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ヒトラー 最後の12日間

2006-04-18 01:32:54 | 映画&ドラマにハマル!
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劇場公開されたときは、重い映画であるのが、たやすく想像されて、足を向けられなかった。「ミュンヘン」は、映画館で見たんだけどね。

DVDをレンタルで借りてきて、ようやく家で見た。

ダイナミックにテロリストが翻弄される運命を描くスピルバーグの映画と違い、こちらは、ひたすら暗く、やるせないため息が出る。

何せ、ほとんど全編、総統官邸の地下要塞でのヒットラーと側近たちのやりとりなので、重苦しい。

私が、ドイツに居た時、ドイツ人が、素直にヒトの意見に同調せず、ああ言えばこう言うと、すぐ反論してくるのに、辟易して、「どうしてヒトの意見の反対ばっかり言うのよ?」と、友達に言ったところ、彼女は、こう言った。「それはね。教育に関係していると思う。ドイツでは、誰かの意見を鵜呑みにすることを、最も懐疑的になるの。それはね、ヒットラーというモンスターに、妄信的に従い、信奉してしまった反省から来ているのよ」

独裁者の末路は、誰が見ても、狂気の沙汰。

独裁者に心底信奉していている者にとっては、独裁者は、圧倒的なあおぎみる存在であってほしい。しかし、ありもしない援軍が来てくれることを期待し、裏切り者をののしるヒットラーを前に、誰もに、絶望感が、こみあげる。

ヒットラーよりも、崩れ行く独裁者をとりまく人々のありかたのほうが、見ものだった。

盲目的に追従するもの中には、自殺を選ぶものもいる。ゲッペルス婦人のように、確信を持って、子供を、道連れにするものもいる。彼女が、子供に睡眠薬を飲ませ、毒薬を含ませる冷静さは、震撼させられる。

多くの側近は、間違った方向に進みゆくことを感じながら、退くことが許されない状況にはまりこんでいく。その苦渋の表情にこそ、リアリティがあり、だからこそ、自分の考えや判断をもつことの重要性を、訴えかけてくるし、私たちは、そこを読み取らねばならないと思う。

地下で、彼らのドラマが展開する間にも、多くの市民が、爆撃に合い、あっけなく命を落とす場面が挿入されて、戦争という不条理を、これでもかと見せ付ける。

ヒトラーが秘書たちに見せた紳士的とも言える人間性を、映画に、盛り込んだことで、当のドイツでは、最も批判が出たというが、これは、ヒトラーを正当化するものではないと思う。むしろ、悪魔のように思われた人間の中にも矛盾があり、そのことこそが、人間なのだということを、私は、重く受け止める。

ヒトラー ~最後の12日間~のオフィシャルブログでは、この映画について、さまざまな意見が飛び交っている。異論反論、大歓迎という姿勢を尊重することが、最も大切なことなのだ。