真弓「必死」斎藤典子 2011-01-23 06:05:27 | クンストカンマー(美術収集室)短歌 何かもの言はむとしつつ来し部屋の机上にありぬ雲形定規 雲と定規は正反対の存在だろう。長さを正確にはかる定規と、長さの正確にない雲。「何かもの言はむ」だから、何か言いたいがはっきりしない。ボーッと考えている時に、ちょうど雲形定規を見た。それは象徴的だ。
短歌人1月号「会員1」佐久間巴 2011-01-22 06:06:29 | 平成23年短歌人誌より 秋空は限りなき青わが双手あぐれば背丈の伸びたる心地 秋空は限りなく高く青い。その空に両手をあげれば背丈まで伸びた心地がする。そのままで作者の心地に共感する。過不足のない表現。比喩を引きずりまわす短歌には到達出来ない強い実感が伝わる。
真弓「しやうじやうとんぼ」斎藤典子 2011-01-22 06:05:53 | クンストカンマー(美術収集室)短歌 生くるべき理由などといふ戯言をかつて言ひしか四十雀のわれ 生きるのに理由がいるのは、余裕のあるときだ。懸命になっているときには生きていることも忘れる。四十になってあんなことを言っていたこともあったと振り返る。しかし、そんな戯言を言う時間もまた貴重なのだ。
詩、竜巻 2011-01-21 11:25:31 | 詩 竜巻を眺めていたら逃げるのを忘れて、いつのまにか巻き上げられ地面にたたき落とされることがよくある。 その中心の謎に惹かれ、もしかしたら自分なら竜巻の中心に入れるのではないかと考えるからだ。 地面に落ちた僕の骨はぼくぼくに折れるけれど酒でも呑んでいるうちに忘れる。 そしてまた竜巻を見つけてしまい、あれよあれよと言う間に僕の体は宙を舞う。 いつまでも竜巻の中心の謎は謎のまま。