待ちに待った「Drコトー診療所2006」が、始まりました。ドラマは、お気に入りを見つけて、リアルタイムで見ていくのが、醍醐味よね。
素晴らしい出来だった「Drコトー診療所2003」の続編を背負っての続投だけど、期待を裏切らないものだった。もうすでに、何度ビデオに撮ったものを、見直したことか。
コトー先生の指示を受けて、彩佳さんが、船内で、ひとりで気管切開を行ったり、それに続く診療所のオペも、よりリアルになって、ドラマのつかみは、しっかり。観客を釘付けにする。
今回のクライマックスは、何と言っても、彩佳さんの乳がんが、コトー先生に知れてしまうところ。看護婦としてのプライド、病気の不安が、ないまぜになって、激情を、コトー先生にぶつけたところは、若手No1の柴咲コウちゃんの力量だよ。あの気の強い普段の彩佳が、初めてもろく崩れるところを、上手く見せてくれた。
それにしても、「胸を、先生に見られるのがイヤ。そんなことを考えてしまう自分もイヤなんです」って、わかるなあ。女心。脚本の吉田紀子さん、いいセリフ思いつくよなあ。
前回の連ドラでは、男としては、コトー先生は、ちょっと「仙人」みたいだったからね(笑)今までの、話しの流れからして、コトー先生と彩佳さんとの関係が、ドラマの軸に入ってこないと不自然だし、クローズアップされるのは嬉しい。
でも、彩佳は、ずっと出演しそうにないらしい。彼女が中抜けすることを前提に、ストーリーは、進むよう。新米看護婦、仲井ミナ役で、蒼井優を投入したのは、そのせいね。
売れっ子の柴咲コウが、映画のスケジュールが入っているとか、交際中の妻夫木くんと離れるのがイヤで、離島でのロケを嫌がったとか諸説あるけれど、本当のところは、どうなんでしょうね。まあ、あれだけの俳優陣を、何ヶ月も、与那国島に留めておくのは、難しいことなんだろうけど、よく集まってくれたと思うよ。
吉岡さん、白髪が混じるのも自然で、ちょっと大人っぽくなった。表情に、また深みが加わったように思える。
「北の国から」から見事な脱皮、彼は、コトー先生という、また当たり役を得た。仕事には、本当に恵まれている人だ。フジテレビも、「北の国から」を意識して、隔年で作っていく意思はあるように思える。吉岡さんというのは、また青年期も、壮年期になるまで、一つのドラマを演じ続けるのだろうか?そうだとしたら、益々稀なる俳優人生になるなあ。
「北の国から」は、人間的な弱さも兼ね備えた「純」の役どころが、見る人の共感を得た。それが、倉本脚本の妙意だった。倉本さんのお弟子さんという脚本家の吉田紀子さんは「コトー先生」を、医師として優秀で、誠実な人柄、ある種、理想の医師といったキャラクターにしている。ここが、「北の国から」と大きく違うところだ。
どうコトー先生を、料理していくのか?人格者も、やはり人の子。悩みは尽きないのだということを、今回リアルに、見せていくつもりのようだ。初回から、吉岡コトーの苦悩の表情が、満載だった。
ドラマのなかで、自転車をこぐコトー先生が、よく映し出される。元気に漕ぐシーンが多いけれど、時には、重そうに、自転車と共に、とぼとぼ歩くコトー先生も映る。この背中に、離島医療を背負うコトー先生の孤独が、伝わってくるんだよね。
絵空ごとでなく、本当にあの島に、コトー先生がいると思わせるところが、吉岡コトーの魅力です。
いつだったか黒木瞳が、お婆ちゃんの役やったんだけど、あの顔に、白髪の鬘乗っけただけで「そんなお婆ちゃんおるかい!」て思わず突っ込んでしまったです。
吉岡君が女性だったら、賠償千恵子さんみたいな「無個性の個性」と山田監督が評したような女優さんになるのかな・・。何もしなくても、そこにいるだけで、ちゃんと表現になってるというか・・・・。
繊細で自然な演技ということでは、最も個性的な俳優さんだと思うんですけど。
ナレーションに関しては、この人の右に出る人は、いないと思います。独特のかすれ声が混じる声のトーン、間、抑揚。ナレーションの仕事も増えてますね。