作家の志賀直哉は、
若いころ、キリスト教に影響されていた。
それで、日曜日なると、仲間と一緒に、
キリスト者の内村鑑三の家に、
説教を聴きに行っていた。
ある日、内村鑑三が言った。
「君たち!
最近、何か、思いついたこと、ありますか?」
青年の志賀直哉は、答えた。
「今日は電車に乗ってきました。
電車の窓から日光が差していました。
日光のせいで、電車の中のホコリがすごいことがわかりました。
乗客も、それを見て、嫌な顔をしていました。
世の中には、知らない方が良かったこともあると思います」
これを、内村は、キリスト教への批判と受け取ったようだ。
それで、
「そんなことはない。
真実を知ってこそ、人間は成長できるもんだよ」
というような答えをしたらしい。
俺は若いころ、女性の膝枕が大好きだった。
彼女にもしてもらった。
ところが、ある日、女性が和式トイレに入ったあと、
便器が、女性のオシッコの飛沫でべたべただったことがあった。
女性はオシッコをすると、
飛沫が足にかかることもある。
そういうことがわかってから、
女性の膝枕も、
素直に喜べなくなった(失礼)。
なんてことを言ったら、
女性は言った。
「男のおチンチンも、
よっぽどいい匂いがするかと思ったら、
イカ臭いじゃん」
(イカさん、ごめんね)
世の中には、
知らない方が良かったことは、
たくさんある。
とくに男女関係に多い。
世の中の男女が離婚をするのも無理はない。
でも俺は内村を支持する。
真実を知ってこそ、人間は成長できるもんだよ。
真実を知ってこそ、異性をもっともっと愛せるもんだよ。
逢ひ見ての のちの心に くらぶれば
昔はものを 思はざりけり
・・・・権中納言敦忠