乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

『古今集遠鏡』文化十三年子極月版  本居宣長著 寛政5年(1793)頃成立。同9年刊行。

2019-10-04 | 本居宣長 『古今集遠鏡』『玉あられ』

 『古今集遠鏡』文化十三年子極月版  本居宣長著 寛政5年(1793)頃成立。同9年刊行。



 
 文化十三年子極月

   京都書林  風月 庄左衛門
   大坂書林  敦賀屋 久兵衛
   江戸書林  前川 六左衛門
   尾張書店  永楽屋 東四郎 印

        『古今集遠鏡』巻六 0最後のページに記されている。


 文化十三年子極月=1816年12月



 家族の書棚で見つけた本居宣長の『玉あられ』をざっくりと読み、面白かったため、『古今集遠鏡』六冊を購入した。

 和歌の中でもなぜか知らん『古今和歌集』の好きな私は、これまでにも本居宣長記念館に行き、博物館などでも本居宣長に触れる機会があったのはありがたい。


 読書の秋。

 以前に読んだ東洋文庫の『古今集遠鏡 上』も購入したことだし、マイペースで楽しんで遊ぼうと思う。



   

 以前に訪れたことのある本居宣長記念館の公式HPでは、『古今集遠鏡』は次のように説明されている。


 『古今集遠鏡』(コキンシュウ・トオカガミ)
 6冊。寛政5年(1793)頃成立。同9年刊行。
「遠鏡」とは望遠鏡のこと。
 実はこの前年、和泉国貝塚の岩橋善兵衛が、国産天体望遠鏡第1号を制作して、5年には京都で天体観測会が開かれている。
 岩橋の望遠鏡は、八稜筒で直径が24センチから27センチ。
 長さがその十倍と言う大きなもので、「阿蘭陀わたりの望遠鏡よりもよくみゆ。余が家にも所持す」と橘南谿(1753~1805・久居の儒医)は『西遊記』の中で記している。ちなみに天体観測会を主催したのも橘南谿である。
「遠鏡」という書名がブームに乗ったものとは言えないまでも、このような時代風潮の中にあったことは見逃してはならない。

 さて本書は、『古今和歌集』の全歌(真名序、長歌は除く)に、今の世の俗語(サトビゴト)、つまり口語訳、また補足的な注釈を添えた本。横井千秋の序文に「この遠鏡は、おのれはやくよりこひ聞えしまゝに、師のものしてあたへたまへるなり」とあるように。千秋のもとめで執筆した。訳は、てにをはに注意し、また言葉を補う場合はその箇所を明示し、厳密な逐語訳となっていて、一見、初学者向きの入門書ではあるが、高い水準を保っている。 『古今集』は宣長にとって最も尊重する、また愛好した歌集であった。

「古今集は、世もあがり、撰びも殊に精しければいといとめでたくして、わろき歌はすくなし」(『うひ山ふみ』)。
 新年の読書始めも同集序を選んでいる。講釈も『源氏物語』や『万葉集』と並んでその中軸となるもので、生涯に4度も行っている。一つの本の回数としては最高である。
 (本居宣長記念館の公式HP http://www.norinagakinenkan.com/index.html)
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みかけハこハゐが とんだいゝ人だ   大判錦絵 弘化四年(1847)頃   藤岡屋彦太郎 一勇斎國吉画

2019-10-04 | 変体仮名見むとするハいとをかし

  みかけハこハゐが とんだいゝ人だ   大判錦絵 弘化四年(1847)頃   藤岡屋彦太郎 一勇斎國吉画  『歌川国芳展』図録より



 

 みかけハこハゐが とんだいゝ人だ


 大ぜいの

   人がよろしく

  たかつて

    とふと

  いゝ人を

     こそらへた

   とかく人のことハ

         人丹してもらハ ねば

      いゝ人丹ハならぬ


            印 一勇斎
                                    
            印 國吉  
                                      
                  戯画   印               

                           /\
                            や



 
 後頭部のもとどりには、力紙が巻かれている。
 着物の文様が「三つ引き両」三つ引き両であることから、此背中の持ち主は、朝比奈であるという。

 朝比奈= 鎌倉時代の武将
     「朝比奈島巡り」など、多くの伝承が残る。

 三つ引き両=三つ引両紋様
   引両紋=引両紋(ひきりょうもん)は、引両を図案化した日本の家紋である。
       単数から複数の平行線を描いたもので、室町幕府を開いた足利氏使用の
      「丸に二つ引(足利二つ引)」は将軍家の権威の象徴ともなった。
       室町時代に編纂された『見聞諸家紋』(写本が現存)には、
       日本の皇室から下賜された五七桐と並べて足利将軍家の紋として掲載されている。
   両引= 引両は、”引竜”・”引領”・”引輛”とも書く。
   二つ引両紋様=(余談ですが)
          松嶋屋さんの片岡仁左衛門丈の家紋は「丸に二つ引両」です。



  本文に「。」が付いている場合は「。」 付いて無い場合は「、」突表記しています。
 (「尓」「能」などのように、助詞部分はそのまま元字で書いています)
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『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 7オ  近松門左衛門作        13

2019-10-04 | 近松門左衛門


  『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 7オ  近松門左衛門作        13


 

 (やいいつそ、ころせとだき付ば。うそつかんせ。毎日/\ 6ウ)

 新町通ひ。のべ能はな紙二枚三枚。けつこうなはな

 をうまんすもの。なんのわしら尓手ばはもかみふ

 有まい。あのうそつきがと、ふりきるを又だきついて。

 そち尓うそついてなんのとく、じつじや/\といひけ

 れば。それがぢゆうならばんにね所へござんすか。ヲヲ成

 程/\忝い。それ尓ついて今ちよつととふこと有と

 いひけれ共。それもね所でしつほりとききませふ。

 かならずだましにさんすなゐ、そんならわしハおゆわかい

 (て、こしゆして、待ちますといひすていひきりはしり 7ウ)  





 なんのわしら尓手ばはもかみふ有まい=なんの私等に手鼻も神藤有るまい

 あのうそつきがと、ふりきるををを又だきついて=あの嘘吐きが、振り切るを、又抱き付いて

 じつじや/\= 実(じち)じゃ、実(じち)じゃ   
        【実】(じち)とは  名詞   (学研全訳古語辞典)
         ①実際の物事。真実。本当。本物。
         ②誠実。実直。◆「じつ」とも。

 ね所でしつほりとききませふ=寝所でしっぽりと聞きましょう。
               ね所=(ねどこ)寝所    (三省堂 大辞林 第三版)
               ね所=しん じょ 、
                  ね ど、
                  ねどころ、
                  ね どこ   などの読み方がある

 忝い=かたじけない
    【忝い・辱い】   (三省堂 大辞林 第三版 )
     ( 形 ) [文] ク かたじけな・し
      ①(身にあまる好意・親切に対して)感謝にたえない。ありがたい。 「御配慮の程まことに-・く存じます」
      ②(分に過ぎた処遇に対して)おそれ多い。もったいない。恐縮だ。 「 - ・く汚げなる所に年月を経て物し給ふこと,極まりたるかしこまり/竹取」
      ③恥ずかしい。面目ない。 「天の下の百姓(おおみたから)の思へらまくも恥かし-・し/続紀 宝亀三宣命」

 そんならわしハおゆわかい(て、こしゆして、待ちますといひすていひきり)
      =「そんなら わしはお湯わかいて(お湯沸かして)腰湯して待ちます。」と言い捨て、言い切り

  

             (7ウ)      

               『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」P.286  



 (1オ)(1ウ)(2 オ)= (一丁表)(一丁裏)(二丁表)…と言う意味です。
  本文に「。」が付いている場合は「。」 付いて無い場合は「、」突表記しています。
 (「尓」「能」などのように、助詞部分はそのまま元字で書いています)



 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 1 オ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 1 ウ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 2オ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 2ウ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 3オ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 3ウ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 4オ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 4ウ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 5オ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 5ウ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 6オ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 6ウ  近松門左衛門作
 『近松全集第七巻』「冥途の飛脚」 7オ  近松門左衛門作


「冥途の飛脚」 1 オ
   梅川 冥途の飛脚 近松門左衛門作
 身をつくし難波尓さくやこの花能。里ハ
 三すぢ尓町の名も佐渡と越後
 相の手を。かよう千鳥の淡路町、亀屋
 能世つぎ忠兵衛、ことし廾能上はまだ四
 年、いぜんに大和より、敷金をもつて養子
 ぶん後家妙閑のかいほう処、あきなひ功
 者駄荷づもり江戸へも上下三度笠。

「冥途の飛脚」 1 ウ
 茶のゆはいかい素双のべに手能かど                
 とれて。酒も三川四川五川所もん羽二重も
 出ずいらず。無地の丸つばぞうがんの國 
 ざいく尓はまれ男。色能わけ志り里志りて
 暮るを待ずとぶ足能。飛脚宿能いそがし
 さ。荷をつくるやら不どくやら。手代ハ帳面
 そろばんをおゝ口とも尓どや/\と。千万両能
 やりくりも、つくしあづま能とりやりもゐながら

「冥途の飛脚」 2オ
 かね能自由さハ、一歩小判やしろかね尓つばさ能
 有がごとく也、町通り能状取立帰つてそれ/\と。
 とめ帳つくり所へたそ頼もふ忠兵宿尓ゐやる              
 かと。あん内するハ出入能屋やしき能さむらい。手代共ゐん
 ぎん尓。ヤア是ハ甚内さま。忠兵衛ハるすなればお下
 し物能御用ならば。私尓仰聞られなせ。お茶もて
 おじや、と、あいしらう。いや/\下り能用はなし。ゑど
 若だんなより御状が来た。是おきゝやれとおしひらき。

「冥途の飛脚」 2ウ
 来月二日出の三度尓金子三百両毎さしのばせ
 申べく候。九日十日両日能中、その地亀屋忠兵衛方
 より。右三百両毎請取内ゝ申置候こと共、埒明申さ
 るべく候。則飛脚能請取證文此度登せ候間。金子
 請取次第この證文忠兵衛尓渡し申さるべく候。是
 此通仰下された。今日迄とゝかぬ処大事能御用の
 手はづがちがう。なぜか様にふらちなとはなを。しかめ
 言ひければ。ハヽ御尤/\。去りながら此中能雨つゝき。川ゝ

「冥途の飛脚」 3オ
 仁 水が出ますれば、道中尓日がこミ。かね能とゝかぬ
 のみならず、手前も大分能そん銀。もし盗賊が
 切取道からふつと出来心。万ゝ貫目取られても。
 十八軒能飛脚宿からわきまへ。けし程も御損
 かけませむ、おきづかひあられるな。いはせもはてず
 是さ/\。いふまでもない御そんかけてハ忠兵衛がくびが
 とぶ。日銀のびてハ御用能間があく仁より、それ処
 能せんさく迎ひ飛脚をつかハして早速尓持参

「冥途の飛脚」 3ウ
 せいとかちわかたうもゐくハう。銀ごしらへも
 うさんなまりちらして成りしが。まだ頼みませふ/\。
 中能嶋丹波屋八右衛門から来ました。江戸尓舟
 町米どひ屋能かハせ銀そへ状ハなぜ
 とゞきませぬ。此中文を進しても返事もござ
 らず。使をやれば酢能こんにやくのといつ届けさつ
 しやるぞ。此者わたして人をつけて下され。手形
 手形もどそと申さるゝ、サア金子請とらふと立はたかつ

「冥途の飛脚」 4オ
 てわめきける。主おもひ能手代の伊右衛、さハがぬ躰尓
 て。是お使い、八右衛門さまが其様尓、りくつ臭い口上ハ
 有まい。五千兩七千両、人能かねをあづかって。百丗里
 を家尓し、江戸大阪を。ひろふせばふする亀屋。そ
 こ一軒でハ有まいし。をそいこともなふてハ。今でも旦
 那かへかへられらば此方から返事せふ。五千両尓たらぬ
 金あたがしたましういふまいと。かさから気を
 のまれ、使ハまじめ尓帰りけり。母妙閑ハこたつ能

「冥途の飛脚」 4ウ
 そばをなることもなん戸を出。ヤァ今能ハなんぞ。たん
 ば屋能金のとゞいたハ慥十日もいぜん能こと。なぜ忠
 兵衛ハ渡さぬの。けさかた二軒三軒能金のさいそく
 ゑず。終尓中間へなんぎをうけず、十八軒能飛脚屋
 聞きてゐる。おやじ此代からの此家尓かね一匁能さいそく
 能かゞミといはれた此亀屋。ミなハ心もつかぬか。
 兵衛か此処能そぶりがどふも、のミこまぬ。昨今能者ハ
 しるまいが、じだい是能実子でなし。もとハ大和新口

「冥途の飛脚」 5オ
 村勝木孫右衛門と云大百姓能ひとり子母ご
 ぜハお死尓やって継母がゝり能技くれ尓。悪性狂
 ひも出来るぞと、てゝごせ能思案で是能世とり尓
 もらひしが。せたいまハり商売ごと何尓おろかハな
 けれ共。此比ハそハ/\と何も手尓付かぬ見た、ゐけん
 能しさいとあれど、養子能母もまま母も。同前と
 思はふかせハ/\いふよりいはぬ身を。はぢいらせふと
 おもふて、目をねふつても聞所、見所ハみてゐる、いつ

「冥途の飛脚」 5ウ  
 能ま尓やら大気尓なり述べ能はな紙二枚三枚手尓あ
 たり次第。かさねながら、はなかミやる。過ぎゆかれしおや
 じ能咄尓。はな紙びんびと仕ふ者ハくせ者じやと
 いはれたが。忠兵衛が内を出さま尓のべ三折づゝ入て
 出て何程はなをかむやらもどり尓ハ一枚も残らぬ。
 身が達者な能わかいのとて。あの様尓はな噛んでハ。
 どこぞで病も出ませふとよまいごとして入ければ。
 でつち小者もせふしがり、早ふかへつてくだされかしと。

「冥途の飛脚」 6オ
 待日も西能のどり足見せさし此尓成尓けり。かご
 能鳥なる梅川尓こがれて通ふさとすゞめ。忠兵衛ハ
 とぼ/\と外能ぐめん内能くび。心ハくもでかくなハや
 十文色も出てくるハ、なむ三宝がくれるとあしを
 空に立帰り、門口尓ハ着けれ共、るす能内尓方ゝ
 能、さいそく使妙閑能ミヽ尓入ていか様能、首尾尓なつ
 たもきづかハし、誰ぞ。出よかし内證をとくと聞きて
 入りたしと、家家ながら敷居高く、内をのぞけば食(めし)

「冥途の飛脚」 6ウ
 たき能まんめが酒屋へ行体也、きやつハ木ではなもぎ
 どをももの只ハいふまじ、ぬれかけて。だましてとはんと
 しあんするまにによつと出る、樽もつた手をしかとし
 むれば、あれ、だんなさま能とこゐ立る。アヽかしましい。
 こりやすいめ。おれがくびだけなづんてゐる。思い内
 尓あれば色外尓あらハるヽ目付をそちも見て取
 たか、かハいらしいかほ付で。きのどくがらすハどふじや、い
 やいいつそ、ころせとだき付ば。うそつかんせ。毎日/\

「冥途の飛脚」 7オ
 新町通ひ。のべ能はな紙二枚三枚。けつこうなはな
 をうまんすもの。なんのわしら尓手ばはもかみふ
 有まい。あのうそつきがと、ふりきるを又だきついて。
 そち尓うそついてなんのとく、じつじや/\といひけ
 れば。それがぢゆうならばんにね所へござんすか。ヲヲ成
 程/\忝い。それ尓ついて今ちよつととふこと有と
 いひけれ共。それもね所でしつほりとききませふ。
 かならずだましにさんすなゐ、そんならわしハおゆわかい



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