今日5月3日はこの国の憲法記念日。沖縄タイムスは6月の県議選立候補予定者に改憲を巡るアンケートを行い、公表した。結果は「改憲 反対32人、賛成29人」(64名中) 9条を巡っては、反対37名、賛成21人、どちらでもない4人、未回答2名。沖縄だから9条改定反対が多数を占めているが、些か立ち入って考えてみたい。
概括的に言えることは、玉城県政の与党の立場をとる人達は、9条改憲はむろん、改憲一般にも反対の立場を示している人が殆どだ。逆に野党的な立場をとる人達は、皆改憲に賛成であり、9条改憲に「どちらでもない」としたのは照屋守之(自民党-うるま市区)と島尻忠明(自民党ー浦添市区)の二人だ。前者は安倍改憲の自衛隊明記案に賛成している(本文ではすべて敬称を略させていただきました。ご承知起き下さい)。
他方、与党側でも、喜友名智子(立憲民主ー那覇・南部離島区)は改憲に「どちらでもない」とし、9条改憲に反対としており、両者の余白に何を隠し持っているのだろうか。確かめることが不可欠だ。そして翁長雄治(無所属ー那覇・南部離島区)は改憲に賛成し、9条改憲に反対している。これまた何が真意なのか問うべきだ。
県政に対して「中立」を掲げる公明党の金城勉(沖縄市区)と上原章(那覇・南部離島区)は改憲にどちらでもなく、9条改憲に反対、だが安倍改憲の9条明記に「どちらでもない」にしており、9条改憲容認派とみるべきだろう。沖縄でも自公政権の縛りは効いているということだ。
改憲に賛成は29名であり、「どちらでもない」を含めれば、32で、賛否同数とみることもできる。9条改憲は、賛成21に「どちらでもない」4名と未回答の2名を加えれば、27名となる。反対は37名。選挙結果を見なければ、沖縄の世論の動向を示すことはできないが。
しかし、1960年代から70年代初頭までの沖縄は、「日本国憲法が光り輝く沖縄」をめざして、「復帰闘争」を闘ったのではなかったのか。あれ(1972年5月15日)から48年が経過し、そんな幻想は吹き飛んでしまったのかも知れない。沖縄の人々が日本国憲法を求めれば求めるほど、遠ざけられてしまっているからだ。そうしたのは一体誰だ?! 歴代の日本国政権であり、私を含む日本国民が、だろう。「基地の島・沖縄」をカッコで括ってきたためだ。
沖縄には、復帰闘争と絡み合いながら、《「憲法を実戦する村」読谷村ー山内徳信村長》などの営為があった。こうした地平をも再度、検証し、これからを考えることが不可欠だと、私は考えている。
以下、要点のみだが、改憲と沖縄・地域(沖縄に限らない地域)の自治を考える視点を整理しておきたい。
①歴史的に沖縄から米・日関係を考え直し、何故に圧殺されてきたのか、どこに可能性があるのかを考える。
②国に対する態度が大きな分岐点になる。中央政府に依存し、隷属を深めていくのか、自立の芽を育て、自治を広げていくのか。
③お金に対する態度が決定的だ。金が回れば何でもいいのか? お金に誘惑されるのは、人の世の常かもしれない。しかし「基地の島・沖縄」から離脱するとすれば、こうした誘惑をかわすことなしにありえない。離脱しないとすれば、基地と隣り合わせの生から抜け出せない。再度問う。殺戮とともに歩む基地経済を変えることは可能か? 因みに、安倍政権は、2014年、4月武器輸出3原則を放棄し、日本国を武器で儲ける国に変えつつあるのだ。
④基地があるということは、常に戦争に備え、向き合っているということだ。そして今、安倍政権は「島嶼防衛」を掲げ、宇宙戦争やらサイバー攻撃まで準備を進め、実戦化に入っている。沖縄・琉球諸島を戦場にすることを想定しながら、事を進め、だから改憲となっている。
確かに、中国が攻めてきたら、どうするかという声がある。沖縄をそのための盾・槍にして、再び「本土防衛」か? 中国であれ、米国(日本国)であれ、沖縄(どこそこ)の人々の命の営為を危うくする事に対して、やめていただくことが先決だ。そのための継続的な外交努力が不可欠だ。
6月に迫った沖縄県議選はどうなるのだろうか。注目し、声をあげていこう。