こんにちは!社労士の吉野千賀です!
社会保険審査会とは、再審査請求(不服申立の2審目)を審理する機関です。
社会保険審査会の平成25年度の取扱状況や裁決状況等の統計が、厚生労働省のホームページに更新されました。
社会保険の不服申立(審査請求→再審査請求)は、社会保険労務士が代理することができます。
ここで容認(または処分変更)されなければ、次は弁護士さんにバトンタッチして提訴となります。
社会保険労務士として代理できる最終段階ですから、社会保険審査会の動向には注目しています。
さて、平成25年度はどうだったのでしょうか。
【社会保険審査会の受付・取扱件数】
平成25年度の受付件数は2,152件、処理件数は1,987件、翌年繰越件数は1,138件でした。
受付件数は平成19年度から1000件を超えるようになり、年度内に処理できない件数が増えてきました。
未処理案件は、翌年度へ繰越となります。
繰越件数が増えているのに、毎年度の受付件数はウナギ登り・・・平成23年度以降の受付件数は、2000件前後を推移しています。
社会保険審査会は、6名の審査委員が3名一組の部会に分かれて合議制で審理しています。
たった6名で審理しているのに、処理件数が1年に2000件以上あるという事実・・・、審査委員は相当な激務と思われます。
それでも、公開審理では内容をしっかり把握されていて、時間はかかるけれど裁決書も送られてきます。
社会保険審査会は最期の砦として機能していると信頼しています(私が扱った案件は容認や処分変更が多いこともありますが)。
処理件数が多く少人数で審査しているため、裁決までかなり時間がかかることは覚悟しなければなりません。
再審査請求を提出してから、公開審理の日程が決まるまで5~6カ月くらいでしょうか。
公開審理日後は、1~3カ月くらいで裁決書が送られてきます。
審査請求(一審目)で3~6カ月くらいかかるので、不服申立を受任すると結果がわかるのはおよそ1年+数カ月後とみています。
【社会保険審査会の裁決状況】
平成25年度は容認件数が大きく増えている!ことに注目しました。
容認件数は、
平成23年度123件
平成24年度126件
平成25年度209件
原処分変更は、
平成23年107件
平成24年度50件
平成25年度84件
原処分変更とは、社会保険審査会の要請等に基づき、保険者が再検討を行った結果、原処分の変更が行われ、結果的に認められるということです。
そこで、容認率(容認と原処分変更)を出してみました。
■全体(被用者保険+国民年金)の容認率■
平成23年度10.9%
平成24年度7.6%↓
平成25年度14.7%↑
■被用者保険の容認率■ (被用者保険とは、主に健康保険と厚生年金のことです)
平成23年度12%
平成24年度8.6%↓
平成25年度16.5%↑
■国民年金の容認率■
平成23年度9.4%
平成24年度6%↓
平成25年度12.2%↑
平成25年度は前年度より容認率が倍になっています!
ちなみに、私たち社労士が代理した場合の容認率を、懇意にしている社労士間で出してみたことがあります。
私たち社労士が代理した案件の容認率は、58.8%でした。
東京都社会保険労務士会の自主研究会「障害年金実践研究会」の社労士が代理した案件の容認率を、書籍「障害年金相談標準ハンドブック」の原稿段階で調べた時も、50~60%でした。
不服申立には専門知識や経験が必要ですから、納得いかない場合は、社労士へご相談いただけたらお役に立てることもあるかもしれません。
【社会保険審査会の制度別受付状況】
健康保険、老齢年金、遺族年金、障害年金など全ての社会保険の不服申立を扱う中で、
最も件数が多いのが「障害年金」です。
障害年金の占める割合は、
平成23年度 62.2%、平成24年度67.1%、平成25年度72.2%です。
全体の6割~7割以上が障害年金の案件であることがわかります。
【最後に感想など・・・】
平成25年度は容認率が上がりました。
障害年金の占める割合も上りました。
障害年金を扱う社労士(私も含めて・・・)が増えてきたことが一因となっていたら、嬉しいことです。
反面、実感としてですが、裁定(最初の請求段階)や更新時の審査が厳しくなっているのではないでしょうか。
本来なら、すんなり等級が確定する案件で、思いがけず低い等級だったり(厚生年金で2級確実と思っても3級など)、
初診日であれこれ言われて不支給になったり、更新時に支給停止になったり・・・etc.
今までだったらすんなり決定されるはずが、1年以上費やして不服申立を行わないと容認されない、という厳しい現実が見えてきます。
「行政が決めたことは覆らないとあきらめないで!」
代理する社労士も情報を共有して、日々研鑽を重ねていますから、納得いかない場合は相談して欲しいなと思います。
<参考>厚生労働省 社会保険(再)審査関係統計表
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【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
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【お知らせ】
書籍「障害年金相談標準ハンドブック~事例に学ぶ請求代理の実務」が販売されます!
障害年金実践研究会出版プロジェクトチームの一員として、吉野も執筆担当しました。
社労士向けの実務書です。
よしの社労士事務所では、障害年金に関するご相談は無料です。専門家としてアドバイス致します。
直接お電話(03-6380-8611)いただくか、メール(info@cyoshino-office.com)でご連絡ください。
なお、匿名でのご相談は受けておりません。
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Have a nice day!
Chika Yoshino
障害年金請求サポートの「よしの社労士事務所」 吉野千賀
社会保険審査会とは、再審査請求(不服申立の2審目)を審理する機関です。
社会保険審査会の平成25年度の取扱状況や裁決状況等の統計が、厚生労働省のホームページに更新されました。
社会保険の不服申立(審査請求→再審査請求)は、社会保険労務士が代理することができます。
ここで容認(または処分変更)されなければ、次は弁護士さんにバトンタッチして提訴となります。
社会保険労務士として代理できる最終段階ですから、社会保険審査会の動向には注目しています。
さて、平成25年度はどうだったのでしょうか。
【社会保険審査会の受付・取扱件数】
平成25年度の受付件数は2,152件、処理件数は1,987件、翌年繰越件数は1,138件でした。
受付件数は平成19年度から1000件を超えるようになり、年度内に処理できない件数が増えてきました。
未処理案件は、翌年度へ繰越となります。
繰越件数が増えているのに、毎年度の受付件数はウナギ登り・・・平成23年度以降の受付件数は、2000件前後を推移しています。
社会保険審査会は、6名の審査委員が3名一組の部会に分かれて合議制で審理しています。
たった6名で審理しているのに、処理件数が1年に2000件以上あるという事実・・・、審査委員は相当な激務と思われます。
それでも、公開審理では内容をしっかり把握されていて、時間はかかるけれど裁決書も送られてきます。
社会保険審査会は最期の砦として機能していると信頼しています(私が扱った案件は容認や処分変更が多いこともありますが)。
処理件数が多く少人数で審査しているため、裁決までかなり時間がかかることは覚悟しなければなりません。
再審査請求を提出してから、公開審理の日程が決まるまで5~6カ月くらいでしょうか。
公開審理日後は、1~3カ月くらいで裁決書が送られてきます。
審査請求(一審目)で3~6カ月くらいかかるので、不服申立を受任すると結果がわかるのはおよそ1年+数カ月後とみています。
【社会保険審査会の裁決状況】
平成25年度は容認件数が大きく増えている!ことに注目しました。
容認件数は、
平成23年度123件
平成24年度126件
平成25年度209件
原処分変更は、
平成23年107件
平成24年度50件
平成25年度84件
原処分変更とは、社会保険審査会の要請等に基づき、保険者が再検討を行った結果、原処分の変更が行われ、結果的に認められるということです。
そこで、容認率(容認と原処分変更)を出してみました。
■全体(被用者保険+国民年金)の容認率■
平成23年度10.9%
平成24年度7.6%↓
平成25年度14.7%↑
■被用者保険の容認率■ (被用者保険とは、主に健康保険と厚生年金のことです)
平成23年度12%
平成24年度8.6%↓
平成25年度16.5%↑
■国民年金の容認率■
平成23年度9.4%
平成24年度6%↓
平成25年度12.2%↑
平成25年度は前年度より容認率が倍になっています!
ちなみに、私たち社労士が代理した場合の容認率を、懇意にしている社労士間で出してみたことがあります。
私たち社労士が代理した案件の容認率は、58.8%でした。
東京都社会保険労務士会の自主研究会「障害年金実践研究会」の社労士が代理した案件の容認率を、書籍「障害年金相談標準ハンドブック」の原稿段階で調べた時も、50~60%でした。
不服申立には専門知識や経験が必要ですから、納得いかない場合は、社労士へご相談いただけたらお役に立てることもあるかもしれません。
【社会保険審査会の制度別受付状況】
健康保険、老齢年金、遺族年金、障害年金など全ての社会保険の不服申立を扱う中で、
最も件数が多いのが「障害年金」です。
障害年金の占める割合は、
平成23年度 62.2%、平成24年度67.1%、平成25年度72.2%です。
全体の6割~7割以上が障害年金の案件であることがわかります。
【最後に感想など・・・】
平成25年度は容認率が上がりました。
障害年金の占める割合も上りました。
障害年金を扱う社労士(私も含めて・・・)が増えてきたことが一因となっていたら、嬉しいことです。
反面、実感としてですが、裁定(最初の請求段階)や更新時の審査が厳しくなっているのではないでしょうか。
本来なら、すんなり等級が確定する案件で、思いがけず低い等級だったり(厚生年金で2級確実と思っても3級など)、
初診日であれこれ言われて不支給になったり、更新時に支給停止になったり・・・etc.
今までだったらすんなり決定されるはずが、1年以上費やして不服申立を行わないと容認されない、という厳しい現実が見えてきます。
「行政が決めたことは覆らないとあきらめないで!」
代理する社労士も情報を共有して、日々研鑽を重ねていますから、納得いかない場合は相談して欲しいなと思います。
<参考>厚生労働省 社会保険(再)審査関係統計表
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【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
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障害年金実践研究会出版プロジェクトチームの一員として、吉野も執筆担当しました。
社労士向けの実務書です。
よしの社労士事務所では、障害年金に関するご相談は無料です。専門家としてアドバイス致します。
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なお、匿名でのご相談は受けておりません。
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