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不条理さと悲しさと力強さと『レ・ミゼラブル』

2020年03月26日 21時44分44秒 | 映画


鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:13/55
Rotten Tomatoes満足度:84%
⠀ ⠀ ⠀ 衝撃😳:★★★★☆
⠀ ⠀ 悲しみ😢:★★★☆☆
社会的意義🧐:★★★★☆

これは強烈。
あのジャン・バルジャンで有名な『レ・ミゼラブル』と同名のタイトルだけど、
中身はまっっったく別物。
荘厳なミュージカルなんて冗談じゃない。
パワフルでバイオレンスで悲しい映画だ。
そして、衝撃のラスト。。。

舞台はパリ郊外にあるモンフェルメイユ。
『レミゼ』と同じ街が舞台なのだけど、
いまや移民や低所得者が多く住む危険な犯罪地域。
犯罪防止班に新しく入った警察官のステファン(ダミアン・ボナール)は、
仲間とパトロールをするうちに、
複数のグループ同士でいざこざがあることを察知。
そこに、イッサ(DA PUMPじゃないよ)という少年が
ライオンの子供を盗んだことがきっかけとなり、
事態は取り返しのつかない方向へと発展していくという話。

マフィアではないけれど、いくつかのグループが
お互いに不満を持っているのは明らかな状態の中で、
一番ヤバイのはステファンの同僚であるクリス(アレクシス・マネンティ)。
警察という立場を盾にやりたい放題。
「俺が法律だ!」と大声で叫び、
ちょっとでも怪しいやつがいたら即詰問。
令状の有無なんて関係なし。
こんな国家権力ありかよ、、、と思ってしまうが、
場所が場所だけに強気な態度じゃないと
こっちがやられてしまうというのも理解はできる。
とはいえ、やりすぎであることは否めない。。。

さらに、ラスト30分の息を飲む展開は圧巻。
闇が爆発した子供たちの、若いからこそ止めどころがわからない
という恐怖を目の当たりにする。
ある意味、大人よりも残酷だった。。。

この映画、実話を元に作られているんだよね。
実際に監督はあのような環境で育ったと。

パリと言えば美しくオシャレな街という印象が強い。
『パリの恋人』という映画にもあったように、
オードリー・ヘプバーンの顔も思い浮かぶ。

しかし、ちょっと郊外に行くと、貧困や移民の問題に直面し、
そこに暮らす人々の政治や社会に対する鬱憤が渦巻き、
常にストレスを抱え、暴力や怒りでしか主張できないような世界が広がっているんだ。。。

いろいろ考えさせられることが多い良質の映画だと僕は思う。

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