障害年金社労士 吉野千賀 ブログ

障害年金など社労士の仕事を通して感じたこと、知って為になること、面白いことをよしの社労士事務所の代表吉野千賀が綴ります!

うつ病と復職支援プログラム

2011-10-28 | 社労士のメンタルヘルス対策
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

今日も晴れていいお天気ですね。空気が日に日に冷たくなっていますが、過ごしやすい季節です。週末は雨になるかもしれません。ちょっと乾燥気味なので雨も降って欲しいところです。

さて、今日は、うつ病と復職支援プログラム について書いてみます。

メンタル不調者を復職に導いて再発しないようにする、という取り組みに、国も東京都も力を入れています。なぜなら、メンタル不調で1カ月以上休職または退職した労働者は1年間で20万人になり、毎年増えているからです。

下記のような、公の機関と民間の復職支援機関があります。

1 東京都立中部総合精神保健福祉センター
2 地域障害者職業センター(47都道府県)
3 民間のEAP
4 産業保健推進センター(47都道府県)←50人以下の産業医がいない会社など

復職手前の段階は、会社も休職者本人も対応が難しいと思われますから、この段階では専門家のサポートを受けるのが最適と思い、紹介させていただきます。


1 東京都立中部総合精神保健福祉センター 03-3302-7711

東京都福祉保健局が行っている復職支援施設です。世田谷区の八幡山にあります。

復職リハビリテーションプログラムというものがあり、精神科医・看護師・臨床心理士などの専門家がサポートしてくれます。精神科医療デイケアで認知行動療法も行っており、復職率は90% だそうです。

利用料は無料ですが、週4日の交通費と昼食代はかかります。

長期間にわたって複数回の休職を繰り返している方には、最適とのこと。

うつ病などの気分障害の方向けの「うつ病リターンワークコース」
統合失調症の方向けの「リターンワークコース」
アルペルガー症候群などの発達障害の方向けの「ASAPリターンワークコース」
脳外傷など高次脳機能障害の方向けの「ユースCODYプロジェクトコース」などがあります。

申し込みの条件は、うつ病リターンワークコースの場合、

- 在職中で都内在住または在勤。
- 気分障害などで通院しており、復職リハビリを開始する時期にあること。
- 主治医の許可を得ること。
- 職場からの通所許可は必須ではないが、理解があること。
- アルコールなどの依存症でないこと(別の専門治療が必要)

申し込みは、必ず本人が施設見学をした上で行います。見学日は第1・3水曜日の午後1時半~で、予約は不要です。

週4日(月・火・木・金)の通勤、オフィスワーク、認知療法、グループミーティングなどのプログラムにより、職能回復訓練、通勤訓練、再発予防訓練などを受けられます。

概ね3-4カ月(最長6カ月)で復職できるようです。いきなり、職場へリハビリ出勤をするよりも再発が防止できるように感じます。専門家が揃っているのも安心ですね。


2 地域障害者職業センターが行う職場復帰支援の利用

地域障害者職業センターは47都道府県にあります。(東京都は上野と立川の2か所)

全国にあるので、例えば実家のあるxx県で2カ月通い、その後東京で1カ月通う、ということも可能です。

リワーク支援を行うにあたり、休職者・会社・主治医の3者の合意が必要だそうです。

会社と休職者両方にサービスを提供して、双方が準備できるサポートを行うそうです。個別にリワーク支援計画書を作成して双方に渡す、などです。

職場復帰プログラムは、1とほぼ同じで、通勤・講座・作業(集中力の回復)・グループワークなどです。認知行動療法などはありません。

リワーク支援の問い合わせは、下記の通りです。

上野:03-6673-3938
立川:042-529-3341

まずは電話で連絡し、説明会の日時を決めて、個別相談へと進みます。
利用料は無料です。交通費と昼食代はかかります。


3 民間のEAPの利用

EAP(Employee Assistance Program)は、従業員支援プログラムでメンタル不調者の支援プログラムを行っています。EAPで検索すると、たくさん出てきます。病院やカウンセラーなどの専門家集団によるEAPが多いようです。精神科医の産業医がいない企業などにはいいかもしれませんね。


4 産業保健推進センターの利用

産業医がいない50人以下の会社などは、全国にある産業保健推進センターをご利用されてはいかがでしょうか。

メンタルヘルス対策支援センターがあり、メンタルヘルス対策の相談に乗ってくれます。相談料は無料です。

東京産業保健推進センターは、03-5211-4483です。


ちなみに、ここは私の事務所の真向かいです。メンタルヘルスや労働関係の図書の貸し出しもあり、セミナーも実施しているので、よく利用させてもらっています。


昨日のニュースで神戸市内にイノシシが出没して、歩行者(主に女性)を襲うケースが相次いていると報道されていました。人間を襲う、というより持っているレジ袋を狙って、強引に中の食料を食べてしまっていました。イノシシ、すごく大きくてレジ袋めがけて突進してくるので、かなり怖いです。

昨年、子連れイノシシに餌付けしていたそうで、可愛いとご近所アイドルになっていました。翌年(=今年)みんな大きくなり、人間が餌を持っているものと思い、その餌はレジ袋に入っていると思い、レジ袋(=食料)目当てで襲う、という構図になっているそうです。

山に帰す、といっても帰らない。襲う、といっても目当てはレジ袋なので、人間にケガまではさせない。イノシシを扱う(?)のは警察でなく猟友会だそうで、猟友会の人がいないと追い払えない、結構、困った状態ですね。どんな解決方法が望ましいのでしょうか。何かすごくいい方法がありそうな気がしますが、思いつきません。


See you next week! Have a nice weekend!

Chika Yoshino


よしの社労士事務所 吉野千賀

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メンタルヘルス対策 休職中の対応

2011-10-27 | 社労士のメンタルヘルス対策
こんにちは! 社労士&FPの吉野千賀です!

昨日のニュースで、年金の支給年齢引き上げ案を先送り と厚生労働大臣が表明した、とのことでした。来年の法改正は見送りということですね。

現役世代のみなさんは、どう感じましたか?現役世代の強い反発があったため、先送りした、と言われても、将来の不安は依然として残りませんか?

68歳まで年金支給開始年齢を引き上げるのなら、まずは雇用の確保の問題を、労働法の改正で対応して欲しい。

働く年数が長くなった分、支払う保険料も増えるのだから、68歳から受給できる年金額も今の年金受給世代(60歳から出ている人)より増えていないと納得できませんよね。例えば、68歳まで繰り下げた場合の年金額にする、とか。

先送りした分、現役世代が多少なりとも納得できる構図や改正案を期待します。

私たちができる対策として、多くの方がやっているのは、「貯金すること」。それにしても、今の金利では全然増えていきませんね。投資も現在は不安定な状態です。今の60代や70代が貯金や投資をしていた頃と比べても大きなデメリットです。

唯一、自己防衛として考えられるのは、年齢に関係なくなんらかの所得を得ること、と思います。給与所得でも事業所得でも不動産所得でもいいと思います。それらの組み合わせでもいいので、若い頃から準備しておくといいかもしれませんね。

さて、メンタルヘルス対策 休職中の対応です。


1 休職する方への手引き を渡す

まず、休職する前に、会社から「休職する方への手引き」を作成して、渡すといいと思います。

会社の休職規定のこと
休職期間や復職のこと
健康保険の傷病手当金のこと
社会保険料の支払いのこと
病院への受診のこと
会社の復職支援体制のこと
会社との連絡方法のこと      など。

口頭で説明されてもわからないこともあるので、きちんと手引きを渡して説明すると、会社への不信感や休職することへの不安感が和らぐ のではないでしょうか。

書類で渡すと、本人だけでなく、ご家族の方も安心されると思います。


2 休職中の会社からの連絡

休職直後の2・3週間は、連絡せずにそっとしておく、のが原則だそうです。

休職直後はうつ病の場合は、起き上がることもできない状態のことも多く、充分に休んでもらう。だいたい2・3週間で投薬の効果もでてくるそうです。

3週間は連絡しない、ということを「休職する方の手引き」にも記載して、あらかじめ伝えておくといいと思います。

3週間後~1か月半くらいは、2週間に一回程度、電話かメールで連絡する。本人に安心感を与えて回復を促すのが趣旨なので、電話の方がいいかもしれません。メールだと、変に気を使ってしまうこともあるし、行間を読みすぎたり、ということもありそうです。

連絡する方は、人事労務か上司の方で元々良い関係の人がいいと思います。

話す内容は、ごく簡単に「最近どうですか?」という程度で、会社や仕事のことはNGです。「また、xx日に電話します。」と、次回のことも言っておくと、その間、電話を待ったりしないで過ごすことができそうです。

1か月半~2か月半くらいも、1・2週間に1度程度、継続的に電話で連絡して、安心できる関係を築くことが大切です。

図書館へ行ったり、軽い外出もできるくらい回復していても、「それなら、資格でもとったら?」など指示的なことは言わない、のが原則です。

2か月半~3か月半くらいになると、そろそろ復職へ向けて、主治医と面談したり、リワークプログラムなどの復職支援などを始めたりします。

うつ病は再発率が高い病気なので、ここの段階では専門家に依頼するのがいいと思います。

本人が復職希望していても、理由が会社規定の休職期間ギリギリで無理をしている場合もあります。ここでつまづくと再発して、病気が長引いてしまうというデータがでているので、専門家の支援を受けることを検討してください。

明日は、この専門家による復職支援 について書いてみますね。
公の機関で無料のところも、民間で有料のところもあります。参考にしてください。


See you tomorrow!

Chika Yoshino


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職場でのメンタル不調者への対応

2011-10-26 | 社労士のメンタルヘルス対策
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

今日は風が冷たい日でしたね。昨日は暖かだっただけに、寒さが堪えます。そういえば、寒くなると、歩くの速くなりませんか?

昨日は、住吉のティアラこうとうで開催された「産業保健フォーラム2011」に参加してきました。産業保健の中でも4分の3は、メンタルヘルス対策でした。どの分野の企業でも、いかにメンタルヘルス対策が喫緊なのかを実感しました。

フォーラムの特別講演は、「現場ですぐに展開可能なメンタルヘルス対策ー現代型うつへの対応を含めて」という筑波大学大学院の松崎一葉先生の講演でした。

非常に興味深く聴きました。宇宙飛行士のメンタルヘルス対策のお話もありました。いかにストレス耐性に優れている人を宇宙飛行士として選抜するか、ということが大事だそうです。そこは、メンタルヘルス対策の重要なポイントだと思いました。

私たちはみんな、大小様々なストレス要因に囲まれて生活していますよね。その中で、自分で意識して考え方を変えることにより、ストレス耐性を向上していく努力は必要なのかもしれませんね。

ちなみに、私は、いやなことがあるとその場はスルーして、その後も、そのことはなるべく考えないように、何か気分を変えられるようなこと(ウインドウショッピングなど)を努めてするようにしています。

その「いやなこと」にいつまでも執着しないように、自分の心をコントロールすることが重要と思います。

今日は、職場でのメンタル不調者への対応について書いてみます。


1 どこからが病気なのか?

誰でもストレスを抱えて仕事をしていますよね。

私も会社員時代を振り返ると、朝の通勤ラッシュが苦痛だったり、会社へ行くのがイヤだなぁ、と思うことはしょっちゅうありました。

実際、体調が悪くて、午前中は休んだりすることもありました。

他の病気で体調が悪い、ということもありますよね。単に風邪かと思って休んだら、全然治らなくて会社へ行けず、うつ病と診断されることもあるかと思います。

どこからが「うつ病」と言われる病気なのでしょうか?

最初に気づくべきは上司や同僚、と言われていますが、医学的な専門知識のない上司や同僚が適切に対応できるのでしょうか?

うつ病などの気分障害、不安障害、発達障害などのうち、軽度の症状は探せば誰にでもありそうな気がします。

何かに妙にこだわりを見せたり、何かに依存したり、閉所や高所恐怖症、トラウマなど、程度の違いはあっても、探せば誰にでもありそうです。何もない人の方が少ないかもしれません。

私は精神科医の話を聞けば聞くほど、どれもこれも軽度ながら自分も何らかの病気にあてはまる、ような気がします。

松崎先生は、講演の中で、「職場で気づくポイントは、普段から早めに出勤している人が、時間ギリギリに出社したり、1・2分くらいの遅刻を繰り返すようになる」とおっしゃっていました。

うつ病の症状として、「何をやるにも億劫になる」が顕著になるそうです。

億劫で朝の準備ができない→ギリギリまでやらない→結果、遅刻として現れる

そこで、心配した上司が、遅刻を咎めるのではなく、どうしたのか?と聞くことの難しさを感じます。

夜に眠れず、朝起きられず、遅刻してしまう、ということも考えられます。

よく言われていることですが、「夜、眠れているのか、食事はしているのか」を聞いて、眠れない・食べられない状態が長く続いている ようなら、念のため、クリニックへ行ってみたら?と促してみましょう。

試しに、遅刻がちな部下や同僚と一緒にランチを食べてみてください。完食していれば、問題ないかもしれません。

職場から病院へつなぐところまでが、会社に求められる安全配慮義務の第一段階と考えます。


2 本人が病院へ行かない場合は?


病院の受診を促しても、「いや、大丈夫ですから。」と一蹴されては、それ以上言えなくないですか?

「心配だから、xxx病院へ行ってみたら?」←業務上、というより、個人的に心配していることを伝える。

「眠れないなら、xxx病院に行ってみたら?」←病気よりも、睡眠がとれないことが治るようなニュアンス。

何度か促して、早めに受診すると、休職まで至らずに回復することもあるようです。

うつ病は10人に1人が罹患しているそうです。誰にでも罹りうる病気で特別なわけではありません。自分の部下がメンタル不調になったのは自分のせい、と思わない方がいいですよ。

それでも、病院へ行かず、遅刻や欠勤を繰り返し、メンタル不調の様子がある場合は、どうしたらいいでしょう?

会社として、勤怠記録などのデータを元に、きちんと注意する。←注意点は、感情的にならないこと

病気ならば、休職発令も考えられるので、きちんと受診して診断書をとってくるように、と伝える。

勤怠記録や休職発令というと、当然、人事総務も絡んできます。現場だけで解決しようとしないで、人事総務や産業医に相談しながら、対応することが重要です。

だからといって、面倒になって、人事総務に丸投げするのもどうかと思います。

「本人を心配している」というスタンスで接し続けることが、重要なポイントではないでしょうか。


明日は、休職中の対応 について書いてみます。

昨日、フォーラム後に、江東区の猿江恩賜公園を散歩しました。江戸幕府公認の貯木場だったそうで、その名残は小さく残されて、おじさん達が釣りを楽しんでいました。東京の公園めぐりは、これからも続きそうです。

See you tomorrow!

Chika Yoshino


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うつ病と労災認定

2011-10-25 | 社労士のメンタルヘルス対策
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

もうすっかりの秋ですが、お元気ですか?東京は、最近、ちょっと暖かくなって、カーディガンやジャケットは手に持って出歩いています。結局、羽織ることなく、済んでしまいます。今日も9月下旬の暖かさだそうですよ。

さて、今日は、うつ病と労災認定 について書いてみます。

通常、うつ病などの疾患のことを、私はメンタル不調と表現しています。が、労災では「精神障害等」という言葉を使うので、今回だけ労災の表現に合わせます。

1 精神障害等の労災請求件数は急上昇

昨日、書きましたように、うつ病は10年前と比較して2.36倍と急増しています。それに伴い、精神障害等の労災の請求件数も右肩上がりの傾向です。

平成21年度の精神障害等の請求件数は1,136件 です。

10年前の 平成11年度の請求件数は155件でした。

なんと、7.3倍も増えております。労災の精神障害等の請求件数の増加傾向はうつ病の罹患数と比較すると多いことがわかります。

つまり、職場の人間関係や仕事などが原因で、うつ病を罹患する方が増加している、ということなのでしょう。


2 精神障害等の労災認定件数は横ばい

精神障害等の労災の請求件数は急上昇にもかかわらず、労災認定件数は実は増えていません。

平成21年度の認定件数(精神障害等)は234件です。20.6%の認定率です。

直近では、
平成20年度は269件/927件で29%
平成19年度は268件/952件で28%
平成18年度は205件/819件で25%  と、横ばい傾向です。

ちなみに、平成11年度は14件/155件で9%でした。


3 精神障害等の労災判断の基準

皆さんご存知の通り、労災は業務上の疾病やケガと認定されないと補償を受けられません。

それでは、精神障害を業務上の疾病と取り扱う、という判断はどのようになされるのでしょうか。

精神障害等の判断要件は、3つです。

1判断指針で対象とされる精神障害を発病していること。
2判断指針の対象とされる精神障害の発病前おおむね6カ月間に、客観的に「業務による強い心理的負荷」が認められること。
3「業務以外の心理的負荷」及び「固定側要因」により当該精神障害を発病したとは認められない こと。

「業務による心理的負荷」とは、例えば、事故や災害の体験、仕事の失敗、過重な責任の発生、仕事の質・量の変化、などが該当します。

「業務以外の心理的負荷」とは、例えば、離婚または別居、重い病気やケガ、肉親の死亡、家族の重い病気やケガ、財産の損失、天災、火災、盗難、などが該当します。

「個体側要因」とは、例えば、既往症、アルコール等の依存症、性格傾向 などが該当します。

それぞれの項目で心理的負荷の強度が決まっており、総合的に判断されます。これらの心理的負荷評価表は、厚労省のホームページに載っています。

4 精神障害等の労災 支給決定の内訳

平成21年度の精神障害等の労災支給決定は234件で、業務上外(労災でない)と決定されたのは852件でした。

精神障害等の労災支給決定の多い順は、

仕事内容・仕事量の大きな変化 55件
悲惨な事故や災害の体験(目撃)37件
長時間勤務 25件
ひどい嫌がらせ・いじめ・暴行 16件
仕事の失敗・顧客からのクレーム 12件

上司とのトラブル 9件 ← 労災と認められなかったのが134件と一番多い
セクハラ 4件     などです。

「職場以外の心理的負荷」が大きい場合は、労災の認定が取れにくくなります。

全国で234件の認定ですから、なかなか精神障害等の労災認定は難しい と考えます。ちなみに、障害年金の請求もメンタル不調の場合は通常よりも判断に時間がかかるようです。

会社としては、うつ病になってしまった社員がでたら、業務上によるものなのか、そうでないのか、ということも確認する必要があるでしょう。後々、充分な安全管理義務を果たしていたか、も問われることになります。

明日も、メンタル不調者への対応 について書いてみます。


昨夜、NHKの「アスリート魂」という番組で、オルフェーブルと池添騎手の3冠達成の特集を放映していました。

オルフェーブルは、能力は高いけれど乗りこなす人を選ぶ難しい馬ですね。競馬用の不安定な鞍で、荒い動きの馬を乗りこなす騎手って改めて尊敬します。

しつこいようですが、今年の有馬記念は期待してしまいます。来年の凱旋門賞は、ディープインパクトの雪辱を晴らして欲しいものです。

See you tomorrow!

Chika Yoshino


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増えているメンタル不調者

2011-10-24 | 社労士のメンタルヘルス対策
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

週末はいかがお過ごしでしたか?

私は、昨日の菊花賞、堪能しました(TVで)。オルフェーブルの3冠達成!に歓喜しておりました。
これからジャパンカップ、有馬記念と古馬対決も楽しみになりました。オルフェーブルは、見た目もゴージャスで応援したくなります。

池添騎手、またゴール後に振り落とされてしまいました。あの見かけでやんちゃというのもロックスターみたいですね。
でも、昨年と違って、オルフェーブルが(自分のせいで)落ちてしまった池添騎手を気遣っている仕草がありました。
そこに、3冠達成までの人馬一体の絆を感じました。

さて、今週はメンタルヘルス系の話題をしていきたいと思います。


1 精神疾患の患者数の増加傾向

メンタル不調で医療機関にかかっている患者数は、10年前と比べると約1.6倍に増加しているそうです。(厚労省 患者調査)

平成11年は204万人だったのが、平成20年には323万人です。

内訳は、多いものから、

うつ病   104.1万人(H11年は44万人)→2.36倍に増加
統合失調症  79.5万人(H11年は66.6万人)→1.2倍に増加
不安障害   58.9万人(H11年は42.4万人)→1.4倍に増加
認知症    38.3万人(H11年は15万人)→2.5倍に増加

認知症が10年前と比較すると2.5倍に増加していますが、これは高齢化に起因するものと思われます。

うつ病が2.36倍に増加しており、現役世代が多く罹患されているものでしょう。メンタル不調で医療機関に行くのに、敷居が低くなっていることも関係あるかもしれませんね。

患者調査は3年に一度なので、まだH20の数字しか出ていませんが、この3年間で、うつ病と認知症がさらに増加していることは予想できますね。

2 メンタル不調で休業・退職した労働者数

メンタル不調の患者さんが増えているので、当然のことながら労働者数も増加しています。

過去1年間に連続1カ月以上休業した人、または退職した人の割合は0.4%です。(事業所統計調査)1000人に4人ということですよね。この数字は多いのでしょうか?少ないのでしょうか?外国の統計も調べてみたいですね。

2011年の雇用者数は約5500万人ですから、22万人というところでしょうか。0.4%もH19年の数字なので、もっと多いと思われます。

3 メンタル不調で休業・退職した労働者の有無 企業規模別

上記の統計で、1000人に4人という数字がでていますから、企業規模が大きいほどメンタル不調が理由で休業・退職した従業員の有無が多いであろうことは予想できますね。

H19年の労働者健康状況調査では、

5000人以上の企業で91.3%
1000-4999人で92.8%

300-999人で67%
100-299人で37.5%


50-99人で16.2%
30-49人で8.7%
10-29人で3.8%  です。

1000人未満の会社なのに67%は多いように感じませんか。100人以上300人未満の会社も37.5%で、中小企業ではメンタルヘルス対策まで手が回っていない 状況があるように思います。

メンタルヘルス関連のセミナーを受けていると、早めに「産業保健スタッフ」に相談、と言われますが、皆さんの会社に「産業保健スタッフ」いらっしゃいますか?

衛生管理者、保健師などですが、中小企業だと人事労務部などが兼務していることが多いと思われます。メンタル疾患の専門知識や元々の信頼関係がないと、なかなか人事労務部に相談する気持ちになれないこともあろうかと思います。

多くの公の機関で、中小企業のために、様々なメンタル対策の支援を行っています。後日のブログで、紹介したいと思います。

また、うつ病で休業する時も、健康保険の傷病手当金は受けられます。長引いてしまった時は障害年金の対象になります。

明日は、メンタル不調・うつ病と労災 についてです。


また、競馬の話に戻りますが、競馬の予想って難しいですねぇ。
今年の菊花賞は堅いところで収まり、多くの方が払い戻しできたのではないでしょうか。
馬単400円、3連複で1050円、3連単でも2190円、全部一番人気でしたね。

こういう場合は、もっと買っておけば良かった。。。と後悔が残ってしまったり。
荒れてしまうと文無しになってしまうし。

私は、有馬記念だけ買うことにしています。1年の結果が出るので割と取りやすい感じがするので。

今年はジャパンカップの結果を見て、オルフェーブルから3連単で予想して5000円くらいは狙いたい ですね!


See you tomorrow!

Chika Yoshino


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病気で働けなくなったらどうしよう 4

2011-10-21 | 社労士の障害年金
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

昨夜は、お金のセミナー「老後に備える」を受けてきました。

ねんきん定期便から遺族年金の額を計算して、必要な額だけ生命保険に入る。
健康保険の傷病手当金の額を把握して、必要な額だけ医療保険に入る。
老後の年金額を見積もって、足りない分を個人年金や終身保険に入る。  

など、社会保険を組み合わせた保険の入り方の提案は、社労士&FPとしても是非提案してきたい分野です。



さて、今日も「病気やけがで働けなくなったらどうしよう」シリーズです。

一般的には、下記のような流れで、治って復帰できるまで会社が支援したり、社会保険から給付がある仕組み になっています。

1 有給休暇を使う
2 長期間休む場合は、会社の休職制度を使う
3 4日以上働けない場合は、健康保険の傷病手当金がでる
4 長期間(1年半以上)働けない場合は、障害年金がでる

今日は、4の障害年金 についてです。

おさらいですが、風邪や体調不良で1日2日、あるいは1週間くらいお休みする場合は、日本の慣習ですと有給休暇を利用する場合が多いです。

もっと長引いてしまう場合は、会社の規定(就業規則)により、休職制度を利用させてもらうことになるでしょう(決めるのは会社)。4日以上仕事ができない場合は、健康保険から所得保障として傷病手当金がでますから、休職中の生活は傷病手当金でなんとかなるかな、というところでした。

傷病手当金は1年6カ月支給されます。その後をつなぐ制度として、障害年金の制度があります。


1 障害年金ってうつ病や生活習慣病でももらえるの?

もちろん、もらえます。

傷病手当金の後をつなぐ制度としての役割上、うつ病や生活習慣病(三大疾病など)で長期間働けない場合 に、支給されます。

健康保険の傷病手当金というと、感覚として「病気の時にもらえるんだな」と思いますよね。


ところが、障害年金というと、どうでしょう。

なんだか、交通事故にあったり、日常的に車いすを利用するなどの状態でないと該当しないのでは?と思いませんか?

健康保険の傷病手当金と比べると、申請の手続きが複雑だったり、窓口も年金事務所になったり、年金の仕組みを理解していないと難しいところがあります。

でも、多くの人が罹患する生活習慣病やうつ病などにより、働けない状態が続いている場合は、障害年金を受けることができます


2 障害年金はどうすれば受けることができる?

障害年金を受けるには、3つの条件↓があります。

1 初診日はいつ だったか。← その病気で初めて病院へ行った日。たいてい、近所や会社近くのお医者さん。

2 初診日前までに、保険料は納めていたか。← 会社員であれば、問題ありません。

3 障害認定日に障害等級に該当しているか。← 医師の診断書で判断します。


上記の条件を全てクリアすればいいのですが、簡単にいかないことが多々あります。


3 初診日はいつ?

まず、1の初診日です。

初診日を証明する ことが必要になります。

2・3年前でその病院もまだ存在して、カルテもあれば、問題ありません。初診日を証明する書類をその病院で書いてもらえます。

カルテの保存は5年と法律で定められているので、5年以上前の初診日になると、病院によっては証明できないこともあります。その時には、証明できないことを証明する書類を書いてもらいます。

いずれにしても、初診日を確定しないと、次のステップに行けません から、社労士としては様々な手段で病院の証明をもらう手助けをすることになります。


4 保険料は納めていたか?

これは、年金事務所で簡単に調べることができます。

ねんきん定期便も届いていますから、自分でも調べられますね。

会社員の場合は、まず問題ないでしょう。

国民年金の場合は、納付率59.3% という数字もでており、4割の方が未納ですから、納付要件に該当しない方がでてきますね。

いずれにしても、初診日がいつだったか、を思い出して、その初診日前12か月に未納がなければOKという緩和措置もあります。(本来は、全体の3分の2以上の納付が要件です。)


5 障害認定日に障害等級に該当しているか?

初診日から1年6カ月後が障害認定日です。

障害認定日がいつか?を知るためにも、初診日がいつか、を確定する必要があるわけです。

その障害認定日に、厚労省で決めている障害等級に該当していないと、障害年金は受けることが難しくなります。

会社員の場合の厚生年金では、1級~3級
自営業の場合の国民年金では、1級と2級  です。

ざっくりですが、

1級:身体の機能障害または長期間安静が必要なため、日常生活を送るために、他人の介助が必要な状態
   例えば、入院しているなら病室のみが活動範囲、ご自宅にいるなら寝室が主な活動範囲の状態。

2級:身体の機能障害または長期間安静が必要なため、日常生活に著しい制限があり、他人の介助は必要ない。
   働いて収入を得ることができない状態。
  例えば、簡単な家事などはできるが、入院しているなら病棟が活動範囲、ご自宅にいる場合は家屋内が活動範囲である程度の状態。

3級:仕事をするうえで支障が生じ、著しい制限があったり、著しい制限を加えることが必要な程度。


上記の障害状態を証明するために、医師の診断書(障害年金専門のもの) が必要となります。


6 障害年金っていくらもらえるのか?

ここは重要ですね。基本的には、老後の年金とほぼ同じです。

国民年金の2級は、満額の老齢年金と同じ額です。年額788,900円、月額 65,741円 です。
これに、高校生までの子どもがいれば、加算があります。

国民年金の1級は、2級の1.25倍です。年額 986,100円、月額 82,175円ですね。 子どもの加算は1.25倍ではありません。

厚生年金は、国民年金にプラスして加算されます。加算額は、お給料により上下します。お給料の額により、保険料も違うので、仕方ないですね。配偶者加算があります。

ざっくりと、35歳会社員で、給料30万、妻とお子さん3名の場合は、2級で200万くらいです。

厚生年金3級は、60万くらいです(年額)。



障害年金だけで生活することは難しいかもしれません。家族で支え合っているのが現状です。それでも、治療費や生活費には大いに役立つものと思われます。


傷病手当金はほとんど会社が手続きしてくれます。それと比べても障害年金は準備する書類も多いし、ハードルが高くなります。

ご自分ですべてを行うのは困難かと思われますので、是非、社会保険労務士に相談してください。


See you next week!

Chika Yoshino


よしの社労士事務所 吉野千賀

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病気で働けなくなったらどうしよう 3

2011-10-20 | 社労士の労務管理
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

昨日は夕焼け がきれいでした。夕方の短い間でしたが、ご覧になりましたか?

昨日は、丸の内で開催された「短時間正社員シンポジウム」に出席しました。終了後、丸の内を歩いていたら、皇居の方からの夕焼けがとてもきれいで、ビジネスマンの皆さんも足を止めて、携帯写真を撮っていましたよ。

短時間正社員シンポジウムは、基調講演が東京大学の佐藤博樹先生だったので、楽しみにして参加しました。佐藤先生の講演はいつも興味深いのですが、昨日は30分と短くて残念でした。2時間くらいは聞きたかったです。

その後は、日本ユニシスさんや三菱UFJリサーチ&コンサルティングさんなど、大企業での成功事例の発表がありました。改めて、日本の大企業って本当に恵まれた環境でお仕事されているんだなぁ、と感じました。

それはともかく、短時間正社員制度の導入は、パートやアルバイトと正社員との格差の解消にもなるし、正社員にとっては育児や介護との両立ができることで退職しなくて済むし、メリットが多いと思います。社労士として、導入に協力していきたく思います。

さて、今日も「病気やけがで働けなくなったらどうしよう」シリーズです。

一般的には、下記のような流れで、治って復帰できるまで会社が支援したり、社会保険から給付がある仕組み になっています。

1 有給休暇を使う
2 長期間休む場合は、会社の休職制度を使う
3 4日以上働けない場合は、健康保険の傷病手当金がでる
4 長期間(1年半以上)働けない場合は、障害年金がでる

今日は、3の健康保険の傷病手当金 についてです。


1 傷病手当金ってどんな制度?

健康保険には、全員加入されていることと思います。が、「傷病手当金」のことはご存じない方がほとんでではないでしょうか。

健康保険のメイン給付は、皆さんご存じのように、医療費の7割負担や、入院した時などの「高額療養費」の支給です。

このような病院関連の支給とは別に、「傷病手当金」といって、病気で働けなくなった時の所得保障制度 もあります。

残念ながら、自営業の方が入っている国民健康保険には、「傷病手当金」の支給がないことがほとんどです。
会社員が加入している協会けんぽや健康保険組合には「傷病手当金」制度があるのです。

ですから、病気やケガで入院したり、その後自宅療養しても、会社員であれば、所得保障があることを踏まえて、民間の保険に加入するといいでしょう。

保険の見直しを考える際は、是非とも、このことを思い出してくださいね。


2 傷病手当金を受けるには?

傷病手当金が支給される条件は3つです。

1 療養のために働けない こと

病院へ行って保険給付を受けていることに限らず、自費診療や自宅療養(医師の診療を受けない自宅での静養期間)でも対象になります。が、美容整形手術などの自費診療により労務不能となっても支給されません。

支給申請書には、医師の意見を記入する欄がありますから、医師の診断は必要です。


2 労務不能 であること

今までやってきた業務に就けない状態 が該当します。

例えば、休業中に家業の副業を手伝ったり、内職したり、一時的に軽微な仕事をした場合は、どうでしょうか?

この場合は、もらった賃金との差額が支給されます。

会社に半日出勤して、今までやってきた業務に就いたり、配置転換でやや軽い業務に従事する場合は、支給されません。


3 休んだ4日目から支給

労務不能の日が連続して3日経過した後(=4日目)から、支給されます。

この3日間に有給休暇を取得した場合は、どうでしょうか?

有給休暇を取得しても、公休日が含まれていても、3日間としてカウントします。


傷病手当金の申請は、会社の人事部に相談するといいでしょう。人事でサポートしてくれるはずですから。


3 傷病手当金の支給額は?

傷病手当金の額は、お給料の3分の2 に相当する金額です。働けなかった1日につき、支給されますから、日額です。

例えば、お給料が30万の場合、傷病手当金は6,667円/日となります。

1か月休んだ場合は、6,667円×30日=約20万円 が支給されます。

30日に土日も含むのは、雇用保険と同じです。

会社によっては、病気やケガで休んだ場合でもお給料がでることもあるでしょう。その場合は、傷病手当金は支給されません。

病気やケガで働けない場合の所得保障制度ですから、仕方ありませんね。お給料が一部出る場合は、差額が支給されます。

健康保険組合によっては、3分の2+α を支給するところもあります。

ご加入の健保組合でご確認ください。


4 傷病手当金の支給期間は?

傷病手当金の支給期間は、4日目~1年6カ月です。

例えば、途中で復職して3ヵ月勤務し、その後再発しても、1年6カ月の期間は伸びません。

また、1年6カ月の間に退職しても、そのまま続けて支給されます。

たぶん、1か月以上も働けなくなると、有給休暇の消化も終わって、会社としては、休職扱いにすることと思います。その場合は、支給開始~1年6カ月 です。

その間、お給料の3分の2の所得保障をして、回復して復職するのを待つ、という手厚い社会保険制度です。


私の父がもう高齢なのですが、6月に心臓のバイパス手術を受けました。

入院期間は3週間でした。

最初の1週間は手術前の各種検査。残りの2週間は、手術後3日間の集中治療室後はリハビリに当てられました。

退院後、通常の生活に戻るまで、3ヵ月くらいかかりました。8月には電車に乗って、外出できるようになりましたよ。


現役で働いている方は、このような心臓の大手術でも、もっと回復が早いかもしれませんね。

そうすると、1年6カ月という期間は、かなり余裕を見た期間と言えるかもしれません。

メンタル不調の場合は、復職後に再発してしまうこともありますが、それでも1年6カ月の間は所得保障もあるし、いろいろ不安に思わずに治療に専念して欲しい と思います。


1年6カ月を過ぎても、まだ回復して仕事ができない状態が続いている場合は、4の障害年金が支給されます。

障害年金については、明日、書くことにします。


See you tomorrow!

Chika Yoshino



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病気で働けなくなったらどうしよう 2

2011-10-19 | 社労士の労務管理
こんにちは!社労士の吉野千賀です。

皆さん、いかがお過ごしですか?
秋の夜長になり、コオロギの鳴き声を聞きながらのPC作業や読書など、風流な季節ですね。

昨夜は、東京労働大学の専門講座、森戸先生の講義「賃金と退職金」を受けてきました。

最近の傾向として、退職金を企業年金に移行していますが、懲戒解雇となった場合に企業年金はどう扱うか?という
マニアックなことに関してのゼミでした。


さて、病気やケガで働けなくなった時の社会保険について、の続きです。

生活習慣病やうつ病などの精神疾患により、働けなくなるリスクは、働いている人全員が抱えています。
そのために、社会保険に加入して、保険料を払っているのですから、どういう給付があるのかは、知っておく必要がありますよね。


ケガや病気で働けなくなった場合、段階的に、複数のシステムでカバーされる仕組みになっています。

一般的には、下記のような流れで、治って復帰できるまで会社が支援したり、社会保険から給付がある仕組み になっています。

1 有給休暇を使う
2 長期間休む場合は、会社の休職制度を使う
3 4日以上働けない場合は、健康保険の傷病手当金がでる
4 長期間(1年半以上)働けない場合は、障害年金がでる

今日は、2の会社の休職制度 についてです。


1 就業規則で自分の会社の休職制度を確認しよう

最初のスタートは、ここからです。

なぜなら、休職制度自体は労働法で定められた制度ではない ので、法律ではどうのこうのと論じることはできません。

会社ごとに決めていいことになっています。

休職期間は有給にするのか、無給にするのかも、会社ごとで決められています。

どういう場合に休職扱いにするのかも、会社が決められます。

傷病休職、事故欠勤休職、起訴休職、出向休職、自己都合休職、組合専従休職、ボランティア休職、など でしょうか。


休職制度を定めた場合は、就業規則に載せなければなりませんから、まずは自分の会社の制度を就業規則で確認してみましょう。


2 休職の取り扱い方

基本的には、就業規則通りに取り扱います。

法律で定められていないので、もめた時は就業規則にどう書かれているか、が論点となりますから、就業規則にはしっかりと網羅して記載しておく必要があり、多くの会社がそうしていると思います。

休職の発令権、解除権は会社にあり、休職をしている従業員が勝手にとったり、やめたりすることはできません。


3 休職期間が満了したら、どうなる?

休職とは、労働が提供できなく、就労させることが適切でない場合に、労働契約を残しつつ労働義務を一時的に消滅させることをいいます。

解雇の猶予制度、だということもできます。

会社としても、一定期間待つことにより、元の就労できる状態に戻るなら、新しく人を雇う時間や費用と比べてもメリットがあります。

ところが、休職期間が満了しても、元の就労できる状態に戻らなかった場合(休職事由が消滅していない場合)は、やむを得ず、労働契約の自動終了=退職 とならざるをえません。


4 問題点はなに?

労働審判などで争われる論点は、どのくらい回復したら、元の終了できる状態に戻ったと判断するのか?ということです。

その判断により、辞めることになるのか、会社に残れるのか、が分かれる重要なポイントですよね。

傷病休職の場合は、主治医の診断書の提出は必須事項です。

会社によっては、産業医に診せて、その診断書で判断する、としているところもあります。(その場合の問題は、産業医が何科の医師なのか?というところ)

人事の方が主治医と面談して(本人同席で)、「こういう仕事内容に従事できるだけ回復していますか?」と医師に確認することもあります。

最近、急増しているメンタル不調者の職場復帰を判断する時は、主治医との面談は重要な判断要素となります。

なぜなら、主治医の先生は、本人の症状はよく把握していても、会社の業務内容についてはよくわからないことが多く、本人の回復状況が本当に業務に戻れる状態になのか、詳しい業務内容を知らないと判断しかねますよね。

会社としても、この判断は慎重に行う必要があります。

裁判例では、休職期間満了時に、従前の仕事を支障なくこなせる状態にまでは回復していなくても、相当期間に治癒することが見込まれていて、さらに、当人に適切なより軽い作業が現実に存在するときは、会社はその(軽い)業務に配置すべきで、労働契約の終了という効果は発生しない、としています。

上記は、外資系の航空会社で、CAが休職期間終了後も椎間板ヘルニアによりCAの業務はできないけれど、地上勤務ならできるところを、会社は認めなかったんですね。

大手の外資系企業や大企業ならば、「より軽い作業」をしながら、完全に治癒するのを待って、元の職場に完全復帰することも可能でしょう。

でも、たとえば、50人くらいの中小企業だったら、どうでしょう。

そこまで人員に余裕がなくて、「より軽い作業」は提供できないし、休職期間の終了と同時に退職扱いになってしまうのは避けられない事実です。

うつ病などのメンタル不調は、見た目での判断は難しく、職場復帰のステップを誤ると症状が長期化することもあるので、当人も会社も専門家に相談しながら進めていくことをお薦めします。



ちなみに、私が以前勤めていた外資系企業では、次のような休職制度がありました。

病気やけがの場合は、療養休暇があり、療養休暇中はお給料は全額支給でした。期間は勤続年数により異なりますが、5年以上で6カ月です。
その後、まだ治らない場合は、休職となり、無給です。休職期間は勤続年数によりますが、5年以上で12か月です。


人事の方以外は、自分の会社の休職制度の内容を知っている方は皆無といってもいいくらいかと思います。

まずは、就業規則を確認してみましょう。

明日は、3の健康保険の傷病手当金 についてです。


See you tomorrow!

Chika Yoshino

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病気で働けなくなったらどうしよう 1

2011-10-18 | 社労士の労務管理
こんにちは!社労士の吉野千賀です。

日に日に涼しくなっていますが、いかがお過ごしですか?今日は曇り空ですね。

私は、秋の花粉症なのか、ただ寒いせいか、くしゃみがちです。


今日からしばらくは、病気やケガで働けなくなった時の社会保険について、書いてみます。

生活習慣病やうつ病などの精神疾患により、働けなくなるリスクは、働いている人全員が抱えています。
そのために、社会保険に加入して、保険料を払っているのですから、どういう給付があるのかは、知っておく必要がありますよね。


ケガや病気で働けなくなった場合、段階的に、複数のシステムでカバーされる仕組みになっています。

一般的には、下記のような流れで、治って復帰できるまで会社が支援したり、社会保険から給付がある仕組み になっています。

1 有給休暇を使う
2 長期間休む場合は、会社の休職制度を使う
3 4日以上働けない場合は、健康保険の傷病手当金がでる
4 長期間(1年半以上)働けない場合は、障害年金がでる

今日は、1の「有給休暇を使う」について、です。


1 有給休暇は何日?


休職制度は会社によって設定がマチマチですが、有給休暇は法律で定められている ので、必ず使うことができます。

正社員のみの特権ではありません。

アルバイトやパートさんのような短時間労働者も、労働日数に応じて有給休暇は取ることができます
アルバイト・パート・契約社員・派遣社員などに関係なく、労働者であれば取得することができるのです。

とても身近な制度なので、皆さんご存知かとは思いますが、法律で定められている有給休暇の日数は下記の通りです。

週5日以上または週30時間以上の場合、働き始めてから

6か月後 10日
1年半後 11日
2年半後 12日
3年半後 14日
4年半後 16日
5年半後 18日
6年半以上 20日   付与されます。ただし、全労働日の8割以上出勤の場合です。

アルバイトやパートさんも有給休暇がとれます。
たとえば、週3日勤務で年間の労働日数が121~168日の場合、

6か月後 5日
1年半後 6日
2年半後 6日
3年半後 8日
4年半後 9日
5年半後 10日
6年半以上 11日   付与されます。全労働日の8割以上出勤の条件は同じです。


2 入社して6カ月未満の間に病気になったら?

私は身体が丈夫じゃないので、すぐ風邪を引いたり、熱が出たりします。
入社して半年間も毎日健康で仕事に行ける自信は全然なかったです。環境も変わってストレスもかかりますしね。

なので、入社して6カ月の間に、病気になったらどうしよう、というのは、普通の人よりも心配していました。

会社によっては、病気休暇があったり、入社して3ヵ月目から有給休暇をとれたり、というところもあります。
が、一般的には、法律通りの規定を定めている会社が多いようです。

その場合は、残念ながら、欠勤(病欠)扱いとなって、働けなかった日数分はお給料から引かれる ことになるでしょう。

万一、1日や2日の風邪などではなくて、続けて4日以上働けない場合は、健康保険から傷病手当金が支給されることもあります。

または、会社の規定により、休職が認められることもあるかもしれません。


3 そもそも有給休暇は何のため?

まるで当然にように、病気やけがになった時に有給休暇を使う話をしています。が、それでいいんでしょうか?

本来の有給休暇の目的は、休養・休暇をとって、労働から解放された自由な余暇時間を過ごすためのものです。
リフレッシュに旅行へ出掛けたり、ゆっくり家族と過ごしたり、田舎へ帰ったり。。。

いわゆるワークライフバランスのため にあるんですよね。

私は、20年くらいの間、外資系の会社でたくさんの外国人と働いてきましたが、Expatと呼ばれる外国人社員は風邪や病気のために有給休暇を使うという発想がありませんでした。

ヨーロッパの多くの国では、病気休暇が有給休暇とは別にある のです。

たとえば、スウェーデンの会社にいた頃、スウェーデン人の社員が夏に3週間、お休みをとりました。
帰ってきたので、「休暇はどうだった?」と聞くと、うかない顔で「1週間、インフルエンザで寝込んでしまったんだ」とのこと。

驚いたのは、「だから、その1週間は別にお休みをとることにした」と言うんですね。

私は同じオフィスで同じように働いていても、日本の法律を適用した就業規則があり、ぎりぎりの有給休暇しかありませんでした。

入社して半年間は風邪で休んだら減給でした。しかも、10日くらいしかないので、旅行で5日、病気のために5日はストックしておく、という労働条件です。これで、スウェーデン人から風邪をもらってしまったら、泣くに泣けないではないですか。。。

それでも、日本の会社のように有給休暇がとりづらい雰囲気は皆無でしたから、100%消化できていましたが。

話がそれてしまいました。

日本の慣習では、有給休暇を病気やけがなどの不測の事態のために残しておいて、そのために使用することが多いので、本来の目的とはずれているのですが、病気やけがの時の第一段階として、ここに書かせてもらっている次第です。


4 有給休暇の取り方などで問題になること

今回は、病気やけがになったらどうしよう、というテーマなので、本来の有給休暇にまつわる諸問題はおいておきます。

朝、起きたら高熱がでていて、急きょ有給休暇をとって休むことにした。

この場合、厳しい会社では、「当日の連絡で、有給休暇は与えられない」と言われるかもしません。

会社の就業規則によりますが、通常は事前申請で有給休暇を与えることにしているのではないでしょうか。
これは、お休み中に誰かが当人の仕事をカバーすることを踏まえて設定している妥当な手続きです。

ですから、当日に連絡して「具合が悪いので、有給休暇を取りたい」ということを認めるのは、会社の温情とも言えます。
この場合は、事後請求として処理してくれます。

でなければ、残念ながら欠勤扱いになってしまっても、文句は言えないところです。


さて、明日は、病気やけがで働けなくなったら?シリーズ2の「会社の休職制度」 について書いてみます。


余談ですが、社労士は自営業なので、労働者としての恩恵を受けることはもうできません。
有給休暇も休職制度も傷病手当金も厚生年金もありません。

会社員だったころは、文句を言いながらも、やはり恵まれていたんだなぁと、しみじみ思ってしまいます。

それでも、誰かの命令で働いたり、人間関係に悩んだり、通勤ストレスからは解放されているので、どっこいどっこいでしょうか。

自分のペースで仕事ができるせいか、会社員だった頃に比べると体調は改善されて、風邪も引かなくなっています。

皆さんも、ストレスがかからないような生活方法を探して、健康に過ごしてくださいね!

See you tomorrow!

Chika Yoshino
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アルバイト・パートさんへの厚生年金適用拡大?

2011-10-17 | 社労士の労務管理
こんにちは!社労士の吉野千賀です。

週末はいかがお過ごしでしたか?

ようやく、作成中だったホームページも、出来上がりの様相になりました。
         ↓
http://www.cyoshino-office.com/

障害年金の請求支援を主要業務にしています。が、労務管理も喜んでお受けしています。



さて、これまで社会保障審議会での改正案について書いてきましたが、
今日は、3のアルバイト・パートへの厚生年金適用拡大 についてです。

おさらいですが、審議会での議論は、主に下記の3つです。

1 年金支給開始年齢の引き上げ
2 在職老齢年金の見直し
3 短時間労働者(アルバイト・パート)への厚生年金適用拡大


1 現状の確認

改正案について話をする前に、現行の制度を確認してみましょう。

現行の厚生年金の適用範囲において、短時間労働者(アルバイト・パート)については、

正社員の労働時間と比較して、1日または1週間の所定労働時間が4分の3以上

かつ、

正社員の1か月の労働日数と比較して、所定労働日数の4分の3以上の勤務形態ならば、原則として被保険者となります。

たとえば、

正社員が1日8時間労働の場合、パートさんが1日6時間以上とする労働契約がある場合。または、

正社員が1週間40時間労働の場合、パートさんが1週間30時間以上とする労働契約がある場合。

上記の労働契約に加えて、正社員が1カ月20日の所定労働日数の場合、パートさんが1か月15日以上の労働日数で契約した場合、厚生年金と健康保険の被保険者となります。

余談ですが、先週話していた60歳代前半の在職老齢年金ですが、厚生年金の被保険者でなければ調整はないので、正社員の4分の3の短時間労働契約にすると、在職老齢年金による年金の支給停止はなくなります。

その代わり、当然のことながら、お給料は6割~7割よりも低下する可能性があり、どちらがいいのかは、個別の判断となるでしょう。


2 改正案

この改正案は、平成19年に国会提出するも廃案になっていますが、引き続き上がってきているものです。

新たな適用基準案:

1 労働時間を週所定労働時間20時間以上にする ←雇用保険と同じ適用

2 賃金月額98,000円以上とする ←厚生年金の保険料負担の基準の下限額

3 勤務期間が1年以上とする ←雇用保険は31日以上としている

4 学生は適用対象外とする

5 中小企業には配慮する ←社会保険料が増えることへの配慮


改正案の目的は、被保険者を増やすことで、上記に改正すると約10万人~20万人程度の増加を見込んでいます。(400万人という説もあり)

パート労働者の主流は、30代~50代の主婦層です。会社員の妻の場合、年収130万円以下の場合は保険料を納めなくても年金をもらえることになっています。保険料を納める人を増やしたい、というのが目的かと思っています。

時給1000円で、週25時間(1か月100時間)働いているアルバイトやパートの方は、月収10万円で適用となりますね。
適用となった場合の厚生年金保険料は、16,412円となり、本人負担8,206円、会社負担8,206円です。


3 問題点は何?

問題点として挙げられているのは、大きく2つです。

1 国民年金との兼ね合い
2 事業主負担が増える


1の国民年金との兼ね合いについて

適用拡大と同時に、98,000円の下限額をさらに下げる案も検討されています。

たとえば、下限額を78,000円に変更した場合です。

本人負担額は6,401円、会社負担と併せても厚生年金の保険料は12,802円です。

受け取れる年金額は、

1階部分の国民年金 月額65,741円 +
2階部分の厚生年金 月額18,204円(40年勤務の場合)、合計83,945円となります。

自営業者は、1階部分の国民年金にしか加入できず、国民年金の保険料は月額15,020円と下限額78,000円の人より多く払っているのに、受け取れる年金は、1階部分の国民年金 月額65,741円のみです

仮に、月額78000円の方に専業主婦の奥さんがいる場合は、

受け取れる年金は、65,741円x2人分 + 18,204円=149,686円。

国民年金のみの方との不公正感は増すばかりとなります

ちなみに、98,000円という数字は、国民年金の保険料とほぼ同じとなるラインです。

そこで、適用拡大して下限額を下げる場合の要件として、短時間労働者の被扶養配偶者の給付は行わない、ということも検討中です。それはそれで、さらに、正社員との格差が広まりそうですね。


2の事業主負担が増えること

パート労働者が厚生年金に加入することになると、同時に健康保険にも加入することとなります。

事業主にとっては、社会保険の負担が増えてしまいます。

たとえば、月額10万円のアルバイトやパートが社会保険に加入すると、事業主の社会保険料負担は、13,700円です。

パートやアルバイトが何十人もいる事業所だと、月々の負担が数十万になってしまいます。

そうすると、雇用を抑制したり、決められた基準ぎりぎりのところで、労働時間を短縮したりする、とか
パートで働く人も、夫の保険に入っていた方がいいので、労働時間を短縮する、かもしれません。

そうでなくても、現実の問題として、厚生年金の適用事業なのに、厚生年金に入っていない事業所が全体の1~2割近くもあります。
社会保険料の負担は、中小事業主にとっては深刻な問題で、簡単に適用拡大の実現は望めない感じがします。

狙っていたような保険料を払う人の増加にはつながらず、逆に、被扶養者がいる人など恩恵がある人だけが望んで加入して、結果的に給付が増す可能性もでてきますね。


社会保険の改正って、全国民が対象となり、世代間・制度間で不公平感がでてくるのはやむを得ないのかもしれません。
加えて、「雇用」という現役世代には深刻な問題とも深く関係しています。

改正案をまとめて、実際に施行するには、不公平といいながらも多少は納得できて、雇用が維持されるような案じゃないと、上手く回らないように思います。




昨日は、国際フォーラムで大江戸骨董市をやっていて、ちょっとのぞいてみました。
古いそばちょこ、1万円~2万円!などで、気軽に買える額ではないのですが、大量に買い物している方もちらほらいました。
価値がわからないと、難しい買い物ですね~。

その後、丸の内ブリックスの「A16」というお店へランチに行ったら、大入り満員。
友人と庭園で30分くらい待って、ピザを食べました。絶品ピザでした。
腹ごなしに、皇居を散歩して帰りました。

秋は食べてよし、歩いてよし、過ごしやすい季節ですね!

See you tomorrow!

Chika Yoshino
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年金と給料の調整

2011-10-14 | 社労士の年金
こんにちは。社労士の吉野千賀です。

昨夜は、亀戸で弁護士の小川英郎氏の「情報流出・守秘義務違反と懲戒処分」というセミナーに参加しました。

在職中の守秘義務違反の取り扱いはもとより、退職後の守秘義務はどこまで有効か、について過去の判例を中心に、
内容の濃い、わかりやすい説明で、勉強になりました。

小川先生は、日本労働弁護団で主に労働者保護の仕事をしており、労働相談も10年以上続けているそうです。

相談内容の変化や傾向は、

1995年~2000年 リストラ・解雇
2000年代前半    長時間労働・過労死
最近           職場のいじめ・守秘義務違反  が多いとのこと。

労働問題は、形を変えながら、ずっと続いていく問題なのでしょうね。


さて、ここのところ、年金のことを書いていたら、社会保障審議会での改正案もあり、もうしばらく、この改正案について
書いていくことにします。

審議会での議論は、主に3つです。

1 年金支給開始年齢の引き上げ
2 在職老齢年金の見直し
3 短時間労働者(アルバイト・パート)への厚生年金適用拡大

どうしても、一番影響のある「支給開始年齢の引き上げ」に目が向けられますが、
2と3についても、どんな風に変わるかもしれないか、書いてみます。

今日は、2の在職老齢年金の見直し についてです。

1 在職老齢年金って何だろう

私、社会保険の勉強をするまで、「在職老齢年金」と聞くと、在職中ももらえる年金、と思っていました。
皆さんも、語感からそう思いませんか?

そもそも、昭和29年には、年金は会社を退職しないともらえなかった。

それが、昭和40年に、65歳以上の会社員にも、特別に80%の年金を出すことにした。これが、在職老齢年金でした。

ところが、その後の改正で、在職老齢年金の支給率を下げていき、

結果として、現在は、在職老齢年金=年金支給停止 という意味合いになっているのでした。


2 現行の在職老齢年金

これは、なかなか理解しづらいと思うので、簡単に説明します。

前にもこのブログで例示しましたが、60代前半の場合、

年金月額 + (お給料とボーナスを足した額の月額)が28万円を超えると、年金が減額されます

<例>
   年金月額が5万円、お給料が26万の場合

   5万円+26万円-28万円=3万円 3万円の半分の1万5000円が減額されるので、

   受け取る年金月額は、5万円-1万5000円=3万5000円 となります。


3 問題点は何?

現在、60歳から一部でも年金が出ていますが、働くことにより、年金が支給停止されることは納得いかない、という意見もある。

私見ですが、現役世代の私たちは、もしかすると68歳まで年金が出ないかもしれないという厳しい現実において、
こういう意見に納得できなかったりします。

働くと年金がもらえなくなるなら、働かない方を選択する。つまり、就労意欲を抑制しているから、現在28万にしている調整額を46万にしたらどうか、という議論です。

そうすると、上記の例では、

   5万円+26万円=31万円<46万円 となり、
   年金月額は、減額しない、ことになります。

年金開始年齢の引き上げがムチだとすると、これはアメになるのでしょうか?

でも、60代前半から年金が出る人は、現行では昭和36年3月生まれ(男性の場合)までで、その人達にしか恩恵ないですよね。

世代間のバランス、不公平感がネックとなっているようです。


4 60歳以上の働き方 現状は?

多くの企業で、年金の開始年齢に合わせて、高年齢者の雇用確保措置を迫られて、実施しています。

1 定年の廃止
2 定年年齢の引き上げ
3 継続雇用制度      の3択を迫られて、8割以上の会社が「3」を選択しました。

継続雇用制度なら、定年後に正社員から契約・嘱託社員へ身分を変えて、お給料を低くしても問題ないからです。

その際の、会社側が考慮する賃金水準決定要素は、

1 定年到達時の賃金
2 在職老齢年金との調整
3 雇用保険から支給される「高年齢雇用継続給付」との調整   あたりです。

本人も、お給料が60-70%に下がっても、2と3の支給を加えて、トータルで受け取れる額で判断して納得するのでしょう。


ところで、継続雇用制度で希望者全員を対象とする制度を導入している会社は41%だけです。

「1」「2」の選択肢だとそのまま正社員で身分も安定することと比較すると、
「3」は身分も不安定だし、希望しても契約を更新できない可能性もあります。

再就職も60代になると難しく、会社にすべて依存してしまうと厳しいものがありますね。

会社側も、高齢者雇用を見据えて、賃金体系そのものを変更していかなければならないでしょう。


明日は、3短時間労働者(パート・アルバイト)の厚生年金適用拡大 についてです。

See you tomorrow!

Chika Yoshino
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年金開始年齢の引き上げ案

2011-10-13 | 社労士の年金
こんにちは。社労士の吉野千賀です。

東京の10月は5月と並んで、私には過ごしやすい季節です。
あちこち出掛け歩きたい気分ですが、仕事をしています。

京都に紅葉を見に行きたい、美味しいキノコ(天然のキノコ)鍋を食べたい、などと
妄想がふくらんでいきます。


さて、社会保障審議会の年金部会で審議中の「年金開始年齢の引き上げ案」について、書いていきますね。

1 現行の制度

皆さんは自分の年金開始年齢は把握されていますか?

20代の方は、そもそも年金のことなんか、考えたことないなぁ。もらえるかどうかもわからない。。。
30代の方は、65歳らしいけど、どうなるんだろう。。。
40代の方は、65歳だから、そろそろ生活設計しないとなぁ。。。
50代の方は、一部は60台前半から出るんだよね。でも、それじゃ生活できないから、今の会社で65歳までいられないかなぁ。

年代によって、年金のとらえ方や老後の生活設計の具体性は違うと思います。

年金は、

1階部分は基礎年金(全員)
2階部分は厚生年金(会社員)
3階部分は厚生年金基金(大企業など) の3階構成になっています。

現行の制度では、

1階部分の基礎年金の開始年齢は、65歳
2階部分の厚生年金の開始年齢も、65歳
  です。  厚生年金基金は独自の制度なので、おいておきます。

あれ?60代前半ももらえるんじゃなかったですか?

そうですね。でも、全員じゃありません。
60代前半からもらえるのは2階部分の厚生年金に1年以上入っていた人だけに特別に支給なのです。

1階部分の基礎年金ではないのですが、1階にあたる部分も「定額部分」と名前を変えて、厚生年金として出ています。

このあたり、ちょっとあやふやじゃないですか?

自分が今まで、どの年金制度に入っていたか、ちょっと思い出してみましょうね。

そして、昭和60年、平成6年、平成12年改正により、男女別の生年月日ごとに、段階的に60歳から65歳までの間を縮めていくことになったんです。

男性で、昭和16年4月生まれの方から、昭和36年4月生まれの方までの、生年月日でいうと20年間で、
段階的に65歳まで引き上げられていっており、現在はその途中です。

誤解している人が多いので、少し解説しますと、

1 昭和16年4月~昭和24年3月までの男性

60歳から年金は出ています。
2階部分にあたる「報酬比例部分=厚生年金部分」は60歳から出ています。
1階部分にあたる「定額部分」だけ、生年月日で61歳から64歳まで引き上げています。

いわゆる、団塊の世代(1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)生まれの方)はここに入っています。
約664万人もいます。

2 昭和24年4月~昭和28年3月までの男性

60歳から年金は出ています。
ただし、2階部分の「報酬比例部分=厚生年金部分」だけです。

今年60歳になる昭和26年生まれの方は、ここに入っていますね。

3 昭和28年(1953年)4月~昭和36年(1961年)3月までの男性

もう、60歳から年金は出ません。
2階部分の「報酬比例部分=厚生年金部分」も、生年月日により段階的に、61歳から64歳まで引き上げられています。
自分の生年月日が該当する場合は、何歳から支給なのか、確認している人も多いと思います。

女性は、5年遅れのスケジュールなので、昭和41年3月生まれまで、65歳になる前に、一部ながらも年金が出ることになっています。


この年金支給開始スケジュールに伴い、企業も定年年齢の見直しや65歳までの継続雇用をするように、法律で定められ、多くの企業で対応しています。これが現状です。


2 年金開始年齢の引き上げ案 1

今後、審議されていく「引き上げ案」で、決定ではありません。

私も資料を読んだだけですが、こんな風に変わるかも?ということで、書いてみます。

まず、該当者は、上記の3 昭和28年(1953年)~昭和36年(1961年)までの男性(女性も5年遅れスケジュール変更案あり)から後の世代です。

現行のスケジュールは下記の通りです。

昭和28年4月~昭和30年3月生まれ 61歳から報酬比例部分(=2階の厚生年金部分)だけ支給
昭和30年4月~昭和32年3月生まれ 62歳から同上
昭和32年4月~昭和34年3月生まれ 63歳から同上
昭和34年4月~昭和36年3月生まれ 64歳から同上

昭和36年4月生まれ~ 65歳から

改正案のスケジュール:

昭和28年4月~昭和29年3月生まれ 61歳(変更なし)
昭和29年4月~昭和30年3月生まれ 62歳
昭和30年4月~昭和31年3月生まれ 63歳
昭和31年4月~昭和32年3月生まれ 64歳

昭和32年4月生まれ~ 65歳から

影響が出てくるのは、昭和29年4月生まれの方からですね。

昭和29年生まれというと、現在57歳。でも、この方はまだ影響が少ないです。61歳からもらえる一部の年金が62歳になるだけですから。

これが、昭和32年4月生まれの方になると(現在54歳)、63歳からもらえるはずが、65歳に伸ばされてしまうかもしれません。

3 年金開始年齢の引き上げ案 2

見逃せない重要なところです。

厚生年金の65歳までの引き上げスケジュールの後、さらに、同じペースで68歳まで引き上げ。
併せて、基礎年金についても68歳まで引き上げ


と、書いてあるではないですか。。。

厚生年金女子についても、スケジュールを前倒して、2025年までに65歳に引き上げた上、68歳まで引き上げることとする。

と、追記で小さい字で書いてあります。。。

この辺は、見直し例ということで、さらによくわからない説明です。

現行の制度で、男子で昭和36年4月生まれ以降の方は、

65歳から、1階の基礎年金 + 2階の厚生年金 が支給されることになっています。

これが引き上げられて、

昭和38年4月~昭和40年3月生まれ 66歳
昭和40年4月~昭和42年3月生まれ 67歳
昭和42年4月生まれ~         68歳  というスケジュールがでています。

現在、おおむね44歳の方は、年金の支給そのものが68歳になるかもしれない、ということです。

この基礎年金の引き上げは、自営業などの国民年金だけに加入している人も該当します。

サラリーマンだけでなく、専業主婦や自営業者など、ほとんどの方が該当するというところ、押さえておいてください。
(2で説明した部分は、1年以上会社に勤めた人が該当です。)


3 私たちの現実的な問題

2の報酬比例部分の引き上げと比較すると、経済的な影響は大きいです。

報酬比例部分は、個人の報酬によりマチマチなのですが、仮に100万とすると、2年の引き上げで200万です。
ところが、基礎年金も含めると、100万+78万(基礎年金)x2年引き上げで、356万円です。

自分の貯蓄や個人年金などで、なんとかしないとならない額が大きく増えてしまいますね

だいたい40代になると、老後の生活費を考え始めますよね。
個人年金の加入も早めにしないと、毎月の掛け金が負担になります。

そんな事情がある中、現在50代の方の年金開始年齢の引き上げは、非常に負担です。
緩衝期間を設けてくれないと、経済的に対応できない可能性があります。

現在、63歳の団塊世代の方が、60歳から一部年金がでて、65歳からはフルでもらえることと比較すると、不公平感はでてきそうです。

企業側も、さらに定年年齢を引き上げるか、継続雇用を68歳までにする必要に迫られること、必至です。
こちらも、すぐには対応できないので、やはり緩衝期間が必要ですね。

いずれにしても、30代・40代から現実的な問題として、60代の働き方を考えないとならないようです。

会社に頼って68歳まで働かせてもらう、という選択肢だけでは、かなり危ういと感じます。

どうやって稼いで、どうやって暮らしていくのか、個人の将来設計がとても大事になりますね。


See you tomorrow!

Chika Yoshino
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高齢化社会での働き方 2

2011-10-12 | 社労士の年金
こんにちは!社労士の吉野千賀です。

今日も秋晴れで、さわやかです。千鳥が淵を少し散歩しました。
もう毛虫の時期も終わり、安心して歩けました。

昨日のニュースステーションで年金のこと、報道されていましたが、見ましたか?
厚生労働省の社会保障審議会で、将来の年金の支給開始年齢の引き上げについての本格的な議論が始まったそうです。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001r5uy.html

今後も議論は継続して行われるのでしょう。

いつから?とか、対象者の生年月日は?などの詳細検討はこれからでしょうが、いずれにしても、年金の支給開始年齢が引き上げることは避けられないのでしょうね。

現役世代の私たちとしては、60代の働き方を自分たちの現実的な問題として、考えなければなりませんね。

それにしても、25年くらい前までは、女子の開始年齢55歳だったことを思うと、70歳近くまで働くことは正直きついなぁと思います。

1 60歳代前半の働き方

とりあえず、現行の制度での働き方について、書いてみます。
制度が変更すると言っても、実際は多少の緩衝期間が設けられるので。

まず、58歳の誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」で、まずは自分がもらえる年金額といつからもらえるのかを確認します。
「ねんきん定期便」は毎年、送られてきますので、将来の生活設計のために都度確認しておきましょう。

60歳代の働き方を考えるには、早い時期から始めた方がいいですよね。

会社員なら、会社の定年は何歳か?、継続雇用制度はどのように運営されているか?、などを確認します。

大企業であれば、おそらく定年後は継続雇用制度を採用し、現役時代の給料の6-7割になり、嘱託や契約社員として再雇用される、というシステムを取り入れている企業が多いようです。

ここで、会社を退職すると、現役時代の給料の5割で転職というデータがでています。
現実的には、5割減でも、転職できたらラッキーではないでしょうか。

大企業よりも中小企業で高齢者雇用は活発というデータがあります。(厚生労働省「雇用管理調査」)

中小企業では、元々大企業のような年功賃金ではなく、フラットなカーブだったり、組織が柔軟で、高齢者がいないと回っていかない、という事情もあるようです。

定年後の身の振り方も、早い時期から考えて準備しておいたらいいですね。

現行の制度では、男性で昭和36年4月1日生まれ(女性は昭和41年4月1日)までの厚生年金に加入(会社員)していた人へ
60歳前半から2階部分のみ支給が開始されます。

生年月日により、60歳だったり、61歳、62歳、63歳、64歳と細かく設定されています。

この部分の厚生年金は、働いていようとなんだろうと、絶対に請求します。

なぜなら、この部分の厚生年金は、「請求を遅らせると年金額が増える」部分ではないからです。
多くの方が誤解や勘違いしているようです。

そして、60歳前半に継続雇用で働く場合、この一部もらえる厚生年金とお給料(と賞与)は調整されます。
この仕組みを「在職老齢年金」といいます。

現行の制度では、年金月額 + (お給料とボーナスを足した額の月額)が28万円を超えると、年金が減額されます。

例えば、年金額60万円、年金月額が5万円、お給料が26万の場合

5万円+26万円-28万円=3万円 3万円の半分の1万5000円が減額されるので、

受け取る年金月額は、5万円-1万5000円=3万5000円 となります。

減額されたとしても、受け取れる額はお給料26万+3万5000円ですから、減額されるからといって働かないよりは、減額されても働いた方がいいですよね。

これに、さらに、雇用保険から「高年齢雇用継続給付」の支給もあります。

60歳時点の給料に比べて、75%未満に下がると支給の対象になり、61%以下に下がった場合の15%が支給率の上限で、65歳まで支給されます。

例えば、60歳時点で給料が40万円、再雇用されて24万円(60%)になった場合、

24万x15%=36,000円 が支給されます。 (この場合、前記の在職老齢年金からお給料の6%がカットされます。)

高年齢雇用継続給付の申請は、会社が代行して行うことが多く、そもそも会社が継続雇用制度を採用し、賃金設定をする際に、
これらを詳細に試算して定年後の賃金を提案しています。

計算がややこしくなりますが、あまり気にしなくていいところです。

60歳前半からもらえる厚生年金の請求だけは絶対に行ってくださいね。(しつこい)

仮にお給料が高くて年金が減額されたり、停止されたりしても、
65歳までの間に事情が変われば、再開すればいいだけのことですから。

また、厚生年金の被保険者にならない働き方もあります。
この場合は、在職老齢年金にならず、年金は全額支給されます。

厚生年金の被保険者にならない働き方とは、例えば、自営業になる、会社員で働く時間を短縮する、海外で働く、などです。
働き方を考える上での参考にしてください。


2 65歳以降の働き方

現行の制度ですと、65歳から1階部分もでるし、配偶者の分も加えると、働かなくても暮らせる程度の年金が支給されるかな?と思います。

でも、日本人は働き者ですよね。
日本の高齢者の労働意欲は高いのです。

海外と比較すると、日本は29.7%の男性が65歳以上も働く意志があるそうです。

ドイツ5.7%、フランス2.2%、アメリカは定年がないせいか21.5% です。 (ILOの統計 2008年)

現在、65歳以上の方は経済成長を支えてきた世代で、バリバリ働く体質があるのかもしれませんね。

私の場合は、もし65歳以上も働くのだとすると、やむにやまれず(?)になるのでしょう。
年金を繰り下げして、なんとか年金額を増やすため、です。

さて、65歳以上の在職老齢年金という制度があります。

これは、65歳以上で厚生年金に入っている場合、2階部分のみ調整される制度です。
65歳以上になると、調整金額も28万円から46万円と緩和されます。

例えば、先ほどと同じ例の場合(2階の年金額60万円、2階の年金月額が5万円、お給料が26万)です。

5万円 + 26万円 =31万円 <46万円 となり、年金は全額支給となります。

社会保障審議会で議題になっているのは、年金が減額されると、働く意欲がそがれることもあるので、
60歳前半の調整金額も46万円に引き上げて、減額しないように、長く働いてもらうようにしようというものです。

1階部分の年金をもらいながら、2階部分を繰り下げして、働いてお給料をもらうこともできます。

1階部分を繰り下げして、2階部分をもらいながら、働いてお給料をもらうこともできます。

繰り下げ率は、1階も2階も同じです。1か月あたり0.7%の加算。1年で8.4%の増額です。
金利と比較すると、お得な率で繰り下げできるので、生活設計するときの参考にしてください。

66歳支給 108.4%
67歳支給 116.8%
68歳支給 125.2%
69歳支給 133.6%
70歳支給 142.0%

65歳からもらった場合と、70歳から142%の額をもらった場合、累計額が並ぶのは80歳過ぎです

自分の健康状態や家族環境など、いろいろな状況に応じて、繰り下げを検討されるといいかもしれませんね。


いずれにしても、現役世代の私たちにとって、「60歳代も働く」ことは必須です。

会社でそのまま働き続けるのか、転職するのか、自営業などで独立するのか、田舎暮らしをするのか(←私の希望)、
40代頃から、将来に向けて、考えてまいりましょう。

新しいことに挑戦したり、楽しみながら、50代・60代を過ごしていきたいものですね。



埼玉県の荒川にアザラシ出現のニュースが報道されていますね。
「アラちゃん」と命名されています。

多摩川のたまちゃんを思い出された方も多いと思います。
たまちゃんが現れたのって6年も前だったんだ!とニュースを見て、驚きました。

つい2・3年前の出来事のように思っていました。
こうして、年をとっていくんだなぁと、しみじみしてしまいましたよ。


See you tomorrow!

Chika Yoshino









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高齢化社会での働き方 1

2011-10-11 | 社労士の年金
こんにちは。社労士の吉野千賀です。

3連休は秋の晴天でしたね。いかがお過ごしでしたか?

昨年は、秋田・青森の白神山地へ行っていました。五能線に初めて乗り、楽しかったことを思い出します。
白神山地のトレッキングも、猿か高い木から見下ろしていたり、天然のブナシメジやマイタケが美味しそうでした。
今年は、主に仕事と、家の片付けをしていました。旅行、行きたいなぁ。。。

今日と明日は、高齢化社会での働き方について、です。

今日は、日本の高齢化社会の現状です。

先週は年金のことを書きましたが、年金支給開始年齢が引き上げられる可能性は高いし、
60代の働き方については、雇う方も雇われる方も自分の問題として、考えていかないとならないテーマですね。

現状でも60歳定年制度が多い中、本格的な年金支給開始は65歳ですから、60-65歳までの間、生活費の確保のため、
多くの企業で高齢者の雇用継続への対応が求められています。

現役世代の私たちは、企業に依存する・しないは別として、60歳代は定年後の悠々自適としたいところですが、
現実には、何かしら働いて、稼がなくては生活が危ぶまれるのです。


1 高齢化は成功の証

と、慶応大学の清家篤先生、おっしゃっていました(東京労働大学の講義で)。

どうも、お年寄りが増えると社会保障費は増大するし、経済は活性化しない感じがするし、社会に勢いがでない。。。
というマイナスのイメージが頭をよぎりますが、実は、成功の証なんだ、とポジティブにとらえるものだそうです。

それは、経済成長の結果だからです。

戦後の時代、1947年の平均寿命は男性50歳、女性54歳。
2010年の平均寿命は男性79.64歳、女性86.39歳です。←厚生労働省の統計

ちなみに、平均寿命とは0歳児の平均余命のことです。

1947年に平均余命が短かった理由は、貧しい国だったから。

感染症で子供が命を落とすことが多かったんです。
経済成長と共に、住環境・栄養・衛生・医療が改善されて、平均余命が伸びました。

ここまでは、確かに経済成長の結果、手に入れた果実ですね。

先進国と言われている欧米でも高齢化は着実に進んでいます。
反対に、世界の多くの国はまだ貧しい状態が続いていて、乳児死亡率が高く、援助が必要かと思います。


2 超高速の高齢化

欧米と比較して、日本が大きく違うところは、高齢化のスピードが速い!こと。

高齢化の数値は、65歳以上の人口÷総人口 で出すことができます。

日本の高齢化の数値の試算は、

1990年  12%   ← 10人に1人
2013年  23.2% ← もうすぐ、1/4になる
2030年代 33%   ← 1/3になる
2050年代 40%   ← 2/5になる

と、勢いを増す一方です。

そもそも、これまでも

1970年には7%だった65歳以上の割合が、1994年には14%になり、日本は24年で14%に到達しました。
フランスでは、14%に到達するのに、110年かかったそうです。

この短さは、日本の経済成長のスピードと比例していることを考えると、高齢化が成功の証としていることにもうなづけます。

ヨーロッパの人達にも、アジアの人達にも、「日本ってすごいね!」とよく褒められます。
日本の製造業の質の高さや経済成長に対して、私たち日本人より高く評価してくれているんですよ。

3 少子化対策

でも、喜んでばかりはいられない。
高齢化と対になって日本で問題になっているのは、少子化だからです。

1947年の日本の出生率は、4.5人
高度成長期は2人
2003年に1.26人まで下がって、今は1.39人です。

出生率の理想は、2.08人だそうです。人口が安定するんですね。

2010年の出生率で、理想に近い数値の国は、

アメリカ 2.1人
フランス 1.9人
スウェーデン 1.9人   など。

日本もこのくらいの数値に回復して欲しいものです。どうすれば、回復するのでしょうか?

ここには問題が多数あり、解決方法も多様で難しいように思います。いくつか挙げると、

1 未婚率の上昇
2 育児終了後の雇用機会
3 子育て世代の低年収化
4 ワークライフバランス  などでしょうか。

若いころから正社員として働けないと、結婚もなかなか難しい。

夫婦共稼ぎでなんとか生活できても、子供ができたら生活が難しい。

女性が正社員として就職しても、一旦、子育てで退職すると、正社員になるのは難しい。

30代男性の残業時間が多く、子育てに参加できない、そもそも婚活の時間もない。

などなど、少子化対策は、個人や行政の問題だけでなく、企業として取り組むことがとても多いことに気がつきますね。



少子高齢化の結果、就業人口が減ってしまい、国の生産力が落ち、競争力がなくなってしまう。。。

なんとか、安心して子どもを産み育てられる環境を整えて、出生率UPして欲しいですね。


自分も将来、60代の高齢者となるにあたり、それまでの働き方、高齢者雇用については、明日の話題にします。



このところ、急に秋めいてきて、駅前の桜の木、早くも落葉していました。
今年は紅葉が楽しみですね。

札幌の中心地で、ヒグマが出没のニュースがありましたね。驚きました!

今まで、そんなこと、あったかなぁ~。

円山公園や北海道神宮のあたりまで、ヒグマが下りてくるなんて、どうしたんでしょう?
秋の実り、今年はないんでしょうか。
そろそろ冬眠の準備なのに、大丈夫なのかなぁ。。。

最近は、新型ヒグマと言って、人間を恐れないタイプのヒグマになっているそうです。

今までは、山の中を歩く時はクマよけの鈴をつけたり、おしゃべりしたりすると、クマの方で先に気づいて逃げていくと
言われていましたが、新型ヒグマはもしかして、そんなんじゃ逃げないのでしょうか?

そういえば、知床でヒグマが民家に入り、冷蔵庫を開けて座ってラーメンを食べていたニュースがありました。
想像すると、マンガチックで面白いですね。

開拓時に、ヒグマが一家4人を襲い、全員死亡した怖い話もありました。

北海道にいると、常にヒグマの話題はありました。
沖縄で、よくハブの話を聞くのと同じですね!


See you tomorrow!

Chika Yoshino
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年金はどう増やす?

2011-10-08 | 社労士の年金
こんにちは。社労士の吉野千賀です。

3連休は快晴で始まりました。
空気もさわやかで、屋外のスポーツをしたくなりますね。


それなのに、今日は、年金の増やし方について、です。どうか、おつきあいください。

ねんきん定期便は届いていますか?

私、自分のねんきん定期便を見て、愕然としてしまいました。。。
「これじゃ、暮らしていけない!」と危機感をもったのです。

もらえる年金は、これだけ。
どうしたらいいんだろう。。。

1 老後の生活資金はいくら必要?

まずは、老後にいくら必要なのかを見積もって、現在の「ねんきん定期便」と比較して、ギャップを埋めていきましょう。

総務省の家計調査や生命保険文化センターの調査では、

* 月額27万円:一般的に高齢者世帯が必要とする生活費
* 月額38万円:ゆとりある老後

が必要という結果がでています。


* 年額336万円:一般的な生活
* 年額456万円:ゆとりある生活      ってことですか。

昨日の試算を見直してください。

月給60万円のBさんが、20歳~60歳まで40年間働いて、専業主婦の奥様がいる場合、年金は326万円と出しました。

でも、ほとんど、ありえない設定です。

20歳から月給60万の人、めったにいませんよね。

40年間の給料は平均されるので、30万前後になるのではないかと思います。
どう考えても、年金では足りないようです。

今のお年寄りは、現役世代の私たちとは年金の計算方法が違います。
上記の調査結果は、金利が高かった時代を生きてきた今のお年寄りの生活費かもしれません。

では、現役世代の私たちはどうすればいいのでしょうか?


2 まずは生活費を見直す

月額27万が無理そうなら、最低いくら見積もればいいんでしょうか。

ゆとりなくても、たまには温泉や旅行にも行きたいし。。。

まず、一番大きな出費は家賃じゃないですか?

東京で10-12万くらいが、夫婦2人で暮らすくらいの広さの相場でしょうか。
これだけで、生活費の半分近くかかります。

家賃を払わないで済みには、

* 自分でマンションか一戸建てを購入する。
* 親の住んでいた持家を相続する。

くらいしかありません。

マンションか一戸建ての購入を考えるのは、30代中頃~40代前半くらいが、
ローンの返済時期を退職金などと組み合わせてると、最適に思います。

60歳になり、退職金で住宅ローンを払ってしまえば、老後の生活費はかなり削減できるでしょう。

あとは、食費と光熱費は必須項目で、ゆとりがあれば、趣味や旅行にまわせるのでしょうか。
夫婦2人で、月額17万円だったら、年金で暮らせるかもしれません。

食費と光熱費、田舎暮らしをしたら、どのくらい削減できるのでしょうね。

野菜などは自分で作り、冬の暖房は薪ストーブにすると(その薪ストーブが高いのですが素敵です)、
月額10万円くらいでもいけるかも?

そういう暮らしをすると、身体も動かすし、ボケなくていいのでは?と思っています。
田舎暮らし、憧れてしまいます。


3 年金を増やすには?

もらえる年金を増やすには、方法が2つあります。

* 繰り下げをする。
* 個人年金や国民年金基金や確定拠出などに入る。

年金の繰り下げは、65歳からの支給開始年齢を先に伸ばすことです。
伸ばせば伸ばすほど、支給率は上がっていきます。月額0.7%加算されていきます。

65歳の支給開始を、

66歳にすると、108.4%
67歳にすると、116.8%
68歳にすると、125.2%
69歳にすると、133.6%
70歳にすると、142.0% ←これがMAXです。

自営業なら、70歳まで伸ばすことも可能な場合がありませんか。

その場合、78万の国民年金が、最大110.76万円まで増やすことができます。

70歳まで働けるような環境作りを、40代頃から意識していくといいかもしれませんね。

2つ目の民間の個人年金、国民年金基金、確定拠出年金は、余裕があれば、どれかに入っておくといいでしょう。

足りない部分を補うことは必要です。
繰り下げた分を補うことも可能です。


4 60~64歳にもらえる年金は、受け取ること!

多くの人が誤解しているようです。

現行の制度では、男性で昭和36年4月1日生まれの人まで、女性で昭和41年4月1日生まれの人までで、
厚生年金に1年以上加入していた人に、生年月日に応じて、60~64歳までに2階部分のみの年金が支給されます。
この年金は、もらえる時期が来たら、早速、請求の手続きをしましょう。
繰り下げがお得と、3で説明しましたが、3と4は、別の制度です。

60~64歳までもらっても、65歳からは受け取らないで、繰り下げることはできます。

厚生年金部分だけそのまま受け取り、国民年金部分だけ繰り下げもできます。

説明不足で、何がなんだかわからない、かもしれませんが、
64歳までに支給が開始の厚生年金は、絶対にすぐもらう!と覚えておいてください。

この部分を繰り下げようとは思わないでくださいね。


5 国民年金は65歳まで任意加入できる

もし、60歳になったときに、上限の480月に満たなかったら、MAXの年金額はもらえません。
その場合、65歳までの間、480月になるまで任意加入できます。

もし、65歳になったときに、25年の加入期間に満たなかったら、70歳まで特別に加入もできます。
25年の加入期間がなかったら、そもそも国民年金がでないので、より深刻です。

私は20代の頃、保険料を支払っていない時期があり、65歳までぎりぎり任意加入して、ようやくです。

今から、65歳まで保険料を払うことを前提に、仕事のことやら何やらを計画せねば!と思っているのです。
そして、65歳からはできるだけ繰り下げをして、増やすことを考えています。


70歳定年の時代が来るかもしれません。

ヨーロッパの国々では、日本ほど急激な高齢化になっていなくても、68歳~70歳定年に向けて動いています。
イギリスでは、定年なしになりました。

社労士は自営業です。70歳まで働いている先輩もたくさんいます。

自分ができるかどうか、わかりませんが、視野の端っこに入れて、将来の計画を立てていこうと思います。


ざっくりとした計画でOKと思います。
楽しく、不安なく、暮らしていけるように、備えだけはできるところから始めていきましょう。


明日と明後日はお休みします。

Have a nice weekend! See you next week!

Chika Yoshino
コメント
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