「また今年も忘れたわね・・・・・・・」
その日もあと数刻と迫った夕暮れ時。
それがしは、この言葉を聞いた途端、背筋が凍るとともに急激なめまいに襲われし候。
二十九年目の結婚記念日。
不覚にも、全く持って忘却の彼方であった。
昨年も忘れ、「とりあえす最低」と姫たち(娘)に散々に罵られ、
「もう私は慣れましたから」とニコリともしない奥方。
「いやはやお持ちを!来年はこの命に掛けてもお忘れ致しませぬ!」
と、忘れたら腹でも切ろうかという勢いで誓ったのに・・・・・・・・・
一厘も思い出さずに候。
忘れたのは今回で四年連続。
よりによって、二十五年目の銀婚式を皮切りに始まったこの暴挙。
弁解の余地は無きに候。
そのあと葡萄酒を近くで買ってきが、これ正に焼け石に水。無駄な抵抗。
翌日もことあるごとに
「あ、昨日は見事に忘れてたわよね~」といじられれば、
「はっ!このたびは・・・・・・誠に申し訳なく、心よりお詫び申し上げ奉ります!」
と何度も土下座をし、姫たちに笑われしは、これ武士にあるまじきことに候。
しかし如何なものか?
拙者と同輩の殿方は、年貢以外の上納品を忘れず納めておるのだろうか?
その辺り、皆目わからぬ故、ご意見を承りたく思う次第で候。
その日もあと数刻と迫った夕暮れ時。
それがしは、この言葉を聞いた途端、背筋が凍るとともに急激なめまいに襲われし候。
二十九年目の結婚記念日。
不覚にも、全く持って忘却の彼方であった。
昨年も忘れ、「とりあえす最低」と姫たち(娘)に散々に罵られ、
「もう私は慣れましたから」とニコリともしない奥方。
「いやはやお持ちを!来年はこの命に掛けてもお忘れ致しませぬ!」
と、忘れたら腹でも切ろうかという勢いで誓ったのに・・・・・・・・・
一厘も思い出さずに候。
忘れたのは今回で四年連続。
よりによって、二十五年目の銀婚式を皮切りに始まったこの暴挙。
弁解の余地は無きに候。
そのあと葡萄酒を近くで買ってきが、これ正に焼け石に水。無駄な抵抗。
翌日もことあるごとに
「あ、昨日は見事に忘れてたわよね~」といじられれば、
「はっ!このたびは・・・・・・誠に申し訳なく、心よりお詫び申し上げ奉ります!」
と何度も土下座をし、姫たちに笑われしは、これ武士にあるまじきことに候。
しかし如何なものか?
拙者と同輩の殿方は、年貢以外の上納品を忘れず納めておるのだろうか?
その辺り、皆目わからぬ故、ご意見を承りたく思う次第で候。