
1票の格差めぐる判決 福岡高裁も合憲 全国16件すべてで合憲に NHK 2025年3月7日 18時45分
去年10月の衆議院選挙で、1票の価値に最大で2.06倍の格差があったことについて、福岡高等裁判所は憲法に違反しないと判断し、選挙の無効を求める訴えを退けました。これにより、全国の裁判所に起こされた16件の裁判すべてで「合憲」と判断されました。
去年10月の衆議院選挙で選挙区によって議員1人当たりの有権者の数に最大で2.06倍の格差があったことについて、弁護士のグループは「投票価値の平等に反し、憲法に違反する」などとして選挙の無効を求める訴えを全国の高等裁判所やその支部に起こしています。
このうち福岡、大分、熊本、佐賀、長崎の九州5県の23の選挙区を対象にした裁判の判決が7日、福岡高等裁判所で言い渡されました。
この中で、新谷晋司裁判長は今回の格差について「自然な人口の異動以外の要因によって拡大した事情などはうかがわれず、格差の程度も新たな区割り制度の合理性を失わせるほど著しいとはいえない」と述べ、憲法に違反しないと判断して訴えを退けました。
去年の選挙では、より人口に比例した配分ができるとされる「アダムズ方式」を初めて導入して、過去最大規模の区割りの見直しが行われた一方で、格差は2倍を超え、その評価が注目されましたが、7日の判決で、弁護士のグループが起こした16件の裁判すべてで「合憲」と判断されました。
グループによりますと、一連の裁判すべてで「合憲」と判断されたのは、選挙の無効を求める訴えを全国一斉に起こす取り組みを始めた2009年以来、初めてだということです。
弁護士「理不尽な判決」
判決のあと、原告の代理人の弁護士などは裁判所の前で「国難」や「ガリレオ判決」などと書かれた紙を掲げました。
升永英俊 弁護士は「残念ながら完敗の判決です。ガリレオ・ガリレイが地動説を唱えて有罪となったのと同様に理不尽な判決だと思います」と述べました。
このあと開かれた会見で升永弁護士は、7日の判決で自身のグループが全国に起こした裁判すべてで「合憲」と判断されたことについて、「高裁はいずれも同じような判決内容になっている。主張が通らなかったのは残念です」と述べました。
そのうえで、最高裁判所に上告する意向を示しました。
専門家「最高裁も合憲の判断を予想」
高裁判決がすべて「合憲」となったことについて、選挙制度に詳しい一橋大学大学院の只野雅人教授は、「今回の各高裁の判断は、過去の最高裁の判断と同様に、定期的に格差を是正する仕組みを認め、格差が2倍を超えることを想定して合憲としている」と指摘しました。
その上で、「最高裁も今回、合憲の判断が予想される。個別の裁判官の意見で、現状についてどのような注文がつくかどうかが注目される」と述べました。
一方、区割り制度については、「現状では定期的に見直しても、実質的にほとんどすべての期間で格差が2倍を超えている。常時2倍を超えることに合理性を認めるのは難しいと思う」と述べました。
そして、「国会が今回の判決をどのように受け止めるかも重要なポイントだ。次の見直しのタイミングできちんと見直すのか、注目される」と話していました。
去年10月の衆議院選挙で、1票の価値に最大で2.06倍の格差があったことについて、福岡高等裁判所は憲法に違反しないと判断し、選挙の無効を求める訴えを退けました。これにより、全国の裁判所に起こされた16件の裁判すべてで「合憲」と判断されました。
去年10月の衆議院選挙で選挙区によって議員1人当たりの有権者の数に最大で2.06倍の格差があったことについて、弁護士のグループは「投票価値の平等に反し、憲法に違反する」などとして選挙の無効を求める訴えを全国の高等裁判所やその支部に起こしています。
このうち福岡、大分、熊本、佐賀、長崎の九州5県の23の選挙区を対象にした裁判の判決が7日、福岡高等裁判所で言い渡されました。
この中で、新谷晋司裁判長は今回の格差について「自然な人口の異動以外の要因によって拡大した事情などはうかがわれず、格差の程度も新たな区割り制度の合理性を失わせるほど著しいとはいえない」と述べ、憲法に違反しないと判断して訴えを退けました。
去年の選挙では、より人口に比例した配分ができるとされる「アダムズ方式」を初めて導入して、過去最大規模の区割りの見直しが行われた一方で、格差は2倍を超え、その評価が注目されましたが、7日の判決で、弁護士のグループが起こした16件の裁判すべてで「合憲」と判断されました。
グループによりますと、一連の裁判すべてで「合憲」と判断されたのは、選挙の無効を求める訴えを全国一斉に起こす取り組みを始めた2009年以来、初めてだということです。
弁護士「理不尽な判決」
判決のあと、原告の代理人の弁護士などは裁判所の前で「国難」や「ガリレオ判決」などと書かれた紙を掲げました。
升永英俊 弁護士は「残念ながら完敗の判決です。ガリレオ・ガリレイが地動説を唱えて有罪となったのと同様に理不尽な判決だと思います」と述べました。
このあと開かれた会見で升永弁護士は、7日の判決で自身のグループが全国に起こした裁判すべてで「合憲」と判断されたことについて、「高裁はいずれも同じような判決内容になっている。主張が通らなかったのは残念です」と述べました。
そのうえで、最高裁判所に上告する意向を示しました。
専門家「最高裁も合憲の判断を予想」
高裁判決がすべて「合憲」となったことについて、選挙制度に詳しい一橋大学大学院の只野雅人教授は、「今回の各高裁の判断は、過去の最高裁の判断と同様に、定期的に格差を是正する仕組みを認め、格差が2倍を超えることを想定して合憲としている」と指摘しました。
その上で、「最高裁も今回、合憲の判断が予想される。個別の裁判官の意見で、現状についてどのような注文がつくかどうかが注目される」と述べました。
一方、区割り制度については、「現状では定期的に見直しても、実質的にほとんどすべての期間で格差が2倍を超えている。常時2倍を超えることに合理性を認めるのは難しいと思う」と述べました。
そして、「国会が今回の判決をどのように受け止めるかも重要なポイントだ。次の見直しのタイミングできちんと見直すのか、注目される」と話していました。