障害年金社労士 吉野千賀 ブログ

障害年金など社労士の仕事を通して感じたこと、知って為になること、面白いことをよしの社労士事務所の代表吉野千賀が綴ります!

障害年金 人工股関節の事例3つ

2015-08-25 | 社労士の障害年金

こんにちは!社労士の吉野千賀です!

お盆を過ぎてからは、東京も涼しくなってきましたね。

人工股関節を置換した事例を3つ紹介します。

そのうち、2件は受給決定していますが、1件は現在診査待ちです。

受給が決定した2つは、先天性股関節脱臼を経て、変形性股関節症を発症し、

成人になって片方だけ人工股関節を置換した事例です。

ひとつは、社会的治癒が認められて障害厚生年金3級の受給が決定、

もうひとつは、障害基礎年金2級の受給が決定 しました。

2件とも弊事務所へご相談されるまでに、複数の社労士事務所(なんと7・8箇所)へ相談したそうですが、

「障害年金受給は難しい」と断られたそうです。

なぜ、そう言われたかと言うと、

人工股関節置換は原則3級であることと、

先天性股関節脱臼から人工股関節置換となった場合は、20歳前傷病と判断されるからです。

3級該当=障害基礎年金不支給(2級以上から支給)です。

弊事務所で請求代理を行い、結果的には受給が決定しました。

7・8箇所の社労士事務所に断られても、あきらめずにたどり着いてもらって嬉しいです。

【事例1 社会的治癒】

生後6ヶ月検診で先天性股関節脱臼を指摘され、幼少時はギブスを装着しての治療を受けていましたが、小学校入学前には治療を終えています。

小学校・中学校・高校と体育の授業も通常通り参加できており、股関節の痛みもなかったそうです。

ところが、社会人になって(=厚生年金加入後)6ヶ月後頃から股関節が動かしづらくなり、受診しました。

変形性股関節症と診断され、翌年骨切り術などを受けた後、13年後に人工股関節術を受けました。

この事案は、裁定請求は却下、審査請求後に原処分(=却下決定)変更になりました。

裁定請求時から、社会的治癒を立証するには十分な資料(小学校・中学校・高校の通知表など)を提出したのに、障害厚生年金は却下でした。

日本年金機構では、提出資料を十分に検討せずに、安易に却下決定したものと考えます。

【事例2 障害基礎年金2級決定】

生後すぐに足の開きがおかしいと母親が気づき、生後3ヶ月で手術を受けたけれどよくならず、小学1年生時に金具を入れる手術、その後外す手術を受けました。

体育の授業(水泳を除く)は見学していたそうです。

何度か手術をしてもよくならなかったため、小学校・中学校・高校と受診はしていませんでした。

でも、痛みはずっと続いていました。

社会人になって2年目に股関節の痛みのために受診しました。

その後、受診してもよくならないため、15年間通院していませんが、痛みは続いていたそうです。

痛みがひどくなり、通院を再開して7年後に人工股関節を置換しました。

この案件でも、当初は社会的治癒を主張して、社会人になって2年目の時点が初診日であると主張することも考えましたが、

その頃のカルテは廃棄され、初診日の証明ができませんでした。

小学校時に手術を受けた病院で、手術の記録が出てきたので初診日の証明ができました。

受診はしていないけれど、痛みはずっと続いていたという経過ですから、

社会的治癒とはいいきれない部分もありました。

そうすると、20歳前傷病となります。

2級以上でないと障害年金は受給できません。

医師によると、人工関節の具合がよくないため、

人工関節を挿入しても関節可動域や日常生活動作は芳しくないということで、

その旨を診断書に書いてもらい、無事に障害基礎年金2級を受給することができました。

【事例3 診断書なくても障害認定日請求】

18歳で就職(厚生年金加入)、19歳時に交通事故で人工股関節挿入した事例です。

障害認定日時点の診断書がない状態で、障害認定日請求をしています。

これは、私としては、認められる期待<大>なのですが、

(再)審査請求へもつれこむかもしれません。

(再)審査請求へ進んでも、必ず受給に結びつくと考えています。

このような事例は、ご本人や家族だけで請求しても認められる可能性は低いかもしれません。

障害年金を専門としている弊事務所へご相談ください。

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【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
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【お知らせ】

よしの社労士事務所では、障害年金に関するご相談は無料です。専門家としてアドバイス致します。
直接お電話(03-6380-8611)いただくか、メール(info@cyoshino-office.com)でご連絡ください。
なお、匿名でのご相談は受けておりません。
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Chika Yoshino

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障害年金の精神・知的障害 パブリックコメント

2015-08-11 | 社労士の障害年金
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会」で決定した

精神・知的障害の等級判定のガイドライン(目安)について、

パブリックコメントが始まりました。

ここをクリック!


パブリックコメントの後に、再度、専門家検討会を開催する予定になっています。

ということは、少しはパブリックコメントの内容も反映されたものになる可能性はあります。

パブコメ募集期間は、2015年8月11日(火)~9月10日(木)までです。

「意見提出フォームへ」から意見を述べることができます。

精神・知的障害の等級判定のガイドライン導入後に、

精神障害の等級判定が厳しくなるのではないかという懸念を払拭するためにも

大勢がパブリックコメントで意見を言うことは効果があると考えます。

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障害年金 地域差検討会の懸念

2015-08-05 | 社労士の障害年金
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

先週木曜日(平成27年7月30日)に厚労省で開催された

精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会(第6回)」を傍聴してきました。

今年2月から始まったこの専門家検討会は、

精神・知的障害の障害等級認定の地域差(都道府県差)を是正するために開催されているもので、

精神・知的障害の等級判定のガイドライン(目安)を作成することが目的です。

精神障害の等級判定のガイドラインは、概ね出来上がり、

今後の予定は、パブリックコメントを経て、再度、専門家検討会を開催するそうです。

パブリックコメントの後に、再度の専門家検討会を開催するスケジュールは、

従来の障害認定基準の改正の専門家会合と比較すると、異例です。

パブリックコメントの意見を多少でも参考に検討するのでしょうか。

そうであれば、パブリックコメントで大勢の人が声を上げることで

少しはましな方向に向かうのかもしれませんね。

この精神・知的障害の等級判定のガイドライン(目安)は、

今年の秋頃には導入される見込みだそうです。

障害年金を受給されている方にとっても、

これから裁定請求する方にとっても、

私たち社労士にとっても、

この精神障害の等級判定のガイドラインが導入された後の影響については、気になるところですね。

私は、正直なところ、先行きが心配になっています。

なぜかというと、

この等級判定のガイドライン導入後に、

精神障害の等級判定が厳しくなるのではないかと懸念されるからです。

ガイドライン導入後は、2つのステップで等級判定されることになります。

1つ目のステップは、

診断書裏面の「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」を数値化して、

目安に沿って振り分けします。

この部分は、日本年金機構の事務方が行うそうです。

この段階で、従来であれば通っていたのに落ちてしまう人も現れるのでないか、ということが一つ目の懸念です。

2つ目のステップは、

新たに作成する「総合評価」(←検討会で議論中)を元に、

たぶん認定医の先生が、診断書等を読み込んで、等級の最終決定をすることになります。

この「総合評価」の内容については、

7月30日開催の専門家検討会で議論されましたが、

いやいや、なんとも厳しくなりそうな気配がします。

これが二つ目の最大の懸念です。

なぜかというと、厳しめの県代表の兵庫県等の認定医の先生が、バシバシ意見を出して

他の委員は「そうだね」という感じで、議論を戦わすことなく、

そのまま、厳しく修正されているからです。

この辺り、傍聴していて、ゾッとしました。

厚生労働省の会場は行政の省エネ対策ですごく蒸し暑いのに、背筋が凍る想いです。

どのようになっていくかというと、まだパブリックコメント前なのでわかりませんが、

精神障害でも特に気分障害(うつ病)2級のハードルがグッと上がりそうです。

気分障害の総合評価に、

「適切な投薬治療などを行っても症状が改善せずに、入院を要する水準の状態が長期間持続したり、

そのような状態が頻繁に繰り返している場合は、2級以上の可能性を検討する。」


という文言を入れることが検討されています(というか、ほぼ決まりです)。

これは、裏返せば、入院を要する水準の状態にならなければ、2級にしないよ、ということにはならないでしょうか。

他にも、気分障害については、診断書に投与量と治療期間の記載をmustにして、

本当に適切な投薬治療を行っても症状が改善しないのかどうか、

判断したいという意見も繰り返し出されました。

認定医の先生方の発言を聞いていると

「やっと神経症(F4)は排除できた、これからは気分障害(F3)だ」という裏の声(行政の声?)が聞こえてきましたよ。

私の杞憂であればいいのですが・・・。

今年2月から7月まで、 非公開の検討会が2回ありましたが、

私は、傍聴の機会が設けられたこの検討会は、全て傍聴してきました。

毎年の障害認定基準の改正の専門家会合も、4年前くらいから傍聴しています。

その中で感じたことは、

今回の地域差検討会は「座長がその役割を果たしていない」のでは?という疑問です。

座長ではなく、ただの「司会者」になっています。

過去に開催された高次脳機能障害や言語機能の障害の会合において、

ビリっと官僚にものを言っていた、

中島八十一先生(国立障害者リハビリテーションセンター学院長)のような方が座長だったら、

この地域差検討会も、もう少し違っていたのではないかと思うのです。

7月30日の第6回検討会では、兵庫県の認定医の発言が長引き(関西の方は話し出すと止まらなくなる?)、

最後の議題である「診断書の記載要領の作成」「日常生活状況をより詳細に把握するための提出資料の運用」を検討する時間がなくなってしまいました。

この議題も重要だったと思いますよ。

パブリックコメントの前に検討するべきではなかったのでしょうか?

座長が座長の役割を果たしていないし、

司会者としても時間配分を失敗してしまったのではないか、

厳しいようですが、限られた時間内で重要なことを検討しているという認識が欠如しているのではないかと思いました。

そうはいっても、ただ傍聴している立場です。

今後、私たちにできることは、

パブリックコメントで、大勢が意見を言うことではないかと思います。

今回は、パブコメ後に再度の検討会があるので、

パブリックコメントでも意見を述べたいと思っています。

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