日本茶とお茶の間

お茶の間を復活させたい思いから、日本茶に関連する情報などを発信し、みなさまとの情報交換の場にしていきたいです。

幻の申年茶会

2016年09月05日 09時37分20秒 | 茶戸庵日記


このように穏やかに流れている時間の中で、どうしようもない事実があります。

甚大な被害を齎したいくつもの台風・・・今日は恐ろしかったあの日から5日目の朝です。

30日、私は清水町羽帯のサワラビテラスへお茶会の準備のために出かけておりました。

翌日、開かれます『申年のお茶会』のお料理の下ごしらえをする為に、万難排し意気揚々としてね(笑)。

サワラビテラスでも、社中の皆さんがお集まりになって会場を設えてらっしゃいました。

茶道具や、お花やお軸、季節のお菓子など、それはそれは素敵に取り揃えておられましたよ。

中でも、虫籠の菓子器などは始めて見るもので感激でした。

8月最後ということもあり、夏から秋への季節の移り変わりを表現されているようでした。

和やかな雰囲気のなか楽しく準備が進められていましたので、窓の向こうの雨や風もあまり気にかかりませんでした。

いつもの景色として(台風続でしたので!)心配などありませんでした。

私も午後2時頃には、だいたいのめぼしが付きましたのでお暇させて頂きました。

ひとつだけ、オクラの種を取る作業をオーナーのよしみさんにお任せしてしまいましたけれど

次のお仕事がありましたので、帰りを急ぎました。

帰リ道の裏のちいさな橋が、濁流に吸い込まれるような恐ろしい勢いのある川の流れかたでした。

普段は静かな流れで美しい清澄な川でしたので、一瞬不安にかられた事を思い出します。

まさか、翌日この様な事態になるとは・・・

サワラビテラスでは、自宅付近の橋は流され、テラスへの道は亀裂が入り分断されたと、

電話も通じず車も出せない、翌朝やっとのことで電波の通じるところまで歩いてきて連絡を下さったのでした。

主催者でもあり、オーナーのよしみさんから

「お茶会は中止にさせていただきます。」と涙の会話となりました。

「和さん、ごめんなさいね。あんなに準備してくださっていたのに・・・幻のお料理になってしまっわたね。」

まるで、夢の一部を見ているようでした。

十勝の歴史を一瞬にして変えてしまうような、台風による、大きな災害となってしまったのです。

その日、テレビニュースの映像は信じられないものでした。

どうか、復興が安全な中で進むことが出来ますよう、心よりお祈りするばかりです。



主催者のよしみさんが、私をとても気にかけてくださり労って下さいました。

ご自分のところも、甚大な被害を受けたのにも拘らず、本当にありがとうございます。

・・・和さんの幻のお料理になってしまいましたね。感謝して美味しく頂きます。・・・と

私は、添え物のモミジや山椒、笹の葉、今となっては、ただの葉っぱですが捨てられずにおります(苦笑)

今回は渾身の作、メニューだけでも記憶に留めておきたいと思います。


8月31日申年茶会・点心・おしながき

前菜・八寸5品

  蓮根のキンピラ煮・甘柑なんきん・きぬさや旨煮・粟麩の煮物・しめじの煮浸し


焼き物

  メヌキの西京焼き・付け合わせ・胡瓜の昆布〆・姫トマトチーズ寄せ


お造り

  鯛の昆布締め・添え野菜・カボス


旬菜

  ごま豆腐・じゅん菜と雲丹旨出汁がけ


揚げ物

  甘海老・しし唐・茗荷


ご飯

  枝豆ごはんとゆかり




  オクラと素麺・巻き湯葉・タラバ蟹餡  

と以上です。

試作・試食を繰り返し工夫をして仕上げたメニューでした。

中でも、先日の講習会で教わった旬菜と、椀のオクラと素麺は友人から手解きを受けたものでした。

当日は、サポートをして下さる方も見つかり、百人力の気分でおりました。

そして、最後のお仕事は我が家の紅葉やおじいちゃんの家の庭にある、飾りのための葉を摘むことでした。

今年最後に手を通す絽の着物や帯も用意され、割烹着と共に出番を待っていました。

今、振り返ってみますと、お造りに添える野菜を準備せず、床についてしまったのだなと反省しております。

当日では、焦ってかつら剥きが美しく出来たかどうか・・・やはり和さんドジです

ごめんなさいなんて思ってしまいます。

夢の中で、何度もデモンストレーションをしていましたからきっと、上手くいきましたよね。

そう信じて、今回の幻のお料理編はこの位にしておきますね。

次回は、賢治さん会で朗読させていただきました『北守将軍と三人兄弟の医者』をご披露させていただきます。

もちろん、拍手喝さい皆さんに喜んで頂きましたよ

最後までお読みくださりありがとうございます。和




☆お礼状☆

2016年08月10日 14時30分03秒 | 茶戸庵日記


残暑お見舞い申し上げます。

早いもので、行き合いの空に出合う頃になってしまいましたね。

空の上では、季節の変わり目ごとに、隣り合う季節が出合うのだそうです。

そろそろ、夏から秋へと移り変わり、地上では涼風が吹き始める季節でもあります。

今年の夏は、生涯忘れられない夏になりました。

いつだって、そう思えるのですが・・・。

相変わらずオーバーなわこさん。

そのひとつは、

以前お世話になりました会社の、お得意先でもあります千葉の木材会社会長のリクエストで、

接待の席に同席させて頂きました。(会社を退職して15年も経ちますのに

ふたつめは、

調理師専門学校、新実習室完成記念の講習会に招待して頂いたこと、

なんと東京『なだ万』料理長の講演・実習でありました。

校長ご夫妻の、日頃のご努力の賜物、感謝の気持ちいっぱいです。

いずれにしましても、わたくしにはもったいないお話でした。

嬉しくて、楽しくて、そして、人生はめぐり変わるのだななんて、もの想いにふけっていた数日間なのでした。

(ここ笑うところですよ!!反面落ち込むことも沢山あるのですもの

具体的には、長ーくなりますので割愛させていただきますが、

一生懸命に生きていると、神様がたまにご褒美をくれるのだと実感致しました。

そして、とき同じくして、友人からお茶会の天心(お食事)のリクエストがありまして、

お料理を受け持たせて頂くことになりました。

今年の干支、申年の記念のお茶会だそうで、おお猿、子猿?さんが(48歳から84歳まで)集うのだそうです。

申年のわこさん、それはもう、ひとつ返事でお引き受けさせていただきましたよ(笑)

調理実習を受講させて頂いた成果が問われそうですね。

しかし、今回は黒田料理長、斬新なお料理の数々でしたので、うまく表現出来るかどうか・・

精一杯、ご期待にそえるよう挑戦してみますね

トウモロコシ豆腐やカボチャの摺り流し等は実践できそうです。

とても、タイミングよく素敵な場所でお料理をさせて頂く事になりました。

自然茶のお茶の会では、いつもお世話になっております『サワラビテラス』さんで、お茶会なのですよ


楽しみがまだまだありまして、みっつめです。

5年越し、グループホームさんでお茶の会をさせて頂くことになりました。

8月15日、午後から100歳を迎えるおばあちゃまのお祝いのお茶の会です。

スタッフ3名でお祝いの席を、ばんばら茶から数滴のお茶まで努めさせて頂きます。

喜んで頂けるかしら、ホーム長は関先生です。

わこさん、ヘルパー2級を頂いた時のご指導の先生です。

ずっと、ご縁を頂いていまして、近藤美知絵先生のお茶の会も5年間ご参会くださいました。

やっと、関先生とのお約束を果たすことが出来ますね。

とても、嬉しいです。喜びです。感謝です。

というわけで、

わこさんの、お礼状書きには終わりが無さそうです(笑)

最後までお読みくださりありがとうございます。

合掌






シグナルとシグナレス

2016年07月09日 16時15分20秒 | 茶戸庵日記
★ルビーの季節★
水無月祓いも終え、あっという間に7月に入りましたね。7月の誕生石はルビー(紅玉)きらきら輝くルビーは和さんも大好きな宝石です。学生時代、母からもらった小さな赤い石がついた細い...






7月7日は七夕の節句。
年に一度、織姫と彦星がやっと逢える日、
子供のころは七夕祭りは大切なお願い事をする日でした。
柳の木を父が家の前に用意してくれて、お星様や短冊などキラキラ飾り付けしました。
短冊に願い事を書いて『大きくなったら・・になりたい』とか
『クレオパトラになりたい!?』なんて(笑)
お友達と声をそろえて、♪笹の葉さらさら~♪と甲高い声で歌い、
胸が高鳴ったのを覚えています。
夕立が来ると軒先に入り、じっと雨の止むのを待ちました。
北海道の七夕は、ひと月遅れの8月7日、ちょうど夏休みの最中、思い出すことが沢山あります。
暗い校庭でのカンテラ遊びや、花火大会、盆踊り、川狩りなど、外で遊ぶことばかりでした。
小さな町の小学校は、上級生も下級生も一緒でしたので、
特に夏休みは毎日がスペシャルなのです。

真夏の夜、頭上に横たわる天の川、天頂近くで織姫星(ベガ)
その下で彦星(アルタイル)がまたたき出します。
さらに、想像を膨らませると、宮澤賢治の銀河鉄道の夜へと広がります。
ジョバンニとカンパネルラ二人の銀河の旅は私たちの想像をはるかに超えてゆきます。
小さな子供を助けようとして、川の事故で帰らぬ人となったカンパネルラ。
ある夏、私の兄のお友達が川で亡くなったこと、その日真っ青な顔で家に帰った兄・・・
たくさんの思い出が走馬灯のように浮かんできます。
生きることも死ぬことも受け止めて、子供達も大きくなっていくのですね。
宮澤賢治の世界に触れて、幼い自分も現在ある自分もひとつの線で繋がってゆくようです。


さて、本日午後から、【Kenj食堂】7月例会があります。
昭和15年に作られた映画”風の又三郎”をターシャさんで観ることになっています。
(日活製作・もちろん白黒映画です)ガラスのマントがとっても楽しみですね。
例会では毎回、順番で一押しの童話や詩を朗読する時間があります。
次回は、とうとう私の順番が・・・・。
最近、あまり賢治さんの作品に触れていないので困っていますと、居合わせた方が
”シグナルとシグナレス”なんかどうですか?
生前、宮澤賢治が発表した唯一の童話作品なのだそうです。
早速、絵本を頼んでみると、大好きな新井良治さんの絵で描かれた、
とてもファンタスティックなお話なのでした。
岩手軽便鉄道(現在のJR釜石線)の列車信号機、
シグナル(男性)とシグナレス(女性)の幻想的な淡い愛のお話です。
二人の美しいファンタジーは遠く銀河の世界の入口をみることができます。
いまのわこさんに愛の世界が朗読できるのかしら!?
孫のあみりとってもひょうきん

まだまだ、深いです。そして、遠いです。賢治さんの美しくて透明な世界。
今年、生誕120年、益々魅かれてしまいそうです。(微笑)

最後までお付き合いありがとうございました。














★雨降り★

2016年05月11日 11時29分39秒 | 茶戸庵日記


久しぶりにゆっくりな時間が流れていますよ。


友人から熊本の支援の画像が送られてきておりますが、

雨の日は特に大変な事があるのでしょうね・・

健康に留意されて、無事活動ができますこと遠くより応援しております。

そして、皆様が一日も早い復旧を果たされることを心よりお祈り申し上げます。





読書に最も良い時、三余という言葉がありますが、

その中のひとつに雨降り(時の余り)があります。

今日は、時の余りのいただきもの・・・・

ゆっくりブログを書いて近況をご報告させていただきます。

5月に入りまして、新緑と共に力がみなぎる気がしますが、

すこーし抑え気味に自己を見つめたいとも思っておりました。

昨夜は、友人のイベントにばんばら茶の呈茶をさせて頂きました。

始めての自然茶に皆様どうお感じになったかしらと楽しみです。

最近は、お茶の持つエネルギーを感じる事が日々ありまして、

どっこいしょの前にお茶、お疲れさんにお茶ということなのでしょうね(笑)

手元に安心できるお茶がいつでもあるということは心強いことです。


今年も近藤先生をお迎えして、お茶の会の企画をさせて頂いておりますが、

と同時にたくさん手放さなくてはならないこともあります。

もちろん昨年から、進めてはおりましたがいよいよ、茶戸庵の自宅ショップも

一般の家庭として手直しをすることに致しました。

それは、わたくしにとりましても、歴史の1ページなわけなのです。

茶戸庵にある茶道具やマイカーもです。

今まで、一緒に頑張ってきたのですもの思い入れは相当なものなのです。

茶戸庵の歴史と共にあったのです。

皆さまからの愛情や優しさの詰ったすべてのものに感謝と敬意をもってさよならします。

特にマイカーは、深いグリーンで街の中で走っていますといつも

「和さんあそこにいたよね!」なんて言われることが多くグリーンの車=和さんでした(笑)

スピードが瞬時に出ることも、心強い大好きな車でした




おっとっと!!投稿し忘れた原稿が・・・・車は手放し茶ダメダメと神様からのメッセージ

大丈夫、大丈夫

和さんがんばっる

ふぁいと

























☆5月は爽やかに☆
今宵は満月、早や5度目。何故か満月を選んでブログを書いてる気がしますが、偶然なのですよ。なんと不思議、きっとこれも自然の流れなのでしょう。満ち足りて、完成された時間...

「美味しいお茶との出会い」

2016年04月03日 23時12分00秒 | 茶戸庵日記

 ■伝えることは生きること       家常 和

――あったかくておいちい。
まるい小さな指で湯呑をかかえた孫が、
うれしそうに私を見上げています。
このお茶と出合って2年目の頃でした。
小さな子供でも味がわかるのだ。
二歳になる孫と過ごす素敵な時間は、たくさんの発見があり、
新米の「ばあば」をいつも驚かせ喜ばせてくれました・・・。
日本茶インストラクターとなって10年が過ぎて、
現状のままでいいのかと悩みはじめたころでもありました。
自宅を開放し、お茶とお食事の店。
月に2度のカルチャー教室での日本茶の講座。
ときどき小学校等に美味しいお茶の淹れ方をお伝えする
出張講座など。活動の場を広げてはおりましたが、
お茶の美味しさ、楽しさ、感動を、
皆様にお伝えできているのだろうか。
自問自答している日々でした。
ーーー食べることは、生きること。
地産地消など、私の周囲でも、
十勝の風土を生かした生き方を、
誰もが模索し始めているような時代に入っていました。
もちろんそれは、
この大地が大好きな私にとっても大切なテーマでもありました。
しかし日本茶インストラクターの私にとりまして、
芳しい緑茶の持つ力をなんとか皆様と共に
分かち合いたいと躍起になっておりましたが、
そのような焦躁感を抱えていては、楽しくあるわけはないのです。
ただ受け売りの知識を伝えている自分が、
上滑りしているようで、お茶の持つ科学的な効能、
古代から伝えられてきた歴史など、
精神修養の場としても優れたお茶の世界からは、
むしろ遠ざかるかのような自分がいました。
それで悩みは深まるばかり、
私の欲しい答えはいったい何なのであろう。
悶々とした日々が続く中で、
友人が連れ出してくれた自然茶のお茶の会。
そこで出会った野生のお茶の一滴でした。
それは精神世界に通じるような、
中国の古典の一節に迷い込んだ、まるで
「六杯目には仙人になる」かのような目覚めのお茶でした。
その日の事がいまも鮮明に思い出されます。
その一滴のお茶は、
「お茶を楽しむ会」の近藤美知絵先生が、
自分の足で尋ね探し求めたお茶だというのです。
偶然にもお話をさせて頂いた時には、
あてどなく涙が流れ溢れてくるようでした。
止まらない涙の私に、近藤先生は仰いました。
「よく10年。頑張ってこられましたね。」
とうとう、求めていたお茶に出合えたのです。
同時に、目指す「人」ともお会いする事が出来ました。
その時。私の生きる道が見えてきたのです。
近藤先生が、20年かけて探し求めた「ばん茶」がありました。
そのお茶は、四国の山奥で、現在でも作り続けられている、
昔ながらの釜入り製法のお茶でした。
しっかりと根付いて山に自生するお茶。
小鳥たちが落としたお茶の種によって芽を出し、
深く地中に根を下ろし、深い滋味のあるばん茶なのです。
近藤先生は仰います。このお茶の雅味をひきだしてねと。
野生のばん茶は淹れ方の違いで、
様々な味を見せてくれるのです。
まるで、人の人生のように、さまざまに移り変わるようなお茶。
淹れ方次第で変化する不思議なお茶です。
ときには、薬のように土瓶で煮出したり、
可愛いポットで紅茶のように、
チャイグラスで茶葉を鑑賞しながらも頂くのも素敵です。
なんて面白くて深い、その上香しく美味しい。
それは、やっと出合った私の生きる道とつながりました。
毎日飲み続ける普段着のお茶。
ときにはパーティーにも余所いきにもなれるそんなお茶。
「山ばん茶」とでも名付けてみましょうか?
今ではこの喜びと共に、日々の暮らしがあります。
一歩づつ、皆様にお伝え出来る事を嬉しく思っております。
・・・既に5歳になった孫にも、妹が出来ました。
湯冷ましした「山ばん茶」を哺乳瓶に入れて、
赤ちゃんに飲ませてる孫の姿は、
とても、自信に満ちているようで嬉しくなるのです。




最後までお読み下さりありがとうございます。


打ち明け話を致しますと・・・


この原稿は「美味しいお茶との出会い」というテーマで書かせて頂きました。


実は、協会に投稿する予定でおりましたが日程が合わず没になってしまったものなのですよ(笑)。