こんにちは!
社会保険労務士の吉野千賀です!
最近の秋の陽気は過ごしやすいですね。
いかがお過ごしですか?
社会保険審査会の裁決は、私にとって「情報の宝庫」です。
それは、きっと皆さまも同じはず!と思い、
社会保険審査会の裁決から
参考になるような部分を連載するシリーズの①です。
第一弾は、弊事務所でも取り扱いが多い傷病の
「慢性疲労症候群 (CFS/ME)」です。
内容が濃い裁決なので、2回に分けますね。
今回ご紹介する裁決は、「初診日」が争点です。
「慢性疲労症候群 (CFS/ME)」の初診時が
整形外科受診で「頚椎椎間板症」の診断だったため
整形外科の疾患との相当因果関係が否定され、
「障害厚生年金の初診日が確認できない」として
日本年金機構で却下されたもの。
しかし、相当因果関係はあるとして、社会保険審査会で容認した裁決です。
とても興味深い、かつ、読み応えのある裁決ですから、
厚生労働省のホームページからアクセスして参考にしてください。
※ 私は裁決集を購入して読んでいますが、
この裁決は厚生労働省のホームページでも公開しています。
この裁決 平成26年(厚)第830号は、こちらをクリックしてください。
【CFS/MEの初診時は整形外科だった】
慢性疲労症候群(CFS/ME)の傷病名で、事後重症請求をしたのですが、
初診時はC外科受診、
受診状況等証明書(初診日証明)の傷病名は
「頚椎椎間板症、その後頚椎椎間板ヘルニア」。
う〜ん、正直なところ、これだけ見ると
慢性疲労症候群(CFS/ME)の初診日としては
相当因果関係がないように思いました・・・。
整形外科で頚椎椎間板症・頚椎椎間板ヘルニアと診断した根拠は、
MRI検査で第5/第6頚椎間のヘルニアを確認したことです。
裏の傷病に慢性疲労症候群(CFS/ME)があったとは考えづらく、
頚椎椎間板症になった後に必ず、CFS/MEに罹患するとも考えづらいです。
ちなみに、
最近の傾向では、慢性疲労症候群(CFS/ME)・線維筋痛症、共に
「確定診断日を初診日とする」決定が横行していますから、
初診日の確認には注意が必要です。
【医師照会で得た両医師の意見】
裁決に戻りますと、
不服申立をした後、社会保険審査官が
慢性疲労症候群と診断したA医師(診断書作成医)および、
初診時の外科医B医師(受診状況等証明書作成医)に医師照会を行い、
B医師からは
「相当因果関係は不明、しかしながらトータルに診て
100%CFSを否定することも不可能と考える」との見解がありました。
一方、診断書作成医のA医師からは
「外科の診療録には外科的症状(痛み、しびれ)、MRI所見の記載のみであるが、
詳細に問診すると、慢性疲労症候群の発症は平成○年○月で
急激な発症と悪化を伴う全身痛と労作後の疲労であり、
同年○月にはc外科にて頭を上げているのも困難、
倒れ込むような疲労感を訴えていたようだが、
その頃は慢性疲労症候群の認知度が低く、無視されたようであり、
その後の経過を考えれば、
慢性疲労症候群の発症を平成○年○月と考えることが妥当である」
との回答がありました。
これらの臨床経過により、社会保険審査会ではc外科の初診日を
慢性疲労症候群の初診日と容認しました。
【この裁決の教訓】
まず第一にお伝えしたいのは、
この平成26年(厚)第830号裁決で
社会保険審査会が容認したからといって、
今の社会保険審査会で同様の事案を扱っても、
同じように「容認」されるとは限りません。
平成26年・平成27年といえば、容認率22.5%の年で(前回のブログを参照してくださいね)
社会保険審査会のメンバーは当時と入れ替わっています。
近いところでは、
平成29年度に弊事務所で不服申立から代理した線維筋痛症の案件で、
初診時の受診が「痺れ」を主訴としていたことから、
医師の意見書や診療録写し(痺れの他に痛みの記載もあり)を提出したにもかかわらず、
障害厚生年金の初診日と認められず(涙)
裁決で棄却された案件がありました。
もちろん納得できず、弁護士さんにバトンタッチして提訴しています。
まあ、それは別にして、
この裁決の教訓としては、医師照会されたような内容の意見書を
前もって準備して、
最初の請求時から提出すると
不服申立を行わずに
初診日が認められる可能性は高いと考えます。
転ばぬ先の杖ですね・・・。
上記のような内容の意見書であれば、
容認されるのだなとわかりますね。
次回も、「これは是非お伝えしたい」と考える情報を発信していきますので、
参考にしてくださいね。
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【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
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【お知らせ】
よしの社労士事務所では、障害年金に関するご相談は無料です。専門家としてアドバイス致します。
直接お電話(03-6380-8611)いただくか、メール(info@cyoshino-office.com)でご連絡ください。
なお、匿名でのご相談は受けておりません。
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Have a nice day!
Chika Yoshino
障害年金請求サポートの「よしの社労士事務所」 吉野千賀
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社会保険審査会の裁決は、私にとって「情報の宝庫」です。
それは、きっと皆さまも同じはず!と思い、
社会保険審査会の裁決から
参考になるような部分を連載するシリーズの①です。
第一弾は、弊事務所でも取り扱いが多い傷病の
「慢性疲労症候群 (CFS/ME)」です。
内容が濃い裁決なので、2回に分けますね。
今回ご紹介する裁決は、「初診日」が争点です。
「慢性疲労症候群 (CFS/ME)」の初診時が
整形外科受診で「頚椎椎間板症」の診断だったため
整形外科の疾患との相当因果関係が否定され、
「障害厚生年金の初診日が確認できない」として
日本年金機構で却下されたもの。
しかし、相当因果関係はあるとして、社会保険審査会で容認した裁決です。
とても興味深い、かつ、読み応えのある裁決ですから、
厚生労働省のホームページからアクセスして参考にしてください。
※ 私は裁決集を購入して読んでいますが、
この裁決は厚生労働省のホームページでも公開しています。
この裁決 平成26年(厚)第830号は、こちらをクリックしてください。
【CFS/MEの初診時は整形外科だった】
慢性疲労症候群(CFS/ME)の傷病名で、事後重症請求をしたのですが、
初診時はC外科受診、
受診状況等証明書(初診日証明)の傷病名は
「頚椎椎間板症、その後頚椎椎間板ヘルニア」。
う〜ん、正直なところ、これだけ見ると
慢性疲労症候群(CFS/ME)の初診日としては
相当因果関係がないように思いました・・・。
整形外科で頚椎椎間板症・頚椎椎間板ヘルニアと診断した根拠は、
MRI検査で第5/第6頚椎間のヘルニアを確認したことです。
裏の傷病に慢性疲労症候群(CFS/ME)があったとは考えづらく、
頚椎椎間板症になった後に必ず、CFS/MEに罹患するとも考えづらいです。
ちなみに、
最近の傾向では、慢性疲労症候群(CFS/ME)・線維筋痛症、共に
「確定診断日を初診日とする」決定が横行していますから、
初診日の確認には注意が必要です。
【医師照会で得た両医師の意見】
裁決に戻りますと、
不服申立をした後、社会保険審査官が
慢性疲労症候群と診断したA医師(診断書作成医)および、
初診時の外科医B医師(受診状況等証明書作成医)に医師照会を行い、
B医師からは
「相当因果関係は不明、しかしながらトータルに診て
100%CFSを否定することも不可能と考える」との見解がありました。
一方、診断書作成医のA医師からは
「外科の診療録には外科的症状(痛み、しびれ)、MRI所見の記載のみであるが、
詳細に問診すると、慢性疲労症候群の発症は平成○年○月で
急激な発症と悪化を伴う全身痛と労作後の疲労であり、
同年○月にはc外科にて頭を上げているのも困難、
倒れ込むような疲労感を訴えていたようだが、
その頃は慢性疲労症候群の認知度が低く、無視されたようであり、
その後の経過を考えれば、
慢性疲労症候群の発症を平成○年○月と考えることが妥当である」
との回答がありました。
これらの臨床経過により、社会保険審査会ではc外科の初診日を
慢性疲労症候群の初診日と容認しました。
【この裁決の教訓】
まず第一にお伝えしたいのは、
この平成26年(厚)第830号裁決で
社会保険審査会が容認したからといって、
今の社会保険審査会で同様の事案を扱っても、
同じように「容認」されるとは限りません。
平成26年・平成27年といえば、容認率22.5%の年で(前回のブログを参照してくださいね)
社会保険審査会のメンバーは当時と入れ替わっています。
近いところでは、
平成29年度に弊事務所で不服申立から代理した線維筋痛症の案件で、
初診時の受診が「痺れ」を主訴としていたことから、
医師の意見書や診療録写し(痺れの他に痛みの記載もあり)を提出したにもかかわらず、
障害厚生年金の初診日と認められず(涙)
裁決で棄却された案件がありました。
もちろん納得できず、弁護士さんにバトンタッチして提訴しています。
まあ、それは別にして、
この裁決の教訓としては、医師照会されたような内容の意見書を
前もって準備して、
最初の請求時から提出すると
不服申立を行わずに
初診日が認められる可能性は高いと考えます。
転ばぬ先の杖ですね・・・。
上記のような内容の意見書であれば、
容認されるのだなとわかりますね。
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