こんにちは!
社会保険労務士の吉野千賀です。
2024年5月13日開催の「第15回 社会保障審議会年金部会」で提示された
「障害年金の制度改正」のうち、後半(4〜6)の3つについて記載します。
【障害年金の制度改正 6つの論点】
次期制度改正(2025年改正)では、障害年金に関して6つの論点が示されています。
1 初診日
2 障害年金受給者の国民年金保険料免除の取扱い
3 直近1年要件
4 障害基礎年金2級の年金額
5 障害年金と就労収入の調整(20歳前の障害基礎年金以外)
6 事後重症の場合の支給開始時期
※ 前半3つは前回のブログをご参照くださいね!
【4 障害基礎年金2級の年金額】
障害基礎年金2級の年金額は、
老齢基礎年金の満額(20歳から60歳までの40年間、年金保険料を支払った場合と同額)で
令和6年度の障害基礎年金2級の年金額は、816,000円です。
検討事項として、
老齢基礎年金は、20歳から65歳までの45年間、年金保険料を支払うことになりそうで
老齢基礎年金の満額も40年→45年の5年分多くなるかもしれません。
障害基礎年金2級の年金額を
45年化の老齢基礎年金の満額と同じ金額に引き上げるかどうか・・・を検討しています。
2級の受給者数は、全体(251万人)の70%(178万人)のため、
検討課題では「2級の年金額」としていますが、
2級の年金額が改正されれば、当然、1級や3級の年金額も改正されると思います。
公平性という観点から
障害基礎年金2級の年金額が引き上げになった場合、
施行日前に初診日がある受給者の年金額はどのように取り扱うか・・・も検討しています。
いずれにしても、
障害年金の年金額が引き上げになるなら、朗報ですね。
【5 障害年金と就労収入の調整(20歳前の障害基礎年金以外)】
障害年金では、原則として、就労して収入を得たとしても
直ちに障害年金が支給停止になったり、
減額されることはありません。
ただ、「直ちに」ということではなくても
次回診断書提出年月(更新)の障害の状況を判断して
支給停止や減額されることはあり得ます。
また、20歳前傷病による障害基礎年金では収入要件があるため、
定められた以上の収入があれば、支給停止や減額することはあります。
検討事項として、
障害の種別によっては、
更新時の就労状況で、年金額の減額や支給停止があると
就労の開始や就労時間の増加を躊躇させる要因になってしまうため、
たとえば「在職老齢年金」のような
年金と収入の間で一定の調整を行うべきか・・・を検討しています。
「障害の種別によっては」というのは、
人工関節(原則3級)や人工透析(2級)などでは
どんなに収入が多くても、障害等級が変更になることはないのに対し、
精神疾患や内部疾患など症状に波のある傷病では
就労の有無や収入増により
障害等級が変更になることです。
この論点は、
解消方法を導くことに時間がかかりそうな気配を感じます。
2025年改正に間に合うかどうか・・・と思っています。
【6 事後重症の場合の支給開始時期】
障害年金には3つの請求方法があります。
1 障害認定日請求(遡及請求とも呼ばれています)
2 事後重症請求
3 初めて2級(1級)請求 ← 件数も少なく今回の論点になっていないので説明は省きます
障害認定日とは、
「初診日から1年6ヶ月経過した日(または1年6ヶ月以内に症状固定した日)」で
障害認定日請求すると、障害認定日の翌月から障害年金は支給開始されます。
一方、事後重症請求とは、
障害認定日では症状が軽かった人が、症状悪化に伴い請求する方法で
請求日(提出日)の翌月から障害年金は支給開始となります。
事後重症請求の問題点として、
障害認定日から3ヶ月以内に障害等級に該当しなければ
途中で症状が悪化し障害等級に該当したとしても
あくまでも請求日(提出日)の翌月からしか障害年金は支給されないこと。
全員が障害年金の制度を熟知していて
速やかに障害年金を請求しているなら、何の問題もないでしょう。
しかし、
現実問題として、障害年金制度すら知らずに
請求が何年も遅れるケースは多々あります。
検討課題として、
事後重症請求の場合でも、
障害等級に該当した日が診断書で確定できるのであれば、
その翌月まで遡って障害年金を支給することを認めるべきかどうか・・・です。
これは、今まで2つの選択肢(遡及か事後か)しかなかったことからすれば
朗報ですね!
でも「障害等級に該当した日」を確定するのは、
症状に波のある傷病(精神疾患など)では難しいかもしれません。
初診日から1年6ヶ月以内に症状固定した日がわかる傷病や
額改定請求を1年待たずに行える傷病は
「障害等級に該当した日」の確定ができますので
これらの傷病に限るとすれば、スムーズな運用ができるのではと思っています。
2025年改正に向け、年金部会では夏以降に二巡目の議論を行い
取りまとめの発表時期は2024年末の見込みということです。
現行の制度より改善される方向へ向かうといいですね!
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------
【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------
【ご相談はこちらへ】
よしの社労士事務所では、障害年金に関するご相談は無料です。専門家としてアドバイス致します。
無料相談は、メール(info@cyoshino-office.com)でご連絡ください。
なお、匿名でのご相談は受けておりません。
※名前も名乗らずに、いきなり「聞きたいことだけ聞く」電話が多いため、電話での相談は受けておりません。
【お知らせ】
弊事務所では全国対応を行っております。
全国対応では、メール・電話・郵便でのやりとりで業務を行っています。
【ご面談なしでの進め方】
1 初回お問い合わせ後、メールや電話で病歴や初診日の確認を行います。
2 年金事務所の委任状を郵送し、ご返送いただきます。
3 納付要件を確認してから、契約書等を郵便で取り交わします。
4 ご契約後は、通常通りに進めています。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------
Have a nice day!
Chika Yoshino
障害年金請求サポートの「よしの社労士事務所」 吉野千賀
社会保険労務士の吉野千賀です。
2024年5月13日開催の「第15回 社会保障審議会年金部会」で提示された
「障害年金の制度改正」のうち、後半(4〜6)の3つについて記載します。
【障害年金の制度改正 6つの論点】
次期制度改正(2025年改正)では、障害年金に関して6つの論点が示されています。
1 初診日
2 障害年金受給者の国民年金保険料免除の取扱い
3 直近1年要件
4 障害基礎年金2級の年金額
5 障害年金と就労収入の調整(20歳前の障害基礎年金以外)
6 事後重症の場合の支給開始時期
※ 前半3つは前回のブログをご参照くださいね!
【4 障害基礎年金2級の年金額】
障害基礎年金2級の年金額は、
老齢基礎年金の満額(20歳から60歳までの40年間、年金保険料を支払った場合と同額)で
令和6年度の障害基礎年金2級の年金額は、816,000円です。
検討事項として、
老齢基礎年金は、20歳から65歳までの45年間、年金保険料を支払うことになりそうで
老齢基礎年金の満額も40年→45年の5年分多くなるかもしれません。
障害基礎年金2級の年金額を
45年化の老齢基礎年金の満額と同じ金額に引き上げるかどうか・・・を検討しています。
2級の受給者数は、全体(251万人)の70%(178万人)のため、
検討課題では「2級の年金額」としていますが、
2級の年金額が改正されれば、当然、1級や3級の年金額も改正されると思います。
公平性という観点から
障害基礎年金2級の年金額が引き上げになった場合、
施行日前に初診日がある受給者の年金額はどのように取り扱うか・・・も検討しています。
いずれにしても、
障害年金の年金額が引き上げになるなら、朗報ですね。
【5 障害年金と就労収入の調整(20歳前の障害基礎年金以外)】
障害年金では、原則として、就労して収入を得たとしても
直ちに障害年金が支給停止になったり、
減額されることはありません。
ただ、「直ちに」ということではなくても
次回診断書提出年月(更新)の障害の状況を判断して
支給停止や減額されることはあり得ます。
また、20歳前傷病による障害基礎年金では収入要件があるため、
定められた以上の収入があれば、支給停止や減額することはあります。
検討事項として、
障害の種別によっては、
更新時の就労状況で、年金額の減額や支給停止があると
就労の開始や就労時間の増加を躊躇させる要因になってしまうため、
たとえば「在職老齢年金」のような
年金と収入の間で一定の調整を行うべきか・・・を検討しています。
「障害の種別によっては」というのは、
人工関節(原則3級)や人工透析(2級)などでは
どんなに収入が多くても、障害等級が変更になることはないのに対し、
精神疾患や内部疾患など症状に波のある傷病では
就労の有無や収入増により
障害等級が変更になることです。
この論点は、
解消方法を導くことに時間がかかりそうな気配を感じます。
2025年改正に間に合うかどうか・・・と思っています。
【6 事後重症の場合の支給開始時期】
障害年金には3つの請求方法があります。
1 障害認定日請求(遡及請求とも呼ばれています)
2 事後重症請求
3 初めて2級(1級)請求 ← 件数も少なく今回の論点になっていないので説明は省きます
障害認定日とは、
「初診日から1年6ヶ月経過した日(または1年6ヶ月以内に症状固定した日)」で
障害認定日請求すると、障害認定日の翌月から障害年金は支給開始されます。
一方、事後重症請求とは、
障害認定日では症状が軽かった人が、症状悪化に伴い請求する方法で
請求日(提出日)の翌月から障害年金は支給開始となります。
事後重症請求の問題点として、
障害認定日から3ヶ月以内に障害等級に該当しなければ
途中で症状が悪化し障害等級に該当したとしても
あくまでも請求日(提出日)の翌月からしか障害年金は支給されないこと。
全員が障害年金の制度を熟知していて
速やかに障害年金を請求しているなら、何の問題もないでしょう。
しかし、
現実問題として、障害年金制度すら知らずに
請求が何年も遅れるケースは多々あります。
検討課題として、
事後重症請求の場合でも、
障害等級に該当した日が診断書で確定できるのであれば、
その翌月まで遡って障害年金を支給することを認めるべきかどうか・・・です。
これは、今まで2つの選択肢(遡及か事後か)しかなかったことからすれば
朗報ですね!
でも「障害等級に該当した日」を確定するのは、
症状に波のある傷病(精神疾患など)では難しいかもしれません。
初診日から1年6ヶ月以内に症状固定した日がわかる傷病や
額改定請求を1年待たずに行える傷病は
「障害等級に該当した日」の確定ができますので
これらの傷病に限るとすれば、スムーズな運用ができるのではと思っています。
2025年改正に向け、年金部会では夏以降に二巡目の議論を行い
取りまとめの発表時期は2024年末の見込みということです。
現行の制度より改善される方向へ向かうといいですね!
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------
【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------
【ご相談はこちらへ】
よしの社労士事務所では、障害年金に関するご相談は無料です。専門家としてアドバイス致します。
無料相談は、メール(info@cyoshino-office.com)でご連絡ください。
なお、匿名でのご相談は受けておりません。
※名前も名乗らずに、いきなり「聞きたいことだけ聞く」電話が多いため、電話での相談は受けておりません。
【お知らせ】
弊事務所では全国対応を行っております。
全国対応では、メール・電話・郵便でのやりとりで業務を行っています。
【ご面談なしでの進め方】
1 初回お問い合わせ後、メールや電話で病歴や初診日の確認を行います。
2 年金事務所の委任状を郵送し、ご返送いただきます。
3 納付要件を確認してから、契約書等を郵便で取り交わします。
4 ご契約後は、通常通りに進めています。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------
Have a nice day!
Chika Yoshino
障害年金請求サポートの「よしの社労士事務所」 吉野千賀