Blog of 俺 by 俺 for 俺

自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

親友の死に人誅をくだすリベンジ映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』

2021年07月22日 21時16分56秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:23/146
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
スリラー
復讐
レイプ事件

【あらすじ】
30歳を目前にしたキャシー(キャリー・マリガン)は、
ある事件によって医大を中退し、
今やカフェの店員として平凡な毎日を送っている。
その一方、夜ごとバーで泥酔したフリをして、
お持ち帰りオトコたちに裁きを下していた。

ある日、大学時代のクラスメイトで
現在は小児科医となったライアン(ボー・バーナム)がカフェを訪れる。
この偶然の再会こそが、
キャシーに恋心を目覚めさせ、
同時に地獄のような悪夢へと連れ戻すことになる……。

【感想】
これは面白い。
いい歳したビッチの話かと思いきや、
レイプ事件を苦に自殺した友人の仇を取る話だなんて。

いじめたやつらがのうのうとその後の人生を
平和に生きていることに対する制裁という意味では、
共感もしやすいし、
オリンピック関連のニュースを見ていると、
ちょっとタイムリーな内容かなとも思った。

今回の映画、
復讐開始前と後では話が大きく変わるんだよ。
最初は、キャシーがクラブで泥酔したフリをして、
お持ち帰り"させてる"んだけど、
そこでは男たちのクズっぷりが露呈されている
(これも復讐の前フリなんだけど)。

意識が朦朧としている(フリをしている)
キャシーをうまく丸め込んでお持ち帰りし、
セックスに持ち込もうとする男の多さときたら。
彼女は手帳にカウントしてたけど、
1ページあたり120人いて、
何ページかありそうだったから、
少なくとも200人以上はそういう男がいそうだったな。
で、彼女がシラフだと知ると
急にビビって逃げ出すみたいな、
何ともダサい描かれ方。

その後、キャシーがライアンと再会したことで、
物語の方向性が変わる。
彼から他の旧友の近況を聞いて、
ついに復讐を実行することを決意するから。

それは、親友だったニーナの仇。
ニーナは同じ医学部で前途有望だった女性。
ところが、彼女は酒を飲まされ、
意識が朦朧としている中で性行為をさせられ、
しかもそれが動画に残ってるという、
かつてのスーフリ事件みたいなことの被害者。

その事件をきっかけにニーナは退学し、
やがて自殺してしまう。
彼女を支えるため、
親友のキャシーもいっしょに退学したというわけ。

ニーナがそんな辛い目に遭いながらも、
加害者たちは何事もなかったかのように
平和で成功した人生を歩んでいるのが、
キャシーには許せなかったんだよね。
それがこの映画の見どころ。
昔の過ちに対する罰は当然なんだけど、
加害者がのうのうと楽しそうな人生を送っていることへの
怒りとかやるせなさを感じさせてくれるところが
作品として面白い。

「された」側はずっと覚えているから。
軽度の「いじり」だろうが何だろうが、
不快に感じたことは一生忘れない。
何年経った後でも、
そういうのは一生ついてまわることを知らしめたこの映画は、
いろんな人に観て欲しいなと思う。

また、終盤のキャシーのセリフがすごく心に残るんだよね。
「事件があった後から、
 ニーナにアンタの名前(加害者のアル)がついてまわるようになったけど、
 アンタにこそニーナの名前がついてまわるべきだ」
みたいなやつ。

これ、それまでニーナはニーナだったのに、
事件後、きっと「アルとヤッたニーナ」みたいに言われたんだろうな。
でも、「ニーナを殺したアル」と、
彼にも一生自らの行いを背負わせるみたいなところは、
とても印象的だった。

日本だったらスーフリがわかりやすいけど、
今話題の小山田圭吾という方の件も彷彿とさせるから、
ある意味タイムリーだなとは思う。

それにしても、キャシーは年齢の割にずいぶん私服が若くて、
ちょっと違和感あったんだけど、
これはニーナが亡くなったタイミングで、
彼女の中で時間が止まったとか、
そういう設定なんだろうか。

映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』公式サイト | 2021年7月16日(金)公開

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映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』公式サイト | 2021年7月16日(金)公開

 

灯台守の2人の男が閉塞感ある環境で正気を失っていくホラー『ライトハウス』

2021年07月22日 15時45分04秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:134/145
   ストーリー:★★☆☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★☆☆☆
映画館で観るべき:★☆☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ホラー
スリラー
バイオレンス
スプラッター
灯台
人魚

【あらすじ】
1890年代、ニューイングランドの孤島に
2人の灯台守がやって来る。
彼らにはこれから4週間に渡って、
灯台と島の管理を行う仕事が任されていた。

だが、ベテランのトーマス・ウェイク(ウィレム・デフォー)と
未経験の若者イーフレイム・ウィンズロー(ロバート・パティンソン)は、
そりが合わずに初日から衝突を繰り返す。

険悪な雰囲気の中、
やってきた嵐のせいで2人は島に孤立状態になってしまうが……。

【感想】
A24ってことで期待はしたけれど、、、
ホラーとは言うものの、
ホラーなのかって言いたくなるぐらいには
謎めいた映画だった。

これは2人の灯台守の男が、
任期を終えて帰ろうとしたら、
嵐のせいで迎えの船が来ず、
そのまま取り残されてしまうという設定。
そこから、だんだん正気を失っていき、
とんでもない悲劇につながるというものだ。

まず、正気を失う理由がよくわからなかった。
とてつもなく狭いキューブの中に閉じ込められたり、
行動が著しく制限されている状況ならわからなくもない。
しかし、ここは狭いとは言え、一応島だ。
男2人が住むには十分すぎる広さだし、
外に出れば広い海が広がっている。

まあ、取り残されたことで食糧がなかったり、
ゆーても古く汚い場所なので、
快適に過ごせるわけでもない。
おまけにトーマスは、
雑用をすべてウィンズローに任せるという横暴さがあるので、
ウィンズローからしたらストレスフルに違いはないのだけど。。。
とはいえ、正気を失うほどかなとは思う。

あと、トーマスが頑なに灯台のてっぺんに
ウィンズローを入れさせないのもわからなくて。
「この灯りは俺のもんだ!」と、
まるで子供がおもちゃを独り占めするかのような言い草。
おそらく、トーマスはベテランがゆえに、
ここは自分の縄張りという意識が強く、
新参者を入れたくなかったんだろうと推測。

すべてが意味ありげに見えて、
ほとんど意味がないっていうのが、
この映画の特徴かな(笑)

ただ、この映画、
ものすごく豆知識が多い。
公式サイトに「徹底解析ページ」が用意されてるほど。
まあ、公式でそんなのを用意するぐらいには
難解っていうことでもあるんだけど(笑)

本作は、実際に1801年に起こった
「スモールズ灯台の悲劇」という事件を元にしているよう。
さらに、過去の様々な作家や画家、
映画などの影響を受けており、
その要素もちょいちょい入れ込んでいるようなのだ。

とはいえ、結局、撮影裏話的な域は出ず、
「なるほど!そういう話だったのか!」と、
ストーリーへの理解が深まるわけではないかなー。
もう「こういう映画である」と受け入れるしかないね。

また、画面のアスペクト比も正方形で、色も白黒、
昔の映画を意識した作りなので、
これも好みが分かれるかもしれない。

それにしても、ウィンズローが灯油を飲むシーンがあるんだけど、
飲めるもんなの、、、?
実際の撮影もかなり泥酔してやってたらしいけど、
いろいろ常軌を逸した内容であることに変わりはない(笑)

映画『ライトハウス』公式サイト|7月9日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

謎めいた孤島で灯台守達が見たものは? 恐ろしくも美しい、A24が放つ傑作スリラー

映画『ライトハウス』公式サイト|7月9日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

 

望まぬ妊娠をした少女の苦悩と中絶を描いた『17歳の瞳に映る世界』

2021年07月22日 12時28分46秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:63/144
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
ロードムービー
未成年の妊娠
中絶

【あらすじ】
ペンシルベニア州に住むオータム(シドニー・フラニガン)は、
愛想がなく、
友達も少ない17歳の高校生。
ある日、オータムは予期せず妊娠していたことを知る。

ペンシルベニア州では、
未成年者は両親の同意がなければ
中絶手術を受けることができない。
同じスーパーでアルバイトをしている、
いとこであり唯一の親友スカイラー(タリラ・ライダー)は、
オータムの異変に気づき、
2人で事態を解決するため、
ニューヨークへ向かう……。

【感想】
題材的に男性目線で迂闊なことは言えない映画。
だけど、あくまでも作品としては興味深く、
引き込まれる世界観だった。

全体的に暗く、静かで、
淡々と進んでいくので、
そこにロマンチックさやドラスティックさはないのだけれど、
本作はいろいろリアルというか、
生々しいのが特徴的。

例えば、妊娠検査薬を使うところも、
日本のドラマや映画だったら、
トイレに入るところと出てくるところしか描かないけれど、
本作では採尿のところまできっちり描く。
また、「中絶は胎児に対する暴力だ」という啓蒙ビデオを見せたり、
中絶手術の方法まで細かくセリフとして言ってしまうところは、
ある意味学びにもなる。
オータムが体調を悪くして吐いたり、
出血したりする描写もあるから、
より妊娠や中絶の苦悩や体への負担というものが伝わってくる。

そういうのが、この映画を見ごたえあるものに見せていると感じるんだよね。
若い子の望まぬ妊娠からの中絶っていうのは、
作品としては過去にもあっただろうけど、
単にその苦労や疲労を描くだけだと、
ありきたりすぎて退屈なものになってしまったかもしれない。

ただなー、邦題がちょっと微妙な気がして。。。
原題は"Never Rarely Sometimes Always"。
これ、オータムが手術前に受ける問診の回答の選択肢なんだよね。
この映画、一貫して、
妊娠させた相手については言及していないんだけど、
勘のいい人なら気づくと思うし、
上記の問いで、
彼女がどんな状況だったかも察することができる。
そういう意味で、この映画のタイトルの肝になる部分。

『17歳の瞳に映る世界』だと、
オータムの目を通して見た世の中全般っていう印象を受けがちだけど、
そういう感じでもなかったんだよな。
あくまでも、彼女自信の中絶の話で、
メインはオータムといとこのスカイラー、
あとは移動中に知り合った男の子がちょろっといるぐらいだから。
"世界"ってほど広くはない。
だから、あんまりタイトルに引っ張られて欲しくないってのはある。

日本だとこういう映画、最近見ないなー。
少なくとも最近は。
これは、日本は性教育が遅れていると言われていることと
関係がないとも言い切れないと思う。
今はどちらかと言うと、
ある程度年齢を重ねてからの出産を扱った作品の方が散見されるかなー。

海外と比べて、
日本の未成年の性行為がどうだかってのはわからないけど、
男女問わず若い子は観てもいい映画かも。

『17歳の瞳に映る世界』公式サイト 7月16日TOHOシネマズ シャンテほか全国公開!

『17歳の瞳に映る世界』公式サイト 7月16日TOHOシネマズ シャンテほか全国公開!