湯宿温泉は群馬県みなかみ町にあり、『みなかみ18湯』の中の一つで、数軒の宿と共同浴場があるだけの鄙びた温泉です。
泊った宿は「大滝屋旅館」。
この宿は、”つげ義春”の漫画『ゲンセンカン主人』のモデルとなっている旅館として知られています。
でも、現在の大滝屋旅館は”つげ義春”が宿泊した時とは違って、全館がリニューアルされているので、その頃の面影は全くないようです。
この宿は普通の旅館とちょっと違っています。
それは、接骨院が併設されているのです。
『泊ったすべての人に、少しでも体の調子を良くして帰ってもらいたい』というのが宿のコンセプトになっています。
だから温泉に入り、接骨院で体を揉みほぐし、一汁三菜で控えめな食事、これをウリにしています。
宿は10程前にリフォームしたそうなのですが、すべての場所がとてもきれいになっていました。
部屋はお風呂の隣にある小さな部屋を予約したのですが、ビックリしたのがトイレと洗面所でした。
部屋の割に広いし、とてもきれいだったのです。
今まで泊ったどの宿もきれいな洗面所、トイレが当たり前でしたが、ここはそれ以上だったのです。
今回の予約はマッサージ付きのプランでしたので、宿に着いてすぐに30分間マッサージを受けました。
ご主人が施術してくれました。
体が軽くなったら次はお風呂です。
お風呂は2ヶ所あり、広い方には男性用の”のれん”、小さい方には女性用の”のれん”がかかっていたのですが、空いていればどちらに入っても良いことになっていました。
入り口の戸が開いている時は誰も入っていないので、自由にお風呂に入れます。
ここでも廊下などがとってもきれいなのに驚きでした。
大きい方のお風呂「大滝の湯」。
この宿には2つの源泉が引かれていて、左の浴槽は大滝源泉(炭酸水素塩泉)で自家源泉、この宿独自の温泉です。
右の小さな三角形の浴槽が窪湯源泉(硫酸塩泉)で、湯宿温泉のすべての宿に引かれている源泉だということでした。
もちろん源泉かけ流し、大滝源泉は適温で長く入っていられたのですが、小さい方の窪湯源泉は熱くて我慢しながら入りました。
「お風呂掃除後に高温の源泉をそのまま浴槽に流し入れ、お客様が入る頃にはちょうど良い温度になるようにしています。」と、奥様。
日本に数ある温泉の中で『三大美人泉質』といわれているのが ①炭酸水素塩泉 ②硫酸塩泉 ③硫黄泉 です。
何と、この宿にはその内の2つがあるのです。
左の浴槽の炭酸水素塩泉は美肌効果(クレンジング効果)があるとされていて、肌に水分が浸透しやすく、ツルツルになるのが特徴。
右の浴槽の硫酸塩泉は、肌を蘇生し、皮膚に皮膜がつくられ、しっとりとした肌になるのが特徴。
だから、先に左の浴槽に浸かり、次は右に入ると肌がクレンジングされ、化粧水をつけたような効果が期待できるというものなのです。
効果があったかどうかは分かりませんが、3回も入ってしまいました。
温泉の感触としては表現が難しいのですがちょっと固めのお湯、それでいて湯上がりの肌はしっとりといった感じでした。
小さい方のお風呂「「薬師の湯」。
湯宿温泉の「窪湯源泉」、こちらは硫酸塩泉です。
やはり温度は少し熱めでした。
次に食事のことです。
食事は夕食、朝食とも2階の広間に用意されていました。
大広間でもそれぞれのお客さんが見えないように配慮され、衝立が置かれていました。
夕食は上州麦豚の陶板焼きをメインに鯉の洗いのおさしみ、煮物、最後のお蕎麦、デザートまですべて手作り料理でした。
奥様が一品一品の料理の説明もしてくれました。(写真は撮り忘れてしまいました(_ _))
宿のコンセプト通りの一汁三菜の控えめな食事でしたが、どれもとても美味しく、年寄りにはちょうど良い量だと思います。
豪華な料理を期待されている人にはちょっと物足りないかもしれません。
でも、予約時にはこのプランを提示されていますから・・・
今回、温泉に入りたくて急に思い立ってこの宿を決めたのですが正解でした。
マッサージまでついているのにリーズナブルなこと、気持ちの良い温泉、控えめで美味しい食事など、すべて満足しました。
交通の便も悪くないし、宿の方針に共感する人であればオススメかもしれません。