ショップ ダンケ

ドイツ雑貨「ショップ ダンケ」のオフィシャル・ブログ

ドイツでの時間 1

2004-01-18 00:00:00 | ドイツ・ドイツ

昨日は、神戸の震災から丸9年経った日だった。メディアでも大々的に取り上げられたので、いろんなアプローチの特集を見た人も多かっただろう。

私は、そのとき、日本に帰って直後だった。朝、早くのあの時間、まだ実家のベッドにいた。確かに揺れた。何分かくらい長い時間揺れたのだ。ベッドサイドの目覚ましが転げ、本棚の上の飾り物が落ちた。揺れる室内のなかで「これが地震なんだ。」と思う余裕があった。大阪の端の町では、それくらいの体感度だったのだ。
母のところに行き、テレビをつけたら、アナウンサーが上ずった声で、被害を伝えていた。驚いた。テレビの画面では、私が体験したのとは、まったく違う出来事が起きていた。7000人もの犠牲者が出た震災。この天災で人生が大きく変わってしまった人がなんと多く関西にはいることだろう。

昨日のテレビで、震災の日に子供が誕生したご夫婦が出演されていた。「こんな日に生まれてくるなんて、なんちゅうやっちゃ思いましたわ」という父親は、目を細めて9歳になった傍らの息子さんを見つめた。くったくなく笑う少年、これが9年間の証なんだと、時の流れの偉大さをこちらも感じいった。

丸9年経って、私がドイツで過ごした11年の時間を、日本での帰国してからの時間が越した。帰国してからの私が、日本社会に、すっぽり適応しているという気持ちは、正直ない。

ドイツでドイツ人という他者と対抗するには、常に身構えて戦うような緊張感を強いられたことに比べれば、同じ母国語の人と折り合っていくことは、そんなに困難さはないはずだった。ドイツ生活のなかで、日本の価値観を持ち出しすぎて、苦しい思いをしたので、日本に帰ってくれば、楽になると思っていた。

日本に戻った当初は、逆カルチャーショックで、満員電車にも、おっかなびっくり。漢字が思い出せなかったり、都会の町でまごついたりしたけれど、そこは育った国。時間の経緯とともに慣れていくことができた。トレンディドラマにけっこう夢中になったり、コンビニに足しげく通ったり、日本の伝統行事や美味しいものにやたら感激して、ある意味日本に住んでいるヒト以上に新鮮に日本を楽しんでいたりする。