日銀 2%の物価目標導入決定(NHK)
日銀は、22日まで開いた金融政策決定会合で、2%の物価上昇率を新たに「目標」と明確に定めた政府との共同声明を決め、デフレからの脱却に向け、政府・日銀による連携強化を打ち出しました。
併せて日銀は、来年以降、期限を定めずに国債などを買っていく、新たな金融緩和の強化策を決めました。
日銀は22日までの2日間、金融政策決定会合を開き、安倍総理大臣が求めている政府と日銀の連携強化や2%の物価目標の導入などについて詰めの協議を行いました。その結果、日銀は政府との共同声明を公表し、日銀が目指す物価上昇率を「2%」の目標と明確に定め、できるだけ早期に実現することを目指すことを賛成多数で決めました。日銀はこれまでは、目指す物価上昇率について「目途(めど)」と表現し、当面1%が見通せるようになるまで、金融緩和を続けるとしてきました。
今回は、これを改めて「目標」と明示することで、より大胆な金融緩和を行っていくことになります。
一方、共同声明には、政府が成長力の強化と持続可能な財政構造を確立するための取り組みを推進することが盛り込まれ、政府・日銀が連携を強化して早期のデフレ脱却を目指すことになりました。さらに政府の経済財政諮問会議で、金融政策も含め経済政策や物価や雇用の情勢をなどを定期的に検証するとしています。
また、金融政策について日銀は、新たな金融緩和の強化策を決めました。
日銀は、これまでことし末を期限とする基金を設けて国債などを買い入れ、大量の資金を供給してきました。これを、来年以降は期限を定めずに毎月、国債など13兆円の金融資産を買い入れる方式に改めます。国債などの買い入れをいわば無期限とすることで、追加的な金融緩和を将来にわたって続ける姿勢も併せて示すねらいがあります。日銀が2回の決定会合で連続して金融緩和を強化するのは、平成15年以来およそ9年8か月ぶりとなります。22日の決定で、日銀の金融政策は、物価目標を導入して本格的な金融緩和に臨むという大きな転換点を迎えました。
金融緩和一辺倒で実需が伴わない経済政策など、所詮「知れている」。
そもそも、今の日本はゼロ金利状態がずっと続いていて、既にケインズ流に言われるところの「流動性の罠」に陥った状態になっていると言われている。この状態だと家計も企業も消費や投資活動を行わず、ひたすら、現金をため込んでおいたほうがいいという行動を取る。個人資産の総計が1500兆円、、企業の内部留保金が230兆円という、巨大な資金が市場に出回らず、ただひたすら中に「眠っている」というわけだ。
そんな状況下でカネを余らせる政策を取ったところで、所詮は中に「ため込まれてしまう」だけ。では「吐き出させるためには」どうしたらいいか、ということを、もう何十年も前から言われているはずだけど、政府は一向にやろうとしないね。
また、個人資産が1500兆円もあるといわれる一方で、預貯金のない個人は実は30%ほどにも上っている。また、日本はベンチャービジネスがいまだ育ちにくい環境にあり、要は20世紀型の産業に依存する状態が今も続いている。
ということは、上記の、ただ金融緩和一辺倒の政策だけをもって、物価上昇率2%っていうのは相当にきつい政策だと言わざるを得ない。
というのは、要するに、日常必需品はじわじわと上昇していくのに、高付加価値と言われる商品はますます売れなくなる恐れがあるからだ。また、いわゆる「富裕層」と言われる層は限界消費性向が、そうでない層と比較して低い傾向にあるので、耐久消費財あたりは一層価格が下落する可能性があるね。
要するに、日常必需品は「インフレ」で、耐久消費財は「デフレ」となる可能性がある。
日本のような「先進国」ともなると、一次産業よりも、二次、三次のほうが圧倒的に従事者が多い。要するに、付加価値の高い産業に従事している人間が多いことになる。しかし、二次、三次産業は一層「デフレ」なんてことになると、それらの従事者は「切られる」運命になってしまう。そして、日常品の物価上昇はじわじわと進んでいくため、最悪の経済状態と言われる、「スタグフレーション」になる可能性がある、ということだ。
そんな状況になる可能性があるにもかかわらず、日本の場合、来年4月より8%、再来年10月が10%と、それぞれ消費税率が上昇していく。その後のシナリオは言うまでもない話だろう・・・
こうなると、日本はまたぞろ、「失われた10年」を体験することになるだろう。
しかしながら、こうした政府、日銀の方針に対し、野党のほとんどが「賛成」しているというのが不思議でならない。ということはもはや日本の政界は既に、「体制翼賛化」してしまっているのか?
特別会計は温存され続け、経済政策はマネー一辺倒。成長戦略とかいったところで、所詮は役人の作文で、実態経済を反映しない。財界は財界で、ただの「おねだり集団」と化し、自分たちでビジョンを描けない。そして政治家の無責任化は一層進み、与党マンセーの「体制翼賛化」。
なんだか、今後のニッポンが「怖くなってきた」よ。