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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

あのシンデレラのその後を現代風に描いた『哀愁しんでれら』

2021年02月05日 22時20分35秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:13/19
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【以下の要素が好きなら楽しめるかも】
サスペンス
子育て
サイコ家族
シンデレラのその後

【あらすじ】
児童相談所で働く小春(土屋太鳳)は、
自転車屋を営む実家で父と妹と祖父と4人暮らし。
母に捨てられた過去を抱えながらも、
幸せでも不幸せでもない平凡な毎日を送っていました。

しかしある夜、
怒涛の不幸に襲われ一晩ですべてを失ってしまいます。
そんな彼女に手を差し伸べたのが、
8歳の娘・ヒカリを男手ひとつで育てる開業医の大悟(田中圭)。

優しく、裕福な大悟は、まさに王子様。
「ただ幸せになりたい」と願う小春は、
出会って間もない彼のプロポーズを受け入れ、
不幸のどん底から一気に幸せの頂点へ駆け上がりました。

シンデレラの物語ならここで"めでたしめでたし"。
しかし小春の物語はそこでは終わりませんでした……。

【感想】
土屋太鳳、アリスの次はシンデレラです(アリスまだ観てないけどw)。

王子様と結婚したシンデレラの
"その後"を現代風に描いたサスペンス映画。
全体的に悪くはないんだけど、
ラストが賛否分かれそうだなという内容だった。

シンデレラの話は多数のバリエーションが存在するけど、
大まかには継母たちにいじめられていたシンデレラが紆余曲折を経て、
最後には王子様と結婚するという話。
そこで終わっているので、
その後の話に関しては、
解釈はいかようにも可能だ。

今回は、いろんな不運な事故が重なった主人公が、
イケメンで金持ちの開業医と結婚するという設定。
しかし、幸せになれると思って選んだ道だけれど、
気づいたらその選択は誤っていたんじゃないか
と思わせるところがいかにも現代らしい。

肝心の王子様一家がとんだサイコ野郎ってのがその理由だけれど、
金と地位と表面上の人柄に惹かれて、
出会ってすぐに結婚したらそりゃそうなるだろとは思う。
劇中で小春の友達が言ってた
「足のサイズしか知らないのに結婚して大丈夫?」
というシンデレラの意思決定に疑問を呈しているのはごもっともだ。

でも、印象的なのはその後の展開。
今作はモンスターペアレンツの要素も入れ込んでいるんだけど、
あんなに自分はこの家族とは合わないかもと思っていた小春が、
だんだん染まってくるんだよ。
朱に交われば赤くなるとはまさにこのこと。

今日、舞台挨拶中継付きの回に行って、
そこで土屋太鳳や監督の方もおっしゃっていたけれど、
「同じ場所に居続けることによって、最初に感じていた違和感や痛みに慣れてしまう」
っていうのがうまく描かれていると思った。

ただ、ラストがな~。
唐突だし、ちょっと意味わからなかったかな。。。
自らの正義を貫き通すためとはいえ、
そこまでする?って。

こういうのは洋画の方がうまい気がする。
きっかり白黒つけるか、大どんでん返し出してくるから。

なので、設定はわかりやすいし、
シンデレラのひとつの可能性としてはアリだとは思いつつ、、、
キャラクターのサイコ感や小春の人格の移ろいは
ちょっと弱かったかなと僕は感じた。
なんか、なんか、惜しい!っていう(笑)

てか、山田杏奈すごいね、最近出まくりで。
今やってる映画でも、これに加えて、
『名も無き世界のエンドロール』と『樹海村』に出てるし、
ドラマもテレ朝の『書けないッ!?』に出てる。
マジで引っ張りだこ。

あと、子役の子がね、すごいのよ。
COCOっていうファッションインスタグラマーらしいんだけど、
これが映像作品初出演なのに、
劇中の演技はうまいし、
舞台挨拶の受け答えはしっかりしてるし、
おじさんびっくり(笑)

映画「哀愁しんでれら」

シアワセすぎる。 なぜこの真面目な女性は、社会を震撼させる凶悪事件を起こしたのか。幸せ?不幸せ?価値観が乱高下する! 禁断の“裏”おとぎ話サ...

映画「哀愁しんでれら」

 

中村アンの役どころが必見な『名も無き世界のエンドロール』

2021年02月04日 21時47分12秒 | 映画


『名も無き世界のエンドロール』

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:13/18
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【以下の要素が好きなら楽しめるかも】
サスペンス
イケメン
イケメン
イケメン

【あらすじ】
複雑な家庭環境で育ち、
さみしさを抱えて生きてきた
キダ(岩田剛典)とマコト(新田真剣佑)は幼馴染み。
そこに同じ境遇の転校生・ヨッチ(山田杏奈)も加わり、
3人は支え合いながら大切な仲間となった。
しかし20歳の時、
訳あってヨッチは2人の元から突然いなくなってしまう。

そんな彼らの元に、
政治家令嬢で、芸能界で活躍するトップモデルのリサ(中村アン)が現れる。
リサに異常な興味を持ったマコトは食事に誘うが、
まったく相手にされない。
キダは「住む世界が違うからあきらめろ」と忠告するが、
マコトは仕事を辞めて忽然と姿を消してしまう。

2年後。
マコトを捜すために裏社会にまで潜り込んだキダは、
ようやく再会を果たす。
マコトはリサにふさわしい男になるために、
死に物狂いで金を稼いでいた。
マコトの執念とその理由を知ったキダは、
親友のために協力することを誓う。
以来、キダは〈交渉屋〉として、
マコトは〈会社経営者〉として、
裏と表の社会でのし上がっていく。

そして、迎えたクリスマス・イブの夜。
マコトはキダの力を借りてプロポーズを決行しようとする。
しかしそれは、10年もの歳月を費やして2人が企てた、
日本中を巻き込む“ある壮大な計画”だった。

【感想】
イケメン2人が織りなすサスペンス映画ということで、
『さんかく窓の外側は夜』と似た構図ではあった。
「世の中にはこんなにも恵まれたお顔を持った殿方がいるんだーうやらまー」
と微笑ましくなる感じが(笑)
そう、なのでお話として面白いかというと、、、
正直そこまでかなーと個人的には思う。
なお、原作小説は未読。

「ラスト20分が肝」という触れ込みの映画で、
まあ確かにその通りではある。
でも、そう言われたら「大どんでん返しでもあるのでは?!」
と期待してしまうのが普通で、
そういう意味だと、なんとなく予想はできてしまうから、
インパクトはちょっと弱いかな。

ただ、キダとマコトが仕込む「ある壮大な計画」は、
その動機となる出来事は十分腑に落ちるものだし、
意外にも(と言ったら失礼だけどw)彼らの積年の怒りに震える演技はよかったので、
そこはよかったと思う。
岩田剛典も新田真剣佑も、
これまでのドラマや映画において、
そこまで怒りに満ちているのってあんまりなかったから、
新鮮に感じるんじゃないかな。

でも、今回一番印象的なのは、中村アンの役どころ。
これまでの彼女って、ざっくり言ってしまえば、
“いい人”に分類される人柄で、
好感が持てるキャラが多かった。
それがこの映画ではね、
「クソ・オブ・クソ」みたいな感じだから、
もうびっくりでw
マジ嫌いになるわwww

あと、ひとつ気になるところと言えば、キャラの年齢。
同級生という設定だけど、
山田杏奈は20歳、新田真剣佑は24歳、岩田剛典は31歳なので、
まあ同級生に見えなくはないけど、、、
ちょっと無理があるかな(笑)

ちなみに、これdTVで映画の続きを独占配信してるんだけど、
なかなか挑戦的な戦略だなと思う。
だって、この映画が面白くなかったら絶対観ないじゃんっていう。
まあ、この作品にそれだけ自信があるということの裏返しかもしれないけど。
実際、どれぐらい新規会員増えているんだろう。
映画館、メッチャスッカスカだったけど。
『花束みたいな恋をした』はあんなに人であふれ返っていたのに。

まだ前日譚の方がいいと思うんだよなー。
映画の前に予習する気になるし、
映画がつまらなくても、
そこに至る経緯は知りたいと思うから。

映画「名も無き世界のエンドロール」大ヒット上映中

岩田剛典×新田真剣佑 初共演。表と裏、異なる世界に身を置く二人が命懸けで仕掛ける一世一代の“ある計画”。誰もが胸を打たれる衝撃のエンドロール...

映画「名も無き世界のエンドロール」公式サイト

 

誰もが経験してそうなありきたりな日常が、ここまで胸を打つ物語に昇華させられることに脱帽した『花束みたいな恋をした』

2021年02月01日 21時43分35秒 | 映画


『花束みたいな恋をした』

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:4/17
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が好きなら楽しめるかも】
ラブストーリー
奇跡的な出会い
趣味が全部合うカップル
マンネリ化
すれ違う2人

【あらすじ】
東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことから
偶然に出会った山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)。
好きな音楽や映画がウソみたいにいっしょで、
あっという間に恋に落ちた麦と絹は、
大学を卒業してフリーターをしながら同棲を始める。

近所にお気に入りのパン屋を見つけて、
拾った猫に2人で名前をつけて、
渋谷パルコが閉店しても、
スマスマが最終回を迎えても、
日々の現状維持を目標に2人は就職活動を続けるが……。

まばゆいほどの煌めきと、
胸を締め付ける切なさに包まれた〈恋する月日のすべて〉を、
唯一無二の言葉で紡ぐ忘れられない5年間。

これはきっと、"私たち"の物語。

【感想】
とあるカップルの出会いから別れまでを描いた、
何の変哲もないラブストーリーなんだけど、、、
ここまで面白いとは。。。
もうね、脚本が素晴らしすぎる。
スーッと頭の中に入ってくる流れるようなストーリー展開。

物語の設定が斬新だとか、ド
ラマチックやロマンチックに振り切っているとか、
そういうのじゃないんだよ。
むしろ、淡々と進む日常の物語で、
テーマとしては「環境が変わることで、関係性も変わる」というもの。
そんな当たり前のことを描いているだけなんだけど、
その当たり前を、共感と憧れを絶妙なバランスで配分しているから、
いい人間ドラマになる。

今回、2人の出会いはほとんど奇跡のようなもので。
サブカルの趣味が全部合うという、
何かのオタクである人ならば理想とするようなカップリング。
そんな神がかったカップリングなのに、
わざとらしくなく描き切っているのがすごいなと。
これは、菅田将暉と有村架純の演技ももちろんあるんだけど、
ベースとなる関係値の土台が自然に見えるように作られているからだと思う。

その土台があるからこそ、
ちょっとした日頃のあるある(「イヤホンって絡まりますよね」とか)も、
2人の距離を縮める要素に成り得ている。
それらが密集することで、
なんてことない日常が深いドラマになっていくっていうのが、
脚本を書かれた坂元裕二さんの技術力なんじゃないかなーって感じる。

また、ひとつの事象を2人それぞれの視点で語るシーンがあるのも面白いところ。
その捉え方の差がね、最初は全然ないのに、
だんだん違うことを言ってくるっていう変化も、
2人の関係性の終わりを意識させてソワソワする。

しかも、いいセリフが多いのよ、この映画。
「社会性と協調性は才能の敵」
「一度別れを意識しちゃうと、かさぶたみたいに剥がしたくなってくる」
「はじまりは、終わりのはじまり」
みたいに、「うわー、メッチャわかるわー」っていうのが随所に散りばめられているのも見どころ。

終わり方も『東京ラブストーリー』のラストっぽいのが、
あのドラマを観た人なら懐かしくも感じるだろうなー。
今日の観客、めずらしく若い人多かったけど、
今の若い人から見た菅田将暉や有村架純って、
昔僕が見てた織田裕二や鈴木保奈美なんだなって思うと感慨深い。

あと、現実世界にあるものをたくさん入れ込んでいるのも、この映画の魅力。
押井守やさわやかのハンバーグ、『ストレンジャー・シングス』、
『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』、『パズドラ』など、
登場人物たちも現実世界の人々と同じようにそれらに触れ、
ハマッてるというのがリアルさを感じられる部分。

麦が忙しさのあまり、
好きで読んでた漫画も途中で止まり、
昔読んだ本の内容も忘れ、
「もうパズドラしかする気が起きない」って言ってるのも現代っぽくてよかった。
そういう時事性って、“今"を生きている観客からはリアリティを感じるし、
後になって観ても時代性を感じてノスタルジーに浸れるからいいよね。

いろいろ書いたけど、
“何の変哲もないラブストーリー"を
"共感と憧れのバランスが絶妙な深い人間ドラマ"
へと昇華させているこの映画、
普通に面白いのでオススメ。

映画『花束みたいな恋をした』公式サイト

主演:有村架純、菅田将暉、脚本:坂元裕二、監督:土井裕泰 大ヒット上映中!

映画『花束みたいな恋をした』公式サイト