こんにちは!社労士の吉野千賀です!
先週2月19日に厚生労働省で開催された
「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家会合(第1回)」を傍聴してきました。
なんというか、これから手探りで進めていくのだなぁという感想です。
通常の障害認定基準改正の専門家会合では、第1回目にドラフト案を厚生労働省の年金局が作成して、それをたたき台として議論を進めていくのですが、
今回の地域差検討会で、厚生労働省年金局が用意したのは、統計資料と調査結果のみ。
たたき台がないので、第一回は具体的な検討や議論ではなく「意見交換」のみで終わりました。
【専門家検討会の構成員】
地域差検討会の構成員って、どういう人選なんだろう・・・と興味がありました。
構成員は9名ですが、うち2名は急な呼び出しのせいか欠席。
構成員の内訳は、医師8名、大学教授2名(1名は医師と兼務)です。
座長の安西信雄先生、
不支給割合の高い、厳しめの県(兵庫県、広島県)から2名の認定医、
不支給割合の低い、優しい県(新潟県、石川県)から2名の認定医、
平均的な県(千葉県)から1名の認定医、
知的障害・発達障害の専門医で診断書を書く立場の医師1名(大学教授兼務)、
障害年金と就労について研究されている大学教授1名、
厚生労働省年金局の障害厚生年金 精神の障害担当の医師1名 の9名の先生です。
【2級の目安についての意見交換】
まずは、報道でも発表された調査結果の説明をザッとした後に、
「2級の目安について意見交換」したわけですが、
私にとっては、興味深い議論でしたよ。
全員が「自分の県の場合」を報告し合いました。
診断書裏面の「日常生活能力の程度」「日常生活能力の判定」の部分ですね。
優しい県の新潟の後藤先生は、
診断書を提出した方にはなるべく年金を出したいので、日常生活能力の程度(2)に丸があって、日常生活能力の判定で「できる」が多い場合は、主治医に返戻して「このままでは2級に届かないので再考するように」と手厚くケアしているそうですよ。
したがって、調査結果を見ると、新潟県の(2)の等級非該当割合は0%です!
それに対して、厳しい兵庫県の先生は、はっきりと以下の通り発言されました。
日常生活能力の程度(1)(2)では、2級にすることはない。
(3)でも100%でなく、日常生活能力の判定も参考にしている。
さらに、単身かどうかも参考にしている。
単身の場合は(3)(4)でも2級にならない!とのことです。
なるほど、兵庫県の(2)の等級非該当割合は75%で、
(4)の等級非該当割合は30.2%もあります。
30.2%の方は単身ってことなんでしょうかね~。
兵庫県は(4)で2級非該当の割合が日本で一番高いのもうなずけます。
【なぜ、こんな格差が?】
日常生活能力の程度(2)でも2級、別の県では(4)でも3割が2級にならない。
これは、かなりの格差ですよね。
たまたま住んでる県によって、症状が軽いのに年金が受給できたり、
外出できないくらい症状が重くても、単身生活ってことだけで受給できなかったりしているわけですから。
これでは、納得できません。
私がこんな相談を受けたら、即「審査請求しましょう」と言うところです。
こういう格差って、認定医の先生(=個人)の障害年金に対する考え方、
そして、個人の考え方は、県民性みたいなものから発生しているのかもしれませんね~。
全国で格差がないようにすることは、大変難しい作業だと思います。
【落としどころはどこに?】
地域差検討会の目標は、「夏頃までに議論を取りまとめて、指針や「等級判定のガイドライン」作成する」ということだそうです。
1ヶ月に1回くらい開催するとして、6~7回の検討会で指針やガイドラインを作成するのですね。
どういうところに、落としどころを持っていくべきなんでしょう・・・。
私だったら、日本国民全員が納得する落としどころは難しいので、
80%くらいの方が「まあまああいいね」と言ってくれるあたり(3)を目指すかな~。
ちなにみ、障害厚生年金では(3)だと3級、(4)で2級です(構成員の厚生年金担当の認定医の発言。私も同じように考えていました)。
【次回は秘密の検討会】
地域差検討会は、毎回傍聴する気満々でいたのに、次回(2回目)は非公開だそうです。
個人の診断書を元に比較するため、という理由で・・・。
今までの専門家会合では、個人の診断書は個人情報の部分を黒塗りにしたうえで、
傍聴者には配布しないという形にして、公開で議論していたのに、おかしな理由ですね。
なにか、秘密の議論をするのかな~と勘ぐってしまいます。
せめて議事録は、黒塗りがあってもいいから公開して欲しいです。
【就労についても検討】
それから、この検討会では、「等級判定のガイドライン」の他に
「就労状況の評価のあり方」についても検討事項として挙げられています。
大変興味深い検討会であることに変わりはありません。
今後も公開の検討会には必ず傍聴して、ブログで報告させていただきますね。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------
【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------
【お知らせ】
よしの社労士事務所では、障害年金に関するご相談は無料です。専門家としてアドバイス致します。
直接お電話(03-6380-8611)いただくか、メール(info@cyoshino-office.com)でご連絡ください。
なお、匿名でのご相談は受けておりません。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------
Have a nice day!
Chika Yoshino
障害年金請求サポートの「よしの社労士事務所」 吉野千賀
先週2月19日に厚生労働省で開催された
「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家会合(第1回)」を傍聴してきました。
なんというか、これから手探りで進めていくのだなぁという感想です。
通常の障害認定基準改正の専門家会合では、第1回目にドラフト案を厚生労働省の年金局が作成して、それをたたき台として議論を進めていくのですが、
今回の地域差検討会で、厚生労働省年金局が用意したのは、統計資料と調査結果のみ。
たたき台がないので、第一回は具体的な検討や議論ではなく「意見交換」のみで終わりました。
【専門家検討会の構成員】
地域差検討会の構成員って、どういう人選なんだろう・・・と興味がありました。
構成員は9名ですが、うち2名は急な呼び出しのせいか欠席。
構成員の内訳は、医師8名、大学教授2名(1名は医師と兼務)です。
座長の安西信雄先生、
不支給割合の高い、厳しめの県(兵庫県、広島県)から2名の認定医、
不支給割合の低い、優しい県(新潟県、石川県)から2名の認定医、
平均的な県(千葉県)から1名の認定医、
知的障害・発達障害の専門医で診断書を書く立場の医師1名(大学教授兼務)、
障害年金と就労について研究されている大学教授1名、
厚生労働省年金局の障害厚生年金 精神の障害担当の医師1名 の9名の先生です。
【2級の目安についての意見交換】
まずは、報道でも発表された調査結果の説明をザッとした後に、
「2級の目安について意見交換」したわけですが、
私にとっては、興味深い議論でしたよ。
全員が「自分の県の場合」を報告し合いました。
診断書裏面の「日常生活能力の程度」「日常生活能力の判定」の部分ですね。
優しい県の新潟の後藤先生は、
診断書を提出した方にはなるべく年金を出したいので、日常生活能力の程度(2)に丸があって、日常生活能力の判定で「できる」が多い場合は、主治医に返戻して「このままでは2級に届かないので再考するように」と手厚くケアしているそうですよ。
したがって、調査結果を見ると、新潟県の(2)の等級非該当割合は0%です!
それに対して、厳しい兵庫県の先生は、はっきりと以下の通り発言されました。
日常生活能力の程度(1)(2)では、2級にすることはない。
(3)でも100%でなく、日常生活能力の判定も参考にしている。
さらに、単身かどうかも参考にしている。
単身の場合は(3)(4)でも2級にならない!とのことです。
なるほど、兵庫県の(2)の等級非該当割合は75%で、
(4)の等級非該当割合は30.2%もあります。
30.2%の方は単身ってことなんでしょうかね~。
兵庫県は(4)で2級非該当の割合が日本で一番高いのもうなずけます。
【なぜ、こんな格差が?】
日常生活能力の程度(2)でも2級、別の県では(4)でも3割が2級にならない。
これは、かなりの格差ですよね。
たまたま住んでる県によって、症状が軽いのに年金が受給できたり、
外出できないくらい症状が重くても、単身生活ってことだけで受給できなかったりしているわけですから。
これでは、納得できません。
私がこんな相談を受けたら、即「審査請求しましょう」と言うところです。
こういう格差って、認定医の先生(=個人)の障害年金に対する考え方、
そして、個人の考え方は、県民性みたいなものから発生しているのかもしれませんね~。
全国で格差がないようにすることは、大変難しい作業だと思います。
【落としどころはどこに?】
地域差検討会の目標は、「夏頃までに議論を取りまとめて、指針や「等級判定のガイドライン」作成する」ということだそうです。
1ヶ月に1回くらい開催するとして、6~7回の検討会で指針やガイドラインを作成するのですね。
どういうところに、落としどころを持っていくべきなんでしょう・・・。
私だったら、日本国民全員が納得する落としどころは難しいので、
80%くらいの方が「まあまああいいね」と言ってくれるあたり(3)を目指すかな~。
ちなにみ、障害厚生年金では(3)だと3級、(4)で2級です(構成員の厚生年金担当の認定医の発言。私も同じように考えていました)。
【次回は秘密の検討会】
地域差検討会は、毎回傍聴する気満々でいたのに、次回(2回目)は非公開だそうです。
個人の診断書を元に比較するため、という理由で・・・。
今までの専門家会合では、個人の診断書は個人情報の部分を黒塗りにしたうえで、
傍聴者には配布しないという形にして、公開で議論していたのに、おかしな理由ですね。
なにか、秘密の議論をするのかな~と勘ぐってしまいます。
せめて議事録は、黒塗りがあってもいいから公開して欲しいです。
【就労についても検討】
それから、この検討会では、「等級判定のガイドライン」の他に
「就労状況の評価のあり方」についても検討事項として挙げられています。
大変興味深い検討会であることに変わりはありません。
今後も公開の検討会には必ず傍聴して、ブログで報告させていただきますね。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------
【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------
【お知らせ】
よしの社労士事務所では、障害年金に関するご相談は無料です。専門家としてアドバイス致します。
直接お電話(03-6380-8611)いただくか、メール(info@cyoshino-office.com)でご連絡ください。
なお、匿名でのご相談は受けておりません。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------
Have a nice day!
Chika Yoshino
障害年金請求サポートの「よしの社労士事務所」 吉野千賀