初夏になるとフジ(藤)の花に人気が集まりますが、似たような花が道端や空き地などにも咲いています。
「ナヨクサフジ」や「クサフジ」です。
この花が群生しているところはフジと同様に見事なものです。
ただ、花は小さく、垂れ下がらずに上を向いているところが違っていますが、両方ともマメ科の花なので、花の様子は全く同じです。
実はこの花が咲いているのを見て、『クサフジ』だとばかり思っていました。
ところが、クサフジについて調べてみると、”現在見かけるのは外来種のナヨクサフジが多く、在来種のクサフジはほとんどない”ということでした。
それで、もしかすると見つけた花はナヨクサフジの方ではないのかと思い、両者の違いをもっと細かく調べてみたのです。
その結果、小さな違いはいくつかあったのですが、その中で分かりやすい違いを挙げると、
① 茎に毛があるのがナヨクサフジ、毛がないのがクサフジ。
② 花の付き方で、筒状のガクの先端に花柄がつくのがクサフジ、対して筒状のガクの後方横に花柄がつくのがナヨクサフジ。
この2つが分かりやすい違いでした。
見つけた花を拡大してみると、茎には毛は見当たらず、花柄は先端ではなく、花の後方についています。
そうなるとこれは「ナヨクサフジ」に決定です。
ナヨクサフジは元々日本には飼料として輸入されたもので、それが帰化したようです。
名前は『クサフジ』に似ていて、ナヨナヨした弱々しい植物だというのですが、結構繁殖力が強く、葉の先端からツルを伸ばしてどんどん伸びていきます。
とてもナヨナヨには見えません。
帰化植物というと嫌われ者が多くて、駆除の対象になるものが多いのですが、ナヨクサフジは違います。
これは家畜の飼料として人為的に持ち込まれたものだし、その他にも緑肥としても十分に役に立つ有能な植物なのです。
(緑肥とは、栽培した植物をそのまま耕して肥料にすること)
緑肥として利用するマメ科の植物には、根に『根粒菌』が付き、葉や茎には窒素分が多く含まれています。
ナヨクサフジも同様です。
だから、畑に漉きこむ土がを肥沃になって、窒素が供給されるので、作物の栄養補給に最適なのです。
学名:Vicia villosa
英名:Hairy vetch
別名:ヘアリーベッチ
科名・属名:マメ科 ソラマメ属
原産地:日本