手羽先をしゃぶりつくしていくあなた唇指先グラスギトギト
たったいま生まれたような月である善意のウソと知ってはいるが
「たったいま生まれたような月」のようなウソ。生まれたての月はまだ無垢だ。ただ善意のウソもいつかは汚れてしまう。作者はいつも上手い。無理があるようで無理がない。毒なのだがユーモアがある。
「たったいま生まれたような月」のようなウソ。生まれたての月はまだ無垢だ。ただ善意のウソもいつかは汚れてしまう。作者はいつも上手い。無理があるようで無理がない。毒なのだがユーモアがある。
障害にぶつかり進路変更す夕影はビルの壁に添いたり
上句と下句の繋がりをどう読むのか。それをどう伝えるか。理屈ではないことを説明するのは難しい。繋がりを感覚で理解しているからだ。この一首もそうだ。上句は人生のことを下句は情景を。情を起こさせる景色なのだが、どういう感情かは詠まれていない。マイナスの感情であるのは分かる。影や添うのは受動的だからだ。
上句と下句の繋がりをどう読むのか。それをどう伝えるか。理屈ではないことを説明するのは難しい。繋がりを感覚で理解しているからだ。この一首もそうだ。上句は人生のことを下句は情景を。情を起こさせる景色なのだが、どういう感情かは詠まれていない。マイナスの感情であるのは分かる。影や添うのは受動的だからだ。
梅雨(つゆ)見つめをればうしろに妻(つま)も立つ
大野林火
森澄雄「俳句への旅」より
後ろに立った妻は無言だったと思う。梅雨を黙って見ている夫婦。ただそれだけのはずなのに夫婦の愛情を感じる。何故だろう。
大野林火
森澄雄「俳句への旅」より
後ろに立った妻は無言だったと思う。梅雨を黙って見ている夫婦。ただそれだけのはずなのに夫婦の愛情を感じる。何故だろう。