【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:73/202
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆
【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
事実ベース
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争
スレブレニツァの虐殺
【あらすじ】
ボスニア紛争末期の1995年7月11日、
ボスニア東部の街スレブレニツァがセルビア人勢力の侵攻によって陥落。
避難場所を求める2万人の市民が、
町の外れにある国連施設に殺到した。
国連保護軍の通訳として働くアイダ(ヤスナ・ジュリチッチ)は、
夫と2人の息子を強引に施設内に招き入れるが、
町を支配したムラディッチ将軍(ボリス・イサコヴィッチ)率いるセルビア人勢力は、
国連軍との合意を一方的に破り、
避難民の“移送”とおぞましい処刑を開始する。
愛する家族と同胞たちの命を守るため、
アイダはあらゆる手を尽くそうと施設の内外を奔走するが――。
【感想】
これは辛い映画だった。。。
主人公がこれでもかってぐらい
絶望の底に陥れられるから。。。
第二次世界大戦後のヨーロッパにおいて
最悪の紛争とされているボスニア・ヘルツェゴビナ紛争。
セルビア人による武力行使により、
街を出ていかざるを得なくなった市民たち。
その数およそ2万人。
しかし、国連施設には4,000~5,000人ほどしか入れず、
それ以外はずっと外で待機。
その間、食料もトイレもない。
後ろでは、いつセルビア人が襲ってくるかもわからない。
そんな状況の中、
通訳者のアイダは事態を解決しようと奔走するが、
国連軍は大して役に立たず、
国連本部からの支援もなし。
絶体絶命に近い状況だった。
一時、交渉という名の一方的な決定事項を
セルビア人勢力から提示されるも、
その内容すらも破られ、
国連軍側もお手上げ状態だったのだ。
この映画では、とにかくアイダというキャラクターそのものが一番の注目ポイント。
自分の家族だけでも救おうと、
鬼気迫る表情となりふり構わない行動力で、
できることすべてを絞り出すようにやっていく姿は、
頼もしい反面、
ものすごく煙たがられそうだから。
それだけ家族を愛し、
自分の命よりも彼らを救いたい
という気持ちが強かったことの表れだけど。
結局、避難民の多くは
「セルビア軍が管轄する安全な場所へ移動」させられる。
身の安全を謳ってはいたものの、
実際にそこで待ち受けていたのは、
目も当てられないほどの悲劇だった。
アイダのあらゆる行動が一切報われない惨さは、
今年観た映画の中でも一番の衝撃だ。
ネットでざっと調べた程度だけど、
実際にこの紛争では"民族浄化"という行為が行われていたとのこと。
これは、多民族国家において特定の民族を排除することを指す。
対象を虐殺、強姦、強制収容などで、
その地域から退去せざるを得ない状況に追いやるようだ。
特に女性の扱いはひどく、
強姦を繰り返され、
妊娠中絶が不可能になってから
解放されることもあったそう。
特定の民族を"血"から根絶させたり、
異民族の子を妊娠・出産させることで
屈辱を与えたりっていう理由からだろうか。。。
今同じことが行われている地域もあるんだろう。
考えただけでも心が痛む。
このボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を扱った映画は、
ウィキペディアで調べたところ、
本作を含めて25作品もあった。
それだけ、映画化してこの紛争の惨さを伝えたい
と思う人が多かったということだろう。
機会があったらすべて観てみたい。
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