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テフロンによる健康被害で、現代に至るまで20年以上も巨大企業と戦う1人の弁護士を描いた『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』

2021年12月27日 22時22分18秒 | 映画

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:55/273
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【要素】
サスペンス
弁護士
集団訴訟
法廷

【元になった出来事や原作・過去作など】
・記事(ニューヨーク・タイムズ紙)
 “The Lawyer Who Became DuPont’s Worst Nightmare”

【あらすじ】
1998年、オハイオ州の名門法律事務所で働く
企業弁護士ロブ・ビロット(マーク・ラファロ)が、
見知らぬ中年男から思いがけない調査依頼を受ける。

ウェストバージニア州パーカーズバーグで農場を営むその男、
ウィルバー・テナント(ビル・キャンプ)は、
大手化学メーカー、
デュポン社の工場からの廃棄物によって土地を汚され、
190頭もの牛を病死させられたというのだ。

さしたる確信もなく、
廃棄物に関する資料開示を裁判所に求めたロブは、
“PFOA”という謎めいたワードを調べたことをきっかけに、
事態の深刻さに気づき始める。
デュポンは発ガン性のある有害物質の危険性を40年間も隠蔽し、
その物質を大気中や土壌に垂れ流してきたのだ。

やがてロブは、
7万人の住民を原告団とする一大集団訴訟に踏みきる。
しかし、強大な権力と資金力を誇る巨大企業との法廷闘争は、
真実を追い求めるロブを窮地に陥れていくのだった……。

【感想】
これは濃厚!
これは面白い!
巨大企業 vs 1人の弁護士という対立構造。
しかも、実話ベースかつ現在も続いている話なので、
とてもリアリティがある法廷映画だった。

◆身近なテフロンによる環境汚染

キッチン器具に使われていることで有名なテフロン加工。
フライパンが焦げつかないアレです。
それを開発したデュポン社は、
規模は世界第4位・アメリカで第2位という
超巨大な化学メーカー(2017年時点)。

そのテフロンの製造過程で使用する
ペルフルオロオクタン酸による健康被害が今回の争点。
様々な癌や大腸炎など、
6種類の病気との相関性が認められているけど、
大気や地下水にも垂れ流され、
被害の影響は計り知れない。

◆敵対するクソみたいな巨大企業

こういう映画だと、
とにかく巨大企業の悪さが目立つけれど、
今回もクソっぷりがすごい。
従業員の健康を害し、
生まれてくる子供も奇形児。
そういった被害があることを認識しつつも、
利益のために製造はやめず。

原告側の言い分が認められ、
第三者による新たな科学調査を行い、
デュポンの垂れ流した化学物質と病気の相関関係が認められれば、
医療保証することにも同意したものの、
7万人近い血液サンプルの調査には実に7年の時間も要した。
その間に亡くなってしまう人ももちろんいる。

その結果、
調査完了時点で3535人が
すでに何かしらの病気にかかっていることが判明するんだけど、
その後にとるデュポン社の対応がマジクソ!
どこまでいっても、
原告や被害者たちの心を折ろうとする
卑劣なやり口に苛立ちしか感じなかった。

◆地道に戦う弁護士を演じるマーク・ラファロの役どころはまさにヒーロー

マーク・ラファロといえば、
マーベルのハルク役で有名だけど、
実際の彼は環境活動家としての顔も持っているそう。

そんな彼が演じた弁護士は、
ロバート・ビロットという実在する人物。
資料開示請求を出せば、
100箱以上はあるんじゃないかというダンボールの山が届く中、
1人で黙々と証拠集めに奔走する。

仕事に没頭しすぎるあまり、
妻からは愛想を尽かされてはいるものの、
その気になれば何でも潰せる巨大企業に、
自らのキャリアを顧みずに真っ向から勝負を挑む姿は
まさにヒーローそのもの。

デュポン社とは徹底抗戦することを決め、
最初の訴訟から20年以上経つ今も戦い続けているらしい。

◆そんなわけで

水俣病を扱った『MINAMATA-ミナマタ-』(2020)に似た状況の内容で、
シリアスかつダークな雰囲気だけど、
強い信念を持って、
巨大企業に挑む1人の弁護士の姿は
胸を打つものがあるのでオススメ。

 


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