障害年金社労士 吉野千賀 ブログ

障害年金など社労士の仕事を通して感じたこと、知って為になること、面白いことをよしの社労士事務所の代表吉野千賀が綴ります!

高次脳機能障害 2

2016-11-22 | 社労士の日記
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

今日の東京は、暖かで気持ちがいいですよ。

高次脳機能障害の特徴的な事例をご紹介します。


【整形外科で精神の診断書を書いてもらい、遡及できた例】

依頼者は、交通事故後、頚椎捻挫の診断を受け、整形外科に通院していました。

肢体の障害としては、

首や肩を回すときに痛みが多少出る程度に回復していました。

障害の程度には、該当しないくらい軽度の症状です。

高次脳機能障害の症状は、事故直後から出ていたのですが、

その症状が高次脳機能障害とはわからず、精神科などへは受診していませんでした。

そのため、交通事故から1年6ヶ月後の「障害認定日」の時点では、

高次脳機能障害の診断も得ていませんでした。

障害認定日の頃に、通院していたのは、整形外科だけでした。

通院していた整形外科をネットで調べると、

「交通事故の後遺症を扱っている」と記載があったため、

そうであれば、

主治医の先生は、高次脳機能障害の症状も認識していたのではないか?と考えました。

結果的には、高次脳機能障害の知識もあり、きちんとした精神の診断書を書いていただけて、

良かった!と思ったのですが、

審査中に日本年金機構から

高次脳機能障害と診断書した根拠を求める」旨の返戻がありました。

主治医の先生に相談すると、

整形外科医であっても、診断の根拠を明確に説明していただけたのです!

そのおかげで、無事に過去にさかのぼり受給が決定しました。

一見、難しいかな・・・と思っても、

やるだけのことはやってみる」ことが、大事ですね。



【ビタミンB欠乏症による高次脳機能障害】

ご家族からご相談のお電話を受けた時に、

傷病名をお尋ねすると「ビタミンB欠乏症です」とのこと。

どんな症状が出ているのかと、さらに伺っているうちに、

「これは、器質性精神障害に該当する!」と確信しました。

器質性精神障害とも、高次脳機能障害とも、

そういう診断(検査含み)は、されていないそうでした。

弊事務所へ連絡する前に、

年金事務所・街角の年金センター・他の社労士事務所など、

いろいろ相談したのですが、

どこも、「その傷病名では障害年金には該当しない」という

回答だったとのことです。

しかし、実際には、仕事を退職せざるを得なくなり、

自宅から徒歩5分の訓練施設へ行く途中でも

道に迷ってしまう症状が出ていました。

これこそ、器質性精神障害(高次脳機能障害)の症状ではありませんか!

そう確信できたのは、

前回書いた「風邪のウイルスで高次脳機能障害になった」事例を

就労支援のセミナーで聞いていたからです。

高次脳機能障害の原因は、交通事故や転落などに限りません。

なんらかの原因で、「脳に損傷」が起きた場合に生じることもあるのです。

これからも、先入観で判断しないで、

障害年金を受給できる可能性を追求していきたいです。



【高次脳機能障害と併合認定】

精神の傷病の中で、高次脳機能障害は原因により併合認定できる可能性が高いと思っています。

脳梗塞が原因であれば、

・半身麻痺による肢体の障害
・言語機能の障害
・高次脳機能障害

などの症状が出ていれば、併合認定で上位等級になる可能性がありますね。

また、脳に損傷があると、高次脳機能障害の他に「てんかん」を伴うこともあります。

てんかんの症状も伴っていれば、

就労しているために、3級程度かな・・・と考えていても、

2級に認定された事例がいくつもあります。

逆に、てんかんの症状があるのかないのかを

確認することができず(脳波検査を受けていなかった)、

不服申し立てで再審査請求まで進んで、

高次脳機能障害で2級認定されなかった(涙)事例もありましたね。

これは、障害者雇用で7年就労できていたためでした。厳しいですね・・・。



【さいごに】

脳に損傷があるために発症する高次脳機能障害は、

気分障害や統合失調症など他の精神の疾患と異なり、

脳のこの部分に損傷があるために、

この症状がでている、と説明することができる場合が多いようです。

とすると、脳の検査を受けて、

診断の根拠を示すことにより、認定されやすいのかもしれないと考えています。

実際には、高次脳機能障害と診断してくれる医療機関が少ないことが

問題ではあるのですけれど・・・。


いずれにしても、高次脳機能障害の症状で日常生活や就労に支障があれば、

障害の等級に該当する可能性はありますので、

もしかしたら・・・と思ったら、

ぜひ、ご相談くださいね!

(ご相談は、無料で行っております。)

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【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
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【お知らせ】

よしの社労士事務所では、障害年金に関するご相談は無料です。専門家としてアドバイス致します。
直接お電話(03-6380-8611)いただくか、メール(info@cyoshino-office.com)でご連絡ください。
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一般の方向けに「スッキリ解決!みんなの障害年金」を出版しました。
おかげさまで、刊行2か月ちょっとで1万部に到達しました。ありがとうございます。

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Chika Yoshino

障害年金請求サポートの「よしの社労士事務所」 吉野千賀
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高次脳機能障害 1

2016-11-10 | 社労士の障害年金
こんにちは!社労士の吉野千賀です!

高次脳機能障害について、事例も含めて2回に分けて書いてみますね。

高次脳機能障害は、当事務所では取り扱い案件が多い傷病のひとつです。

わりと、得意分野かもしれません。

何気ないメールや電話でのご相談の中で、

「この方(またはご家族)は、高次脳機能障害でも請求できるのでは?」と、

キャッチできたことも多かったです。

というのも、平成24年11月〜平成25年1月にかけて行われた

障害認定基準改正の専門家会合を傍聴して、

より理解を深めることができた」ということもあります。

社労士向けの専門書「障害年金相談標準ハンドブック」でも、

高次脳機能障害の部分は、執筆を担当しました。

そして、ちょうど同じくらいの時期(平成24年頃)に、

公的就労支援機関のセミナーで、ある中小企業の事例を聴いて、

高次脳機能障害に共感というか、

理解したいという気持ちを持ちました。

その事例とは、

社員が風邪による高熱で、脳に炎症を生じ、

高次脳機能障害を発症した、ということです。

風邪による高熱で発症するとは、

なんて身近な病気なんだろう・・・と思いました。

管理職の方の発表でしたが、

なんとしても社員を守る姿勢が感じられて、聞き入ったことと、

記憶障害により通勤することもままならない状態でありながら、

発症前に習得した業務はできることもある、という実態が

とても印象に残っています。


【障害認定基準について】

まずは、高次脳機能障害で障害年金を請求するうえでの基本的なことから。

高次脳機能障害は、障害認定基準が平成25年6月に改正された時に、

ようやく詳細が書かれるようになりました(専門家会合での検討を経て)。

障害認定基準では、「精神の障害」の中の

症状性を含む器質性精神障害」に分類されており、

認知障害、人格変化、その他の精神神経症状により

どれくらい日常生活や労働に制限を受けているかどうかで、

障害等級が認定されます。

その定義は、

「高次脳機能障害とは、脳損傷に起因する認知障害全般を指し、

日常生活又は社会生活に制約があるものが認定の対象となる。

その障害の主な症状としては、

失語、失行、失認のほか

記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがある。

なお、障害の状態は、代償機能やリハビリテーションにより好転も見られることから

療養及び症状の経過を十分考慮する。

また、失語の障害については、音声又は言語機能の障害の認定要領により認定する。」



たとえば、

脳梗塞で半身麻痺・言語障害に加えて、

高次脳機能障害の症状があると、

3つの障害を合わせて上位等級になることもあります。


たとえば、

交通事故後に、性格が変わって怒りっぽくなったり、記憶障害が生じた場合、

高次脳機能障害の可能性が高いです。


なんらかの脳に損傷を与えるような原因(脳梗塞や交通事故など)があった場合は、

その原因により初めて受診した日(脳梗塞や交通事故で受診した日)が、初診日です。


「なにかおかしい」とご家族が感じながら、

高次脳機能障害と診断されるまでに数年かかる方も多いので、

初診日はいつになるのか、迷われている方は参考にしてください。


障害年金を請求するうえで気をつけること事例は次回に!

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