う蝶に誘われて弥生は引きずられるように花道を入る。やがて荘厳な空気が漂うなか勇壮な獅子の精が現れ、長い毛を振り激しく舞い狂うのだった。 前半は手踊り、袱紗さばき、二枚扇の扱いなど技巧が要り、後半は威厳と気品を見せる必要がある。女小姓から獅子への柔剛を踊り分けるという大役に勘太郎が初役で挑んだ舞台をお届けする。後見に彌十郎、胡蝶は彌十郎の長男・新悟と、藤山直美の甥にあたる藤山扇治郎がつとめている。 (2000年/平成12年4月・歌舞伎座)



『操三番叟』

出演:中村歌昇(現・又五郎) 中村信二郎(現・錦之助)
2001年
22分
カラー
古来、五穀豊穣を願う儀式の芸能であった「三番叟」は諸芸能に取り入れられ、歌舞伎舞踊としてさまざまなバリエーションを生んだ。『操三番叟』は、俳優が糸操りの人形に扮し、人形遣いに操られて踊るという趣向の作品。人形遣い役の後見の動きに合わせ、見えない糸に操られるように軽妙に踊るというハイレベルの技量が求められる。歌昇の三番叟に、信二郎(現・錦之助)の後見で、息の合った所作がみどころとなっている。 (2001年/平成13年11月・歌舞伎座)



















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『フェルメールからのラブレター展』17世紀オランダ絵画から読み解く人々のメッセージ 京都市立美術館

2011-09-02 | 美術・文様・展示物








    『フェルメールからのラブレター展』

     コミュニケーション:17世紀オランダ絵画から読み解く人々のメッセージ



  Bach, Lute Suite (BWV995) Prelude, by W. Gerwig
    リュート組曲  by ゲルヴィッヒ 




















 かってから楽しみにしていた『フェルメールからのラブレター展』を観る。

 フェルメール展は大阪市立美術館を含めて、これで二度目。

 今回 フェルメール作品は三点。
 

 学生の頃アムステルダムに行ったことがあるが、フェルメールを見たという記憶が無いのは残念。

 それもそのはず。フェルメール作品はアムステルダムには二点、オランダ全体でも五作品のみ。

 旅行中は全体を楽しむことに徹していたわたくし。美術館の雰囲気を味わっていたようなものだった。


 フェルメール以外の作品で、好きなものが数点。

 作品数は50点程でさほど多くはなかったが、素晴らしいものがいくつかあった。

 時代背景やオランダの景色や暮らしぶり。或は光や質感表現など興味深い物があった。

 また、教訓の含まれたものもあるが、作品完成度が非情に素晴らしい。

 この時代エンブレムはつけても男性女性共に指輪をつけてないのが印象深い。

 当時のリュートの意味などにもふれられていた。


 ゆっくりとした気分で見入っているとすぐに三、四時間は過ぎてしまう。

 今年鑑賞した中で、見てよかったと感じる展覧会のひとつ。

 
 フェルメールに堪能。

 帰宅後 本棚から大きな画集を出してテーブルに広げ、一献また一献と頂く酒は上手い。
 
 酒の力も手伝ってか、作品集の中のフェルメールの青と光は、わたしの心に一層差し込む。

 これもまた、絵を見るのが好きで良かったと感じる瞬間。

  






 フェルメールの作品

 フェルメール全35作品紹介




 

 ウィキペディア より ▼

 17世紀オランダ絵画には、手紙を中心に、家族や恋人たちの語らいが数多く見られる。ヨハネス・フェルメール、ピーテル・デ・ホーホ、ヘラルド・テル・ボルフといったオランダ黄金時代を代表する作家たちの家族の絆と対話を観る。修復後初めて美術館を出るフェルメール《手紙を読む青衣の女》など、ヨーロッパやアメリカの各地から集められた約50点の作品を展示。





 以下全て 美術層状情報サイト 京都で遊ぼう様より ▼


コミュニケーション」をテーマに読み解く、17世紀オランダ絵画展。
この展覧会は、「17世紀のオランダにおけるコミュニケーションのあり方」にスポットをあて、ヨハネス・フェルメールの作品三点をはじめとした当時のオランダ絵画の巨匠たちによる名品の数々で構成した、ユニークなテーマ展です。
メールも電話もなかった時代。
家族、恋人、また仕事上の知人といった人と人との間では、顔を見合わせた直接的なコミュニケーション、もしくは手紙や伝言のような間接的なコミュニケーションがごく当たり前のものとして存在していました。
そして画家たちは、こうしたコミュニケーションによって引き起こされた人間のあらゆる感情を、自らの作品に描きました。人々が会話の際に見せる一瞬の表情やしぐさ、離れた恋人からの手紙を読んでいる時の素の反応に至るまで、実に幅広い人々の感情を表現しようとしたのです。
また同時に、画家たちは自らの作品の中にしばしば「物語」をひそませました。
作品の中には様々な小道具、例えば壁にかかった地図や絵画、楽器や日用品などが登場しますが、画家たちはそれを人物の表情やしぐさなどと共に絵の物語を解き明かす「鍵」として描きこみました。このような「寓意」の表現は当時のオランダ文化において、演劇や詩の世界にもしばしば用いられました。
その「鍵」を通し、絵画は見る者に語りかけ、「コミュニケーション」をとる力を持ち、その謎解きに私たちを引き込んでいきます。

展覧会では表現や内容別に全体を
「人々のやりとり:仕草・視線・表情 」
「家族の絆、家族の空間」
「学術的コミュニケーション」
「手紙を通したコミュニケーション」
の4つの章に分け、17世紀オランダ美術における「コミュニケーション」のあり方を展観します。

人々の会話ややりとりをはじめ、絵画が伝える宗教的な意味からセクシャルなメッセージ、家族の絆の物語…その表情やしぐさ、細かな描き込みまで注目し、絵とのコミュニケーションを味わって下ささい。



オランダの風俗画

 17世紀頃のオランダは、スペインから独立し東インド会社を設立して世界貿易に乗り出すなど、大変経済的に発展した時代でした。他の国に比べ王権も強くはなく、当時のヨーロッパでも最も裕福であるといわれ、貿易、文化、技術、学問でも最先端をいっていたといいます。市民の生活レベルも豊かになり、個人の家に絵を飾るようになりました。現実的な生活感覚を持つ市民たちが顧客となったことで、美術にも市民の好みが反映されるようになります。
そのため、豪勢な宗教画よりも、歴史画や肖像画、風景画、静物画、そして人々の日常生活を題材にした風俗画が数多く描かれるようになりました。(当時のオランダはキリスト教の中でもプロテスタントが主流で教会に派手な宗教画を飾らなかったのも理由のようです)
風俗画には、当時の人々の暮らしぶりや、日常に用いる道具や部屋の様子なども描かれています。また、描いた題材にユーモアや風刺の目線も含まれていたり、露骨ではないのに実は宗教的な意味や暗示があったり、と当時の人々のものの考え方なども感じられます。
ぜひ細部まで目を凝らして、じっくりと味わって見てください。



光の画家「フェルメール」とは?


    

「光の画家」フェルメールの作品三点が集合!
7世紀に活躍したオランダの画家の中で、最も評価の高い巨匠、ヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer, 1632-1675) 。
一瞬の光を捉え、その印象を暖かさまで的確に描き出すその美しい表現力は「光の画家」とも称され、世界的にも、もちろん日本でも大変ファンの多い画家の一人となっています。
しかし彼は才能には恵まれながら若くして亡くなったため、実際に描いた作品は少なく、全世界でも現在30数点しか残されていません。
そんなフェルメールの作品から、今回の展覧会では三点同時に出品、展示されます!
「手紙を読む青衣の女」(アムステルダム国立美術館)
「手紙を書く女」(ワシントン・ナショナル・ギャラリー)
「手紙を書く女と召使」(アイルランド・ナショナル・ギャラリー)
展覧会のテーマにあわせ、どれも「手紙」を画題にした作品となっています。
特に「手紙を読む青衣の女」は、年月経過による変色などを最新技術で修復が行われ、今回が修復後世界初公開となります!フェルメールがこだわりぬいて描いた光の風合いや鮮やかな色彩が蘇ったその姿を、ぜひその目に焼き付けてください。




フェルメールの愛した「フェルメール・ブルー」


    

左 : 「手紙を書く女」(ワシントン・ナショナル・ギャラリー)1665年頃
右 : 「手紙を書く女と召使」(アイルランド・ナショナル・ギャラリー)1670年頃
フェルメールのトレードマークともいえる、鮮やかな青色。フェルメールはこの「青」をとにかく愛し、こだわりました。30数点残るフェルメールの作品のうち、彼はその半分以上の作品に「青」を使用しています。彼の用いた「青」はラピスラズリ(瑠璃)を砕いて作った絵の具から生み出されています。
当時ラピスラズリはアフガニスタンから地中海を越えてヨーロッパに輸入されていたため「ウルトラマリン(海を越えてきた)ブルー」の名で呼ばれていました。大変貴重な鉱物であり、フェルメールが活躍した17世紀、ラピスラズリは金よりも高値がついていたといいます。そのため画家たちは宗教画で聖母マリアの服など本当に重要な部分くらいにしかこの青を用いませんでした。
しかしフェルメールはこの青を全く遠慮なく、ふんだんに作品に用いたのです。お世辞にもそこまで裕福ではなかったのに…それでも彼はこの青でなければ駄目だ、と考えていたのでしょう。フェルメールが亡くなった際には多額の借金があったそうですが、その多くはこの「青」の絵の具のためのものだったのかもしれません。



人々のやりとり 仕草・視線・表情
17世紀のオランダは大変経済的に発展し、市民の生活レベルも豊かになっていました。王権も他の国に比べて強くなかったこともあり、市民たちが画家の主な顧客となって絵を家に飾るようになりました。そのため描かれる絵にも現実的なものを好む市民の好みが反映されるようになり、日常生活を題材にした「風俗画」が多く描かれました。



「風俗画」を描くにあたり、画家たちは、当時の典型的な人物、流行の衣装、そして場面設定に鋭い洞察を向けました。
ここに展示されている作品に描かれている場面は家庭だったり、居酒屋だったり、仕事場だったりと様々ですが、どれも当時の人々の日常的な風景です。
しかしごく普通の場面の裏には「人はこうあるべき」「こういうことをしてはならない」といった、教訓めいたメッセージが含まれています。
作品を見る当時の人々は、その意味を解釈しながら、登場人物のしぐさや表情から伝わる絵画の中の会話や物語、情景を楽しんでいたのでしょう。



当時の人々の暮らしに思いをはせつつ、絵の中の会話を人々の様子から想像してみましょう。
コルネリス=ベーハ 『酒場の情景』
酒場で給仕の若い女性を口説こうとする老人が描かれています。酒場は風俗画ではよく用いられた場面ですが、当時のオランダでは「表は酒場、裏に回れば売春宿」といわれ、両者はあまり区別がなく、そんな意味も含めて描かれることも多かったようです。「年がいもなく若い女性に手を出すのは恥ずかしいことだ」そんな戒めの意味も込められた題材ですが、画家は妙に教育めいた感じはさせずに、庶民の日常のひとこまとして丁寧に描いています。



家族の絆、家族の空間
オランダ絵画では、よく家族の姿も好んで描かれました。和やかで愛情にあふれた家庭の様子は、見る人を安らげる意味と同時に、理想の家庭像を示す意味もありました。
また、見る人に自分の家族を紹介したり、「こんなに素敵な家族なんですよ」と示す意味もあり、よく結婚何周年の記念などで画家を家に呼び、描かせることもあったそうです。
いつの世でも、人々は素敵な家庭を望むもの。当時の家の様子にも目を向けながら、その暮らしをのぞいて見ましょう。
ヤン・デ・ブライ 『アブラハム・カストレインとその妻マルハレータ・ファン・バンケン』
仲良く手をつなぐ、幸せそうな夫婦の肖像画。
奥さんは穏やかで愛情あふれる眼差しでご主人を見つめ、ご主人はにこやかにこちらに語りかけてきています。この絵を見ただけで、どんなに幸せで仲の良い夫婦なのか、すぐに伝わってきます。
背景には積み重なった本や地球儀が見えますが、これはモデルのご夫婦の職業を教えてくれるヒント。ご主人は出版社を経営していて、当時ヨーロッパで最も情報網が広い新聞を出版していました。
世界に海外特派員を多く派遣していたほどだそうで、地球儀はそのネットワークを示唆しているのかもしれません。



学術的コミュニケーション
当時のオランダにおけるインテリ層やエリートとされていたのは、最先端の知識を持つ学者、法律の専門家である弁護士、そして商売のプロである公証人でした。当時の絵画には、しばしばモデルとして彼らの姿が描かれています。彼らは仕事において積極的にコミュニケーションをを取り合いました。商売や経営では人と会話ができなければ仕事ができませんし、学者たちは同僚や教師とコミュニケーションをとることで研究をより発展させていったのです。
いわば、コミュニケーションのプロたち。そんな彼らの仕事ぶりを味わって見てください。
コルネリス・デ・マン『薬剤師イスプラント氏の肖像』
考えをメモにまとめている最中に、不意に声をかけられて視線を向けた青年博士の姿。
肖像画ともいえますが、部屋の様子は家具や机の小物などはとても丁寧に描かれ、まるで風俗画のよう。この絵の作者のデ・マンは、モデルの暮らしぶりや人となり、職業も描き出すためにしばしばこのような描き方をしたのだそうです。実に様々なものが机に置かれていますが、これは博士が色々なことに広く関心を持つ人であることを示しています。
机には頭蓋骨が転がっていますが、これは学者の絵にはしばしば登場するモチーフ。「人生には限りがあるから、できる限りのことを生きているうちに十分しなさい」というメッセージが込められているそうです。

ちなみに、博士が着ているこのローブはインテリ・エリート層に好まれた「ヤポンス・ロック」という一種のステータス・シンボル。元々は、オランダに伝わった日本の冬用の着物だったとか!



手紙を通したコミュニケーション
17世紀のオランダはヨーロッパで最も識字率が高く、一般庶民も積極的に手紙のやり取りをしていました。
今ではメールや電話など、遠くにいる人とのコミュニケーションツールは色々ありますが、当時は手紙が唯一の連絡手段。出しても必ず届くとは限らず、しかも大変時間がかかるものでしたから、当時の人にとって手紙はとても大切な存在だったのです。また、手紙を書くことそのものが「芸術的表現」としても捉えられていたそうです。
特にオランダの風俗画では、手紙と女性が組み合わされて描かれることが多く、その多くは「愛」と関わる内容です。遠くにいる恋人や家族を思い、一心に筆を取る姿、届いた手紙に一喜一憂するその表情に、ぜひ注目して見てください。
フェルメール3点の『手紙と女』
今回出品されたフェルメールの作品三点は、一番最後に展示されています。
そのどれもが、同じ「手紙」をモチーフに使っていますが、場面はそれぞれ異なっています。
「手紙を書く女」は初々しい少女が手紙を書こうとする姿。
「手紙を読む青衣の女」は恋人からでしょうか、届いた手紙に熱心に読みふける大人の女性(よく見ると口が開いているのですが、これは声に出して手紙を読んでいることを示します。当時は音読がよく行われていたとか)
そして「手紙を書く女と召使い」は、床に捨てられた手紙らしいものが転がり、女性が一心に紙にペンを走らせています。
それぞれの絵に流れるそれぞれの物語をどのようにフェルメールは描き、どんなヒントを残しているのかが、作品の見所のひとつです。


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