こんにちは!
社会保険労務士の吉野千賀です。
先週金曜日(4/19)大阪高裁で、1型糖尿病の集団訴訟の判決がでました。
結果は「逆転勝訴」でした!
長い戦いで心労も多くあったと思います。
本当にお疲れさまでした。
【1型糖尿病と障害年金】
糖尿病には「1型」と「2型」があり
生活習慣病の延長線上で発症する「2型」糖尿病は
中高年になり発症することが多いのに対し、
「1型」糖尿病は、膵β細胞が何らかの理由により破壊され
インスリン分泌が枯渇して発症する糖尿病で
幼少期・若年期に発症することが多い疾患です。
障害年金の観点でいうと
20歳前に発症(受診)したなら、
障害基礎年金(20歳前傷病)に該当します。
障害基礎年金は2級以上でないと受給できないのですが、
障害認定基準の「代謝疾患による障害」では
3級に該当する基準しか明確にされていません。
【事件の概要】
大阪の裁判は、若年期(20歳前)に1型糖尿病を発症し、
障害基礎年金2級を受給していた複数の控訴人が、
障害認定基準の2016年6月改正による影響か
2017年以降の更新時に3級(2級不該当)と認定され、支給停止になったため
支給停止の解除を求めて集団訴訟を行なった裁判です。
【障害認定基準では原則3級】
2016年6月に改正された障害認定基準の認定要領では、以下と定められています。
——————
糖尿病については、必要なインスリン治療を行ってもなお血糖のコントロールが困難
なもので、次のいずれかに該当するものを3級と認定する。
ただし、検査日より前に90 日以上継続して必要なインスリン治療を行っていること
について、確認のできた者に限り、認定を行うものとする。
なお、症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に
認定する。
ア 内因性のインスリン分泌が枯渇している状態で、空腹時又は随時の血清Cペプチド値
が0.3ng/mL未満を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
イ 意識障害により自己回復ができない重症低血糖の所見が平均して月 1 回以上ある
もので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
ウ インスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシス又は高血糖高浸透圧症候群による
入院が年1回以上あるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
———————-
この改正により、3級の例示は具体的に記されたため
1型糖尿病で障害厚生年金3級を受給できるようになった事例は多々あります。
しかし、
2級に該当するかどうかは、
「症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する」と
記されているのみ。
この書き方が曖昧なので、新規裁定で2級認定は困難な現状です。
認定基準改正前に障害基礎年金2級を受給していた方が
2級不支給(3級)となったら、提訴するしかありません。
補足:
不服申立(審査請求・再審査請求)を行なっても
障害認定基準ベースで判断されるので難しいです。
【障害認定基準に2級の例示を!】
1型糖尿病は、幼少期・若年期に発症する傾向があるとのこと。
障害基礎年金(20歳前傷病)になるなら、
どのような場合に上位等級(2級)に該当するのか
障害認定基準に具体的な記載をして欲しいです。
【裁判までしないと受給できないのでは・・・】
裁判になると、時間と費用がかかり負担が大きい・・・。
今回の大阪高裁の裁判は紆余曲折があり、
勝訴まで7年(提訴は平成29年11月20日)もかかっています。
他にも、1型糖尿病の障害基礎年金の不支給決定(2級不該当)で
令和4年7月26日東京地裁で勝訴した事案もありますが
勝訴まで丸4年(提訴は平成30年7月27日)費やしています。
時間も弁護士費用もかかる裁判を行わないと
1型糖尿病で2級受給への道は開けないのでしょうか。
繰り返しになりますが、
障害認定基準の認定要領で「2級」に該当する具体的な例示を示して欲しいです。
そうすれば、1型糖尿病で重症の方は
裁定請求(最初の手続きによる申請)から2級と認められ、
何年も裁判に費やす時間や費用や心労がなくなることでしょう。
そうなることを願ってやみません。
【ご参考】
大阪高裁1型糖尿病訴訟の記事はこちら
東京地裁1型糖尿病訴訟の書籍はこちら 賃金と社会保障1820 2023年2月下旬号
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【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
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【ご相談はこちらへ】
よしの社労士事務所では、障害年金に関するご相談は無料です。専門家としてアドバイス致します。
無料相談は、メール(info@cyoshino-office.com)でご連絡ください。
なお、匿名でのご相談は受けておりません。
※名前も名乗らずに、いきなり「聞きたいことだけ聞く」電話が多いため、電話での相談は受けておりません。
【お知らせ】
弊事務所では全国対応を行っております。
全国対応では、メール・電話・郵便でのやりとりで業務を行っています。
【ご面談なしでの進め方】
1 初回お問い合わせ後、メールや電話で病歴や初診日の確認を行います。
2 年金事務所の委任状を郵送し、ご返送いただきます。
3 納付要件を確認してから、契約書等を郵便で取り交わします。
4 ご契約後は、通常通りに進めています。
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Have a nice day!
Chika Yoshino
障害年金請求サポートの「よしの社労士事務所」 吉野千賀
社会保険労務士の吉野千賀です。
先週金曜日(4/19)大阪高裁で、1型糖尿病の集団訴訟の判決がでました。
結果は「逆転勝訴」でした!
長い戦いで心労も多くあったと思います。
本当にお疲れさまでした。
【1型糖尿病と障害年金】
糖尿病には「1型」と「2型」があり
生活習慣病の延長線上で発症する「2型」糖尿病は
中高年になり発症することが多いのに対し、
「1型」糖尿病は、膵β細胞が何らかの理由により破壊され
インスリン分泌が枯渇して発症する糖尿病で
幼少期・若年期に発症することが多い疾患です。
障害年金の観点でいうと
20歳前に発症(受診)したなら、
障害基礎年金(20歳前傷病)に該当します。
障害基礎年金は2級以上でないと受給できないのですが、
障害認定基準の「代謝疾患による障害」では
3級に該当する基準しか明確にされていません。
【事件の概要】
大阪の裁判は、若年期(20歳前)に1型糖尿病を発症し、
障害基礎年金2級を受給していた複数の控訴人が、
障害認定基準の2016年6月改正による影響か
2017年以降の更新時に3級(2級不該当)と認定され、支給停止になったため
支給停止の解除を求めて集団訴訟を行なった裁判です。
【障害認定基準では原則3級】
2016年6月に改正された障害認定基準の認定要領では、以下と定められています。
——————
糖尿病については、必要なインスリン治療を行ってもなお血糖のコントロールが困難
なもので、次のいずれかに該当するものを3級と認定する。
ただし、検査日より前に90 日以上継続して必要なインスリン治療を行っていること
について、確認のできた者に限り、認定を行うものとする。
なお、症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に
認定する。
ア 内因性のインスリン分泌が枯渇している状態で、空腹時又は随時の血清Cペプチド値
が0.3ng/mL未満を示すもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
イ 意識障害により自己回復ができない重症低血糖の所見が平均して月 1 回以上ある
もので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
ウ インスリン治療中に糖尿病ケトアシドーシス又は高血糖高浸透圧症候群による
入院が年1回以上あるもので、かつ、一般状態区分表のウ又はイに該当するもの
———————-
この改正により、3級の例示は具体的に記されたため
1型糖尿病で障害厚生年金3級を受給できるようになった事例は多々あります。
しかし、
2級に該当するかどうかは、
「症状、検査成績及び具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する」と
記されているのみ。
この書き方が曖昧なので、新規裁定で2級認定は困難な現状です。
認定基準改正前に障害基礎年金2級を受給していた方が
2級不支給(3級)となったら、提訴するしかありません。
補足:
不服申立(審査請求・再審査請求)を行なっても
障害認定基準ベースで判断されるので難しいです。
【障害認定基準に2級の例示を!】
1型糖尿病は、幼少期・若年期に発症する傾向があるとのこと。
障害基礎年金(20歳前傷病)になるなら、
どのような場合に上位等級(2級)に該当するのか
障害認定基準に具体的な記載をして欲しいです。
【裁判までしないと受給できないのでは・・・】
裁判になると、時間と費用がかかり負担が大きい・・・。
今回の大阪高裁の裁判は紆余曲折があり、
勝訴まで7年(提訴は平成29年11月20日)もかかっています。
他にも、1型糖尿病の障害基礎年金の不支給決定(2級不該当)で
令和4年7月26日東京地裁で勝訴した事案もありますが
勝訴まで丸4年(提訴は平成30年7月27日)費やしています。
時間も弁護士費用もかかる裁判を行わないと
1型糖尿病で2級受給への道は開けないのでしょうか。
繰り返しになりますが、
障害認定基準の認定要領で「2級」に該当する具体的な例示を示して欲しいです。
そうすれば、1型糖尿病で重症の方は
裁定請求(最初の手続きによる申請)から2級と認められ、
何年も裁判に費やす時間や費用や心労がなくなることでしょう。
そうなることを願ってやみません。
【ご参考】
大阪高裁1型糖尿病訴訟の記事はこちら
東京地裁1型糖尿病訴訟の書籍はこちら 賃金と社会保障1820 2023年2月下旬号
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1 初回お問い合わせ後、メールや電話で病歴や初診日の確認を行います。
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3 納付要件を確認してから、契約書等を郵便で取り交わします。
4 ご契約後は、通常通りに進めています。
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