世界中が作物の種を一社から買わなくてはならない世界は。
SFの世界では無いのです。
近い将来起こりえることですね。
ТPPの先が見えるようです。
良いか悪いかはそれぞれ異なると思いますが。
太字は赤カブ不動産屋が修正。
転載
中南米の乱:第6部・アルゼンチン編/中 組み換え大豆、広がる栽培
毎日新聞 2013年10月23日 東京朝刊
◇「もうかるから使う」
アルゼンチンで遺伝子組み換え(GM)大豆の生産が拡大するのは簡単でもうかるからだ。中部コルドバ州モンテクリストの大規模農家ラウル・アリンチさん(48)は「収量は40年前の倍だが費用は減った」とほほ笑む。
除草剤の発達で、雑草の発芽を防ぐために土を掘り返す必要はなくなった。種まきや薬剤散布はコンピューター制御の機械が行うので、収穫期以外は1、2人の雇用で足りる。
さらなる追い風が大豆の国際価格上昇だ。経済成長著しい中国の輸入増で、2012年には史上最高を記録。アリンチさんも01年まで別の州で牧畜と米作をしていたが、大豆に乗り換えた。「トウモロコシより低コストで小麦より干ばつに強い。牧畜は資本回収に数年かかるが大豆は半年で勝負できる」。毎年9000ヘクタールを借りて大豆を作る。
問題がないわけではない。農薬噴霧機を売るカルロス・マカリさん(55)は「大豆は小麦やトウモロコシと輪作しないと土地が痩せる。しかし、農家の7割は利益重視で大豆を連作する」という。肥料いらず、と呼ばれたコルドバ州の肥沃(ひよく)な農地も、肥料なしでは収穫量が半減するようになった。耐性雑草の増加で除草剤の量も2倍に増えた。
米大陸で使用されるGM大豆種子の9割は米バイオ化学大手モンサントの開発だ。農家は毎年、種をモンサントから買わなければならない。アリンチさんは「依存しているとは思わない。犠牲者でもない。利点があるから使う。グローバル化に対応するため、我々は常に新しい技術を欲している。農家も変化しないとだめだ」という。
今年、アルゼンチンとブラジルでは、害虫が食べると死ぬ新GM大豆が作付けされる。「世界の食糧問題の解決に貢献できる」と自負するモンサントが南米向けに開発した種だ。 12年、GM作物栽培面積は世界で1・7億ヘクタール。うち、アルゼンチン分は2390万ヘクタールで14%を占める。一方で、今年の5月には世界52カ国(主催者調べ)でGM作物に反対するデモが起き、アルゼンチンでも数百人が参加した。巨大農業ビジネスが「ユートピア的」と否定する有機農業主義者も徐々に増えている。
菜食主義者のサラタ・エルナンさん(38)は、遺伝子組み換えでない大豆やトウモロコシの種を仲間と交換しあい、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの10平方メートルの庭で無農薬野菜を作り、廉価で売る。「100%GMになったら、食物はすべて種子会社に頼ることになる。100%にはさせない」【コルドバ(アルゼンチン中部)で國枝すみれ】