『大極上請合売 心学早染草(しんがくはやそめくさ)』 2 山東京伝作 北尾政美書 『黄表紙 洒落本』岩波 日本古典文学大系より
『心学早染草(しんがくはやそめぐさ)』とは、江戸時代後期の戯作者である山東京伝が著した黄表紙で、人の心の中にある善悪の葛藤を描いた教訓本。
【内容】
人間の心には善魂(ぜんだましい)と悪魂(あくだましい)がおり、その力関係で人は善にも悪にもなる 商家の息子である主人公・目前屋理太郎は、悪魂の誘惑に負け放蕩生活を送るが、善魂の勢力挽回によって教化される
【特徴】
善玉悪玉というキャラクターで、善悪の魂の争闘を二重の画面に表現した 当時の江戸の暮らしぶりが読み取れる挿絵が特徴 近世社会で使われていた言葉づかいを知ることができる
【評価】
善玉悪玉の趣向が大いに評判を呼び、他作品にも影響をあたえた 江戸っ子に大ウケし、悪玉キャラが大当たりした 善玉悪玉の趣向は、小説や演劇にも多く模倣された。
確かに歌舞伎にも【善】と【悪】の面を付けた二人が舞う演目があったが、、、お題目は何だっただろう。謡は「善と悪との、、、、(あとはなんとうたわれただろう)」