053:なう（足知）

なうなうなあなたはマクラを抱きながらなうなうなうなう眠るうなうな

内藤鳴雪

夏山に大木倒す谺（こだま）かな
内藤鳴雪
森澄雄「俳句への旅」より

実際に谺が大木を倒すわけではない。夏山の谺はそれくらいの迫力だということだ。実に気分をよく伝えてくれる句である。

短歌人４月号「天を貫くソプラノを聞く」大越泉、同人２

人ひとり愛してゐます基本的なことを誰にも話してゐない

確かにそうだ。改めていうというより「人ひとり」を愛しているとは言ったことがない。一人だけを愛している訳ではないからか。自分のことも含めれば一人だけではないだろうし。