カッチイは、作家の五木寛之フリークである。一番好きな作家なんだ。オン年、72歳になる彼の作品で、本になったものは、だいたい読んでいる。京都のホテルで講演会は、満員で最初ムリと言われたのだが、キャンセル待ちがOKになったので、イソイソお出かけ。ナマ五木さんを拝顔したかったんで(笑)
2年間で100のお寺を見て回るという遠大な計画をたてられ、その半ばまで来た記念講演会だったのだが、いやあ、ダンディでしたね。フラノのすてきなスーツで登場。靴まで気を配っていて、おしゃれさんなんだよなあ
講演会を聞いたのは、2度目なのだが、彼は、原稿など、もちろん用意しない。頭に話すことが、ダーと入っているんでしょうね。ちゃんと、どこで笑いをとるか、オチをつけるかも計算済み。詰まることは、ほとんどない、よどみなく100分近く、はりのある声で語られた。
その内容に関しては、私は、五木さんのファンなんで、著書や普段書き散らされている記事を、見聞きしているので、目新しいと思ったことはなかった。
自称「日本一暗い作家」は、現代のようなさまざまな不安が渦巻く時代には、それに反応して、人間が、不安にかられることは、極めて自然である。むしろ不安を抱えないことのほうが、不自然ではないだろうか?心が萎えることは、人間らしいことで、悲しいときは泣き、思い出にひたればいい。明日のことは、わからない。一寸先は闇。だからこそ、今一日を濃く生きなければと、不安感は、人間としてある出発点になるのだという論旨である。そう言われると、心が軽くなるではないか。
五木寛之という作家は、時代に敏感で音楽、美術、歴史、仏教などに関わる優れた文明批評的活動を行ってきた。それでいて、70代になっても、常にコンスタントにベストセラーを出す稀有な存在だと思う。今や文壇の重鎮といわれる存在なのだが、フットワークは軽く、今日も旅の中。
ホテルの一角では、「百寺巡礼展」が開かれ、五木さんの訪れたお寺の写真のパネルを見ることができる。彼がお寺を巡っているさまは、TV放送化され、DVDでも売られている。「奈良編」「京都編」と「百時巡礼」に続いて、シリーズ本は、これからも書き続けられる予定である。メディア戦略の格段にうまい人だからなあ(笑)というか、彼はパイオニアだ。とにかく生涯、現役で行く方なんだろうな。
追っていきますとも。