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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

史上稀に見る邦題&ポスター&予告詐欺感否めなかったけど、映画に流れる雰囲気は悪くなかった『スクールガールズ』

2021年10月10日 19時52分33秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:182/211
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
学園モノ
修道院
思春期

【あらすじ】
1992年、バルセロナオリンピック開催に湧くスペイン。
サラゴサの修道院に通う、
母親と2人暮らしの少女セリア(アンドレア・ファンドス)。
バルセロナからやってきた大人びた転入生のブリサ(ソエ・アルナオ)の影響で、
新しい音楽、新しい遊びを知り、
クラスメイトのクリス(ジュリア・シエラ)の姉たちともつるむようになる。

しかし、いつもの仲間とのゲーム中、
ブリサに掛けられたある言葉をきっかけに、
セリアは母親が決して話そうとしない真実に向き合うことになる。

【感想】
観終わった後、「え?」って。
いや、映画の予告とかって、
いかにミスリードを誘うかみたいな話、
『ポンポさん』でもあったけどさ。
これは、、、ちょっと。。。(笑)

このポスター見てごらんよ。
あどけない少女たちが慣れないメイクをして
かましてくる反抗的な目つき。
彼女ら、高校生ぐらいに見えるけど、
年齢的には日本でいう小~中学生だからね(笑)
本当に外人は年上に見えるという点で年齢不詳だけど。

で、『スクールガールズ』っていう邦題。
このポスターと併せて見ると、
なんか『ゴシップガール』感あるじゃん。

そして、予告では性的な話もあれば喫煙シーンもある。
「さては、思春期女子たちによる洋画特有の青春はっちゃけムービーか!」
と期待もしたくなるよね。

ところがどっこい。
蓋を開けたら、、、「え?」って。
確かに思春期女子たちが性の話にキャッキャしてるシーンはある。
小5男子みたいな感じで。
母親の部屋で見つけたコンドームで遊びながら。
隠れてタバコ吸ったり、
クラブに行ってナンパされたり、
そういうシーンもある。
ああ、男子のこういう映画はよくあるけど、
女子は女子でこういうことするんだなって思う。

でも、それだけ。
そのシーンを踏まえて何かあるかといったら、
何もない。
好きな男子ができるわけでも、
誰かが犯罪に巻き込まれるわけでも、
大人の階段を上る楽しさと後悔が描かれているわけでもない。

前半は子供たちメインだけど、
後半はセリアの母親を交えて、
家族の秘密に迫る。
なぜセリアには父親がいないのか。
街ではセリアの母親は娼婦ではないかという噂が流れているが本当なのか。
セリアは敏感にそれを感じ取る。
彼女の母親も何か隠してはいるけど、
それが何かも明かされない。

一応、実家に行き、
誰かのお墓参りはするんだけど、
誰のお墓かは謎に包まれたまま。
唯一わかるのは、
その墓石の下で眠る人は享年60歳だったということだけ。
母親を演じたナタリア・デ・モリーナが30歳なので、
役としてもそれぐらいの年齢だと考えると、
60歳というのはだいぶ上。
まあ、セリアの父親っていう線もなくはないけど。。。
祖父なのかな。。。
でも、祖父の墓参りする意味がないような。。。

結局、何もわからず(笑)

それでも最後まで飽きずに観れたのは、
その秘密が明かされるのではないかという好奇心と、
映画に流れる雰囲気は悪くなかったから。
あと、セリア役の子はかわいかったってのも。
hydeと上白石萌音を足して2で割ったような顔だなって思ったけど(笑)
ちなみに、母親はフレディ・マーキュリーに顔が似ていると感じた。

画的にはよかったけど、
話自体はオチも何もないから、
まあ、いわゆる雰囲気系の映画ってところかな!

映画『スクールガールズ』公式サイト

映画『スクールガールズ』公式サイトです。9/17(FRI)新宿シネマカリテ他ロードショー

映画『スクールガールズ』公式サイト

 

ただのセールスマンが運び屋になる話だけど、ベネディクト・カンバーバッチの体を張った演技に圧倒された『クーリエ:最高機密の運び屋』

2021年10月10日 14時59分05秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:33/210
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
サスペンス
ヒューマンドラマ
キューバ危機
スパイ

【あらすじ】
東西冷戦下、米ソ間の核武装競争が激化。
世界中の人々は核戦争の脅威に怯えていた。
そんなとき、CIAとMI6のエージェントが1人の英国人に目を付けた。
その男、グレヴィル・ウィン(ベネディクト・カンバーバッチ)は
東欧諸国に工業製品を卸すセールスマン。

彼が依頼された任務とは、
販路拡大と称してモスクワに赴き、
GRUのペンコフスキー大佐(メラーブ・ニニッゼ)から受け取った
ソ連の機密情報を西側に持ち帰ることだった。
あまりに危険なミッションに恐れをなし、
ウィンは協力を拒否するが、
世界平和のために祖国を裏切ったペンコフスキーに説得され、
やむなくモスクワ往復を引き受ける。

だが、政治体制を超えた友情と信頼で結ばれた男たちは、
非常な国家の論理に引き裂かれ、
過酷な運命をたどることに―。

【感想】
これは、、、面白かった。。。
一介のセールスマンが突然運び屋を依頼され、
最後は捕まってしまう悲劇を描いた映画で、
ぜひオススメしたい。
MI6やCIAも出てくるけど、
ジェームズ・ボンドもフェリックス・ライターもいません(笑)

全然違う職種の人がスパイになる話ではあるものの、
コメディやアクションではない。
濃厚なサスペンスでありヒューマンドラマで、
しかも実話をベースにした話。
主人公のグレヴィルを演じた
ベネディクト・カンバーバッチの演技に脱帽だった!

舞台は1962年。
キューバ危機のときの米ソおよびイギリス。
キューバ危機というのは、
旧ソ連がキューバに核ミサイルを配備し、
アメリカと核戦争を起こしかねない一触即発の事態となった出来事。

それを回避するために、
秘密裏にソ連側の情報をリークするペンコフスキー。
そして、その情報を持ち帰るグレヴィル。
モスクワのツテを失ってしまったMI6とCIAは、
一般人ならバレないだろうとグレヴィルに運び屋を依頼するのが、
今作の始まり。

実話ベースの映画は史実から逸れることができないため、
淡々と進むことが多い。
でも、この作品は内容が内容なだけに、
常に緊張感を持って観ることができるんだよ。
しかも、そのスリリングな展開だけに終始しないのが
この映画のいいところで。
運び屋を担う上でのグレヴィルの心境の変化、
およびペンコフスキーとの友情もあってよかったんだよねえ。

グレヴィルは仕事も家庭も両方大事にする人で、
基本穏やかな性格。
でも、途中から筋トレを始めたり、
妻に激しく求めたり、
些細なことで子供を叱ったりと、
これまでの彼じゃない行動が目立ち始める。
それだけ、運び屋としての仕事がストレスフルで、
いつ家族と会えなくなるかわからない危険と隣り合わせってのが伺える。

また、ペンコフスキーとの友情も感動的。
ペンコフスキーが捕まった後、
MI6もCIAも彼を見捨てようとする。
「プロだからこそ、人は利用するだけ」と。
でも、現場で何回もペンコフスキーと交流してきたグレヴィルにとって、
それは人ならざる行為。
国同士は敵対していても、
そこに生きる人々みんなが憎み合っているわけではない。
お互いに平和を望み、
家族を守りたいという気持ちがあった。
だから、グレヴィルはペンコフスキーを救うために、
危険を顧みず、
それまで半ば嫌々やっていたスパイ活動を自ら志願する。
「今こそ俺を利用しろ!」と。

そして、この映画で一番注目したいのが、
収容所に入った後のベネディクト・カンバーバッチ。
彼はリアリティを追求し、
数シーンのために頭を丸め、
体重も10kg減らしたほど。

ペンコフスキーが西側にリークした情報は
実に5,000以上もあったそうで、
史上最大の情報価値と言われているとか。
史実なので言ってしまうけど、
グレヴィルは後に釈放されるも、
ペンコフスキーは処刑されちゃうんだよね。
平和を願ってのこととはいえ、
祖国を裏切ったことに変わりはないから、
彼の運命は当時としては仕方ないことかもしれないけど、
悲しいな。

ただの素人の運び屋が主人公という、
それだけで興味を引く設定ではあるけど、
それ以上のスリリングな展開と国を超えた友情が
素晴らしい映画だった。

映画『クーリエ:最高機密の運び屋』公式サイト|9.23[木・祝]ROADSHOW

ベネディクト・カンバーバッチ主演最新作! 米・ソ全面核戦争目前、スパイにスカウトされた英国人セールスマン。その極秘任務とは? ―これは、【実...

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人気YouTuberへと駆け上がる若者たちの野心が生んだ狂気と悲劇『メインストリーム』

2021年10月10日 01時19分53秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:176/209
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
SNS
YouTuber
インフルエンサー

【あらすじ】
夢と野心が交錯する街LA。
20代のフランキー(マヤ・ホーク)は映像作品をYouTubeにアップしながら、
さびれたコメディバーで生計を立てる日々に嫌気がさしていた。

ある日、天才的な話術の持ち主・リンク(アンドリュー・ガーフィールド)と出会い、
そのカリスマ性に魅了されたフランキーは、
男友達で作家志望のジェイク(ナット・ウルフ)を巻き込んで、
本格的に動画制作をスタートする。

自らを「ノーワン・スペシャル(ただの一般人)」と名乗り、
破天荒でシニカルなリンクの言動を追った動画は、
かつてない再生数と「いいね」を記録。
リンクは瞬く間に人気YouTuberとなり、
3人はSNS界のスターダムを駆け上がってゆく。

刺激的な日々と、
誰もが羨む名声を得た喜びも束の間、
いつしか「いいね!」の媚薬は、
リンクの人格を蝕んでいた。
ノーワン・スペシャル自身が猛毒と化し、
やがて世界中のネットユーザーからの強烈な批判を浴びるとき、
野心は狂気となって暴走し、
決して起きてはならない衝撃の展開を迎える―。

【感想】
ハリウッド映画ではSNS社会の闇を描いた作品がちょいちょいある。
この映画もそれらと同様ではあるけど、
SNSそのものよりは、
人気YouTuberとなった主人公に焦点を当てている。

何者でもなかったリンク(ややこしいけど人名ね)たちがアップした動画がバズり、
一気に影響力を増してしまったがゆえの狂気と悲劇がポイント。
ただ、「まあそうなるよね」っていう展開でしかないから、
あんまり目新しさというか、
意外性っていうのはなかったかなー。

アメリカは視聴者の母数が日本とは違うから、
バズッたときの影響力も桁違い。
勢いに乗って、
リンクたちは有名なインフルエンサーとのコラボや
ゲーム番組(テレビゲームじゃなくてバラエティ的なゲーム)の制作などもこなしていく。

ただ、そこが悲劇の始まりでもある。
圧倒的な有名人になってしまったがゆえに、
世間との感覚もズレていく。
自分のやることはすべて正しい。
自分のやることはすべて面白い。
そういう思考になってしまったんじゃないかな。
そこで一人の女性を巻き込んだ、
とある事件が起きてしまって。
スタッフも誰も止められないんだよね、
ここまでくると。
異変に感づいてはいるものの、
すぐに止めることができない。
これはもう超絶有名になった人にしかわからないと思うけど、、、
実際そういうもんなんですかね?

で、その出来事の是非を問うテレビ番組なんかにも呼ばれたりして。
そこには現実世界のインフルエンサーたちも出演していたんだけど、
なんとローラもいるっていう(笑)

結局、リンクの行いや後にそこから生まれてしまう悲劇に対して、
彼は視聴者からバッシングを受けることに。
でも、彼は主張する。
「おまえらも共犯じゃないのか?」と。
結末はその目で確かめて欲しいけど、
何が正しくて何が悪いのか、
その判断は誰かに与えられるものではない、
そんなメッセージ性を感じる終わり方だった。

先ほども書いたけど、
全体的にSNSあるあるだなーという映画なので、
今の時代にマッチした内容だとは思う。
とはいえ、個人的な感覚からすると、
リンクの動画の何がいいのかはちょっとわからない。
強いて言えば、話術に長けているというか、
「それっぽい」ことを堂々と言うってのが大きいかも。
そして、あのやかましいぐらいのエフェクトの数々。
日本とはテイストが違うけど、
アメリカではああいうのが流行っているんだろうか。

あと、リンクには裏設定があるんだけど、
それがあまり作品に活かされていなかった気がする。
ただのやべぇやつだったってのはわかったけど。

ちなみに、この映画の監督は、
あのフランシス・フォード・コッポラの孫、ジア・コッポラ。
で、リンクの代理人であるマークを演じたジェイソン・シュワルツマンは、
コッポラの甥。
そして、フランキーを演じたマヤ・ホークは、
イーサン・ホークとユマ・サーマンの娘。
なかなかのサラブレッドの集まり(笑)

映画『メインストリーム』オフィシャルサイト

人気YouTuberへと駆け上がる若者たちの野心が、狂気に変わるー 監督:ジア・コッポラ『パロアルト・ストーリー』,アンドリュー・ガーフィー...

映画『メインストリーム』オフィシャルサイト

 

知られざるムーミンの誕生秘話、それは作者がやりたいことと求められていることのギャップに悩む中で生まれた偶然の産物だった『TOVE/トーベ』

2021年10月09日 22時11分25秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:129/208
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
ムーミン
トーベ・ヤンソン

【あらすじ】
第二次世界大戦下のフィンランド・ヘルシンキ。
激しい戦火の中、
画家トーベ・ヤンソン(アルマ・ポウスティ)は自分を慰めるように、
不思議な「ムーミントロール」の物語を描き始める。

やがて戦争が終わると、
彼女は爆撃でほとんど廃墟と化したアトリエを借り、
本業である絵画制作に打ち込んでいく。
しかし、著名な彫刻家でもある厳格な父との軋轢、
保守的な美術界との葛藤の中で満たされない日々を送っていた。
それでも、若き芸術家たちとの目まぐるしいパーティーや恋愛、
様々な経験を経て、
自由を渇望するトーベの強い思いは
ムーミンの物語と共に大きく膨らんでゆく。

そんな中、彼女は舞台演出家のヴィヴィカ・バンドラー(クリスタ・コソネン)と出会い、
激しい恋に落ちる。
それはムーミンの物語、
そしてトーベ自身の運命の歯車が大きく動き始めた瞬間だった。

【感想】
日本でも人気のキャラクター、ムーミン。
僕も小学生の頃は毎週アニメを観て、
小説も全部読むほど好きだった。
しかし、その作者であるトーベ・ヤンソンについて知る人は
そんなに多くないかもしれない。
この映画は、彼女が30代の頃、
ムーミンが誕生したときを描いた伝記的作品。

まずびっくりするのが、
演じたアルマ・ポウスティがトーベ・ヤンソン本人にそっくりなこと。
よく見つけてきたなと(笑)

トーベは自由を愛する人だった。
「人生は素晴らしい冒険。寄り道しなきゃ」と、
パーティーで知り合った男性アトス(シャンティ・ローニー)と
その日のうちに関係を持つ。
彼には妻がいて、
お互いに挨拶もしてたけど(笑)

その後に知り合った、
トーベの運命を大きく変えることになる
ヴィヴィカにも旦那がいたものの、
お互いに惹かれ合い、
深い関係を持つようになった。
うん、何かと不倫に縁がある(笑)

ただ、トーベ自身が気の多い女性だというよりは、
自由のままに気の向くままに進んだらそうなったというだけで、
チャラついた印象はなかったかな。

彼女はずっと画家として成功したいと願っていたんだよね。
本国フィンランドでは今でこそ画家としても有名だけど、
当時はそれほどでもなかった。
助成金ももらえず、
悶々とした日々を過ごしていた様子。
もともと父は彫刻家、
母はグラフィックアーティストという芸術一家。
その父親からは、
彼女が気晴らしに描いていたムーミンのイラストを
「こんなものは芸術じゃない」と批判される始末。

ところが、ムーミンの魅力に気づいたアトスが
新聞の漫画に連載することを勧め、
ヴィヴィカも舞台化を希望する。
こうして徐々にムーミンが有名になっていき、
彼女は裕福になっていく。

とはいえ、正直トーベ本人は複雑だったろうな。
本当は画家として成果を残したかったのに、
片手間で描いた気晴らしのイラストがどんどん有名になっていって。
まさに、やりたいことと求められていることにギャップがある状態。
まあ、トーベ自身、
別にムーミンが嫌ってわけでもなかったけれど。
世の中何が当たるかわからない。

あと、トーベはけっこう恋愛にパワーを持っていかれる節があった。
特に彼女が一番愛したヴィヴィカとはね。
彼女はかなり奔放で、
男女問わず誰とでも寝る人ではあったけど。
自分だけを見てくれないヴィヴィカに
トーベは嫉妬心にまみれていた。
芸術家であるがゆえに、
ひとつのことに集中しやすいのかも。

そんな目に遭いながらも、
トーベはムーミンを描き続けた。
さらに、画家としての活動もやめなかったし、
作家も兼ねていた。
やりたいことは全部やるという
バイタリティの強さは見習いたいところ。

ただ、全体的に淡々とした進行なんだよ。
伝記映画あるあるだけど。
気づいたら最初のムーミンの本が出版されていたりして、
唐突なところもあったので、
映画としてメチャクチャ面白いかというと、
個人的にはそこまで(笑)

まあ、あんなのほほんとしたムーミンを描いた作者は、
のほほんとは程遠い人生だったというのが知れただけでもよかったかな。

映画『TOVE/トーベ』オフィシャルサイト

2021年10月1日(金) 新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開

映画『TOVE/トーベ』オフィシャルサイト

 

邦画で圧倒的に不足している"強すぎるハゲ"が荒れ狂う『キャッシュトラック』

2021年10月09日 00時27分27秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:29/207
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
アクション
ハゲ
強盗
銃撃戦
流血

【あらすじ】
LAにある現金輸送専門の警備会社フォーティコ・セキュリティ社。
日々、現金輸送車(キャッシュトラック)を運転するのは、
特殊な訓練を受け、
厳しい試験をくぐり抜けた強者の警備員たち。

そこに雇われた新人
パトリック・ヒル(ジェイソン・ステイサム)、
通称“H”。
試験をギリギリで合格した彼は、
まわりから特に気に留められる存在ではなかった。

しかし、彼の乗ったトラックが強盗に襲われたとき、
驚くほど高い戦闘スキルでそれを阻止する。

彼は一体何者なのか?
周囲が疑心暗鬼に陥る中、
全米で最も現金が動く日“ブラック・フライデー”に集まる
1億8,000万ドルの大金を狙う強奪計画が進行していた…。

【感想】
『ブルー・レクイエム』(2004)っていうフランス映画のリメイクらしい。
ストリーミングサービスにないのでそれは観れなかったのだけど、
いやー、もうね、勝ちだよ。
ジェイソン・ステイサムってだけで。
彼以外全員モブっていうぐらい際立ってた(笑)

ストーリーはシンプル。
警備会社の新人が実はメチャクチャ強いやつで、
ある目的を持ってやって来たっていう設定。
まあ、ジェイソン・ステイサムって時点で、
「実は……」感ゼロなんだけどね。
「いや当然そうでしょ」っていう(笑)
正直そこには驚きもギャップもない。
いい意味でね(笑)

物語は全部で4章から成り立っていて、
時系列が行ったり来たりするのが特徴。
そこがちょっとわかりづらいという
他の方の感想もあるっちゃあるんだけど。
個人的には、Hのこれまでの経緯や、
物語冒頭に起こる現金輸送車の強盗事件のいきさつが語られるので、
点がどんどん線になっていく感じが面白かったなと。
ただ、同僚のデイナ(ニーヴ・アルガー)を
Hが問い詰めるシーンはやや唐突というか、
何の前触れもないからちょっと「?」ってなったけど。

そのHの目的が一番この映画のポイントになるんだけど、、、
ネタバレになるから内緒。
まあ、ハリウッド映画のあるあるな設定ではあるけども。
終盤もド派手な銃撃戦っていうお決まりのパターン(笑)
思った以上に人があっさり死にまくっていくのはちょっと意外だったかな。
あ、そんなにすぐ死んじゃうんだ?って。

この映画はね、
もうストーリーよりもキャラを楽しむ映画なんだよ。
ハリウッド映画って似たような設定の話が多いよね、
特にアクション系は。
でも、強いキャラとド迫力の映像で、
ちょっと変えるだけで、
僕は全然飽きないんだな~、これが。

今回はジェイソン・ステイサムあっての作品。
あれだけ登場人物がいる中で、
彼以外の人の印象がまったく残らないぐらいには、
腕っぷしも存在感もチート並みに強い。
あの鋭い眼光に、
人を殺すときに表情をピクリとも変えない冷徹さがたまらない。。。
最近では『ワイルド・スピード』シリーズのショウ役が有名かな。
とにかく「顔が怖くてメチャクチャ強いハゲ」
ってイメージが定着している(笑)

洋画でいつも感じるのは、
役者がキャラになってるところ。
個人的には、邦画だとやっぱり役者は役者って感じだけど、
洋画はもう役者そのものがキャラクターになってるっていうか。
そりゃ見た目でインパクトある人が多いからね。
特に、ジェイソン・ステイサムやドウェイン・ジョンソンのように、
ハゲと筋肉が混在してメチャクチャ強いっていうのは、
それだけでリアルジャンプキャラみたいになる(笑)
ハゲ、筋肉、プラスサイズ、ゲロ、
この4つは特に邦画よりも洋画に多い要素かと。

とにかく、クールながらも怒りに満ちたジェイソン・ステイサムを観たければ、
映画館に行くべしです!

映画『キャッシュトラック』オフィシャルサイト

ゴールデン・コンビが16年ぶりにタッグを組んだクライム・アクション/主演:ジェイソン・ステイサム/監督:ガイ・リッチー

映画『キャッシュトラック』オフィシャルサイト

 

ニコラス・ケイジがママチャリ乗ったりキンタマ爆発したりするだけの『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』

2021年10月08日 12時30分19秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:196/206
   ストーリー:★☆☆☆☆
  キャラクター:★★☆☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★☆☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
アクション
カオスすぎる和洋折衷
殺陣
園子温
ニコラス・ケイジ

【あらすじ】
悪名高き銀行強盗ヒーロー(ニコラス・ケイジ)は、
ある日、相棒のサイコ(ニック・カサヴェテス)と共に、
サムライタウンの銀行を襲撃。
しかし、少年(潤浩)に銃を向けるサイコに対し、
「相手は子供だ」と詰め寄るヒーロー。
取っ組み合いの喧嘩になってしまい、
あえなく逮捕。
ヒーローは投獄され、
フンドシ一丁で手錠を掛けられる。

サムライタウンでは、
この世界のすべてを牛耳る悪徳ガバナー(ビル・モーズリー)が
いつも女を侍らせていた。
傍らには常に用心棒のヤスジロウ(TAK∴)と
少女のようなスージー(中屋柚香)をおいてご満悦。

ある日、ガバナーの魔手から逃げた
彼お気に入りのバーニス(ソフィア・ブテラ)を連れ戻すことを条件に、
ヒーローは自由を手に入れる。
ただし、5日以内にバーニスを連れ戻さねば、
爆弾を仕掛けられたボディスーツが爆発してしまう。

バーニスが消息を絶ったという不思議な街
ゴーストランドへ足を踏み入れるヒーロー。
入ったら最後、二度と出られない街だ。
そこには、動かなくなった車を修理し続けるラットマン(YOUNG DAIS)、
人間をマネキンに閉じ込めるキュリ(栗原類)、
すべてを見つめる男ナベ(渡辺哲)たちがいた。

ゴーストランドの住人たちは言う。
「ガバナーがいる限り、我々は時計を止めねばならない。そうしないと世界は爆発する」と。

果たして、ヒーローはバーニスを見つけられるのか。
ゴーストランドを脱出することはできるのか。
そして、サムライタウンはガバナーの手に落ちたままなのか。

【感想】
園子温監督のハリウッドデビュー作。
そして、久しぶりにスクリーンで観るニコラス・ケイジ。
そんな要素に惹かれて朝8時台から観に行ったのだけど、、、
これは、、、カオス。。。

ストーリはシンプル。
街を支配するボスの孫娘を連れ戻すっていうだけ。
なんだけど、世界観が独特すぎるがゆえに、
そのシンプルさを亡き者にしている。
結果、観てもよくわからない映画になってた(笑)

時代設定も場所も何の説明もない謎の街サムライタウン。
そこは西部劇と時代劇を掛け合わせ、
さらに現代の要素を取り入れたようなところで、
花魁、スマホ、銃、刀、車が混在している。
アニメなら気にならなそうだけど、
実写だとこうも違和感があるとは。。。
さらに、日本語と英語の混在。
でもコミュニケーションが取れている謎さ(笑)

ゴーストタウンの住人たちもカオス。
パリコレかっていうぐらいの衣装だったり、
みすぼらしい格好だったり。
イマイチ世界観がつかめないため、
全然話が頭に入って来ない(笑)

他にもいろいろ気になる点は多い。
ヒーローとバーニスには意外なつながりがあったけど、
そもそも時系列がわかりづらかったり。
銀行強盗直後の話かと思いきや、
だいぶ時間が経っている設定、、、?
スージーは精神が不安定すぎて、
すぐ発狂してマシンガンぶっ放したり。
ヒーローは投獄されたままだったけど、
相棒のサイコは囚人として別扱いだったり。
総じて、やっぱりよくわからない(笑)

一応、意味ありげなところもある。
ゴーストタウンの止まった時計が8時14分(広島に原爆が落とされた1分前)で、
爆発させないために住人たちが時計を進ませないようにしているのよ。
ここが、日本とアメリカの関係を示していたりもするんだけど、
まあわかりづらい。
僕もパンフレット読んで知った(笑)

園子温監督と言えば、
『自殺サークル』や『冷たい熱帯魚』、『愛のむきだし』など、
けっこう好きな作品もあったんだけど、
これは全然別。
万人向けではないので、
多くの人にはまったくわからない内容だろうなー。
一部のカルト好きにはたまらないかもしれないけど(笑)

ニコラス・ケイジがママチャリ乗ったり、
キンタマ爆発したり、
片腕を剣にして坂口拓とチャンバラしたり。
彼をこんな使い方するのは、
さすがだと思う(笑)

それにしても、映画のいいところは、
どんなにカオスでニッチでも、
ちゃんと作品として世に生まれ、
こうして公開されることだよね。

映画『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』

園子温監督ハリウッドデビュー作『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』主演:ニコラス・ケイジ!サンダンス映画祭Premieres部門正式出品

 

第4話のドクター・ストレンジに泣いた『ホワット・イフ…?』

2021年10月07日 21時35分52秒 | ドラマ


【個人的な評価】
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
    映像:★★★★☆
    音楽:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
マーベル
スーパーヒーロー
アベンジャーズ
もしもの世界

【あらすじ】
マーベル・シネマティック・ユニバースでは
初めてとなるアニメーション作品。
『アイアンマン』(2008年)から『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年)までのシリーズ23作品を、
1話ごとに1タイトルずつテーマとした1話完結形式。

実際には起こらなかった“もしもの展開”が描かれ、
映画内の様々な出来事が想像の及ばない形で新たに創造される。

【感想】
これは外伝的なドラマ。
多元宇宙をベースに、
MCUの世界観における"もしもの展開"を楽しむ物語。
各話のサブタイトルは以下の通り。
興味を引くものがあれば観てみて欲しい。

1. "もしも...キャプテン・カーターがファースト・アベンジャーだったら?"
2. "もしも...ティ・チャラがスター・ロードになったら?"
3. "もしも...世界が最強のヒーローたちを失ったら?"
4. "もしも...ドクター・ストレンジが手の代わりに恋人を失ったら?"
5. "もしも...ゾンビが出たら?"
6. "もしも...キルモンガーがトニー・スタークを救ったら?"
7. "もしも...ソーがひとりっ子だったら?"
8. "もしも...ウルトロンが勝ったら?"
9. "もしも...ウォッチャーが誓いを破ったら?"

個人的には、第4話のドクター・ストレンジと
第5話のゾンビの話が面白かった。

第4話で、ストレンジは本来事故で失うはずの両手の代わりに、
愛する恋人を失ってしまった。
その悲しさから、
彼は彼女を生き返らせようと魔術を身につける。
そして、決して使ってはならない
"アガモットの目"を使い、
時間を巻き戻すが、、、って話。
このときのストレンジの必死さがメチャクチャ感動的で、
このアニメで初めて泣いた。

第5話のゾンビは、正直洋画ではよくある設定なんだけど(笑)
アベンジャーズのメンバーもどんどんゾンビ化していく中で、
「ああ、こいつゾンビ化したらもう手がつけられねぇな」
っていう人がゾンビになった絶望感がすごい。
そして、アントマンのキャラに笑い、
ワスプの活躍にちょっと感動。

あの完全に傍観者だったウォッチャー、、、何者。
神様的な扱いだから下界に介入しないスタンスなんだろうね。
顔は赤ん坊っぽいのに体はデカい謎のおじさんだった。
弱くはないんだろうけど、
ウルトロンにボコボコにされてるから、
弱いイメージしかない(笑)

こうやって、もしもの世界でひとつのドラマが作れちゃうのも、
多元宇宙かつキャラクターの多いマーベルだからこそ。
面白いアニメでした。

2022年にシーズン2をやるとか。

Disney+

 

ヤンキー感ゼロのただのいい人『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール』(第1話)

2021年10月07日 00時08分19秒 | ドラマ


【個人的な評価】
2021年秋ドラマで面白かった順位(第1話時点):1/2👑
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ラブコメ
ヤンキー
弱視

【あらすじ】
盲学校高等部に通う赤座ユキコ(杉咲花)は、
父と姉との3人暮らし。
色と光がぼんやりわかる程度の弱視のユキコは、
その日、いつものように白杖をついて学校へと急いでいた。

しかし、朝からツイていないこと続きで時間は遅刻寸前。
そんな日に限って、
点字ブロックの上で話し込む男たちに遭遇してしまう。
何やら物騒な会話を交わす男たちに、
どいて欲しいと頼むユキコ。
しかし、相手は地元でも有名な札付きのワル
『黒ヒョウのモリ』ことヤンキーの黒川森生(杉野遥亮)とその仲間たち。

そんな中、白杖を掴まれて、
反射的に蹴り上げたユキコの足が、
偶然にも森生の股間にヒットしてしまう!
悶え苦しむ森生を心配し、
よく見ようと覗き込むユキコ。
その瞬間、ユキコの顔の近さに驚いた森生は、
恥ずかしさから思わずフリーズ!
森生の中で“何か”が始まる!

弱視の盲学校生と不良青年の恋の行方は……。

【感想】
弱視の女性とヤンキー青年という凸凹すぎるラブコメ。
もはや設定勝ちかなと(笑)

言いたいことはハッキリ言うユキコ、
演じているのが杉咲花なだけに、
『花晴れ』の音を思い出す。
森生はね、ヤンキー感のなさが笑える(笑)
服装が派手なただのいい人じゃんって。

今のところお笑いポイントしかないけど、
こういう設定は強い。
なぜなら、ちょっとシリアスにするだけで感動するから(笑)
怖い顔の人がちょっと優しくしただけで、
メチャクチャいい人に見えるのといっしょ。
だから、今後がすごく楽しみではある。
弱視の人の置かれた状況を学ぶこともできるし。

今日のラストはよかった。
今まで普通とは違う生活をしていたユキコに、
初めて「普通の世界に生きている」と言ってくれる人がいて。
バカだけど大事なことをしれっと言う森生は人気出そうだなー。

でも、個人的に一番気になったのは、
ユキコの母親(?)が鶴田真由じゃないかってこと。
もしそうだとしたら、
これ父親が岸谷五朗だからさ、
この夫婦、『妹よ』(1994)のカップルじゃんって!!
僕がメチャクチャ好きなドラマ。
これだけで、今回のドラマの株は爆上がりです。

それにしても、鈴木伸之、
前クールの殺し屋から、
今クールは医者にヤンキーと、
役が幅広い(笑)

https://www.ntv.co.jp/yangaru/

実は地球を支配しているのは彼らじゃないかと思うキノコの神秘に迫ったドキュメンタリー『素晴らしき、きのこの世界』

2021年10月06日 21時47分20秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:64/205
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ドキュメンタリー
キノコ

【あらすじ】
キノコ・菌類は、
食物としてだけでなく、
様々な生命の再生や維持、
アルツハイマーやがんなどの治療、
環境汚染の浄化にまで役立つことから、
地球上の様々な問題へのきのこの応用が今、
期待されている。

本作は幻覚作用をもたらす一方で、
人間の命を救うほどの力も持っていると言われる、
キノコ・菌類の可能性を提示する。
偉大で神秘的なキノコの力を知ることで、
鑑賞後には誰もが未来への希望を感じるはず。

パンデミックを経験し、
希望をなくしがちな今だからこそ、心に響く一作だ。

【感想】
これはメチャクチャ興味深いドキュメンタリーだった!
キノコと言って思いつくのは食べることぐらい。
しかし、彼らの持つ機能はもっと神秘的かつ、
もしかしたら地球を支配しているのは彼らなんじゃないかと思うほど。

キノコは菌類に属するが、
そもそも菌類は現時点で150万種類ある。
そのうちキノコになるのは2万種類ほど。
諸説あるだろうけど、
彼らの注目すべき点は以下の4つだ。

〈驚異の分解パワー〉
キノコの「分解」する力は凄まじい。
自然界においては、枯れた葉や木、動物の死骸など、
いらなくなったものをすべて分解してくれる。
そして、そこからまた新しい命が生まれる。
まさにキノコは命の終わりと始まりを司っている生き物なのだ。
中には油を分解する種類もあり、
原油流出事故の型付けにも使われたりするぐらい、
彼らの分解機能には目を見張るものがある。

〈ネットワーク機能〉
次に、キノコの恐るべき機能はそのネットワークにある。
胞子から発芽すると、
菌糸と呼ばれる糸状のものを伸ばしていく。
それが寄り集まって、
みんなのよく知るキノコの形になる。
地中ではその菌糸がどんどん伸びていて、
例えば森の中だと、
無数のキノコの菌糸が網目状に絡み合う。
まさに脳神経やインターネットのつながりを
可視化したようなイメージ。
一説によると、
その距離は数万キロに及ぶ場合もあるそう。

しかもすごいのが、
森の木々はその菌糸ネットワークを伝って、
同種の木を認識しているらしい。
お互いに養分を送り合ったり、
新芽にはより多くの養分が行くようにしたり、
まさにコミュニケーションを取っているかのよう。
その連絡網の役割を菌糸が果たしている。

〈幻覚作用による人類の進化〉
興味深いことに、
人類の進化にキノコが役立っていたのではないかという話もある。
幻覚作用があるキノコは昔からあって、
それを類人猿が食べた可能性もあるとのこと。
それを食べることで、
共感覚(ある感覚が別の感覚を引き起こすこと)が生まれ、
それが人類の進化を促したとかなんとか。

〈医療にも応用されるキノコ〉
キノコは医療にも使われている。
ペニシリンも元は菌類だし、
幻覚作用のあるマジックマッシュルームに含まれる
シロシビンという成分は、
幸福感をもたらす効能から、
うつ病の治療にも使われているケースもあるとか。

人類が滅亡したら、
地球を支配するのは菌類なのではないかという人もいるほど。
だって、人間は70億人もいるのに、
外からの攻撃にめっぽう弱い。
生身の体では、
自然界においては人間は最弱の部類だと思う。
脳を発達させる代わりに、
武器や防具の類をアウトソーシングしてしまったから。

ところが、菌類はとてつもなくたくましい。
はるか昔、小惑星が地球に衝突し、
自然環境が大きく変わった後も、
地中で菌類は生き続け、
再びこの世界を住みやすい星に変えた。
生物としての存在価値を考えたら、
圧倒的に菌類の方が高そうじゃないか(笑)

鍋に入っているような食材がだよ。
地中において宇宙を感じさせるようなネットワークを張り巡らし、
様々な生命の再生や維持、
病気の治療、
環境汚染の改善に役立っているというのが意外すぎて。

タイムラプスを使って撮影された
キノコの成長過程の映像も美しく、
この映画を観ると、
キノコの見方が変わる。

ちなみに、ナレーションを担当しているのは、
MCUのキャプテン・マーベル役でおなじみのブリー・ラーソン。

映画『素晴らしき、きのこの世界』公式ウェブサイト

2021年9月24日(金)より新宿シネマカリテ・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開|あなたは、まだきのこの偉大さを知らない――。ブ...

映画『素晴らしき、きのこの世界』公式ウェブサイト

 

生活保護をテーマに描かれる温かくも悲しい家族の物語『護られなかった者たちへ』

2021年10月06日 00時33分01秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:66/204
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
サスペンス
殺人事件
東日本大震災
生活保護

【あらすじ】
東日本大震災から10年目の仙台で、
全身を縛られたまま放置され、
"餓死"させられるという不可解な殺人事件が相次いで発生。
被害者はいずれも、誰もが慕う人格者だった。

捜査線上に浮かび上がったのは、
別の事件で服役し、
刑期を終えて出所したばかりの利根(佐藤健)という男。
刑事の笘篠(阿部寛)は、
殺された2人の被害者から共通項を見つけ出し、
利根を追い詰めていくが、
決定的な証拠がつかめないまま、
第3の事件が起きようとしていた――。

なぜ、このような無残な殺し方をしたのか?
利根の過去に何があったのか?

【感想】
中山七里さんの小説が原作の映画。
それは読んでいなかったので、
あの予告に『64-ロクヨン』を撮った瀬々敬久監督だったから、
サスペンス全開なのかと思いきや。
殺人事件はメインではなく、
生活保護をテーマとしたヒューマンドラマだった。
2018年に放送されていた
『健康で文化的な最低限度の生活』
というテレビドラマを思い出す。

ヒューマンドラマ寄りなので、
殺人事件といえども複雑な話ではない。
むしろ、勘のいい人なら、
事件の犯人は途中でわかってしまうかもしれない。
でも、この映画は「犯人が誰か」はあまり重要ではない。
「犯人の動機が何か」というところがポイント。

サスペンス映画だと「動機がイマイチ……」
みたいな話も世の中には多い。
その点、この映画はその動機に至る経緯が濃厚で、
犯人に共感、、、してはいけないけど、
気持ちがとてもよくわかる内容だ。
犯人探しが目的でないからこそ描けるものだと思った。

役所側の葛藤があるのも興味深かった。
震災で家族や友人を失くし、職も失い、
生活保護受給者が急増。
不正受給をする人もいれば、
"スティグマ"と呼ばれる、
生活保護を受けることを恥だと感じ、
必要なのに申請しない人もいる。

役所側だって、
できることなら全員を助けてあげたい。
でも、限られたリソースの中で、
また不正をする人もいる中で、
全員が望む形を実現する難しさも垣間見える。

この映画における殺人事件はひとつの結果でしかなく、
その裏にある温かくも悲しい家族の物語こそが一番観て欲しいところ。
原作者本人が
「事件の犯人はわかっても、物語の犯人は読み終えた後も誰にもわからない、
 現時点での最高傑作です!」
と言うのもうなずける(笑)

映画『護られなかった者たちへ』公式サイト 大ヒット上映中

そして、<10年目の殺人>は起きた――。連続“餓死”殺人事件。異様な事件の裏に隠された、切なすぎる真実とはー

映画『護られなかった者たちへ』公式サイト 大ヒット上映中

 

ファミリードラマ感ある医療モノ『ラジエーションハウスⅡ~放射線科の診断レポート~』(第1話)

2021年10月05日 00時04分02秒 | ドラマ


【個人的な評価】
2021年秋ドラマで面白かった順位(第1話時点):1/1👑
 ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
医療モノ
ヒューマンドラマ
放射線技師

【あらすじ】
前作から2年。
アメリカでのプロジェクトがひと段落した
診療放射線技師の五十嵐唯織(窪田正孝)は日本に帰国。
もともと勤務していた甘春総合病院への復帰を望んでいた。

しかし、そこでは新院長の灰島将人(髙嶋政宏)が病院の合理化を実施。
放射線科医はいらないと言い出し、
読影はすべて外部の『遠隔画像診断センター』に委託してしまう。
それに伴い、ラジエーションハウスも規模を縮小。
かつてのメンバーたちも、
広瀬裕乃(広瀬アリス)と小野寺俊夫(遠藤憲一)以外は、
他の病院へ転職などしていた。

ある日、小野寺が認知症予備軍と診断されたことに伴い、
裕乃は黒羽たまき(山口紗弥加)や
軒下吾郎(浜野謙太)に助けを求めるが、
反応が冷たい。
また、時を同じくして、
唯織はずっと思いを寄せていた
幼なじみの甘春杏(本田翼)が甘春病院にいないことを知る。

そんな折、仕事を終えて帰路についた杏は、
妊娠中の森迫由美(森カンナ)が腹痛に襲われ苦しそうにしているところに遭遇する。
由美は、かつて唯織たちがその命を救った
世界的な写真家・菊島亨(イッセー尾形)の娘だった。

そこに唯織が現れるが……。

【感想】
2021年秋ドラマ1発目。

2019年放送ドラマの続編。
2年前の自分の感想を読むと、
そこまでハマっていなかった様子。
唯織が医師を志した理由や、
彼が医師であることがバレたときのまわりの反応に
違和感があったみたい(笑)

なので、前作が好きなら観てもいいのかなっていう感じ。
キャラクターはほぼ同じだし、
第1話を観る限りでは、
ストーリーとしても前作のままだったので。
もう唯織が医師免許を持っていることは
みんな知っているからね。
彼なら治せるのにそれができないっていう
前作のもどかしさはない。

まあ、新院長の灰島との対立構造は面白かったかな。
とはいえ、医療モノによくある
「合理的な判断によって利益を取るか」と
「コストを無視して患者と向き合うか」
のぶつかり合いなんだけど。
本当に医療モノにはよくあるね、
この手の対立。
それ病院だけじゃなくて、
普通に仕事してても
同じようなことに直面している人も多いだろうけど(笑)

和気あいあいとしたメンバーたちは、
もはや同僚というより家族みたいな感じ。
こんな職場なら楽しそうでいいなと思いつつ、
散り散りになった彼ら、
すぐに再就職しすぎでしょっていう(笑)

それにしても、公式サイトのメインビジュアル、
続編やるにしてはやや作りが一昔前みたいな印象を受ける。。。

平和な暮らしに突如投げ込まれる喪失感が辛い『ムーンライト・シャドウ』

2021年10月04日 23時38分08秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:196/203
   ストーリー:★★☆☆☆
  キャラクター:★★☆☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★☆☆☆
映画館で観るべき:★☆☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
ラブストーリー
死者との再会

【あらすじ】
さつき(小松菜奈)と等(宮沢氷魚)は、
鈴の音に導かれるように、
長い橋の下に広がる河原で出会った。
恋に落ち、
付き合うまでに時間はかからなかった。
等には3つ下の弟・柊(佐藤緋美)がいて、
柊にはゆみこという恋人(中原ナナ)がいた。

初めて4人で会ったときから意気投合し、
自然といっしょに過ごす時間が増えていく。
食事をしたり、ゲームをしたり、
ゆみこが気になっているという〈月影現象〉について
「もしも現実に月影現象が起きたら、誰に一番会いたいか?」
を語り合ったり。
何気ないけれど、
穏やかで幸せな日々が過ぎていく中で、
別れは前触れもなくやってきた。

等とゆみこが死んだ──。

深い哀しみに打ちひしがれるさつきと柊。
愛する人を亡くした現実を受け止めきれず、
ショックで食べることも忘れ、
ひたすら走るさつき。
そんなさつきを心配しながら、
ゆみこの制服を着て何かを感じようとする柊。
それぞれの方法で哀しみと向き合おうとしていた。

ある日、2人は不思議な女性・麗(臼田あさ美)と出会い、
少しずつ“生きていく”という日常を取り戻していく。
そして、以前みんなで語り合った〈月影現象〉に導かれていく。
もう一度、会いたい、会いに来てほしい──。

その現象とは、
満月の夜の終わりに死者ともう一度会えるかもしれない、
という不思議な現象だった……。

【感想】
原作は吉本ばななさんの小説。
それは読んでいないけれど、
とてもアートかつポエム的な映画。
ゆえに、映画として面白いかと言われると、
かなり好みが分かれそう。

ストーリー自体は、
事故で亡くなった恋人と、
もう一度会いたいっていうややファンタジー寄りの話。
セリフは少なめで、
日常が淡々と流れていくシーンが多いため、
全体的にテンションの波はほぼない。
冬のカラッとした日々に漂う、
静かで穏やかな雰囲気を味わう作品だと思った。

話に抑揚がない分、
登場人物の演技や表情に目がいく。
恋人が亡くなり、
突然やってきた喪失感に心がついていかない辛さは、
よく伝わってくる。

結局、最後に恋人に会えたかどうかは、
とてもわかりづらいけれど、
個人的には夢だったのかなって思う。
ただ、どのような形であれ、
自分の思い出にケリを着け、
再び前に向かって進もうという気持ちになれたのなら、
それはそれでよかったのかと。
月影現象って、
要はプラシーボ効果のようなもので、
何をするにしても自分次第だったんじゃないかなー。

それにしても、
あの地下水について語っていたおじいさんは必要だったのかな。。。
これは原作を読んでから観に行った方がいい気がした。

映画「ムーンライト・シャドウ」公式サイト

原作:吉本ばなな × 主演:小松菜奈 × 監督:エドモンド・ヨウ 平成最初のベストセラー作家初期の名作が奇跡の映画化!絶賛公開中

映画「ムーンライト・シャドウ」公式サイト

 

何の罪もない人々が虐殺される悲劇が痛ましい『アイダよ、何処へ?』

2021年10月03日 21時12分49秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:73/202
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
事実ベース
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争
スレブレニツァの虐殺

【あらすじ】
ボスニア紛争末期の1995年7月11日、
ボスニア東部の街スレブレニツァがセルビア人勢力の侵攻によって陥落。
避難場所を求める2万人の市民が、
町の外れにある国連施設に殺到した。

国連保護軍の通訳として働くアイダ(ヤスナ・ジュリチッチ)は、
夫と2人の息子を強引に施設内に招き入れるが、
町を支配したムラディッチ将軍(ボリス・イサコヴィッチ)率いるセルビア人勢力は、
国連軍との合意を一方的に破り、
避難民の“移送”とおぞましい処刑を開始する。

愛する家族と同胞たちの命を守るため、
アイダはあらゆる手を尽くそうと施設の内外を奔走するが――。

【感想】
これは辛い映画だった。。。
主人公がこれでもかってぐらい
絶望の底に陥れられるから。。。

第二次世界大戦後のヨーロッパにおいて
最悪の紛争とされているボスニア・ヘルツェゴビナ紛争。
セルビア人による武力行使により、
街を出ていかざるを得なくなった市民たち。
その数およそ2万人。
しかし、国連施設には4,000~5,000人ほどしか入れず、
それ以外はずっと外で待機。
その間、食料もトイレもない。
後ろでは、いつセルビア人が襲ってくるかもわからない。

そんな状況の中、
通訳者のアイダは事態を解決しようと奔走するが、
国連軍は大して役に立たず、
国連本部からの支援もなし。
絶体絶命に近い状況だった。
一時、交渉という名の一方的な決定事項を
セルビア人勢力から提示されるも、
その内容すらも破られ、
国連軍側もお手上げ状態だったのだ。

この映画では、とにかくアイダというキャラクターそのものが一番の注目ポイント。
自分の家族だけでも救おうと、
鬼気迫る表情となりふり構わない行動力で、
できることすべてを絞り出すようにやっていく姿は、
頼もしい反面、
ものすごく煙たがられそうだから。
それだけ家族を愛し、
自分の命よりも彼らを救いたい
という気持ちが強かったことの表れだけど。

結局、避難民の多くは
「セルビア軍が管轄する安全な場所へ移動」させられる。
身の安全を謳ってはいたものの、
実際にそこで待ち受けていたのは、
目も当てられないほどの悲劇だった。
アイダのあらゆる行動が一切報われない惨さは、
今年観た映画の中でも一番の衝撃だ。

ネットでざっと調べた程度だけど、
実際にこの紛争では"民族浄化"という行為が行われていたとのこと。
これは、多民族国家において特定の民族を排除することを指す。
対象を虐殺、強姦、強制収容などで、
その地域から退去せざるを得ない状況に追いやるようだ。

特に女性の扱いはひどく、
強姦を繰り返され、
妊娠中絶が不可能になってから
解放されることもあったそう。
特定の民族を"血"から根絶させたり、
異民族の子を妊娠・出産させることで
屈辱を与えたりっていう理由からだろうか。。。
今同じことが行われている地域もあるんだろう。
考えただけでも心が痛む。

このボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を扱った映画は、
ウィキペディアで調べたところ、
本作を含めて25作品もあった。
それだけ、映画化してこの紛争の惨さを伝えたい
と思う人が多かったということだろう。
機会があったらすべて観てみたい。

映画『アイダよ、何処へ?』公式サイト

本年度アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート!『サラエボの花』『サラエボ、希望の街角』ヤスミラ・ジュバニッチ監督作品。9.17 Bunkamu...

映画『アイダよ、何処へ?』公式サイト

 

スタントマンなしの三船敏郎のアクションに“世界のミフネ”を感じた『隠し砦の三悪人』

2021年10月03日 19時51分08秒 | 映画


【個人的な評価】
「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:9/15
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
アクション
時代劇
黒澤明
三船敏郎

【あらすじ】
百姓の太平(千秋実)と又七(藤原釜足)は、
褒賞目当てに戦に参加するが、
敵の捕虜になってしまう。

夜、暴動に紛れて脱走した2人は、
逃げ延びた谷で薪の中に隠された大量の金の延べ棒を発見する。
そこに現れたのは敗国・秋月家の侍大将、真壁六郎太(三船敏郎)。
金の延べ棒は秋月家再興のための軍用金だったのだ。

太平と又七は、
六郎太、そして世継ぎの雪姫(上原美佐)と共に、
敵国内を横断する同盟国への逃避行に加わるが―。

【感想】
「午前十時の映画祭11」にて。
1958年の日本映画。

黒澤明×三船敏郎のコンビによる11作目の作品。
『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』
に影響を与えた映画でもあるそう。
C-3POとR2-D2は太平と又七をモデルにしたのだとか。

今から60年以上も前の映画だけど、
これは面白い!
逃避行というポピュラーな構図ではあるけど、
ストーリーのテンポのよさとキャラクターの濃さが、
時代を超越した面白さを感じさせてくれる。
設定が戦国時代ということもあるけど、
広大な大自然を駆けめぐるスケールの大きさに、
最近の邦画にはない"冒険感"を覚えるんだよね。

キャラクターもみんな記憶に残る存在感の強さがあってさ。
六郎太のおっかなくも人情味あふれる役どころは
"頼れるアニキ"って感じで憧れるし、
太平と又七のコミカルなコンビが笑えるんだよね。

2人ともこの上ないお調子者で、
金の延べ棒を見つけるや否や、
「これは俺のだ!」と取り合いになるも、
ピンチに陥ると「仲良くやっていこうな」
と肩を寄せ合うっていう(笑)
欲深いくせに弱っちいのに、
憎めないかわいらしさがあった。

六郎太が自分たちの逃避行のお供に
太平と又七を選んだのも、
彼ら自身ではなく、
彼らの持つ"強欲さ"に目をつけたからというのも、
とても人間を見ているなと思った。

そして、この映画のすごいところは三船敏郎のアクションだよ!
六郎太が馬で敵の騎馬武者を追いかけて斬り捨てるシーンは、
スタントマンなしで三船敏郎自身が演じたのだとか。
両手で刀を握って腕を上げていたから、
馬は脚のみで制御してるんだよね。

また、六郎太たちが鉄砲隊に狙撃されるシーンでは、
実弾を使っていたと。
火薬にすると煙が出てしまうので、
実弾を使うことにしたようだけど、
そのこだわりの強さがすごい。
さすがに、役者の身に危険が及ぶので、
役者たちが逃げるシーンと実弾が着弾するシーンは、
後からつなげたそうだけど。

今では安全上の理由からできないことが多いだろうけど、
やっぱり黒澤明と三船敏郎の作品は今観てもすごい。
特にアクションモノは、
今のどの邦画よりも面白く感じる。
そりゃ"世界のクロサワ"、"世界のミフネ"って呼ばれるよねって。
ハリウッドの大スターたちがこぞって尊敬する理由がわかる。

白黒映画や時代劇はこれまであまり観てこなかったけど、
「午前十時の映画祭」で観るようになってから、
時代を超える面白さに気づかされる。

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

午前十時の映画祭11 デジタルで甦る永遠の名作

 

守るべき者のために戦う、シリーズで最も愛を感じた『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

2021年10月01日 20時16分20秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:6/201
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★★★★★★
      映像:★★★★★★★★★★
      音楽:★★★★★
映画館で観るべき:★★★★★★★★★★

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
アクション
スパイ
007
ジェームズ・ボンド

【あらすじ】
スペクターとの戦いが終わり、
マドレーヌ(レア・セドゥ)と幸せな日々を過ごすジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)。
しかし、再び命を狙われるハメに。
何とか敵を退けるも、
マドレーヌの手引きでないかと疑い、
関係を絶つ。

それから5年。
ボンドは00エージェントを退き、
ジャマイカで静かに暮らしていた。
そこへ、CIAの旧友フィリックス・ライター(ジェフリー・ライト)が助けを求めてくる。
誘拐された科学者のヴァルド・オブチェフ(デヴィッド・デンシック)を救出して欲しいと言うのだ。

ボンドはこれを承諾するが、
任務は想像を遥かに超えた危険なものとなり、
やがて、凶悪な最新技術を備えた謎の黒幕を追うことになる。

【感想】
『007』シリーズ第25作目。
そして、ダニエル・クレイグ最後のジェームズ・ボンド。
優秀の美を飾りました。
今作はアクションよりもドラマ部分の方が印象深かった。

できることなら『カジノ・ロワイヤル』(2006)から観ておいた方がいいかなー。
最低でも前作の『スペクター』(2015)はチェックしておきたいところ。
それほど、ストーリー上のつながりが強い。
シリーズ初なんだよね。
同じボンドガールが2作品に渡って登場するのは。

そして、そのボンドガールことマドレーヌと
ボンドの関係がものすごく大事になってくる。
前作で彼女が語っていた過去も明らかになるし、
ボンドが本当の愛を感じる話でもあるから。

そこが過去シリーズと比べると大きな違いかと。
ボンドって女性を抱きまくるけど、
本気で好きになることはなくて。
それが、ダニエル・クレイグになってからは違うんだよ。
『カジノ・ロワイヤル』(2006)での
ヴェスパー(エヴァ・グリーン)は本気で愛したし、
それは今回のマドレーヌもいっしょ。
だから、単に任務を遂行するだけでなく、
その裏では守るべき存在があるっていうのは大きい。

そんなマドレーヌが、
実はスペクターとつながっているんじゃないかっていう疑念があるから、
ボンド的には辛い。
愛する人が自分の命を狙う敵なんじゃないかってね。

そういう愛を前面に出した作りになってるからこそ、
終盤でのボンドに訪れる悲劇はより一層の辛さを感じさせる。
ラストは泣いたよ。
このシリーズで涙したの初めて。

そのサフィンね、
彼もまた壮大な野望を抱くキャラクターだった。
これまでのように巨額の利益や世界征服といった
私利私欲を追い求めるというより、
“人類の淘汰"を目指していたところが印象的。
ただ、前作のブロフェルドの存在感が強かったってのもあって、
サフィンはそれと比べると薄いかなっていう気はしたけど。

あと今作の見どころと言えば、
やっぱりド派手なアクションは外せない。
冒頭のカーチェイスやキューバのパーティーでの戦闘、
終盤の銃撃戦はさすがだった。
キューバではアナ・デ・アルマス演じる
パロマのアクションが美しすぎて鼻血出る勢い。
あんなこぼれ落ちそうな服装なのに、
一切こぼれ落ちないのが不思議なぐらい(何が?w)。

それにしても、ジェームズ・ボンドの身につけているものは、
相変わらずすべてがかっこよすぎる。
彼が乗るだけで、(改造された)アストンマーティンに乗りたくなるし。
彼が着るだけで、トム・フォードのスーツを着たくなるし。
彼がつけるだけで、オメガの時計をつけたくなるし。
彼が飲むだけで、ウォッカ・マティーニを飲みたくなる。
車もスーツも時計もお酒も、すべては彼のためだけにある気がする。
もはや彼の前ではそれらの広告は無に帰すかもしれない(笑)

尺は長いけど、
シリーズを観てきた人なら、
絶対観るべき映画。
世界が変わっていく中で、
変わらないかっこよさをボンドは提示し続けている。

さて、次回作は、、、?
エンドクレジットには、
毎回差し込まれる"あの一文"があるので、
首を長くして待っていましょう。

JAMES BOND WILL RETURN

No Time To Die JP | James Bond 007

James Bond 007