ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

短歌人1月号「会員1」中辻博明

2011-01-25 06:00:35 | 平成23年短歌人誌より
美しく今日も夢みておもうのは僕の恋びと高橋美鈴

一読、リアルではないと感じた。ここでいうリアルとは現実の恋愛ではないという意味で。何故か、わざわざ「僕の恋びと」と言ったり、「高橋美鈴」とフルネームで言うからだ。調べてみたらはたして、高橋美鈴とはNHKのアナウンサーであった。思わず笑ってしまった。

篠原鳳作

2011-01-25 05:59:57 | クンストカンマー(美術収集室)詩・俳句
満天の星に旅ゆくマストあり
篠原鳳作
森澄雄「俳句への旅」より

マスト「あり」だから、マストを見送っている。(もしくは、自ら持っているという「あり」か)しかし、前者でないとつまらない。もちろん、そのマストも幻想ではあるのだが。誰かがその帆を広げ満天の星を旅ゆく。それを見送っているからこその抒情。

短歌人1月号「会員1」芝典子

2011-01-24 05:58:38 | 平成23年短歌人誌より
強く強く期待してしまふ今すぐに降り出せば来てくれるはずだと

木犀の香りは雨に冷やされて一つの傘でよい帰り路

どちらも恋のただ中にいる者の熱い熱気に満ちている。熱気は切なさにも宿る。恋は五感を豊かにし短歌にエネルギーを与える。例えば、木犀の香りも恋の感情と重なればより一層、脳裏に焼き付くだろう。

久保田万太郎

2011-01-24 05:58:05 | クンストカンマー(美術収集室)詩・俳句
湯豆腐やいのちのはてのうすあかり
久保田万太郎
森澄雄「俳句への旅」より


湯豆腐が何故、命の果ての薄明かりなのか。湯豆腐の持つ、柔らかさや温かさからなのか。そこに希望が見えたのか。万太郎が湯豆腐を好きなだけかも知れない。ただ、湯豆腐は美味しい。命の果てに見る薄明かりは美しい。