こんにちは!社労士の吉野千賀です!
気がつくともう10月も半ばです。そろそろ年末の準備ですね~。1年が早いです。
さて、昨日は厚生労働省で開催された
「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会(第7回)」
を傍聴してきました。
都道府県によって(たまたま住んでいた場所により)、
同じくらいの障害の程度(診断書の記載内容が同じくらい)にもかかわらず、
障害年金を受給できる人とできない人がいる!という問題を解決するために、
今年2月から開催されている検討会です。昨日は第7回目です。
これは、私たちにとって大きな問題ですから、議題も多いのです。
検討事項が多くて、毎回2時間に収めるのが大変です。
簡単にまとめてみました。参考にしてください。
議題1【支給停止の都道府県による地域差のデータも公表されました。】
支給停止とは、今まで受給できていた障害年金が、更新診断書を提出した後に、
「障害が軽くなった」と判断されて、支給停止になることです。
支給停止の地域差は、初回請求(裁定請求)の都道府県による地域差6倍を
大きく上回る50倍以上もあることが判明しました!
びっくりぽんですね。
一番低い県は、宮城県の0.16%(1874件の更新のうち、不支給になった人は3件)。
一番高い県は、兵庫県の8.5%(5279件の更新のうち、不支給になった人は450件)。
これについて、兵庫県の認定医であり検討会構成員でもある医師が弁明するには、
「一人暮らしのうつ病は生活能力があると判断している。
知的障害は支給停止していない。」とのこと。
ふ~ん。ならば、もっと詳細のデータ、踏み込んだ議論をして欲しいところですが、
時間が全くなくて、5分くらいの討議で次に進んでしまいました。
構成員の青木教授が発言した
「今まで受給できていた人が支給停止になるのは、精神的打撃が最も大きい」
には、激しく同意します。
議題2【パブリックコメント意見のガイドラインへの反映について】
8月下旬から9月上旬にかけて、今まで決まった案について、パブリックコメントを行いました。
395通のコメントが寄せられたそうです。
診断書裏面の日常生活能力の程度と判定を数値化した「目安」案は、原案通りになりました。
障害認定の「総合評価」で懸案だった「気分障害の考慮すべき要素が厳しすぎる」意見については、
修正案が出されて、「入院を要する水準の状態」は削除されました。
それだけでも、パブリックコメントの効果があったのではないかと思いました。
多くの批判的意見が出されたのでしょうね。
議題3【等級判定のガイドラインについて】
障害の程度(3)で、判定「2.5以上3.0未満」の部分は、障害基礎年金の場合は80%が2級。
なので、原案の「2級又は3級」でなく、「2級」に改善できないかという意見がありましたが、
やはり気分障害もあるし、「2級又は3級」が適切という意見が多数を占めて、
原案通りになりました。
議題4【情報の充実について】
これは、認定に係る情報を正確に収集することが目的で、
診断書作成医への診断書記載要領、本人や家族が書く日常生活状況が主な内容です。
診断書作成医向けの「記載要領」がたたき台として出されました。
この内容については、次回検討するということですが、結構ボリュームのある書類です。
「記載要領」の中で、診断書裏面にチェックする「日常生活能力の程度」の例示がされているのですが、
例示とはいえ、(2)に◯がついているのには、違和感があります。
私の感覚ですが、(2)だと3級該当も難しいです。
ガイドラインの目安でも、(2)だと「3級または3級非該当」ですよ。
障害基礎年金には3級がないのに、
例示に(2)に◯だと、つられて(2)に◯してしまわないでしょうか。
ミスリードになりませんか?
家族や本人や支援者が記載する「日常生活及び就労の状況について(照会)」は、
認定医が必要に応じて個別に照会するかどうか決定するそうです。
私は、裁定請求時に必ず提出するものになると思っていました。
それが家族や本人の負担にならないかと懸念していましたが、
照会されたら提出することになり、負担は増えない方向になって良かったと思いました。
それでも、照会された時点で、「認定されないのだろうか」と不安にはなると思いますが。
【他に実行してほしいこと】
私は、以下もパブリックコメントに出しました。昨日の検討会で、両方とも口頭で実行するような説明がありました。
・認定医の研修(地域差をなくすには、認定医それぞれの障害等級に対する認識を統一する必要あり)
・定期的な検証(ガイドラインの運用により、どの程度地域差がなくなったのか、毎年検証して公表して欲しい)
公平性や透明性を保つために必要なことと考えます。
そして、第7回が最終回と思っていましたが、
次回もあるそうです。
運用開始ギリギリまで話し合われることは、歓迎です。
また、次回も傍聴します。
ところで、3級予測していた高次脳機能障害の方が
障害認定日から2級で決定しました。5年遡及です。
ご本人もご家族も今まで苦労していただけに、安堵していました。
私もホッと一息です。
だんだん寒くなってきました。
風邪などに気をつけて、よい週末をお過ごしください。
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Have a nice weekend!
Chika Yoshino
みんなの障害年金の「よしの社労士事務所」 吉野千賀