
日産 内田社長が3月末で退任 後任はイヴァン・エスピノーサ氏 NHK 2025年3月11日 22時32分
日産自動車は11日に取締役会を開き、内田誠社長が3月末で退任する人事を正式に発表しました。
業績の悪化などの経営責任を問われたとみられ、後任の社長には商品企画の責任者を務めるイヴァン・エスピノーサ氏が就任します。
日産自動車は取締役会を開いてトップを含めた新しい経営体制を議論した結果、内田誠社長が今月末で退任し、後任の社長に商品企画の責任者を務めるイヴァン・エスピノーサ氏をあてる人事を正式に発表しました。
日産は今年度の決算で800億円の最終赤字を見込むなど業績が急速に悪化していて、内田社長は経営責任を問われたとみられます。さらに生産や技術開発を担当する2人の副社長も退任するなど、経営陣を刷新します。
新しく社長に就任するエスピノーサ氏は、メキシコ出身で2003年にメキシコ日産自動車に入社しました。
2018年から日産の常務としてグローバルの商品戦略や商品企画を担当し、去年4月からは商品企画などの責任者を務めています。
日産は業績の悪化に加えて、ホンダとの経営統合の協議もわずか1か月半で打ち切っていて、社長に就任するエスピノーサ氏をはじめ、新たな経営陣は早期の業績立て直しとともに、新たな提携戦略をどう打ち出していくか、難しいかじ取りを迫られることになります。
新経営陣の課題は
日産は悪化している業績の立て直しが差し迫った課題で、新たな経営陣は過剰な生産能力などの削減に加えて、収益の回復に向けて商品力の強化につながる具体策を打ち出せるかが問われることになります。
日産は2026年度までに工場の閉鎖や生産ラインの集約などで、世界での生産能力を500万台から400万台へと20%減らす計画で、こうした計画を着実に実行し、現在の販売規模でも利益を出せる体制づくりを急ぐ必要があります。
また、主力市場にもかかわらず販売不振が続くアメリカや中国では、各社の競争が激しくなっていて、商品力の強化が欠かせません。
とくにアメリカでは、ハイブリッド車のラインナップがないことが販売不振の要因の1つとされています。
会社は燃費性能を改善した新たなハイブリッドシステムを搭載した新型車を来年度以降、アメリカやヨーロッパ、日本に投入する計画で、販売台数の増加につなげられるかが焦点です。
さらにホンダとの経営統合の協議が打ち切りとなったことで、新たな提携戦略への取り組みも求められます。
各社ともEV=電気自動車やソフトウエアの分野で巨額の開発費を必要とする中、他社との協業や提携の重要性は高まっています。
1社単独での生き残りは難しく、内田社長はホンダとの統合協議の打ち切りを発表した先月の記者会見の中で「我々が将来的に個社ですべてを見ていくのは厳しいと思っている。さまざまな分野におけるパートナー、その可能性をこれから探求していきたいと思っている」と述べていました。
日産に対しては、台湾の大手電子機器メーカーでEV事業にも参入している「ホンハイ精密工業」が関心を示しているほか、社内や取引先の金融機関などでは、再びホンダと統合協議を行うべきだとする声もあります。
そうした中で、会社として提携の効果が見込める相手を見極めたうえで、具体的な提携戦略を描けるかが生き残りに向けた課題となります。
抜本的改革に至らず 業績再び悪化
内田社長は、経営の立て直しが差し迫った課題となっていた2019年12月に社長に就任しました。
収益性を改善するため、ゴーン元会長時代の拡大路線からの転換を進めましたが、新型コロナの感染拡大に伴う世界的な販売不振や、過剰となっていた生産能力の削減費用などを計上したことで、就任後の2020年3月期の決算では、6700億円あまりの巨額の最終赤字を計上しました。
その後、コロナ禍の半導体不足を背景に各社の生産が減少し、新車のニーズが高まったことや、相次ぐ新型車の投入などで業績はいったんは回復し、昨年度の決算では、売り上げが初めて12兆円を超えたほか、本業のもうけを示す営業利益も5687億円となりました。
また、2023年には、日産の経営危機をきっかけに20年あまりにわたって続いてきたルノーに有利な資本関係を対等な立場に見直し、経営の立て直しを進めながら提携戦略にも変化をもたらしました。
しかし、業績が回復する中でも、国内外の販売現場からは「売れる車がない」という声も上がるなど、商品力の改善は道半ばで、とくにアメリカではディーラーへの販売奨励金に頼った営業が続いていました。
そして、アメリカと中国での販売不振が鮮明になったことで、今年度に入ってから業績は急速に悪化し、今年度の決算は800億円の最終赤字となる見通しです。
会社は去年11月には世界で生産能力を20%削減し、9000人の人員削減を行う計画を示しましたが、社内外から踏み込み不足という指摘も上がっていました。
ホンダとの経営統合に向けた協議 1か月半で打ち切り
そうした中、内田社長はホンダとの経営統合に向けた協議に踏み切りました。
統合によって両社の競争力を強化し、米中の新興メーカーに対抗するのが狙いで、内田社長は協議入りを発表した去年12月、「両社が力を合わせることでさまざまな市場で大きな相乗効果が期待できる」などと述べ、期待感を示していました。
しかし、協議を進めていく中で両社の意見の隔たりが大きくなり、ホンダから打診された子会社化の案は受け入れられないとして、わずか1か月半で協議は打ち切りとなりました。
業績の悪化に加えて、ホンダとの経営統合の協議で混乱を招いたとして、内田社長の経営責任を問う声が高まっていました。
社外取締役は留任で調整
木村康 取締役会議長は11日の会見で、取締役を務める内田社長や副社長の退任を決めたものの、自身を含む8人の社外取締役については留任する方向で調整していることを明らかにしました。
これについて木村議長は「現在の状況に対しての私ども取締役の責任は非常に重大だという認識は十分理解しているが、それを打破するために新体制を構築してみなさまに判断していただきたいということを選択した」と述べました。
注目
会見の詳細
内田社長“難しい経営のかじ取り求められた”
日産自動車の内田誠社長は、社長を務めた5年4か月を振り返り「拡大路線からの転換、元会長の事件に伴う企業イメージの悪化と業績不振への対応など日産固有の課題に加え、コロナ禍による社会の混乱それに伴う事業への影響、自動車業界の急速な構造変化など新たな課題にも次々と直面し、非常に難しい経営のかじ取りが求められた」と述べました。
そのうえで「最後の1年は取引先との関係改善、ホンダとの戦略的パートナーシップの検討に加え、急速に悪化した状況から脱却するためターンアラウンドの取り組みを進めてきた。こうした状況で次の社長にバトンを渡すことになったことにじくじたる思いだが、新しい経営陣が従業員の力を最大限引き出し日産を再び成長軌道に戻していってくれることを心から願っている」と述べました。
エスピノーサ氏 “安定性と成長を取り戻していきたい”
日産の社長に就任するイヴァン・エスピノーサ氏は、
「このような困難な時期に取締役会が私を信頼し、会社を率いるよう要請していただいたことに心から感謝の意を表したいと思います。
私は日産とともに成長し、長年にわたり世界中でさまざまな役割を担ってきました。この間、私は車への愛情と自動車業界への情熱を深めてまいりました。
そして日産に対する情熱を深めてきました。才能あふれる同僚から学び、さまざまな市場を経験する機会に恵まれ、何が日産の独自性と高い価値を実現しているかについて理解を深めてまいりました。
私は日産を再び輝かせるために取り組んできた内田さんのあとを継ぐことになり、大変わくわくしています。
私は日産はこんなものではないと心から信じております。世界中の才能あふれるチームと緊密に協力しながらこの会社に安定性と成長を取り戻していきたいと考えています」と述べました。
エスピノーサ氏 ホンダとの協業関係 コメントせず
エスピノーサ氏は、ホンダとの今後の協業関係や再度、経営統合に向けた協議を行う可能性があるかを問われたのに対し、「憶測の内容についてはコメントできません。まずはチームの皆さんと協力して、将来に向けた取り組みを進めたいと思います」と述べ、明言を避けました。
内田社長“最優先は成長軌道に戻すこと”
内田誠社長は「先月の決算発表の場で述べたとおり、1日も早く今後の日産が進むべき方向性を明確にし、そのうえで後任に速やかにバトンタッチすることが社長としての責任の取り方であると考え、これまで業績回復に向けて取り組みを進めてきました。しかしながら、去年の秋にターンアラウンドの取り組みを発表し、それ以降、事業運営を行っていく中で私に対する経営責任を問う声が社内外だけでなく、従業員からも出てくるようになりました。今の日産にとって最優先事項は足元の状況から1日も早く脱却し、会社を成長軌道に戻すことです。そのためには従業員の力を結集し、一丸となって課題に取り組める環境を作ることが不可欠と考えています。しかし、その従業員の一部から信任を得られない状況となったこと、そして取締役会からの要請があったことを踏まえると新しい経営体制に移行し、1日も早く再スタートを切ることが会社にとって最善と私自身も判断しました」と述べました。
木村取締役会議長“エスピノーサ氏 資質があると判断”
指名委員会の一員でもある木村康取締役会議長は、後任の社長に就任するイヴァン・エスピノーサ氏について、「これまで主に商品企画の領域を担当し、メキシコでのキャリアを含めグローバルな経験を有しております。長年の日産キャリアを通じて日産愛が強く、情熱とスピード感を持って日産自動車の業績回復およびさらなる発展をリードしてくれるものと信じているし、その資質があると判断いたしました」と述べました。
内田社長 “リーダーシップ発揮してもらえると期待”
日産自動車の内田誠社長は新たな社長に就任するエスピノーサ氏について「日産の商品や強みを語らせたら多分、彼は一番だ。私よりももっと技術的な面も知り尽くしていますし、これから日産の強みや差別化要因をどんどんマーケットに出していくうえで、彼はすばらしいリーダーシップを発揮してもらえると大きく期待してます。私もまだ3月末までは今の立場にいますし、それ以降も一取締役の立場にはなりますが全面的に彼を支えていきながらいま日産がやらなきゃいけないことを一緒に進めていきたいという思いがあります」と述べました。
そのうえで、「従業員の皆さんにはこの5年3か月、本当に支えてもらいました。日産が厳しいときにも皆さんが歯を食いしばって、本当にすべてのことをしてもらった。これがあって私もここまで一緒にやってこれたと思っています。新社長のもとで、日産の強みやいいところが発揮されることを期待していますし、私もできることがあれば限られた期間においてサポートしていきたい」と述べました。
日産自動車は11日に取締役会を開き、内田誠社長が3月末で退任する人事を正式に発表しました。
業績の悪化などの経営責任を問われたとみられ、後任の社長には商品企画の責任者を務めるイヴァン・エスピノーサ氏が就任します。
日産自動車は取締役会を開いてトップを含めた新しい経営体制を議論した結果、内田誠社長が今月末で退任し、後任の社長に商品企画の責任者を務めるイヴァン・エスピノーサ氏をあてる人事を正式に発表しました。
日産は今年度の決算で800億円の最終赤字を見込むなど業績が急速に悪化していて、内田社長は経営責任を問われたとみられます。さらに生産や技術開発を担当する2人の副社長も退任するなど、経営陣を刷新します。
新しく社長に就任するエスピノーサ氏は、メキシコ出身で2003年にメキシコ日産自動車に入社しました。
2018年から日産の常務としてグローバルの商品戦略や商品企画を担当し、去年4月からは商品企画などの責任者を務めています。
日産は業績の悪化に加えて、ホンダとの経営統合の協議もわずか1か月半で打ち切っていて、社長に就任するエスピノーサ氏をはじめ、新たな経営陣は早期の業績立て直しとともに、新たな提携戦略をどう打ち出していくか、難しいかじ取りを迫られることになります。
新経営陣の課題は
日産は悪化している業績の立て直しが差し迫った課題で、新たな経営陣は過剰な生産能力などの削減に加えて、収益の回復に向けて商品力の強化につながる具体策を打ち出せるかが問われることになります。
日産は2026年度までに工場の閉鎖や生産ラインの集約などで、世界での生産能力を500万台から400万台へと20%減らす計画で、こうした計画を着実に実行し、現在の販売規模でも利益を出せる体制づくりを急ぐ必要があります。
また、主力市場にもかかわらず販売不振が続くアメリカや中国では、各社の競争が激しくなっていて、商品力の強化が欠かせません。
とくにアメリカでは、ハイブリッド車のラインナップがないことが販売不振の要因の1つとされています。
会社は燃費性能を改善した新たなハイブリッドシステムを搭載した新型車を来年度以降、アメリカやヨーロッパ、日本に投入する計画で、販売台数の増加につなげられるかが焦点です。
さらにホンダとの経営統合の協議が打ち切りとなったことで、新たな提携戦略への取り組みも求められます。
各社ともEV=電気自動車やソフトウエアの分野で巨額の開発費を必要とする中、他社との協業や提携の重要性は高まっています。
1社単独での生き残りは難しく、内田社長はホンダとの統合協議の打ち切りを発表した先月の記者会見の中で「我々が将来的に個社ですべてを見ていくのは厳しいと思っている。さまざまな分野におけるパートナー、その可能性をこれから探求していきたいと思っている」と述べていました。
日産に対しては、台湾の大手電子機器メーカーでEV事業にも参入している「ホンハイ精密工業」が関心を示しているほか、社内や取引先の金融機関などでは、再びホンダと統合協議を行うべきだとする声もあります。
そうした中で、会社として提携の効果が見込める相手を見極めたうえで、具体的な提携戦略を描けるかが生き残りに向けた課題となります。
抜本的改革に至らず 業績再び悪化
内田社長は、経営の立て直しが差し迫った課題となっていた2019年12月に社長に就任しました。
収益性を改善するため、ゴーン元会長時代の拡大路線からの転換を進めましたが、新型コロナの感染拡大に伴う世界的な販売不振や、過剰となっていた生産能力の削減費用などを計上したことで、就任後の2020年3月期の決算では、6700億円あまりの巨額の最終赤字を計上しました。
その後、コロナ禍の半導体不足を背景に各社の生産が減少し、新車のニーズが高まったことや、相次ぐ新型車の投入などで業績はいったんは回復し、昨年度の決算では、売り上げが初めて12兆円を超えたほか、本業のもうけを示す営業利益も5687億円となりました。
また、2023年には、日産の経営危機をきっかけに20年あまりにわたって続いてきたルノーに有利な資本関係を対等な立場に見直し、経営の立て直しを進めながら提携戦略にも変化をもたらしました。
しかし、業績が回復する中でも、国内外の販売現場からは「売れる車がない」という声も上がるなど、商品力の改善は道半ばで、とくにアメリカではディーラーへの販売奨励金に頼った営業が続いていました。
そして、アメリカと中国での販売不振が鮮明になったことで、今年度に入ってから業績は急速に悪化し、今年度の決算は800億円の最終赤字となる見通しです。
会社は去年11月には世界で生産能力を20%削減し、9000人の人員削減を行う計画を示しましたが、社内外から踏み込み不足という指摘も上がっていました。
ホンダとの経営統合に向けた協議 1か月半で打ち切り
そうした中、内田社長はホンダとの経営統合に向けた協議に踏み切りました。
統合によって両社の競争力を強化し、米中の新興メーカーに対抗するのが狙いで、内田社長は協議入りを発表した去年12月、「両社が力を合わせることでさまざまな市場で大きな相乗効果が期待できる」などと述べ、期待感を示していました。
しかし、協議を進めていく中で両社の意見の隔たりが大きくなり、ホンダから打診された子会社化の案は受け入れられないとして、わずか1か月半で協議は打ち切りとなりました。
業績の悪化に加えて、ホンダとの経営統合の協議で混乱を招いたとして、内田社長の経営責任を問う声が高まっていました。
社外取締役は留任で調整
木村康 取締役会議長は11日の会見で、取締役を務める内田社長や副社長の退任を決めたものの、自身を含む8人の社外取締役については留任する方向で調整していることを明らかにしました。
これについて木村議長は「現在の状況に対しての私ども取締役の責任は非常に重大だという認識は十分理解しているが、それを打破するために新体制を構築してみなさまに判断していただきたいということを選択した」と述べました。
注目
会見の詳細
内田社長“難しい経営のかじ取り求められた”
日産自動車の内田誠社長は、社長を務めた5年4か月を振り返り「拡大路線からの転換、元会長の事件に伴う企業イメージの悪化と業績不振への対応など日産固有の課題に加え、コロナ禍による社会の混乱それに伴う事業への影響、自動車業界の急速な構造変化など新たな課題にも次々と直面し、非常に難しい経営のかじ取りが求められた」と述べました。
そのうえで「最後の1年は取引先との関係改善、ホンダとの戦略的パートナーシップの検討に加え、急速に悪化した状況から脱却するためターンアラウンドの取り組みを進めてきた。こうした状況で次の社長にバトンを渡すことになったことにじくじたる思いだが、新しい経営陣が従業員の力を最大限引き出し日産を再び成長軌道に戻していってくれることを心から願っている」と述べました。
エスピノーサ氏 “安定性と成長を取り戻していきたい”
日産の社長に就任するイヴァン・エスピノーサ氏は、
「このような困難な時期に取締役会が私を信頼し、会社を率いるよう要請していただいたことに心から感謝の意を表したいと思います。
私は日産とともに成長し、長年にわたり世界中でさまざまな役割を担ってきました。この間、私は車への愛情と自動車業界への情熱を深めてまいりました。
そして日産に対する情熱を深めてきました。才能あふれる同僚から学び、さまざまな市場を経験する機会に恵まれ、何が日産の独自性と高い価値を実現しているかについて理解を深めてまいりました。
私は日産を再び輝かせるために取り組んできた内田さんのあとを継ぐことになり、大変わくわくしています。
私は日産はこんなものではないと心から信じております。世界中の才能あふれるチームと緊密に協力しながらこの会社に安定性と成長を取り戻していきたいと考えています」と述べました。
エスピノーサ氏 ホンダとの協業関係 コメントせず
エスピノーサ氏は、ホンダとの今後の協業関係や再度、経営統合に向けた協議を行う可能性があるかを問われたのに対し、「憶測の内容についてはコメントできません。まずはチームの皆さんと協力して、将来に向けた取り組みを進めたいと思います」と述べ、明言を避けました。
内田社長“最優先は成長軌道に戻すこと”
内田誠社長は「先月の決算発表の場で述べたとおり、1日も早く今後の日産が進むべき方向性を明確にし、そのうえで後任に速やかにバトンタッチすることが社長としての責任の取り方であると考え、これまで業績回復に向けて取り組みを進めてきました。しかしながら、去年の秋にターンアラウンドの取り組みを発表し、それ以降、事業運営を行っていく中で私に対する経営責任を問う声が社内外だけでなく、従業員からも出てくるようになりました。今の日産にとって最優先事項は足元の状況から1日も早く脱却し、会社を成長軌道に戻すことです。そのためには従業員の力を結集し、一丸となって課題に取り組める環境を作ることが不可欠と考えています。しかし、その従業員の一部から信任を得られない状況となったこと、そして取締役会からの要請があったことを踏まえると新しい経営体制に移行し、1日も早く再スタートを切ることが会社にとって最善と私自身も判断しました」と述べました。
木村取締役会議長“エスピノーサ氏 資質があると判断”
指名委員会の一員でもある木村康取締役会議長は、後任の社長に就任するイヴァン・エスピノーサ氏について、「これまで主に商品企画の領域を担当し、メキシコでのキャリアを含めグローバルな経験を有しております。長年の日産キャリアを通じて日産愛が強く、情熱とスピード感を持って日産自動車の業績回復およびさらなる発展をリードしてくれるものと信じているし、その資質があると判断いたしました」と述べました。
内田社長 “リーダーシップ発揮してもらえると期待”
日産自動車の内田誠社長は新たな社長に就任するエスピノーサ氏について「日産の商品や強みを語らせたら多分、彼は一番だ。私よりももっと技術的な面も知り尽くしていますし、これから日産の強みや差別化要因をどんどんマーケットに出していくうえで、彼はすばらしいリーダーシップを発揮してもらえると大きく期待してます。私もまだ3月末までは今の立場にいますし、それ以降も一取締役の立場にはなりますが全面的に彼を支えていきながらいま日産がやらなきゃいけないことを一緒に進めていきたいという思いがあります」と述べました。
そのうえで、「従業員の皆さんにはこの5年3か月、本当に支えてもらいました。日産が厳しいときにも皆さんが歯を食いしばって、本当にすべてのことをしてもらった。これがあって私もここまで一緒にやってこれたと思っています。新社長のもとで、日産の強みやいいところが発揮されることを期待していますし、私もできることがあれば限られた期間においてサポートしていきたい」と述べました。