富田高至 編者
恩頼堂文庫旧蔵本 『仁勢物語』27 十六丁表
和泉書院影印業刊 65(第四期) 1998年
右
十六丁表
◯をかし男、女のもとに一夜いきて、又もいかすなる
けれは、女の物あらふ所に抜きうちやりて、
盥(タライ)に物の見えけるを自ら、
われハかり 物あらふ人ハ又もあらし
とおもへハ水の したにもありけり
とよむをかのこさりける男のそきて
水底に 物や見ゆらん馬さへも
豆盥(まめたらい)をば のそきてぞ鳴く
十六丁表
◯おかし男、女の元に一夜行きて、又も行かすなる
ければ、女の物洗う所に抜き、打ちやりて、
盥(タライ)に物の見えけるを自ら、
我計り 物洗う人ハ又もあらじ
と思えば水の 下にも有りけり
と詠むを鹿の子去りける 男覗きて
水底に 物や見ゆらん馬さへも
豆盥(まめたらい)をば 覗きてぞ鳴く
盥(タライ)に物の見え は ムニュムニュ (ま! ^^ 赤面)
又もあらじの又は、掛詞
、、、、と詠むを鹿の子去りける (盥の底を)男は覗きて
水底に 物や見ゆらん馬さへも
豆盥(まめたらい)をば 覗きてぞ鳴く
『仁勢物語』和泉書院影印業刊
われハかり 物あらふ人ハ又もあらし
とおもへハ水の したにもありけり
『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す
我許(わればかり) 物思う物おも(ふ)人は又もあらじ
と思えば水の 下にも有りけり
『仁勢物語』和泉書院影印業刊
水底に 物や見ゆらん馬さへも
豆盥(まめたらい)をば のそきてぞ鳴く
『伊勢物語』岩波古典文学大系9 「竹取物語 伊勢物語 大和物語」より写す
水口に 我や見ゆらんかはづさへ
水の下にて 諸声似なく