認可外保育施設 乳児死亡事故 元施設長に有罪判決 東京地裁 NHK 2025年3月11日 13時51分
東京 練馬区の認可外保育施設で生後6か月の男の子が昼寝の際に死亡した事故で、業務上過失致死の罪に問われた当時の施設長に対し、東京地方裁判所は「きめ細かく観察していれば死亡は防げた」として、禁錮1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。
練馬区東大泉にあった認可外保育施設、「若草ベビールーム」の鈴木数子 元施設長(77)は、7年前の2018年、生後6か月の男の子が昼寝の際に死亡した事故で、きめ細かく観察することや職員への指導を怠ったとして、業務上過失致死の罪に問われ、起訴内容を認めていました。
東京地方裁判所の江口和伸 裁判長は、判決で「死因は吐いたミルクによる窒息と認められる。乳児の様子を5分に1回など、きめ細かく観察し、気をつけるよう職員を指導していれば、窒息による死亡は防げた」と指摘しました。
そのうえで「事故の前年度に都の立ち入り調査で睡眠状況の観察が不十分だと指摘され、チェックリストを用意して記入すると報告していたのに、事故当時は誰1人、記入していないなど、過失は重大だ」として、禁錮1年、執行猶予3年を言い渡しました。
両親「息子の死がむだにならないことを心から願う」
男の子の両親は「これで息子を失った悔しさや悲しみが晴れる訳ではありませんが、今回の判決が今後の保育現場の改善、保育関係者の意識向上につながるきっかけとなり、息子の死がむだにならないことを心から願います」というコメントを出しました。
都の検証委「睡眠時のリスク 認識不足」
この事故について、東京都が設置した検証委員会は、5年前の2020年、「睡眠時の見守りの重要性や乳児の寝返りのリスクについて認識が不足していた。経営の厳しさから無理が生じて、運営がおろそかになっていた」などとする報告書をまとめています。
報告書によりますと、事故当時、施設には0歳から5歳までの子どもが19人いて、職員は施設長を含めて3人いました。
このうち0歳児は4人いて、職員は、亡くなった男の子を寝かしつけた後、本来は5分ごとに観察することになっていましたが、およそ30分間、別室で作業し、観察していなかったということです。
そして、施設運営の問題点として
▽見守りの重要性が理解されておらず、寝返りを始めた乳児のリスクについても認識が不足していたことや
▽経営が厳しく、園児をたくさん受け入れて保育に無理が生じていたことを指摘しています。
元施設長は、検証委員会の聞き取りに対して「職員の目が届くようにするためには、乳幼児の受け入れを少なくして利用料を値上げする必要があり、経営は成り立たたない。4月には、ほとんどの児童が認可保育所に移って、赤字が続くため、職員の確保が簡単にできなかった」と話していたということです。
こども家庭庁のまとめでは、2023年、保育施設などでの死亡事故は全国で9件あり、「睡眠中」が4件でした。
東京 練馬区の認可外保育施設で生後6か月の男の子が昼寝の際に死亡した事故で、業務上過失致死の罪に問われた当時の施設長に対し、東京地方裁判所は「きめ細かく観察していれば死亡は防げた」として、禁錮1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。
練馬区東大泉にあった認可外保育施設、「若草ベビールーム」の鈴木数子 元施設長(77)は、7年前の2018年、生後6か月の男の子が昼寝の際に死亡した事故で、きめ細かく観察することや職員への指導を怠ったとして、業務上過失致死の罪に問われ、起訴内容を認めていました。
東京地方裁判所の江口和伸 裁判長は、判決で「死因は吐いたミルクによる窒息と認められる。乳児の様子を5分に1回など、きめ細かく観察し、気をつけるよう職員を指導していれば、窒息による死亡は防げた」と指摘しました。
そのうえで「事故の前年度に都の立ち入り調査で睡眠状況の観察が不十分だと指摘され、チェックリストを用意して記入すると報告していたのに、事故当時は誰1人、記入していないなど、過失は重大だ」として、禁錮1年、執行猶予3年を言い渡しました。
両親「息子の死がむだにならないことを心から願う」
男の子の両親は「これで息子を失った悔しさや悲しみが晴れる訳ではありませんが、今回の判決が今後の保育現場の改善、保育関係者の意識向上につながるきっかけとなり、息子の死がむだにならないことを心から願います」というコメントを出しました。
都の検証委「睡眠時のリスク 認識不足」
この事故について、東京都が設置した検証委員会は、5年前の2020年、「睡眠時の見守りの重要性や乳児の寝返りのリスクについて認識が不足していた。経営の厳しさから無理が生じて、運営がおろそかになっていた」などとする報告書をまとめています。
報告書によりますと、事故当時、施設には0歳から5歳までの子どもが19人いて、職員は施設長を含めて3人いました。
このうち0歳児は4人いて、職員は、亡くなった男の子を寝かしつけた後、本来は5分ごとに観察することになっていましたが、およそ30分間、別室で作業し、観察していなかったということです。
そして、施設運営の問題点として
▽見守りの重要性が理解されておらず、寝返りを始めた乳児のリスクについても認識が不足していたことや
▽経営が厳しく、園児をたくさん受け入れて保育に無理が生じていたことを指摘しています。
元施設長は、検証委員会の聞き取りに対して「職員の目が届くようにするためには、乳幼児の受け入れを少なくして利用料を値上げする必要があり、経営は成り立たたない。4月には、ほとんどの児童が認可保育所に移って、赤字が続くため、職員の確保が簡単にできなかった」と話していたということです。
こども家庭庁のまとめでは、2023年、保育施設などでの死亡事故は全国で9件あり、「睡眠中」が4件でした。